ハイスクールD×H ~龍と人間と世界の流れ~ 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 お待たせしました。

 21話でございます。

 最近、三国志13と仮面ライダードライブを見だしまして、かなり遅れました。

 今回は視点が二つしかありませんが、ボリュームはいつも通りかと思います。

 日常、もっと続けたいなぁ。


第21話 その一歩は何よりも

 

 小猫 side

 

 

 最近は冥界へ行っていたからか、曹護先輩の家でお菓子を食べながら、まったりとするのも久しぶりに感じます。

 

 曹護先輩のお父さんは、色々と意味深なことを喋りまくって、そのままロンドンへ旅立ったそうです。

 

 先輩曰く、「意味はあるんだろうが、ノリは愉快犯だから気にするな」という言葉を頂いた。

 

 お父さんですよね?

 

「尊敬はしているが、それ以上に苦労させられているからな。オーフィスに出会ったきっかけは、親父に連れられて行った海外の小さな町だったしな」

 

 そう言えば、そんなことを言ってましたね。

 オーフィスさんは……。

 

「なつかしい。ソーゴ、その頃弱かった」

 

「覚えてたのか?」

 

「我を護るって言った人間はソーゴが初めて」

 

 でしょうね。

 

 人間にとって、悪魔も天使も堕天使も強力な存在だし、ドラゴンなんて頼る存在として認識されている。

 そんな中、護ると宣言した幼少の頃の曹護先輩。

 

「護れるぐらい強くなれたのかね?」

 

「それ以上どうなるつもりですか……」

 

 とんでもない事を考えていました。

 

 これ以上強くなられたら、私達としても対応に困ってしまいます。

 

「そういえば、小猫。お前を連れ戻そうとしていた、黒猫娘。あれから接触はあるか?」

 

 黒猫娘……。

 黒歌姉様の事ですね。あれから、私の前には姿を現していない。

 ただ、姉様の気配や匂いは感じることがあるから、見張られているのか、すれ違っているのか。

 

「会ってはいませんが、気配や匂いをたまに感じますね」

 

 監視しているのか、禍の団の仕事で来ているのかは分かりませんが、姉様が無事でいると言う事実には少しだけ、安心です。

 

 向こうで無茶をさせられてないか、心配でしたし。

 

 ピンポーン!

 

「たぶん、私しか鳴らしたことの無いだろうチャイムが鳴りましたね」

 

「最近、思う事でもあるのか? 妙に辛辣だぞ?」

 

 いえいえ、曹護先輩と一緒に居ると気を使わないで済むようになっただけです。

 

 なんというか、心地良いんですよねこの場所。

 

「ソーゴ、ピンポン鳴ってる」

 

 オーフィスさんの言葉で、曹護先輩は玄関に来客の対応に行きました。

 私とオーフィスさんは、居間でストローでジュースを飲みながら、まったりとオセロに興じています。

 

 オーフィスさんって、やればやる程に強くなっていますから油断できません。

 

『テメェは何を言ってんだぁぁぁぁ!?』

 

「「!?」」

 

 曹護先輩の声。

 

 声を荒げていますが、なんと言うかツッコミの様な声色。

 

 イッセー先輩でも来ましたかね?

 

「小猫。ソーゴの所へ行く」

 

「はい、オーフィスさん」

 

 なんか嫌な予感が……。

 

 

*******************

 

 

 曹護 side

 

 

「ったく、小猫の奴。リラックスしてんのは分かるが、もう少し手加減してほしいぜ」

 

 最近、随分とリラックスして来たのか、小猫の毒舌が磨かれている気がする。

 

 まぁ、仲が良いが故の戯れなのだろうが、最初の頃の敬語を使っていた彼女を懐かしく思うのも仕方ねえのかもな。

 

 玄関に向かっている間も、チャイムは一定の間隔で鳴っている。

 

 急いでいる様子も無く、事務的にしては少しだけ鳴らす感覚が狭い気がする。

 

 色々考えるのも良いが、さすがに待たせっぱなしも良くない。

 

 小走りに玄関に向かうと、そのまま玄関のドアを開ける。

 

「はいはい、どちら様……」

 

「にゃん♪」

 

 バタンッ

 

 別に受け狙いとかそんなんじゃない。

 ドアを開けた瞬間、両手を顔の近くで猫の手にした黒猫娘が立っていた。その上、あの着物を独特に着崩しているファッションだ。

 そりゃ閉めるだろう。

 

 今の時刻、お昼前。

 

 ご近所様にあらぬ誤解を与えそうだ。

 

 ……仕方ない。

 

 再び、ドアを開けて目の前の人物に対峙する。

 

「よぉ、黒猫娘。良くここが分かったな?」

 

「にゃはは、白音の匂いを辿ったらすぐだったにゃん。あ、大丈夫。別に襲撃に来たとかじゃないから」

 

「だろうな。わざわざチャイム鳴らしてまで訪ねて来たんだ。襲撃ならもっと上手くやるわな」

 

 別の意味で攻撃を受けている気がするが……。

 近所の人たちにどう説明したものか。ただでさえ、オーフィスと小猫を連れて歩いている姿を頻繁に見られているんだ、俺の近所での評価は下の方だと覚悟している。

 

「で? 何の用だ?」

 

 禍の団への勧誘か?

