ハイスクールD×H ~龍と人間と世界の流れ~ 【本編完結】 作:みずしろオルカ
引っ越し準備と仕事の申し継ぎとで遅れました。
質問等々たくさん頂いていると言う嬉しい状況。
独自設定とかで書いていると設定内容を深く知りたいと言う事でしょうか?
独自の世界なので、質問をしてくれるとついつい裏やら未使用の設定を出しちゃいます。
いけませんね。
小猫 side
曹護先輩の生命力の爆発。
それは弟さんの展開した治癒結界を内側から吹き飛ばすほどのものでした。
その中心。
発生源に寄り添うようにいたのに、ダメージどころか全身の疲れが取れ、ダメージも回復していました。
純粋な生命力。
本来なら契約者のオーフィスさん以外は吹き飛ぶはずですが……。
先輩なら、その辺の調節もこなしてしまいそうですね。
爆発の様に周囲に吹き荒れていた生命力の奔流は、すべて白金の闘気に変換され、先輩の身体を包んでいる。
というか、私やオーフィスさんも両肩に乗っているのですが、まるでフカフカの毛布にでも包まれているような心地がします。
なんというか、曹護先輩の闘気が微妙に私に馴染むと言うか……。
一緒に居ると先輩の力が私の中に流れ込んでくるようで、波紋を覚えた時も、仙術を使った時も、ここまでの充足感は無かったように思えます。
白金の闘気を初めて見た時、あまりの荒々しさに驚いた記憶もありますが、今先輩が纏っている白金の闘気はまるで、私やオーフィスさんを包む優しい毛布の様です。
龍人。
見た目は今までの先輩となんら変わらない。
強いて言えば、右腕の火傷のような傷痕が無くなっているという事だけ。
以前話してくれた、先輩の誇りであり戒め。
目の前にいる弟さんが成長した証だと言っていましたが、弟さんもあれから相当成長をしたようで、私から見てもちょっと異様な程の強さを見せてくれた。
先輩とは違ったタイプの強さ。
圧倒的な物量と力で圧殺する曹護先輩と、繊細な技量と数多の戦術戦略を駆使して謀殺する弟さん。
ちなみに、私から見て先輩のお父さんは、ふざけた言動や行動で相手の行動をコントロールして罠にはめるタイプ。普段のふざけた言動と時折見せる真剣な表情は、まさに普段からそういうキャラでいる為。
本当に何なんですか、海原家という一族は……。
それぞれが方向性こそ違いますが、しっかりと誰かを護れる強さを持っている。
私も大好きな人達の居る世界を護りたい。
曹護先輩と一緒に居ることで、
護りたい。
そう感じるごとに、まるで先輩の力が私に流れてくるような気さえします。
「驚いた。小猫、波紋でソーゴと繋がった」
「……はい?」
どういう事でしょう?
私が先輩の生命力の爆発で吹き飛ばされることなく、逆に回復までしたことと何か関係がありそうですが。
「小猫は、俺とオーフィスとの契約時も俺の手足からの出血を抑えるために、ずっと波紋を流し込み続けていた。俺の全身に行き渡った小猫の波紋を俺の正常な状態と契約の術式が誤認したんだろうな。パスの様なものでオーフィスと俺と小猫、こういう形で繋がっている状態だ」
「どういう事ですか?」
「簡単に言えば、オーフィスの加護を受けている俺という存在の一部として術式が認識した」
「色々と突っ込みどころはありますが、効果というか私はどうなりますか?」
先輩の一部って……。
随分と大雑把な術式です。
「半悪魔半龍? いや、悪魔と龍のクォーターだな。元妖怪で悪魔で龍って扱いになるな。身体能力の向上とかいろいろあるが、端的に言えば強くなる」
大雑把すぎる説明ありがとうございます。
難しい考察で理解し切れなかった私も悪いですが、砕きすぎだと思います。
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曹護 side
小猫と戯れていると、突如俺に向けて火球が飛んできた。
特に問題無く、白金の闘気で壁を作り、防御する。
「調子に乗るなよ下等生物がトカゲになった程度で! 忘れたか! 私には龍喰者サマエルと言う駒があることを!!」
目の前に展開される召喚陣。
正直困った。
この身体は龍の因子を会得した状態。
龍喰者相手では、まともに戦えるのは参護ぐらいだろう。
オーフィスはもとより、俺や小猫も龍の因子を持っている。
神が封印する程の相手なら、参護一人では厳しいのではないだろうか?
