ハイスクールD×H ~龍と人間と世界の流れ~ 【本編完結】 作:みずしろオルカ
ちょっと長くお待たせした分、長めになっております。
+2000文字って所ですかね?
引っ越しが控えてますので、そろそろ更新がさらに遅くなります。
安定するのが5月ごろの予定。
それでは、どうぞ!
小猫 side
その後と言うか、あの戦いの顛末です。
曹護先輩に殴られたロキはそのまま動かなくなり、先輩の放ったナイフを全身に受けて拘束されました。
放心というか、魂が抜けたような状態で、拘束していた北欧神話側の兵士も不気味がっていたのが印象的です。
曹護先輩は宣言していた通り、龍の因子を取り込んで、立派な龍人となっているようです。
イッセー先輩が赤龍帝から聞いたようでした。
オーフィスさんは、曹護先輩が同じ時間を生きる存在になったのが余程うれしかったのか、今までは先輩の部屋以外だとあまり外に出てこなかったのですが、最近はずっと先輩の背中や足や腕に抱きついたまま離れません。
「あれから一週間経ってるが、依然としてロキの野郎は放心状態。本当に何しやがった?」
アザゼル先生が、オカ研でまったりしている私達に呆れ顔で聞いてきました。
まぁ、長い時間神様がそんな状態になれば不安にもなるというものです。
「言っただろう。数百年間ゆっくりと刃物が刺さる感覚を味わったんだ。今は時間の感覚と身体の感覚を取り戻してるんだろ」
ちょっと想像しにくいですが、要はナイフが刺さる感覚と痛みを何もできずに受け続けたという事らしいです。
弟さんが言うには
『あれは時間停止能力者じゃないと防ぎ様が無いね。良くて精神崩壊、最悪ショック死するだろうな』
とのことでした。
頭を押さえながらため息をつく様に吐き出していましたから、こういう事には慣れているのでしょうか?
そう直接聞いたら
『俺は小手先で勝負するタイプなんだけど、用意してた手段を全部拳で打倒され続けたからねぇ』
などと遠い目をしていました。
なにをしてるんですか先輩……。
ちなみに、弟さんは戦闘が終わった後、ご両親に会いに帰って行きました。
三人の母親全員にも報告すると言っていたので、いろいろ大変でしょう。
「流石は龍人ってか? 今後はどうするつもりだ、海原曹護。お前はもう人間ではなくなった。今は気にならないが、確実に寿命や細かい部分で人外であることの
「高校卒業したら、旅にでも出るさ。連絡手段は小猫と俺が繋がっているから、こいつが望めば俺に届く」
ポンポンと私の頭に手を置く。
実際、私の中には先輩とのパスの様なものが繋がっていて、私が波紋や魔力を使おうとすると先輩から力が流れ込んできて、すごい出力が出る状態になっています。
そのパスの部分が龍の因子という事なのでしょう。
肉体はほとんど妖怪からの転生悪魔のままでしたが、ほんの少しだけ龍の細胞になった部分があり、そこから先輩の力を受け取っているらしい。
能力の確認として、曹護先輩と組手をしましたが、普段と戦闘時の身体能力の差が激しかったです。
波紋を練り、気功を研ぎ澄ませ、魔力を燃やす。
悪魔の翼に少し龍のディテールが加わったのですが、空中戦もかなりやり易くなっています。
組手の際に、パスを利用した通信は可能か?
という疑問を、様々検証して、やり方を発見できた。
だから、先輩が旅に出ても、次元の狭間に居ようと、私とパスが繋がっている限りは遠く離れた場所でも意思の疎通が可能になっています。
旅に出る話は組手の時に言われましたけど、確かに進学するにしても就職するにしても人間界では難しいでしょうし、冥界などで就職するにしても、今以上にしがらみが強くなるのは先輩としても嫌な様でした。
「まぁ、人間界を旅するにしても、冥界を旅するにしても、次元の狭間を旅するにしても、気を付ける事だ。禍の団の殆どは解体されたが、残党はまだ残ってんだ。いくら龍人になったとしても、前回の様なアクシデントってのはありうる。99.999%大丈夫だろうが、気を付けるこった」
全く心配していない心配の言葉です。
いえ、心配はしてるんでしょうが、大丈夫だろうと楽観的に捉えることができると言った感じでしょうか?
