ハイスクールD×H ~龍と人間と世界の流れ~ 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 お待たせしました。

 これにてディオドラ編終了です。

 ここから日常を少し挟んでから、ロキ編に移る予定です。

 ロキ編にて参護さん登場予定ですのでお楽しみに。

 設定など詳細を知りたい方が居ましたら、感想やメッセージにてお願いします。
 一言評価で聞かれても反応し辛いですから。


第19話 白金の闘気

 リアス side

 

 

 ディオドラ・アスタロトにさらわれたアーシアの救出に成功したのだけど、そこで旧ベルゼブブであるシャルバ・ベルゼブブと対峙することになってしまった。

 

 小猫はアーシアを助けるために強力な技を使用して、反動で動けなくなってしまった。

 

『加速世界』

 

 海原君が使っている、自身の感覚を研ぎ澄ませ、思考を高速化して、その思考に付いて行けるほどの身体強化を行って、様々な無茶を繰り返して辿り着ける境地。

 

 身体強化が追い付いていなかったのか、小猫は全身にダメージを負い、脳も疲労で鈍っているかもしれない。

 

 私達が見たのは、小猫が一瞬でアーシアを抱き込む様にして、光の柱から守った光景。

 

 文字通り光の柱だ。

 

 仙術を使え、波紋の修行をしている彼女だからこそ、シャルバの存在に気付けて、対処できたのだ。

 

 私達は全く気付けなかった。

 

 海原君がコーチに付いてくれてからは、前衛組の戦闘力はかなり上がったし、私たち後衛組だってそれに置いて行かれない様に技を磨いてきた。

 

 小猫はその中でもかなりの伸びを見せていた。

 

 海原君の戦い方を何度も見ているでしょうし、私達の中では一番近くに居るから色々と聞ける立場だ。

 

 だからこそ、アーシアを護れた。

 

 だけど、そのせいで小猫は技の反動で今動けないでいる。

 

 そして、このタイミングで来てくれた海原君。

 

 二刀流になっていることが気になったけど、それよりも彼の雰囲気が気になった。

 

 コカビエルの時も一瞬感じた、深い海の底から睨まれているような、底知れない恐怖。

 

 海原君は今、『本気で』怒っている。

 

 海原君の背中の空間が裂け、中からオーフィスが現れる。

 

 そのまま、小猫の下まで行くと心配そうに話しかけている。

 

「小猫、大丈夫?」

 

「はい、オーフィスさん」

 

「神器で癒しています。どこまで回復するかわかりませんが、少しはマシになるはずです!」

 

 アーシアは『聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)』を使って小猫の身体を癒している。

 おそらく、筋肉痛や肉離れ、炎症、内出血等のダメージと思われるから、ある程度はアーシアの神器で対応できるはずだ。

 

 だけど、超高速処理をしていた小猫の脳は負荷が強く残っているはずだ。

 

 気を失ったって責められないレベルの負荷のはずなのに、小猫は意識を保っている。

 

「……ソーゴ」

 

 声色は変わっていない。

 平坦な印象を受ける言葉なのに、小猫に話しかけた時の声とは全く違う。

 

 心の底から溢れてくるような恐怖。

 

 それを彼女はたった一言の中に込めていた。

 

「ん?」

 

「あれ、許さない」

 

「だな。金色じゃ足りねえな。白金を使いたい」

 

 金色、カテレアを倒したあの銀色の闘気を超えた闘気の事だろう。

 それはカテレア程の強者相手でも過ぎた力だとアザゼルからも評価されていた。

 

「……一分」

 

「!??」

 

 その言葉に、海原君の表情が驚きと疑問に変わる。

 

 許可したことに驚き、それを疑問に思ったのでしょうね。

 

「どういう風の吹き回しだ? 普段は十秒だって許さねえってのに……」

 

「小猫、頑張った。小猫が居なくなると、お菓子おいしくない。小猫、居なくなるの嫌」

 

「……了解。オーフィス、こいつを小猫に」

 

 渡したのは、二刀の片割れ。

 

 それをオーフィスは受け取って、小猫に握らせる。

 

「持ってる。ソーゴの力、小猫治す」

 

 あれは打鉄?

 なんで二本もあるの?

 

 剣を握らされた小猫の身体が銀色の光を纏い始める。

 

「さぁて、テメエ如きに見せるのも癪だが、オーフィスの願いと俺のストレス解消のためだ」

 

 グッと片手で前髪を押し上げる様な仕草をすると、その目は鋭い光を宿していた。

 

「絶滅タイムだ!」

 

 銀色が徐々に金色に変わり、金色から更に色が薄くなっていく。

 

 銀より淡く、美しい輝き。

 

 私も貴族だから分かる。

 

 銀と金と白金。

 

 どれも貴金属としてアクセサリーや調度品に使われる金属だ。

 

 特に人間界では金色は高貴な輝きを持つゆえに、メダルなどでも一位のモノに授与されることが多い。

 

 では白金は?

