ハイスクールD×H ~龍と人間と世界の流れ~ 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 おまたせしました。

 第三話です。

 今回は波紋の説明がメインになってます。

 オーフィスが出てこない(´・ω・`)


第3話 波紋の説明とその才覚

 授業参観。

 

 それは、身内に問題があると途端に地獄の日に変わる。

 

(お兄様に知られてしまうなんて……、しかも三勢力の会談場所がこの駒王学園ですって!?)

 

 リアス・グレモリーは苦悩していた。

 

 三勢力の会談が成功して同盟が結ばれたなら、それは歴史的な快挙であると言える。

 

 神の不在、教会の使者であったゼノヴィアが自らの騎士になるなど、怒涛の変化を受けていた彼女だったが、それだけならばまだ平静を保つことができたかもしれない。

 

(クラスメイトが堕天使を拳で打倒する現場に居合わせて、どうしろって言うのよ!)

 

 人間は基本的に悪魔や堕天使、天使らに比べて身体能力が低い。

 神器で底上げされていたり、ハーフなどの特殊な出自であるならこの条件は当てはまらないことが多いが、彼は神器らしきものは途中で収納してしまうし、以前天使、堕天使の間諜が入り込んでないか調べた際にも純粋な人間であることが立証されている。

 

 あの検査の際にはソーナも立ち会って調べたのだから、間違いはないはずだ。

 

 だというのに、奇妙な銀色のオーラなんかを纏い、拳で堕天使幹部を打倒する。

 

「リアス、あまり深く考え込まない方が良いですわよ」

 

 助言をくれたのは私の女王である朱乃だった。

 

 彼女が心配する程に難しい顔をしていたようね。

 

「ありがとう、朱乃。そうね、とりあえずは早急にソーナと連携して彼の情報を洗い直す必要があるわね」

 

 実力を見せたのなら、彼はもう学校に来る可能性は低いでしょう。

 なら、彼の情報は生徒会が管理しているはずだし、それを辿れば住所や家族構成が分かるでしょう。

 

「あらあら、その心配は無いみたいですわよ、リアス」

 

 そう言われて朱乃の指す方向を見ると、いつもの様に自分の席に座り、何かしらの本を読んでいる海原曹護の姿があった。

 

 思わずズッコケるなんて、グレモリー家次期党首らしくないことをしてしまう所だった。

 

 あれだけの事を仕出かしておいて、何を安穏と登校して、呑気に本を読んでいるのか……。

 

 さっきまでの私の苦悩と憂鬱な気分に費やしてしまった時間を帰してほしい。

 

「ご・き・げ・ん・よ・う、海原君。少しお話よろしいかしら?」

 

 少々語気が強くなってしまったが、これぐらいは気を揉まされた意趣返しで許してほしい。

 

 だって、言葉をかけてもこっちに視線もよこさないで本を閉じ、ようやく視線を向けて来て、

 

「いいだろう。場所は任せる」

 

 と言ってのけた。

 

 自分でも笑顔が引きつっているのが分かるが、このマイペースぶりには苛立ちを隠せない。

 

「では、放課後にオカルト研究部の部室でいいんじゃないかしら? ね、リアス?」

 

 っと、いけないいけない。

 冷静にならないと、彼の情報をしっかりと集めないとダメなのだ。

 

 朱乃が気を使って、時間を空けた上にこちらのテリトリーに引き込んでくれた。

 感謝しないとね。

 

「そうね。それじゃあ、放課後にオカルト研究部まで足を運んで頂戴。準備があるから案内できないけど、別の部員を案内に向かわせるから」

 

「わかった。放課後に迎えが来るのを待てばいいんだな?」

 

 よし、これで少しはこちらのペースで話を進められる。

 

「ええ、よろしくね。海原君」

 

 

********************

 

 

 解せません。

 

 なぜ一年の私が三年の海原先輩を部室に案内しなければならないのでしょうか。

 

 以前、スイーツショップで会ってお話もしましたが、それだけです。

 確かに、三年間を同じクラスで過ごした部長と朱乃さんが迎えに行けないなら、次に交流があるのは私になる。

 

 ただ一回、駅前の店で限定スイーツを貰っただけ……いや、おいしかったですけど。

 

 などと考えながら、三年の教室に行くと、海原先輩が自分の席であろう場所で本を読んでいた。

 

「海原先輩」

 

 声をかけると同時に、本を閉じてこちらに目を向ける。

 

 まるで、知っていたように立ち上がってこちらに歩いてくる。

 

「君がグレモリーの使いか? 白猫娘」

 

「はい、オカルト研究部に案内します。それと、私は塔城小猫です。白猫娘じゃありません」

 

 前に会った時から、ずっと白猫娘なんて呼ばれている。

 

 元が猫又である私、白猫が元の姿。

 それを見抜かれているようで、落ち着かない。

 

「大体なんで白猫娘なんて呼ぶんですか?」

 

「雰囲気が猫っぽかったのと、髪が白かったからだな。そのまま安直に白猫娘。……塔城小猫か、塔城と呼んでも?」

 

「ええ、構いません。行きましょう」

 

 思ったよりも距離は空けてますね。

 

