ハイスクールD×H ~龍と人間と世界の流れ~ 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 どうも、最近梅干しにハマっているオルカです。

 カツオ梅がお気に入り。

 さて、参護さんのチート回です。

 皆さんのイメージ通りになっているかは不安ですが、彼の成長の一端をご覧ください。


第25話 海原参護

 小猫 side

 

 

 曹護先輩とフェンリル達の間を縫うようにして虹色の魔力の柱が突き刺さった。

 

 まるで、フェンリル達から私達を護ってくれているような、そんなタイミングです。

 

「なんだ? 龍神様からの頼まれ事で来てみれば……」

 

 声の方向に目を向けると、袴に銀色の棒を持った男性が飛んでいた。

 

 よく見ると棒の先端からわずかに魔力の残滓を感じる。

 あの、柱の様な魔力の攻撃は、あの棒から撃ち出されたもののようです。

 

「曹兄!? その姿……」

 

「参護……か? …ドジっちまった」

 

 参護。

 

 確か、曹護先輩の行方不明になっている弟君の名前でした。

 

 この人が、先輩の……。

 

「とりあえず……『治癒結界』!」

 

 参護さんの持っている杖で地面を軽く突くと、その場所を中心にして半球体のドームの様な結界が作られた。

 その名前の通り、私の疲労や先輩の傷が治癒されていくのを感じます。

 

 結界魔法ですか?

 どんな修練を積めば、詠唱やカードを使わないでこれほどの大規模な結界を張れるのでしょう。

 

「これで外部の干渉の遮断、それと怪我の治療が出来る」

 

 そう言うと、参護さんは曹護先輩の近くで座り込む。

 

 その横顔は、悲しそうな辛そうな、それでいて確実に怒りの感情が読み取れた。

 

「オーフィス様。初めまして、海原曹護の弟、海原参護と言います。龍神様を通して俺を呼んで下さったようで、こうして再び兄と再会できました」

 

「ソーゴが……ソーゴが……!」

 

 参護さんを見上げたオーフィスさんの眼には、初めて見た彼女の涙。

 

 その姿に怒りが湧きあがるのをグッとこらえ、治療に専念します。

 今、私が戦いに行っても足手まといだから。

 

「曹兄の腕と脚は?」

 

「フェンリルの子供の中です。私をかばって、オーフィスさんを利用されて……曹護先輩は!」

 

 嫌になる。

 弱くて、情けない。

 

 曹護先輩に修行をしてもらっても、彼の足を引っ張ってしまった。

 

「そうか。……曹兄、俺が考えてること、分かるよな?」

 

「……ああ。こっちは問題ねえよ」

 

 主語を含まない会話。

 

 それでも、私は予想がついてしまって……。

 

「曹護先輩、いいんですか?」

 

「元々、こだわってねえんだよ。オーフィス、頼めるか?」

 

「……我、準備する!」

 

 そう言うと、オーフィスさんは地面に何かを書き始めました。

 

 それは、初めて見る魔法陣。

 どんな用途かは、すぐに思い当りました。

 

 少しの悲しみと、わずかな期待。

 

 どうか、この選択が曹護先輩にとっていい形になりますように……。

 

 悪魔ですが、祈らずにはいられませんでした。

 

 

*********************

 

 

 一誠 side

 

 

 突然現れて、巨大な魔力の柱を出してきた男は、海原先輩とオーフィスさんと小猫ちゃんを巻き込んで結界を張った。

 

 朱乃さんも驚いていた。

 驚く程強固で強力な結界だと言っていた。

 

 しばらくすると、その結界からあの男だけが出てきた。

 

「初めまして、皆様。海原曹護の弟、海原参護です。この戦い、(ゆえ)有って介入させてもらう!」

 

 こちらに一礼すると、すぐにロキの方に振り返った。

 

 少し距離があるし、会ったことの無い人間だ。

 でも良く分かる。

 

 あの人は、相当怒っている。

 

「流石は悪神の名を持つ神様だ。本当なら今すぐ俺がぶん殴りたいけど、それは曹兄に取って置かないとね」

 

 その視線は、二匹の神喰狼(フェンリル)へ向いていた。

 スコルとハティ。

 

 海原先輩の腕と足を噛み千切った二匹に彼は照準を合わせていた。

 

「曹兄の手足を喰い千切りやがった駄犬で我慢しておく!」

 

 構えたのは銀色の棒。

 百二十センチぐらいか?