 いや、そもそもオーフィスを連れ出した事が明らかな敵対行為だ。それを許容できる奴が禍の団にいる訳もない。いたとしても少数だろう。

 

 罠を仕掛けて、俺の注意を引くための囮?

 いや、銀色の闘気を纏っていると周囲のこの部屋周辺の敵意や悪意、存在すらも感知できる。

 それによれば、この辺りの異物は目の前の黒猫娘だけ。

 

 小猫関連で話し合い?

 その可能性が高いが、今まで小猫を見守ると言う形を取り、先日拉致に近いお迎えをして返り討ちにあったんだ、俺のいない時を狙うのが常套だろう。

 

「せっかちだにゃ。じゃあ、単刀直入に……ねえ竜騎士、私と子作りしにゃい?」

 

「何を言ってやがる?」

 

 いきなりおかしなことを言ってくる。

 以前、トラウマになる程の事をした自覚があるんだが、嫌われないで子作りを頼まれるなんてどんな状況だよ?

 

 黒猫娘は、いきなり俺の胸に顔を近づけて、クンクンと匂いを嗅いできた。

 

「溢れるほどの雄のフェロモン。それなのに……初物なのかにゃ?」

 

「テメェは何を言ってんだぁぁぁぁ!?」

 

 しかも玄関先だぞ。

 

 こいつ、俺の世間体を殺しに来てるのか!?

 

「ホントは、ドラゴンの子供が欲しかったんだけど、人間なのにあれほどの強さを誇る竜騎士の遺伝子……私達の種族は強い個体から遺伝子を貰って子供を産むにゃ。妖怪の身体で竜騎士の実力が発揮されれば、世界征服も夢じゃ無いにゃ?」

 

「白龍皇や赤龍帝が居るだろうが、あっちなんて二天龍だぞ?」

 

「にゃはは、竜騎士は謙遜が過ぎるにゃ。堕天使幹部コカビエル、禍の団幹部カテレア・レヴィアタン、同じくシャルバ・ベルゼブブ。この三人を一瞬で倒しておいて、強くないとは言わせにゃいにゃ?」

 

「ああくそ! とりあえず、玄関に入ってドア閉めやがれ! 近所の評判が悪くなる!」

 

 手遅れかもしれんが、これ以上はヤバい。

 

 考えても見ろ、着物を着崩した若い女性がドアの前で子作りしない? だぞ!

 テメェ、主婦の情報伝達力馬鹿に出来ねえんだぞ!?

 

 俺の主な買い物場所は商店街だから、めんどくさい事になる可能性が高いんだよ。

 

「先輩! やっぱり、姉様!」

 

「黒歌、久しい」

 

 俺の叫びを聞いて、オーフィスと小猫が玄関まで出てきた。

 

 小猫は流石に黒猫娘の気配を感じ取れるようだな。

 

 オーフィスは、面識があるようだ。

 禍の団に居た頃に面識があるのだろうな。

 

「あらあらん? お楽しみだったかにゃん?」

 

「団欒の時間だったんだがな?」

 

 こいつは、ワザとシモに結びつきそうな言い回しで会話のイニシアチブを握ろうとしているのだろう。

 半分ぐらいこいつの性格もあるのだろうが……。

 そもそも、シモに持っていく必要もない。

 その方面が、得意なのかね?

 

「姉様! また私を!?」

 

「ざんね~ん。今日は白音を連れ帰りに来たわけじゃないにゃ。そこの龍騎士君に頼みごとを……」

 

「断る」

 

「はや!? もうちょっと話を聞いてくれてもいいじゃにゃい!」

 

 ふざけるな。

 お前、子作りとか学生に何を言ってやがるんだ。

 

「小猫、子作りって黒歌言ってた。それ……どういう意味?」

 

「うにゃ!?」

 

 あ、オーフィスが爆弾落とした。

 

 そっか、ドラゴンの聴力か?

 いやまて、小猫も元妖怪の悪魔のはずだが……。

 

「ありゃ、白音の耳に入れない様に音の波長に気を付けたのににゃ?」

 

 ああ、空間魔法が使えるらしいから、その応用か?