 

 人間界では価格としては、金を上回る事が多い金属で、その輝きは銀に似ている。

 だけど、銀と違い装飾品として使い続けても黒く変色しない金属。

 

 こうして、銀から金、そして白金に彼の闘気が移るのを見ていると、理解できる。

 

 名前の通りだ。

 

 白金の闘気は銀色よりもずっと淡く、力強い輝きなのだと。

 

「虚仮脅しが通じるか人間!!」

 

 あ、ダメだわ。

 

 海原君を人間として見てるんだったら、全然ダメだ。

 

「ブムッ!?」

 

 次の瞬間、私が見たのはヤクザ蹴りを顔面に受けているシャルバ・ベルゼブブの姿だった。

 

 だけど、おかしい。

 

 やっていることは銀色を纏って戦っていたコカビエルの時と変わらない。

 

 確かに感じるオーラは圧倒的だけど、銀や金と何が違うか、分からない。

 

「テメエみたいな雑魚、金どころか銀でも十分だ。なぜそれをしないか分かるか?」

 

 なぜか執拗に右足での蹴りのみで攻撃している。

 

 つま先、踵、側面、足の裏、足の甲。

 

「一分まで残り三十秒ってとこか。心と体の両方で死を与えるためだ」

 

 蹴り上げられたシャルバは、ボロボロながらも意識も闘志も保っていたようだ。

 

「人間風情が、人間風情が、人間風情がぁぁぁぁ!!!」

 

 パチンッ!

 

 シャルバが叫びまくっていたのにもかかわらず、その音はこの部屋全体に響いた。

 

 見ると海原君が手を高く上げ、スナッピング、俗に言う指パッチンというものをしていた。

 

 周囲は静まり返る。

 

 シャルバがいきなり静かになったかと思うと、そのまま糸が切れたように地面に落ちて、飛び散った。

 

 落ちるだけならそのままだ。

 

 だけど、シャルバはまるでガラス細工を落とした時の様に粉々に飛び散った。

 

「「「「「「「は?」」」」」」」

 

 全員の言葉が重なる。

 

 呆気無さ過ぎる。

 

「あれ? 小猫ちゃんなんか布みたいなので前が見えませんよ?」

 

「見ない方が良いと思います。しばらくそのままでいた方が良いです」

 

 ナイスよ小猫!

 

 アーシアには刺激が強すぎる光景だ。

 

 人の形をしたモノが、バラバラで地面に転がっているなんて私達だって気分の良いものじゃない。

 

 

********************

 

 

 曹護 side

 

 

 パチンッ!

 

 指を鳴らすと同時に、技を発動させる。

 別に指を鳴らす必要なんか無いのだが、分かり易いスイッチの様な役目をしている。

 

「白金の闘気、『停止世界』」

 

 世界からはあらゆる音が消え、気配が消え、色が消える。

 

 己の感覚を肉体を極限まで強化して辿り着いた極地だ。

 

 刹那の世界で思考し、刹那の世界で行動する。

 

 完全に停止した時間の中を行動する奥義だ。

 

「この世界では死んだことすら理解できずに終わる。後悔の時間を与えたい所だが、同じ世界で生きていることすら許せないんでな。早々に死ね」

 

 ひたすらにシャルバを斬り続ける。

 

 粉微塵にするつもりで、とにかく斬り続ける。

 

 元々立っていた場所に立つと、おおよそ三十秒。

 

 さすがに、この光景はアルジェントには見せられないな。

 上着を脱ぐと頭にかぶせる。

 見えなきゃ、大丈夫だろ。

 

 そこで技を解除する。

 

 すぐに音も色も気配も動き出した。

 

 同時に、全身が一気に重く感じる様になり、思考も重くなる。

 白金の闘気の最大使用時間は約五分。

 たった一分使用しただけで、生命力の五分の一が持って行かれた。

 昔の車も真っ青な燃費の悪さだ。

 

 身体の重さを頭の隅に置く。

 疲労を感じ取らせたら危険だ。挑もうと考える事すらバカバカしくなる程に、強さを示す。

 コカビエルを倒した時から、決めていた。

 最強じゃダメだ。

 アンタッチャブル、触れてはいけないナニカ。

 それになる為には、疲労なんてものを読み取らせる訳にはいかないのだ。

 

 止まっていた時間が動き出した故に、重力に従ってシャルバが落ちていき、地面に落ちた瞬間に、まるでガラスが割れて広がる様に肉片と血が飛び散る。

 

 思った以上にひどい内容だ。

 慣れているとはいえ、気分が良い物じゃない。

 

「あれ? 小猫ちゃんなんか布みたいなので前が見えませんよ?」

 

「見ない方が良いと思います。しばらくそのままでいた方が良いです」

 

 ファインプレーだ小猫。

 

 それにしても、原理を教えていたとはいえ、『加速世界』に自力で到達した。

 アルジェントを助けるために、火事場の馬鹿力と言う奴で発動したのだろう。

 

 『疑似・加速世界』なんて言っていたが、立派な『加速世界』だ。

 

 初めて『加速世界』に入ったんだ。

 反動をモロに受けているだろう。

 