 

 ああして素手で握っているのに、まるでワックス塗りたての様に輝いて見える。

 

「ハッ! 笑わせるな下等生物。あの男よりも弱い力で何ができる?」

 

 ロキの言うとおり、海原先輩に比べて彼の力は弱い。

 だけど、なぜか一撃を当てるイメージが浮かばない。

 

「曹兄が恐くて子供や孫の後ろに隠れてる駄神が、一人前の口を叩くね? 俺の知っている二柱とは雲泥の差だ。本当に同じ神様か?」

 

「我を愚弄するか下等生物! スコル、ハティ! そいつの兄と同じ目に遭わせてやれ!」

 

 ロキの声に弾かれる様に、二匹同時に飛びかかっていく。

 

 彼も銀色の闘気を纏っているようだが、神をも殺す牙を二匹同時に相手をする。

 

 一匹ですら、俺達は苦戦した。

 

 そして、海原先輩がやられてしまった。

 

 それほどに強力で、畏怖の象徴。

 

 一撃で片方を、二撃目でもう片方を物凄い勢いで吹き飛ばした。

 あの杖に触れた瞬間に、爆発で吹き飛んだみたいに。

 

「すげぇ! あの二匹をぶっ飛ばすなんて!!」

 

「いいえ、あれは力によるものではありませんわ」

 

 二匹の吹き飛び様に思わず叫んだ俺に、朱乃さんが冷静に告げた。

 

 力じゃない?

 

「じゃあなんだっていうんです?」

 

「衝撃だけを増幅させて吹き飛ばしてますわ。おそらく、あの杖に術式を編み込んでいるのでしょう」

 

「なんでそんなことを? 威力を上げる魔法とかあればそっちが良いじゃないですか」

 

「あの杖はそれだけじゃありません。今使われたから分かりましたが、あの杖は聖剣や魔剣の類に近いですわ」

 

「え?」

 

 聖剣や魔剣って、デュランダルや木場の魔剣創造で作られる剣?

 

 杖だから聖杖?

 

 待て待て、じゃあなにか? あの男はゼノヴィアみたいに聖剣を使う因子を持っていて、デュランダルに選ばれたみたいに、あの杖に選ばれたのか?

 

「私も知っているのはケリュケイオンの杖だけですが、あれは医療や平和を表していたはず。あの様に武具として扱われる杖は、私の知識にはありませんわ」

 

 だとすると、マイナーな神話系統かな?

 

 でも、それにしては発せられている力が強い気がする。

 

「あれは、歴史には残っていません」

 

「会長!?」

 

「あれは、彼が使い続け、魔法や波紋で強化し続けた結果だと思われます。彼も波紋使いなら、前代未聞ですが可能性はあるかと……」

 

 あの生徒会長の見立てだ。

 

 イメージとして情報を集めて戦うタイプだと思うし、部長と同じように期待されている若手の一人だ。

 

 そして、眷属に匙が居る。

 

 あいつは、海原先輩から波紋の基礎を叩き込まれたらしい。

 なら、会長は俺や朱乃さん以上に波紋に詳しいだろう。

 

「人間が聖なる武器を作り出すのですか!?」

 

「波紋とは仙道の奥義。仙人の住む場所を仙界と言い、清浄な空気と肥沃な土地であると言われています。それが波紋の効果で得られる物であるなら、個人が常に使用し続けた武器は聖なる武器になっても不思議じゃない」

 

 会長も何か心当たりがあるのだろうか?

