ハイスクールD×H ~龍と人間と世界の流れ~ 【本編完結】   作:みずしろオルカ

2 / 31
 二話目投稿です。

 二日連続投稿ですが、これが基準じゃないですからね?

 単純に休みで一日掛けで書いた結果ですし。

 あ、明日は会社泊まりなので更新はありません。

 それでは、日常回どうぞ。


第2話 無限龍は甘え上手?

 帰ったら、オーフィスの奴が拗ねていた。

 

 分かり易く拗ねるなら対処できるんだが、オーフィスの場合は俺の肩に乗って、ずっと黙ったまま離れない。

 

「悪かったって」

 

 謝ってみたが、だめだった。

 

 無表情でただ、ギュっと俺に捕まって離れない。

 

「確実に立ち上がれない様にする必要があったんだ」

 

「……」

 

 無言だと本当に困る。

 

「ソーゴは、怪我をしてない?」

 

「ああ、あの程度なら銀色で十分だった」

 

 むしろ、余裕があったぐらいだったし。

 

 現魔王クラスや堕天使の幹部、四大天使などのレベルだと金色使っても不安だったが、あの堕天使は弱い部類だったのか?

 

「ん」

 

 横長のソファーを指差される。

 いつものやつだろう。

 

 そこに仰向けに横になると、オーフィスが身体の上に乗り、そのまま心臓の付近に耳を当てる。

 ずり落ちない様に、片手を彼女の腰の辺りに置いて支える。

 

「トクントクン……」

 

「そりゃ、生きてるからな」

 

 こうして、スキンシップをするようになって、彼女が一番好むのは俺の心音を聞くことだった。

 

 音を聞いている時、オーフィスはホッとしたような表情を見せてくれる。

 

「静寂の中でこの音を聞いていたい」

 

 聞こえ様によっては、バカップルみたいなやり取りだが、それだけ彼女が様々なことを知らず、興味を持たずにいた結果だろう。

 

 時折、反対の耳からも聞こうと身体をよじる以外、ほとんど動かない。

 

 俺も黙ってそれに付き合うだけだ。

 

 そして、一時間ほど経つと満足したのか、顔を上げる。

 

「ソーゴ、お話」

 

「ん、そうだな。今日は弟の話をしようか?」

 

 そうして、俺はそのまま色々な自分の話や、学校の話。

 人間が作り出したシステムや、娯楽の話などをオーフィスに聞かせる。

 

「ソーゴの弟?」

 

「ああ、今は知らない所にいるが、俺の知る限り、強さ・人格・技術、どれをとっても一級品の自慢の弟だ」

 

 ちょっと、自慢話が入っても良いよな?

 

 

********************

 

 

 世界。

 

 序列。

 

 自分以外の何か。

 

 赤龍神帝を倒し、次元の狭間で真の静寂を得る。

 

 それを目的に禍の団の首領の座に付いたが、目の前の男ソーゴと出会い、我は求めるモノを知った。

 

 否、求めるコトを知った。

 

「飽きねぇな? 心臓の音」

 

 トクントクンと規則的に鳴る音。

 命がある証の音。

 

 飽きる訳がない。

 

 こんなにも我に響く、我に沁みる音を我は知らない。

 

 初めて我から求めたモノ。

 

 初めて我がずっと一緒に居たいと思ったモノ。

 

「飽きない。これから何を知っても、これだけは飽きない」

 

 無意味と思っていたことが面白く、無駄だと思っていたものが楽しい。

 

 それを教えてくれた人間の命の音。

 

 こうしていると、ソーゴの温かさも感じる。

 

「……そうかい」

 

 そう言ったソーゴ。

 我を支えている腕の力が少しだけ強くなった。

 

 こうして腕の中にいるのも悪くない。

 

 でも、ソーゴは人間。

 人間と思えないぐらい強いけど、人間。

 

 100年も生きられるかわからない。

 

 ソーゴが居ないと、また前の我に戻る?

 想像が出来ない。

 

「……なんて顔してるんだよ。おやつでも食べるか? 駅前の限定品が手に入ったんだ」

 

 ソーゴはいつも、我の表情を読んでこうして気を使ってくれる。

 

 やっぱり、ソーゴは長く生きてほしい。

 

 

********************

 

 

 駅前にある甘味処。

 

 『スイーツ☆きんぐだむ』で、二個一セット限定五十食で売られている『ゴールデン・シュークリーム』。

 

 一個がこぶし程の大きさで、カスタードクリームと生クリームの二重構造。

 中央には季節のフルーツが入っており、今は苺らしい。

 

 これを手に入れるには休日に朝から並ぶ必要がある。

 

 開店が十時で売り切れるのが大体十時半頃。

 

 一人一セットのみの販売で、行列は三時間待ちが平均だ。

 

 なぜ詳しいのかって?

 

 オーフィスに食べさせてあげたいから調べたに決まっているだろう。

 

「おいしい」

 

 甘い物なら基本的に何でもおいしいと言って食べてくれるのだが、美味しいモノの時はわずかにだがオーフィスの表情が綻ぶのだ。

 

 きっかけは、俺が勉強中に摘まんでいたチョコレート。

 

 皿に盛っていたのを、思い付きで食べさせたら、表情に華が咲いたのかと思った。

 

 あの笑顔をもう一度見たいから、こうして色々な所でおいしい甘味情報を集めている。

 

 先日の堕天使の一件で、あの場所にいた白猫娘を良く見かけるから彼女も甘味巡りが趣味なのだろうか?

