ハイスクールD×H ~龍と人間と世界の流れ~ 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 どうも、初めまして&お久しぶりです。
 みずしろオルカと申します。

 この度、新作を手掛けることにしまして、投稿させていただきました。

 日記形式の方に慣れてて、こちらの通常形式にはまだ拙い部分が多く、不快に思われる方も居るかと思いますが、広い心で流していただければと思います。

 感想、質問がありましたら遠慮なくどうぞ。


第1話 理不尽降臨

 奪われた聖剣を取り戻すため、教会からの使者を手伝い、駒王学園でエクスカリバーを統合する。

 そして統合された時のエネルギーを使い、町を消滅させる魔法陣を発動させる。

 

 それを防ぐために、堕天使の幹部であるコカビエルと対峙しているリアス・グレモリーとその眷属達。

 

 その戦いはもはや佳境に入り、神の死を高らかに宣言している堕天使。

 

 ほんのわずかな次元の亀裂でその場所の会話を、戦いを見ている者がいた。

 

「……戦争になる?」

 

 次元の隙間。

 

 そこに二人の人影が抱き合うように漂いながら、その隙間から様子を見ていた。

 一人は190㎝を超える長身と鎧の様な肉体を持つ男。

 

 もう一人は幼い姿の少女。

 しかしその瞳はどこか深い色を孕み、長い漆黒の髪にゴスロリ風の服をはだけるような着崩しをしていた。

 

 その少女の言葉に男は反応する。

 

「街が無くなれば、お前を撫でられないな……」

 

「……それは嫌」

 

 短い言葉。

 

 だが、男にはそれで十分だった。

 

 それだけで、戦いのスイッチが入る。

 

「なら、潰して来よう」

 

 抱き合い漂っていた二人は離れる。

 しかし、少女の方は名残惜しそうだ。

 

「……さみしい」

 

 つぶやいた言葉。

 つぶやいた本人が戸惑っていた。まるでさみしいと言う感情を持て余しているように。

 

「すぐに終わらせてくる。戦争なんて仕掛ける烏には後悔を刻み込んでやらないとな」

 

「うん、ソーゴ。我の静寂……」

 

 

********************

 

 

 神の不在。

 

 その事実に全員が動揺し、心が挫けかけていた。

 

「お前たちの首を土産に……! 俺だけでも、あの時の続きをしてやる!!」

 

 コカビエルのその宣言に、リアス達の心が挫けかけていた時だった。

 

「そうか、じゃあテメェだけでやってな」

 

 その声は響いた。

 

 この場にいる誰でもない男の声。

 絶望と敗北がその場を支配していた中で、ただ平坦で深海を思わせる冷たく暗い呟き。

 

「があぁ!?」

 

 その叫び声にリアス達は困惑した。

 

 今まで、圧倒的な強さを持って対峙していた堕天使の苦悶の声だったのだから。

 

 その胸には刀の刃が生えていて、背後には刀身が突き出ている、ガラスのように割れた空間があった。

 

「な、なにが……」

 

 そのつぶやきは、彼女の下僕の男。

 赤龍帝、兵藤一誠のものだ。

 

「空間から……刃が!?」

 

 この声は彼女の騎士である木場祐斗のモノだ。

 

 では、あの声は誰?

 

「……仕方ねぇな」

 

 もう一度聞こえた声は、先ほどの深海を思わせるつぶやきからは大分人らしい声だった。

 

 ゆっくりとコカビエルの胸を貫いていた刀の切っ先が上がっていく。当然貫かれているコカビエルもその身体を浮き上がらせていた。

 

「ぬ、ぐぅ……。貴様ぁ!」

 

(翼の付け根を貫かれていて、飛び退けないだと!)