 まず、全身の筋肉と筋、空気抵抗で皮膚が火傷のようになるし、内臓が慣性の法則でシェイクされる。

 思考速度を高速化すると言う事は脳内の処理能力に負荷をかけると言う事。

 今の小猫は全身ボロボロの状態なはずだ。

 

 『共鳴双武打鉄』の効果で、俺の銀・金・白金の闘気が小猫に上乗せされている。

 

 今は銀色の闘気を使っているから、彼女は無限活性と無限強化状態。

 これで多少はマシになるだろう。

 

 身体の傷が癒えても、脳が受けたダメージや全身の疲労は時間がかかる。

 

 しばらくは安静にする必要がある。

 

 俺も五分の一の生命力が削られている状態、すぐに回復してベストの状態にしなくてはならない。

 

 しばらくは、オカ研の依頼も断った方が良さそうだ。

 

「す、すす……すいません!!」

 

 声を掛けられ振り向くと、ヴラディが立っていた。

 ひどく怯えているが、同時に決意にも満ちた目。

 

 なるほど、こいつの神器は時間操作系だったな。

 

「なんだ?」

 

「せせ……先輩、いい今じじ時間を止めましたか?」

 

 怯えつつも、しっかりとした目でこちらを見ている。

 ヴラディが、苦手でいるはずの俺に近づき、しっかりと俺を見据えて話しかけている。

 

 中々芯が強いじゃないか。

 

「そうか、お前の神器は時間停止ができるんだったな」

 

 停止した時間の中を動ける者は、同じく停止した時間の中を動く者を認識できる。

 

 時間停止に至る過程は違っても、それは変わらない。

 

「その通りだ。時間を止め、アイツを倒した」

 

 しっかりと答えてやる。

 俺の様に努力と鍛錬の末に辿り着いた力じゃない。

 神器と言う物を身に宿したが故の、強い力への戸惑いと忌避感か。

 

「後で、お話いいですか?」

 

「後日改めて……だな。きちんと答えてやるから、しばらく休め。お前ら全員、休養が必要だ」

 

 俺も含めて……な。

 

 

********************

 

 

 小猫 side

 

 

 指を鳴らした途端、シャルバ・ベルゼブブが地面に落ちて、水風船を落としたように四散した。

 

 気付けば、アーシア先輩には曹護先輩の上着がかぶせられていた。

 

 確かにあれは、アーシア先輩が見るには刺激が強すぎます。

 

 あの白金の闘気。

 先輩の生命力をごっそりと削っていた。

 

 オーフィスさんが一分と念を押したり、使用限界が五分だと言っていた理由が分かる。

 

 むしろ、五分も使っていられるわけがない。

 

 あれは、五分使い切った時点で、生命力をすべて使い切って死ぬ。

 そういう手合いの技です。

 

 仙術の中には気配や生命力を感覚で捉えることのできる技術がある。

 

 海原先輩は人並み外れた生命力を持っていますが、それがすごい勢いで小さくなるのを感じた。

 

 そして、あの指を鳴らした瞬間。

 一気に生命力が減った。

 

 加速世界の辿り着く先。

 

 これは私の予想ですが、時間停止こそが加速世界の究極。

 

 そしてそれは、白金の闘気で形になった。

 

 そして、オーフィスさんに握らせられたこの刀。

 打鉄なのでしょうけど、先輩の手には打鉄がある。

 しかも、この打鉄から私には心地よい力が流れ込んで、全身を癒してくれている。

 

「それ、ソーゴの神器。禁手化してる」

 

 これが、曹護先輩の打鉄の禁手化。

 

 能力はエネルギー系の共有でしょうか?

 

「あの、オーフィスさん?」

 

「なに?」

 

「どうして、膝枕をして頭を撫でているんですか?」

 

「だめ?」

 

 無表情で首を傾げる姿。

 いけません、可愛すぎです。

 

「いえ、構いませんけど……。重くないですか?」

 

「大丈夫、小猫いっぱいがんばった。がんばったら、ご褒美。ソーゴ言ってた」

 

 ってことは、オーフィスさんはご褒美で曹護先輩に膝枕をしてもらって居ると言う事ですか。

 ちょっと羨ましいですね。

 

「ソーゴもいっぱいがんばった。我、ソーゴへのご褒美あげたい。これでいいと思う?」

 

「……そうですね。私も一緒に考えても良いですか?」

 

「うん、小猫頼りになる」

 

 オーフィスさんからの信頼度がおかしいですが、ちょっと曹護さんへ甘えてもいいでしょうか?

 一緒に、三人で……。

 




 さて、いよいよハイスクールDHもロキ編が終わったら終了となります。

 次回作は、随分前に活動報告でのアンケートで決定した『東方キャラ一人とのイチャイチャ』を主目的とした作品になる予定です。

 あらかじめ、言っておきますが……というか、アンケートの時点でも言ってますが、世界線の違う幻想郷です。
 ゆっくりも出ませんし、参護さんも住んでません。

 と言う訳で、次回は日常回。
 たぶんオーフィスと小猫がイチャイチャする話が書けたらいいなぁって感じです。

 焚きつけ役もいますし、焚きつけ役を絡めても面白そうです。
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