私としては、部長の眷属は続けたいです。
ですから、卒業してからの先輩の旅は付いては行けません。
でも、いつか部長がグレモリー家を継いで、レーディングゲームを引退するような形になるなら、その旅に合流してみたいです。
「まあ、卒業するまではここの生徒だ。卒業の際は……家業を継ぐとでも言えばいいだろう」
「お店屋、ソーゴの家、我も店員やってみたい」
ああ、オーフィスさんが今日も微笑ましいです。
ずっと、先輩の背中に乗っていて、授業中なんかは隠れているのですが、それ以外はずっと今みたいにくっ付いている。
「小猫も店員、我も店員。きっと楽しい」
犬のしっぽがあれば、はち切れんばかりに振られているのでしょう。
そう思えてしまうぐらいにはご機嫌なオーフィスさんです。
まぁ、龍なんですが。
龍って嬉しい時尻尾振るんでしょうか?
犬は尻尾を振ります。
猫は尻尾をピンッと垂直に立たせるのが一般的に嬉しかったり、好感情を抱いている時です。
……そう言えば、先輩に尻尾を見せている時、意識してませんでしたが尻尾の状態はかなり無防備だったように思えます。
ぐぬぬ……。
姉様も先輩といる時は上機嫌ですし、最初はロリコンかとも思っていましたが、人外種族限定での
「それもいいかもしれませんね」
そう答えた私の声色は、想像以上に楽しそうでした。
冬木市と駒王学園は少し遠い。
だけど、私が卒業してからなら、あのお店で姉様も入れて四人で……。
古道具屋、と名乗ってはいますが、安価な中古品から年代物のアンティーク、魔術師が使う貴重な宝石や術具など幅広く扱っている。
魔王様の眷属達も、結構自由に行動されています。
卒業したら部長に頼んでみましょう。
悪魔は永遠に近い寿命を持っています。
妖怪の寿命も相当長いです。
そして私は龍の因子も備えています。
無限龍であるオーフィスさんの因子ですから、悪魔よりも長生きになっている可能性だってあります。
だから、曹護先輩。
いつか、オーフィスさんの言った生活を実現させてください。
待ってます。
永遠とも思える時間のほんの一部、でも待ち遠しいです。
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曹護 side
オーフィスの店員をやってみたい発言から、小猫と一緒にアパートに帰ってきた。
もういつも通りの光景で、小猫は現在ほとんどここから学校に行くようになっている。
半同棲状態なんだよな。
「よくグレモリーが許してるよ」
「むしろ、部長が勧めてきたんですけどね」
なにしてんだよグレモリー。
よくよく考えれば、兵藤の家に女性の眷属全員で押しかけたらしいし、妥当と言えば妥当な行動なのかもしれない。
決して本人には言えないが、お見合いおばちゃんみたいな行動してるからな? グレモリー。
オカ研の部室で椅子に座りながら、ニマニマ笑っているのが目に浮かぶ。
隣で姫島辺りが楽しそうにニコニコしていて、アザゼル先生が煙草でも咥えて笑っているんだろう。
「広めの所の部屋に引っ越すかね」
「四人住める場所を希望します」
「ん? 三人じゃなくてか?」
俺、オーフィス、小猫。
これで三人だろう?
「姉様も連れてきます!」
おおぅ。
そういえば、禍の団から次々と戦力が流出しているらしい。
象徴だったオーフィスは居らず、旧魔王派は壊滅、協力者だったであろうロキやハーデスは神々の間でもかなりまずい立場らしい。
ロキは投獄中で、しかも向こうからしたら人形のような状態だからな。
ハーデスは勝手に龍喰者の封印を他者に預けた上に、それを殺されたという事でかなりバッシングを受けているらしい。
こちらを相手にするとこうなると言う見せしめとしては合格だろう。
そんな状態だから、白龍皇のチームも離反して独自に目的を達成するために動いているという事だ。
黒歌の奴が家に来るようになったのは、前に小猫の発情期を警告しに来た時からだ。
小猫に会いに来ているのか、俺をからかうのが楽しいのか?