 

 パキパキっとガラスに亀裂が入る様に、徐々に割れた空間が広がり、中から男が出てきた。

 190㎝以上の鎧の様な体格をした男。

 

 貫かれたままの堕天使のせいで顔が見えないが、その服装は駒王学園の制服だった。

 

「テメェの最後の戦いは……」

 

 男はまるで刀に付いた血を払うかの様に、コカビエルを地面に振り落とす。

 

 現れた男は、リアス・グレモリーも彼女の眷属達も知っている顔だった。

 

「一方的な虐殺で終わる。覚悟しな……」

 

「あなたは、海原曹護!!?」

 

 リアス・グレモリーに海原曹護と呼ばれた男は、その手に刀を持ち、ゴミでも見るかのようにコカビエルを見下していた。

 

 

********************

 

 

 リアス・グレモリーの海原曹護への評価は、物静かな男だった。

 

 三年間、高校生活を同じクラスで過ごした程度の仲ではあったが、当然会話も面識もあった。

 

 教室で見る彼とこの戦場で見る彼、どちらも人間であることは間違いなかった。

 

 しかし、彼は今、堕天使との戦場で誰よりもオーラを発していた。

 

「海原君! 人間であるアナタが居ては危険よ! 早く下がりなさい!」

 

 人間が悪魔と堕天使の戦いに介入する。

 

 バカみたいな話だ。

 

 そんなことのできる人間なんて、よほど強力な神器に出会えた者ぐらいだろう。

 

「グレモリーか。黙って見ていろ、こいつは直々に俺が裁く……!」

 

「!?」

 

 思わず、息を飲んでしまった。

 

 本当に人間なのか?

 

 彼の持っている神器、あの刀はそれほどまでに強力なものだと言うのか?

 

「人間風情が! 神器の助け無しでは何もできない弱者が! 我が闘争を邪魔するな!!」

 

 完全に堕天使は頭に血が上っている。

 当然だろう、見下していた人間に、不意打ちとは言え胸を貫かれたのだから。

 

 コカビエルは体育館を消滅させた槍よりもずっと巨大な槍を作る。

 受ければ人間なら確実に消滅、避けたとしてもその余波すら人間にとっては凶器だ。

 

「……神器? なんだ、こんなものに頼っていると思っているのか? だとしたら、お笑い草だな」

 

 吐き捨てる様に、見下す様に、曹護はそう言った。

 まるで、的外れなことを言っている相手に言い聞かせるように。

 

「こいつ無しでやってやるよ。テメェなんざ、この拳で十分だ」

 

 その言葉に、完全に頭に来たコカビエルは更に槍を巨大にしていく。

 

「舐めるのも大概にしろ、雑魚風情が!!」

 

 そんな危険な光景が目の前で広がっているのにもかかわらず、曹護は手にしていた刀を消した。

 神器を収納したのだ。

 

 誰もが終わったと覚悟を決めた時。

 

「コォォォォ!」

 

 独特な呼吸音が響いた。

 

 それと同時に曹護の全身が帯電したように電気の様なエネルギーを纏い始める。

 

「これは……波紋の呼吸!?」

 

 反応したのは仙術を知る塔城小猫だった。

 

 自分が持つ力の中でも奥義に該当する自己活性の呼吸法。

 

 それを人間が使う。

 この事実だけでも驚愕すべきことなのに、曹護は更にそれを上回った。

 

 電気の様な力は銀色をした闘気の様なものに変化していた。

 

「”銀色の闘気”、加速の世界……」

 

 

********************

 

 

 一瞬だった。

 

 俺達が何度も打ちのめされ、それでも余裕を崩さなかったあの堕天使を、あの男は一瞬で片腕をもぎ取ると言う離れ業をやってのけた。

 

 俺が限界まで倍加して部長に渡して強化した滅びの魔力が効かなかったあのコカビエルの腕を、まるで木の枝を折るような感覚でもぎ取った。

 

 こいつは本当に人間なのか?

 

「カルシウム不足だな。手刀で切れたぞ?」

 

 コカビエルの腕を持っている反対の手。

 手刀の形のままの手にはさっきの銀色の闘気が集まり、見ただけでやばいと理解できる。

 

「ぬ、がぁぁぁ!? 人間風情がぁぁぁぁ!!」

 

 信じられなかった。

 

 あれだけ皆で苦労して、絶望しながら戦っていた堕天使を、ああも簡単に圧倒しているあの男。

 

 駒王学園でも有名人の先輩だ。

 あの先輩があんなにしゃべっているのを初めて見たかもしれない。

 

「手刀だとだめだな。……やはり拳か」

 

 切断した腕を捨てて、握られた拳には手刀の時の様な収束した銀色の闘気が集まっている。

 あれで殴るのか?