 

 だけど、このままじゃあの人も危ない。

 

 たった一人で、フェンリルの息子とヨルムンガルドのクローンと戦っているのだ。

 

「曹兄に成長を見てもらういい機会だからね。出し惜しみは無しで、行くよ。『雅符 春の京人形』」

 

 そう言った途端、彼の周りに魔法陣がいくつも現れ、何かをこちらに取り寄せていた。

 

 転送が終わり、その場にあったのは、人形。

 

 和の雰囲気を持った人形。

 それが複数召喚されると、彼は片手を振り上げる。

 

 すると、座っているだけだったり、頭を下げているだけの人形が急に動き出し、魔力の弾を次々にクローンの群れに放っていく。

 円陣を組みながら、雨あられのように周囲に魔力弾を放つ姿はとても美しく見える。

 

「この娘達は借り物だから汚したりすると怒られるんだよね。だから、そろそろ次のカードだ」

 

 人形たちを召喚した時の様に魔法陣を通して別の空間に送る。

 

 この時点でも、すでにクローン達の多くは被弾して倒されている。

 

 これ以上に何か撃つのだろうか?

 

「『金符 シルバードラゴン』」

 

 彼を中心に放射線状に銀色の大きい魔力弾が放たれ、一時停止したと思うと、すごいスピードで相手に飛んで行く。

 

 その量は一瞬唖然としちまった。

 

 弾幕。

 

 さっきの人形を使った技もそうだけど、魔力弾を避けにくい形に放って何体ものクローンを倒している姿は、戦い方も使う技の種類も違うのに、海原先輩に似ていて……。

 

「ええい、下等生物風情が過ぎた力を! スコル、ハティ! いつまで寝ている!? とっととあの男をかみ殺せ!!」

 

 ロキが声を掛けると、再び二匹が立ち上がり、男に牙をむいてくる。

 

 あんな、他力本願な男に使役されることほど、やるせない事も無いだろうな。

 

 そんな俺の考えなんかよりも、自身の神喰狼としての矜持なのか、それとも強者の意地なのか?

 

 比較的彼の近くにいた片方が男に襲いかかった。

 

 それを確認した彼は銀色から金色の闘気に切り替え、杖を構えた。

 

「可愛そうに思わないでもないけど、俺も怒ってんだ。ぶっ飛べ!!」

 

 襲いかかってきた狼に対して、野球でバットを振る様に杖を振り抜いた。

 

 弾き飛ばしの術が相手を吹き飛ばして、狙ったのかそいつはロキの方向へ吹き飛んでいた。

 

「チッ、この程度の術を無効化できんとは……」

 

 飛んで行くフェンリルの子供に向かって手をかざそうとしたロキに、その血肉が降りかかった。

 

 俺から見たら、吹き飛んで行ったフェンリルの子供が、ロキに向かっている途中で、突然バラバラになったように見えた。

 

 当然、ロキにフェンリルの子供の血肉がモロにかかった形になる。

 

「金色の闘気・奥義『金糸・九字断破(きんし・くじだんぱ)』。糸の魔法こそ俺の得意所だ」

 

 そう言った、彼の周りには金色の糸が無数に漂っている。

 

 良く見れば、ロキと彼の間に格子状の金色の糸が張られていた。

 スコルの血肉で濡れていて分かり易くなっているが、あれは気付きにくい。

 

「たかが一匹倒したぐらいでどうなる! ハティ、兄弟の敵を討て!」

 

 声を掛けられたハティが、彼を睨むように立ち上がる。

 

 流石に兄弟を倒された怒りは凄まじいのか、全身に闘気を帯びている。

 

「曹兄が白金の闘気なら、俺なりの昇華した技を見せないと、越えられない」

 

 彼の後ろに金色の糸が次々と集まり、何かを形成していく。

 

 大きさはバラつきがあって、細かい部分まで精密に編み込まれている様に見えた。

 

「線が集まって固まれば『立体』になるッ! この概念! そこに意思が加われば最高の仲間たちの誕生だ」

 