「来い! 龍喰者サマエル!!! こいつらを食い殺してやれ!!」
巨大な魔法陣。
そこから、ズルッと這い出る様に何かが出て来て……。
ドチャッと音を立てて地面に落ちた。
それは大きいと言う訳では無く、粘着質な水音も聞こえてきた。
それは真っ赤で判別不可能ではあったが、肉塊だった。
「何でしょうか? あれ、何かの死骸?」
困惑している小猫。
俺の探知にも、小猫の探知にも引っかからないなら、あれは死んでいるので間違いないだろう。
「なんだこれは!? ハーデスめ! 我を謀りおったか!?」
ロキはロキで発狂しそうな程に声を荒げているし、何があったんだ?
その時だ。
突然戦場に音楽が鳴り始めた。
某大作RPGの勝利時の音楽。
それがエンドレスで流れている。
状況が状況なだけに間抜けだ。
だが、逆にそれが不気味で奇妙な恐怖を煽っている。
こんな間の抜けたタイミングで間の抜けた曲を流すのはあの人しかいない。
いつも俺の携帯の着信音を勝手に変えやがって……。
「……曹護だ」
『いやぁ、おひさ! お父さんだよ~!』
予想通りの声だった。
だが、後ろが騒がしい。
爆発音やら、金属がぶつかるような音、挙句の果てに怒号までマイクが拾っている。
「何があった?」
もしトラブルなら、俺らは助けに行くことができない。
つか、魔力弾の雨でも降ってそうな音だ。
『いやぁ、ちょっと冥府に喧嘩を売ってきた帰りなんだけど、死神がすげぇ追いかけてくるわ』
「当然だ馬鹿!?」
『ああ、そっちに参護いるだろ? ちょっと代わってくれ』
何で参護が居るって知っているのか? とか、冥府にケンカって何してんだよ? とか、色々な疑問が頭をよぎったが、あの親に何を言っても無駄だろうと素直に参護に携帯を渡すことにする。
参護も誰なのか予想がついていたのか、苦笑しながら受け取って会話を始めた。
「うん、久しぶり。うん……、うん……、できなくはないが……わかりましたよったく……」
そう言うと参護は、魔法陣を俺の携帯に展開、受話口と送話口にも小さい魔法陣を展開して、戦場全体に広がる様にでかい魔法陣を展開する。
「いいぞ親父」
『よし。あーあー! えっとー、聞こえてるかなー?』
戦場に親父の声と、後ろから罵声と炸裂・爆裂音が聞こえる。
ダッシュしながら電話しているのだろうが、息も上がっておらず、時折『わーお、あぶねぇ!?』とか小さい声で入っていたりするので、かなりの余裕がうかがえる。
本当に何してんだよ?
「聞こえてるよ。何してんだよ、こんな非常時に?」
『いやいや、息子の新しい門出だぞ? 父親として伝説の一つや二つを打倒するぐらいのフォローはするだろ?』
「規模がおかしいぞ!?」
「まさか、ゆっくり達が時々拾ってくる俺の荷物って……」
『おお、ちゃんと届いてるか! お父さん頑張っちゃったぜ』
「何をどうすれば、幻想郷に荷物を届けられるんだよ……」
親父は本当に何してんだよ……。
最近は堕天使の総督と連絡取り合ってるらしいし、考えるだけでも怖いな。
『さてさて、そこに居るだろ? ロキ神』
「誰だ貴様は!」
『ドモドモ初めまして、そっちに届いた肉塊の製作者だ。どうだい? 自信満々で召喚した切り札がすでに肉塊になっていたっていう気分は?』
この親父、冥府に封印されてるって言う龍喰者を倒したって言うのか?
つか、人間って冥府行けたのか?
一人で何してるんだよ。
「貴様がサマエルを殺したと言うのか? だが、音を聞く限り貴様は終わりだろう。死神の鎌のサビにでもなるがいい」
『残念。ただの人間ならここまで来れねぇって! ……壱護~そろそろ帰るぞ!』
兄貴と一緒に行ったのかよ!?
