ガンダムビルドファイターズ アテナ   作:狐草つきみ

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今回はいつもより短めですぞ。





第4章:神童、十字架の女王
EPISODE-46:レギュラーメンバー


  

 五月下旬へと入った今日、私は放課後になると早速、部室のバトルシステムで白いアストレアを片手にCPU戦を繰り返していた。

 新しく作った、クロスアストレアX1ヴァイスフルクロス。それはあるアーケードゲームで得た技術を反映させようとして、私が初めて改造したガンプラでもある。……ユー君やミナツ先輩に手伝ってもらったけれど。

 

 

 

 私は左コンソールからセーフティ解除を選択し、ムラサメブラスターからビーム刃が揺らめくように放出される。

 

「エグナーウィップ!」

 

 それと同時にGNスプレッドライフルを放棄して、腰の背からGNエグナーウィップを掴み取り、目の前の標的機――確か名前はホビー・ハイザックだっただろうか――に直撃し、硬直させる。

 そのまま巻き取りつつ、まるで辻斬りの如くムラサメブラスターでハイザックの胴を斬り付けて、下半身と上半身に分かれたハイザックが爆散する。

 

《BATTLE END》

 

 今回もまたあっさり終わる。敵の数を四機又は五機に設定しているからなのか、それともアトミック・バズーカしか持たせていないからなのかは分からないけども。

 

「何でホビー・ハイザックに全機アトバズ持たせてるんだよ、鬼かお前は」

 

 ホログラムが解けたと同時に、ぶっきらぼうに声を掛けてきたのはユー君だった。

 ユー君の言いたいことは尤もだけど、これぐらいのスリルがないと楽しめない、と言うのが素直な理由だったりする。勿論そんなことは口が割けても言えない。

 

「ちょっと物足りないだけ」

「放たれた核弾頭を蹴って躱して敵に近付いて斬るとか、本当にお前のその操縦技術には驚くと言うか、なんと言うか……」

 

 褒めてるのか、遠回しに貶してるのかはっきりしない物言いに、私は不機嫌を示しながら何時もの席に座る。

 するとカグヤちゃんがお茶を運んできてくれて、私にも一つ湯飲みを渡してくれる。

 

「熱いので気を付けてくださいね」

「ありがとうカグヤちゃん」

 

 会釈しながらそう言うと、カグヤちゃんも会釈で返してくれ、そのまま他の部員にも湯飲みを渡していた。

 そう言えば今日は、珍しく部員全員が集まっていた。八人もこの部屋に居るとなると、それなりに大所帯になってきたなぁ、と染々感慨深い思いに浸る。

 まだ二ヶ月も経っていないのに、大分増えたなと思う。最初は三人だけだったのが本当に懐かしい。

 

「日に日に全国も近くなってきたが……先輩、手は打たなくて良いのか?」

 

 ふと思い出に(ふけ)っていると、またユー君が口を開く。中々耳が痛くなるような言葉に、話を振られたツクモ先輩が、スケジュール帳を片手に「うーん」と唸った。

 

「確かに手は打てるだけ打っておきたいけども、まずは通常(レギュラー)メンバーよ」

 

 パタンとスケジュール帳を閉じて立ち上がったツクモ先輩は、ホワイトボードまで近付いて、油性ペンで何かを書いていく。

 そこには「全国大会 レギュラーメンバー」と書かれ、ツクモ先輩はペンに蓋をすると同時にこちらへ向き直った。

 

「今回はヤヤちゃんとカグヤちゃん、それにアイカは補欠ね」

「……まぁ、致し方あるまいて」

「マサキさんと違って、初心者にいきなり全国大会の出場は無理ですからね」

「ツクモちゃんとミナツには付いていけないもの」

 

 目を瞑りながら答えたヤヤちゃんに続いて、カグヤちゃんも苦笑いしながら答え、アイカちゃんはやれやれといった様子だった。……「私と違って」というのが少々引っ掛かるけど。

 ツクモ先輩も申し訳ない顔をしつつ、次に省くメンバーを言った。

 

「ユーとシャーロットはガンプラの整備に徹して欲しいわ。でもシャーロットは補欠に入れておく。良いわね?」

「ああ、元より俺はビルダーだしな」

「ワタシもno problemデース!」

 

 ユー君は快く頷き、シャロ先輩も腕を振り上げて答えると、ツクモ先輩も軽く頷いて周りを見渡す。

 

「私とミナっちゃんは外せないとして、残る一人はマサキちゃんに頼みたいの」

「ふぇっ!?」

 

 消去法で行くと、そうなることは想像だけできていたものの、いざ言われると驚くよね。

 驚いた拍子にズレた眼鏡の位置を直しつつ、私はおずおずと手を挙げてツクモ先輩に意見してみる。

 

「どうしたのマサキちゃん?」

「あの、私なんかよりも、シャロ先輩の方が……」

 良い、と言おうとした途端、ツクモ先輩の言葉に塞がれた。

「あー、合わせられる気がしないのよ。シャーロットと」

「えー!?」

 

 その返事に素っ頓狂(すっとんきょう)な声でまた驚いた。そのままシャロ先輩の方を向けば、シャロ先輩も染々頷きながら「そうデスネー」と気楽そうに呟いていた。

 少し唸った私は、手元のアストレアを見やる。表情の変わらない白い人形は、その翡翠のような(カメラアイ)でこちらを覗き返していた。

 まさか私が選ばれる、だなんて思わなかった。確かにガンプラバトルは中々に飽きさせてくれない。それよりも楽しさが増していく。なら、その手を取るべきなんだろうか。

 

「私は……その、正直迷ってます。ツクモ先輩やミナツ先輩の邪魔になるかもしれないし、ましてや足手纏いになってしまいます」

 

 私は両手を胸の前で組んで、瞑目してそう言った。

 無論、自分に自信がない訳じゃない。私には()()()がある。でもそれは、時に相手や……味方までもを傷付けてしまう。それが怖かったんだ。

 でもツクモ先輩は、それがどうしたと言いたげにこちらを見ていた。ミナツ先輩もだ。

 

「足手纏いだなんて言わせないわ。組んでた私が言うのよ?」

「フフッ、マサキちゃんは後ろで戦う私にとって、とっても心強い支えなのよ」

 

 二人のその言葉に、私は顔を上げる。すると後ろから慣れた感覚が私を包んだ。

 

「マサキちゃんは強いんだから、思いっきり楽しめば良いのよ♪」

 

 後ろから抱き締めてきたのは、やはりアイカちゃんで、笑顔を見せながら言ってくれたことが嬉しかった。

 なら私は――

 

 

 

「やります、きっと全国を優勝しましょう!」

 

 

 

 立ち上がって堂々と言ってみせる。()()()で後悔しない為にも、絶対に。

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