判断が難しい部分があるが、オーフィスの事も気にかけてくれているし、時折海外の甘い物を持ってくるのが嬉しい。
白龍皇達と世界中を回っているから買えるのだろうが、甘い物選びのセンスも良いというのが小猫との共通見解だ。
おいしい。
先日はチアシードなる食品を持って来てくれた。
これはダイエット食品として昨今話題の奴だ。
ダイエット食品だからと、沢山食べれば痩せると考える人も居るだろうが、これは大さじ一杯が一日の目安摂取量で、これ以上は太る原因になる。
これは水に浸けておくと膨らみ、種の周りにゼリー状の膜の様な物を張る。
これを利用して豆乳にフルーツを混ぜて、チアシードを大さじ一杯入れてやると柔らかめのプリンができるのだ。
混ぜて冷やすだけだから手軽だ。
その上、チアシードは高い整腸作用がある。
腸は便秘はもちろん、肌荒れの原因になる臓器だ。
つまり、チアシードは腸と肌に良い食べ物なのだ。
それをごっそり持ってきた。
ちなみに、黒歌はもちろん小猫も波紋の効果で肌艶はきれいだし、便秘の話も聞かない。
男に話す内容じゃないのかもしれないが、それっぽい行動はしていない。
だから必要ないかと言えばそうでもない。
波紋で綺麗になってはいるが、チアシードの高い栄養と整腸作用は健在。
素の自分になった時に、こういう部分に気を使っているかどうかが女性の美しさを左右するのだそうだ。
ちなみに母の受け売りだ。
そんな理由かどうかは分からないが、皆は積極的にチアシードを食べていた。
オカ研に持って行ってみんなで食べたりと、布教活動もしていた。
その影響かは分からないが、黒歌のはぐれ悪魔の認定を解かれた。
なんでも、詳細な経緯を調べた結果、当時の黒歌の主の不正やらの悪事が大量に出てきた上に、当時の証拠や証言者もかなり黒い物であることが判明したため、S級のはぐれ悪魔の称号は解かれたのだそうだ。
これに関しては俺はノータッチだと思っていたのだが、禍の団をここまで追い詰めてくれた俺の功績だと黒歌と小猫共々お礼を言われた。
無自覚だからか、むず痒いものだな。
「黒歌、一緒? 住む?」
「はい、姉様と一緒に住めるように広い部屋を借りましょう」
「俺の部屋の話のはずなんだが、なぜ俺の意見が聞かれないんだよ」
「「え? 優しいから」」
ハモりやがった。
「後、先輩。魔王様、ミカエル様、アザゼル先生、各勢力の代表から今までの功績を讃えて金一封と冥界の領地が与えられるそうですよ?」
「ちょい待てコラ、初耳だぞオイ?」
グレモリーの金銭感覚を見ていれば分かる。
あいつらは庶民の金銭感覚を知らない。
ポンッと大金を渡したり、領地を渡したり、家を新築したりとさり気なくとんでもない。
こちとら、実家が古道具屋の庶民だ。
収入は何気にお袋達の方があるんだよな。
親父は古道具屋と魔術系統の道具の売買、高く売れるが仕入れも高額だから実入りも少ないって言ってたな。
お袋達は、呉服屋の店主、市議会議員、専業主婦。
二人の年収は親父の年収の三倍らしい。
この話をすると親父の落ち込んだ表情が見れる。
「そうなんですか? 冥界の一等地で、その地域の特産物が注目されている土地だと聞いていますが……」
「何で貰う本人より詳しいんだろうな……」
小猫の奴、俺への伝言役を引き受けておいて意図的に情報隠してたんじゃないだろうな?
こいつならやりかねないから困る。
「私が情報止めてましたから」
やっぱりだよこいつ。
段々、俺への対応もこいつの素が出ている気がする。
「土地? そこでお店やる?」
オーフィスの目がキラキラと輝いている。
古道具屋の倅として言うなら、仕入れのルートやら客層分析やら、結構大変なんだが……。
「いいですね。お菓子屋さんとか楽しそうです」
「お菓子屋さん……!」
オーフィスの食い付きが今日一番だ。
キラキラからピカーッと光ってやがる!
世界を旅しようかなぁって考えてたんだがね。
オーフィスが楽しいなら、それも良いか。
「私と姉様がお留守番して、曹護先輩とオーフィスさんが戻るのを待ってるっていうのも良いです」
黒歌の進路が妹に決められている。
まぁ、小猫を無理矢理連れ帰ろうとした経験があるから、仕返し的な意味もありそうだが。
冥界の土地を拠点にして世界を旅するのも面白そうだ。
小猫が拠点を護ってくれると言うなら任せてもいいかもしれない。
本格的に親父と似た道を辿りつつあるのが気になるが、仕方ない。
そもそも領地っていう感覚も分からないし、何と言うか小猫と黒歌に程良く捕まえられた気がする。
「帰るべき場所があるなら、先輩も行方不明にはならないでしょうし……」
気がするじゃなかった。
真面目に捕まえにきていた。
参護が鬼娘に捕まえられている気がすると言っていたのを笑っていたが、これは参護を笑えないな。
ちょい駆け足でした。
引っ越しに際して困るのが、本の量ですね。
さすがに読書家の人ほどではないですが、本ってまとめると意外と重いですからばらけさせたり、衣服でクッションにしながらしないといけません。
引っ越し大変です(ヽ'ω`)