その言葉と同時に、通話は切れてしまった。
もう、あの親父は何をしても不思議じゃないな。
あの二人は海原の魔術を使える。
海原の魔術は……、過去の英霊を身に宿す術。
英霊に昇華したその存在は人間とは思えない程の力を持っている。
それを自らの身体に降ろす降霊術の亜種らしい。
俺は使えないから詳しくは知らないが……。
「ふん、ハーデスの部下なら問題なかろう。貴様らの相手は……」
「フェンリルなら、とっくに連れて行かれたぞ? 龍喰者ばかりに気を取られて気付かなかったのか? 駄神」
白龍皇の一味がサラッと拉致ってた。
主に参護が無双してる時に。
「ええい! なれば、私自ら貴様らを冥府に送ってくれるわ!!」
さて小猫が、オーフィスが、参護が、親父や兄貴がここまでしてくれたんだ。
圧倒的に、相手にしようなんて考えないぐらいに、握り潰してやる。
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ロキ side
大量に作ったヨルムンガルドのクローン、フェンリルと強化成長させたスコルとハティ、いくつもの罠や手札を用意して、瀕死にまで追い詰めたと言うのに……。
たった一人の乱入、裏方が二人でこうも状況が悪くなるとは……。
「……テメェへのプレゼントを考えていたんだ」
いきなり人間が刀を肩に担ぐようにしながら、歩いてくる。
全身に白金を纏って、気配が人間とは思えない程強くなっている。
この男は何処までも、神を愚弄するか。
やはり、この男はこの男の一族は絶やす必要がある。
「……絶望を贈ろうか!!」
その言葉と同時に、私の顔面に奴の拳が突き刺さった。
その瞬間、世界は静寂に包まれた。
クローンどもと戦っている音も、風の音も、すべてが止まっていた。
(な、何が!? くそ、動けぬ!)
この状態は時間停止の異能か!?
だが、神である私に効果がある神器など!!
「どうだ? 人間が走馬灯を見る時の感覚は……」
(くそ、なぜだ! なぜ私がこいつの神器に囚われる!)
堂々と私の前に立っている男。
まるで何でもないような風に、私の前で歩いたり、手を動かしたりしている。
「今殴った時に、テメェの頭と神経にだけ、白金の闘気を流した。思考も感覚も停止時間に対応しているのに、筋肉や骨、皮膚が追い付かないんだ」
この現象が、神器ではなく、元とは言え人間が放つオーラで起きる事なのか!?
ダメだ。
視覚も聴覚も触覚も嗅覚すらも、今までと変わらないと言うのに、まるで手足が石の様に動かない。
腕が固定されている感覚ではない。
力を入れる事すらできないのだ。
(喉すら震わせられないと言うのに、こいつの一挙手一投足を感じられる程に感覚が研ぎ澄まされている)
「なんでこんな説明するか、わかるか?」
そう言ってこちらを見たその目に、思わず背筋に薄ら寒いモノが走る感覚を覚えた。
人間だった時、こいつは敵を見る目をしていた。
今は何だ……?
路傍の石に向けるような、温度も感情も無い目だ。
「俺の白金の闘気は徐々に薄れていく。少しずつ、テメェの世界は動き始める」
そう言いながら、両手の指の間にナイフのようなものが現れた。
おそらく、魔力で作った物質。
とてつもない魔力を一気に圧縮することでできる魔力の物質化だ。
「そこでだ!!!」
そう叫ぶと、私に向かってナイフを投げてくる。
奴の魔力が込められているからか、しばらく停止世界の空間をまっすぐこちらに飛んで来て、すべてがギリギリの位置で停止した。
「テメェの精神が崩壊するか、ナイフによる絶命か……」
そう言いながら、次々に私の周りにナイフを投擲して停止させていく。
視界のどこを取ってもナイフの切っ先がこちらを向いている異様な光景。
「何百年をかけて自身にナイフが突き刺さる感覚を味わうがいい」
その言葉を残して、奴は停止した時間から出て行ってしまった。
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ナイフが、皮膚にめり込んで!?
鋭い痛みが! 全身に!?
ああ、あれから何年、何十年経ったと言うのか!
全身にズブズブとナイフが皮膚を裂いて、肉を抉りながら身体の中へ進んでいくのを否応なく感じる。
これがあと何年!?
やめてくれ!!
心が持たない!
魔力でできた武器かと思ったが、あの人間は白金の闘気で武器を作ってやがった。
神である私の命すら、危うい。
目に!?
刺さって、潰れ……!!!
ラストは色々なマンガから設定をお借りしていますが、メインは有名な死神漫画のワンシーン。
あれはゾッとしたものです。
個人的に、手札で戦うタイプって好きです。
さて、明日は仕事場に泊まりですので、感想返信等々メインです。
もう、仕事の申し継ぎ早く終わらせたい……。