 

 しかし、妹のためとはいえ、こいつがそれほど過保護にも思えないが……。

 

「……白音はね? そろそろ、猫特有の発情期に入るかもしれにゃいの。ただ、今の白音じゃ子を宿せば母子共に耐えられにゃい」

 

 疑問に思っていると、表情に出ていたのか黒猫娘が俺にだけ聞こえる様に耳打ちをしてきた。

 

 人間は常時発情期であると言われている。

 では、発情期に波のある種族が性に淡泊かと言えば、そうではない。

 

 種を残す事がどれほど野生の生き物にとって大事なことかは、容易に想像できる。

 

 種を保存する上で、人間は常時発情期と言う形を取った。

 では、波のある種族は?

 

 その時期に確実に子を得る為に、人間よりも抗いがたい欲求が生まれる事は想像に難くない。

 

「だから、今の白音にはそっちの情報は控えておきたかったのに……にゃあ?」

 

「詰めが甘ぇよ。俺が居るならオーフィスが居るのも予想できただろ?」

 

「そうなんだけどねん。私の知ってるオーフィスってここまで物事に興味を示さなかったから、おねーさん予想外にゃん」

 

 そうか、オーフィスは徐々に人間や俺と触れて行く中で、無限の龍神の存在が変質していると言う話を聞いたことがある。

 

 黒猫娘といた頃は、まだ物事に無関心な頃だったのだろう。

 

「ソーゴ初物? 黒歌はソーゴとの子供欲しい?」

 

「いや、え? でも……う~……にゃ!!」

 

 唸っていた小猫がいきなり、俺と黒猫娘の間に入る。

 そして、両手を広げて護ろうとしているかのような恰好となった。

 

「姉様に、曹護先輩の……ゴニョゴニョ……は、渡しません!」

 

「ありゃりゃ、ブレーキかけに来たのにアクセル入れちゃったみたいだにゃ」

 

 こいつの空回り振りは、妹限定で発動するのか?

 

 元々、こいつが元の主を殺した経歴だって怪しいものだ。

 

 悪魔としての能力が破格的なこいつが力に呑まれると言う部分は、納得できる部分だが、そこで妹を置いて逃げた……という部分が引っ掛かる。

 

 こうして話しているこいつは、力に呑まれているようには見えない。

 

 使いこなして落ち着いた?

 

 こいつが禍の団に所属して長い事は予想できる。

 オーフィスと過ごすようになったのが高校一年の時。

 

 オーフィスがその頃から黒猫娘と知り合いだったとして、これほど気に掛ける小猫を見守り続けたのはなぜか?

 力に呑まれたのなら、自身の力を万能と信じるものだ。

 なら、妹を置いて行方を暗ました理由が説明できない。

 

 真相は分からないが、悪魔側の情報だけで判断する事じゃないって事だけは理解できた。

 

「上がって行け。丁度、メロンパンが焼ける頃合いだ。食っていけ、そして感想を聞かせろ」

 

 黒猫娘は、おそらく小猫を大事にし過ぎて空回りしている。

 小猫は、過去の黒猫娘の力の暴走というトラウマ、唯一の肉親から裏切られたというトラウマから黒猫娘に対して壁がある。

 

 すぐには無理だが、山頂の雪を融かすように時間をかけて、その壁を融かしてやればいい。

 本人達次第だが、ほんの少しだけ場所を貸すぐらいなら、俺にだってできる。

 

 参護にしてしまった様な失敗はもうしない。

 そう誓ったんだ。

 

「あらら? 禍の団のおねーさんを招き入れてもいいのかにゃ?」

 

「そうです先輩! もし、三勢力にいらぬ誤解を与えたら……!」

 

 まあ、そう思うわな。

 だが、向かい合って膝突き合わせて、少しでいいから会話をするべきなのだ。

 

「可愛い後輩の姉が訪ねて来た。それで通すだけだ」

 

 無理があるが、通す。

 

 静かな生活には合わない選択だが、俺もオーフィスも小猫が悲しい顔をしているのは見たくない。

 心から、小猫が笑えるように、俺もオーフィスも頑張るだけだ。

 

「無理があります! 姉様はSS級の……!」

 

「黒歌、小猫。我、子作りと初物の意味を知りたい」

 

「「うにゃ!?」」

 

 タイミングを計ったかのように、教え辛い内容の質問を二人に飛ばすオーフィス。

 

 本当にいいタイミングだったが、聞いている内容が良くねえ!

 

 適当に誤魔化してくれよ!




 曹護さんの思考ターン。

 脳筋とか言われましたが、身内に対してはそれなりに回転はあります。

 参護と過ごしてた頃が脳筋で、それを反省して考える様にしている感じですね。

 ちなみに、頭は参護さんの方がずっと良いです。

 日記形式だと分かり辛いですが、頭を使って戦うスタイルが合うタイプですね。

 曹護はなまじ強いだけに、レベルを上げて物理で殴れ、が通る故に、戦闘では相変わらず脳筋です。
 私生活では大切な物を護る為に考えられる人間です。
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