 

 つか、手刀だとダメって、すぐ殺せるからか?

 えぐい選択をする先輩だ……。

 

「さぁ、虐殺の時間だぜ? 銀色の闘気!」

 

 銀色の闘気って、部長のあの赤黒いような魔力とは逆の銀色で明るい力だ。

 さっきの動きなんて、全然見えなかった。悪魔の動体視力で見えないって、どんな速度で動いてるんだよ。

 

 メゴッ!

 

 肉が骨と拳に挟まれて潰れるようなグロイ音がした。

 

 見るとコカビエルの顔面、鼻と口の間に拳が叩き込まれていた。

 あの海原曹護とかいう先輩、悪魔とドライグの倍加で相当な威力になっていたはずの一撃を超える一撃をコカビエルに放ったと言う事だ。

 

 人間なのに?

 

 いや、きっと人間じゃないだろう。

 悪魔や天使、堕天使じゃないなら種族:海原曹護で登録した方が良いかもしれない。

 

 先輩は殴っただけじゃなく、そのまま地面にコカビエルを叩きつけた。

 そのまま、右左と両拳で地面に叩きつけるように殴り続ける。

 

 音が!?

 

 最初こそ、奴の声が聞こえていたが、今は骨が砕けるような音と肉が潰れるような音が響いている。

 

 徐々に拳の速度が上がっているし、土埃でコカビエルの様子は見れないが、飛び散る血や時折痙攣したように跳ね上がる奴の足が悲惨な状態であることを教えている。

 

 ピタッと急に彼の動きが止まり、土埃の中から引きずり出したのは、変わり果てたコカビエルだった。

 

「うわ……」

 

 思わず声に出た。

 

 俺達と対峙していた時の面影が無くなっていた。

 手足が痙攣しているから、生きているのが分かる程度の反応だ。

 

「部長、彼は……」

 

「クラスメイトよ……、それ以上は分からないわ」

 

 木場の疑問は、部長でも答えられなかった。

 俺だって、同じ学校に堕天使を拳で沈める人間がいるって考えたことなかったぞ。

 

「トドメだ」

 

 そう短くつぶやくと、コカビエルの奴を空に高く投げ飛ばした。

 

 まだやるの!?

 憎たらしい奴だし、許せない奴だけど、もうやめたげて!?

 

 投げ飛ばした方向に両手を向けると、掌の前に銀色に光る球が徐々に大きくなって出来上がってくる。

 

(まさか! ドラゴ・ソボールのドラゴン波か!?)

 

 

********************

 

 

 トドメに空中でバラバラにしてやろうかと思ったが、何者かがコカビエルの奴を空中で回収してしまった。

 

 銀色の闘気を固めて放つ技を当てれば終わったんだがな。

 

 まぁいい。

 

 あの状態では回復しても戦争だなんて考えることはできないだろうしな。

 

 早く帰って、オーフィスと過ごすか。

 

「待ちなさい、海原曹護!」

 

「あ?」

 

 いかん。

 思わず、威嚇しちまった。

 

「貴方何者? 悪魔か堕天使、天使の勢力の関係は?」

 

 いきなり何を……と思ったが、良く考えればリアス・グレモリーは悪魔。

 冥界の貴族だったはずだ。

 

 気になるのも仕方がないか。

 

「人間だ。どの勢力にも組してない。あえて言うなら……ドラゴン側か?」

 

 オーフィス限定だがな。

 

 そろそろ帰らねぇと、あいつが拗ねちまうだろ。

 

「話は終わりか? あの堕天使に止めを刺せなかったのは残念だが、俺のやる事は済んだんだ。早々に帰らせてもらうぞ」

 

 舞空術で飛び上がり、すぐに家の方へ飛んでいく。

 少し時間をかけてしまったからな、拗ねてないと良いが……。

 




 強さを感じていただけたでしょうか?

 海原曹護は、私の前の作品の主人公である海原参護の兄と言う設定です。

 次回は可愛いを書きたいですね。
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