 

 今日はすごい顔して睨まれたし。

 

「そうか、次は和系の甘味を買ってくるか?」

 

「我、興味がある」

 

 そうだ。

 

 こんな時間がオーフィスには足りない。

 

 最強だろうと、無限の龍だろうと、心が育っていなければ感情など持ちようがない。

 

 オーフィス。

 

 俺が日常を送ろう。

 その中で、君には幸せになって欲しい。

 

 

********************

 

 

 堕天使コカビエル。

 

 あの堕天使の幹部を、まるで町のチンピラを倒すような手軽さでボコボコにしていた先輩。

 

 部長のクラスメイトらしいけど、駒王学園では先輩は有名人だ。

 

 部長と朱乃さんが『駒王学園の二大お姉さま』と呼ばれているのに対して、あの海原さんと言う人は『駒王学園の頼れるアニキ』と呼ばれていたはずだ。

 

 いわゆる相談相手なのだそうだ。

 

 言葉が少なくて誤解されるようだが、私のクラスメイトも何人か相談に行っている。

 

 そういう意味で、私は彼の事を少しだけ知っていた。

 

 部長に比べれば全然だろうけど、クラスメイトから聞いた彼の印象は本当に頼りになるお兄さんの様な印象だった。

 

 その彼が今……

 

「五十食限定『ゴールデン・シュークリーム』残り十個となりまーす!」

 

 駅前の『スイーツ☆きんぐだむ』で限定品の列に並んでいた。

 

 しかも、私は買えませんでした!

 

 先日のダメージで朝寝過ごしたのがいけなかったです!

 

 それにしても、見た目の割にスイーツ好きとは面白い一面です。

 

「おい」

 

 声をかけられました。

 

 あれ? 先日の戦い以外で接点なんて無かったと思いましたが……。

 

「グレモリーの所の白猫娘だろ? 買えなかったのか?」

 

 そういう彼の手には『ゴールデン・シュークリーム』の箱が!

 

「そうですが、売り切れたのなら仕方がありません。後日買いに来ます」

 

 仕方のない事です。

 寝坊してしまった私が悪いのですし、コカビエルのせいにしても良いですが、あれだけボコボコにされては哀れみの感情も湧くというものです。

 

「なら、一個やる。グレモリーによろしく言っておいてくれ」

 

 一個、別の箱に取り分けて渡された。

 あの戦い以前まで接点なんて無かったのに、何でこんなことを?

 

「先輩はロリコンですか?」

 

「ブッ!? ゲホゲホッ!」

 

 咽た。

 

 過剰反応されるとは、身の危険を感じますね。

 

「天下の往来で何を口走ってんだ。いらないならそう言え」

 

「いらないとは言ってないです」

 

 まさか、限定品を分けてくれるとは思いませんでした。

 

 このお店の生クリームもカスタードクリームもおいしいし、シュークリームの皮もパリッとしてこの辺りだと一番のデザートだと思います。

 

「ならもういいな? それじゃあな」

 

 おっと、いけません。

 

 せっかく向こうから来てくれたのですから、情報収集は部長の戦車としてやっておくべきでしょう。

 

「待ってください」

 

「ぐぬ!?」

 

 おや? 裾を掴んだら変な声が?

 

「白猫娘、ワザとやってないだろうな」

 

「色々聞きたいので、ファミレスに入りましょう」

 

 こっちのペースで話を進めましょう。

 

 幸い、好意的な反応をしていますし。

 

「おいこら、裾を掴むんじゃねぇ!」

 

「離したら逃げそうですから」

 

「服が伸びるんだよ、勿体無いだろうが!」

 

 意外と庶民的ですね。

 

 

********************

 

 

「色々聞かれたが、もういいか?」

 

「いえ、最後に私個人で聞きたいことがあります」

 

 これは聞いておきたいことだ。

 

 私の力とも関係する部分だし。

 

「波紋の呼吸を使ってましたね? あれは仙術の奥義のはずですが……」

 

「うちの家系は、元々魔術師の家系だが、それ以上に波紋使いの家系だ。親父も俺も兄弟達も使える」

 

 驚いた。

 

 姉様が暴走した力の一端を使いこなす人間なんて……。

 

「それに、俺が使うのは仙術じゃなく、仙道だ」

 

「ちがうのですか?」

 

「単純に方向性の話だ。攻撃に向いているか、守りに向いているかの話。仙道は防御や回復に主眼が置かれている」

 

 なるほど、攻撃的な力よりも暴走の危険が少ないと言う事か。

 

 もし、私も使えるなら、部長の役に立てるのだろうか?

 

「ただ、波紋の修行は厳しいし、時間がかかる。習いたいと言うなら断るが?」

 

「だめですか?」

 

 読まれていた。

 さすがに単純すぎましたか。

 

「ダメだ。俺にはやるべきことがある。誰かを鍛えている余裕はないんだ」

 

「……わかりました。色々とお答えいただきありがとうございました」

 

「いや、突っ込んで欲しくない所までは踏み込まないからな。用があればいつでも言え、できることはしよう」

 

 波紋の修行は残念でしたが、思った以上に好印象を持ってくれたようです。

 

 堕天使の一件では敵ではないようですし、良い印象を持っていただくことは悪い事ではないでしょう。

 それに、ぶっきら棒な態度でしたが、優しい心根の持ち主のようですし、個人的にデザートの情報共有もしたいですね。

 

 帰り際に、「やば、また拗ねられる」と呟いてましたが、彼女さんでしょうか?

 




 オーフィスも小猫も好きなんですよねぇ。

 可愛く書けてればいいのですが……。

 修行の話が出ていましたが、そのままジョジョ第二部の修行編を思い出していただければいいと思います。

 兄弟で乗り越えましたが、本人もトラウマのようです。

 参護さんは精密コントロールでシーザータイプ。

 曹護は膨大な出力でジョナサンタイプです。

 まだまだオーフィスは可愛いはずなのに!
 俺のスキル不足が恨めしい!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。