 二本角の小さい女の子、一本角の素晴らしいオッパイの女性、フワッとした服装と傘を手にしているこちらも中々のおっぱいを持つ女性。

 

 蝙蝠の翼を生やした小さな女の子、宝石の様な羽を生やした女の子、チャイナ服を着た怪しからんオッパイを持った女性。

 

 メイド服を着てナイフを構える女性、ふわりとした服装をしたロングヘアの本を持った女性。

 

 ウサギの耳を付けた女子高生、弓を持った素晴らしいオッパイをしているナース。

 

 他にもたくさん居て、視認できただけでもこれほどいた。

 

 そして、すべてが金色の糸で編まれたものだと言う事に驚いた。

 

「金色の闘気・奥義『黄金・百鬼夜行(おうごん・ひゃっきやこう)』。まだ未完成だけどね」

 

 そこからは恐ろしい程の闘気が感じられる。

 

 作られた存在とは思えない闘気と意思がそこにはあった。

 

 なんか、一部は遊んでるし……。

 

 っていうか、あれってもしかして……?

 

「ここに居るのは、俺と戦って友となった者達から許しを得て自意識をコピペした存在だ。オリジナルに比べればまだまだだが、油断できる存在と思うなよ?」

 

 その言葉が合図だったのか、みんなが思い思いの方向へ飛んで行った。

 

 そして、蹂躙が始まった。

 

 メイドの人がわずかに残っていたクローンにナイフを刺し、ウサミミの女子高生が指から銃弾を放ち、ナース服の人が一撃で脳天を射抜いていた。

 

 蝙蝠羽と宝石羽をした二人は、巨大な剣と槍を駆使して次々とクローンを輪切りにしているし、チャイナ服を着た女性は空中に殴って打ち上げ、本を持ったフワッとした服の人が本からデカい魔力弾を放って倒してしまう。

 

 一番悲惨だったのは、ハティだ。

 

 二角の女の子と、一角の女性、傘を持った女性に囲まれていた。

 

 あの三人って、俺のアニメ・ゲームの知識が正しければ最強格の方々じゃなかったっけ?

 

「今、解放してやるからな」

 

 そして、無慈悲に男はハティを殺した。

 

 杖で心臓を突いて殺した。

 

 正直、悲しいと思ったが、敵対していたのだ。

 

 割り切らなければならないと分かっていても……。

 

「お前たちは俺の中で生き続ける」

 

 そう言うと、彼の隣に二つの金糸の塊が生まれ、徐々に形を成していく。

 

 そこに居たのは、まさしくさっき殺した相手。

 

 スコルとハティだった。

 

「こいつらの望みはお前からの独立だそうだ。俺の百鬼夜行に加わってでも逃げ出したかったみたいだな」

 

 この人はまさか、戦いながら対話していた?

 

 金色の糸を使って?

 

 ……海原先輩。

 

 貴方とは別次元の規格外な人です。

 

「この下等生物がぁぁぁ!! 我の駒を奪って、ただで済むと思うなよ! こうなれば……!」

 

「ああ、わり。もう時間切れだ」

 

 その言葉と同時に、海原先輩の居た結界が巨大な力の放流を放ちながら吹き飛んだ。

 

 そして、この戦場一帯に広がる恐ろしい程の闘気。

 

 波紋・気功・魔力・そして霊力と言うもの。

 

 それらの何を感じているのか、俺ももうわからないけど、規格外だと言う事だけは理解できた。

 

「せっかく背中見えたのに、また離されたな。いつか追い付けるようになってやるさ」

 

 ヤメテ!?

 

 こんな規格外、量産されてたまるか!!

 

 




 とてつもなく疲れました。

 参護さんの技考えるの。

 あの二つまで絞って、両方使う事にしました。

 一応、波紋使いの家系は『家庭教師ヒットマンREBORN!』で登場する『時雨蒼燕流』の様な、流派がそれぞれ奥義を生み出す形の形態です。

 次回は、曹護さんですが、無双するか、別の話にするかは未定。

 ではでは、また次回!
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