 先輩と言うのをいいことに下の名前を呼び捨てにしてくるモノかとも思いました。

 だけど、苗字を呼んだ上に私に確認して来るとは、スイーツショップで会った時よりも距離を空けられた気がします。

 

「先輩は、人間なのになんであんなに強いんですか?」

 

 沈黙に耐えられなかった訳じゃなけど、なんとなく出た質問がこれだった。

 これから部長も聞くであろう質問だし、これは先輩の手札とも言えるモノだ。

 簡単には教えられないだろう。

 つまり、する質問を失敗しました。

 

「……グレモリーにもされる質問だろうが、言ってしまえば波紋と気功の効果と鍛錬の賜物だな」

 

 ……そんな訳ないでしょう。

 思わずそんな言葉が出てきそうなのを慌てて飲み込んだ。

 

 波紋は私も知ってますし、気功も分かります。

 だけど、その二つで堕天使の幹部を殴り倒せるなら、この世界はもう少し世紀末なことになってると思います。

 

 でも、波紋。

 仙術の奥義の一つではありますが、それよりも別の奥義などの方が有名で、知名度の低い技だと記憶しています。

 

 効果も身体能力の向上と回復力の向上。

 確かに以前ファミレスで、仙術ではなく仙道、攻撃よりも守りを重視した仙術の別の形だと聞いた。

 

 波紋の修行方法は、仙術の方では伝わっていない。

 つまり、使いこなしたければ仙道を修めているだろう先輩の助力が必要な訳で……。

 

 いけない、さすがにファミレスで断られたことをもう一度繰り返してしまうことになる。

 しつこい交渉は悪印象になります。

 

「……前にスイーツショップの前でお会いしましたが、甘いモノお好きなんですか?」

 

 この場を繋ぐならこっちの質問をするべきだったかもしれない。

 

「ツレが好きでな。外に出たがらないから、俺が情報を集めて試食してたら自然と俺も食べるようになったな」

 

 彼女さんだろうか?

 

 この学園では、そういう浮いた噂を聞かないから、他校か年上の人だろうか?

 初めて会った時は、ロリコンかと思ったけど、どうなんだろう。

 

「……あのお店を知っているなら、先輩の調べた情報と私の情報を交換しませんか? あの近辺は抑えてますけど、他がまだ甘いので」

 

「それは構わねぇが、今回の話し合い次第じゃ俺との接触が禁止されるかもだろ」

 

 それは考えてなかった。

 

 あの場で、コカビエルを倒した先輩は当面の敵ではないと言う認識が共通のモノだろう。

 

 しかし、目的が分からない以上警戒している状態だ。

 

 もし、先輩の目的が三勢力のどこかにでも害をなす場合は、グレモリー眷属はもちろん他勢力からも距離を置かれる可能性がある。

 

「それもそうですね。では、もし交流しても良いようならよろしくお願いしますね」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

 思わぬところで、スイーツ情報源をゲットです。

 

 あの『ゴールデン・シュークリーム』を並んでゲットするなら相当の情報通のはず。

 

 駅前で目立つ立地なのに関わらず、限定品の情報はかなり少ない。

 興味を持って調べなければならないし、調べたとして開店時間の数時間前から並ぶと言う選択を出来るのはきちんとした情報を持っていると言う事。

 

 これは、良い人脈です。

 

 

********************

 

 

 塔城とお菓子談義を楽しみながら、辿り着いたオカルト研究部、略してオカ研。

 

 最近、二年の兵藤一誠と転校生のゼノなんちゃらと言う聖剣使いが所属している、悪魔の集まり。

 全員がグレモリーの眷属だったはずだ。

 

「ようこそ、オカルト研究部へ。貴方を歓迎するわ、海原君。悪魔としてね」

 

 部屋に入って一番に言われた言葉だ。

 

 その後全員が悪魔の羽を出して、悪魔だと証明する。

 

 当然、塔城にも翼があった。

 

「ああ、俺は海原曹護。両親健在、三人兄弟の次男、現在マンションで一人暮らし。以上がプロフィールの人間だ」

 

 どうせ調べてあるだろうが、嘘を言わないと言う証明代わりになるだろう。

 軽くプロフィールを喋りながらの自己紹介。

 

 しかし、俺の自己紹介を聞いたオカ研の奴らは微妙な表情をしていた。

 

「堕天使の幹部を撲殺するような人がただの人間な訳ないでしょう……」

 

 ため息交じりに、絞り出すようなグレモリーの言葉。

 

 まぁ、そうだろうな。

 俺もそんな奴をただの人間だと言われても頷くことはできない。

 

「あまり知られていないが、波紋の呼吸と言う呼吸法がある。仙術・仙道の奥義で、生命力の活性と身体能力の活性化が主な効果だ」

 

 これはファミレスの時とさっきも塔城にした説明と同じものだ。

 この点に関しては、嘘偽りをするつもりはない。

 

 俺もオーフィスも静かに暮らしたいだけ、その障害になるだろう戦争をしようとしたあの堕天使を急遽打倒した形になる。

 

 三勢力に巻き込まれず、暮らせるならそれ以上のことは無いのだが、それは先日に戦ったことでほぼ不可能だろう。

 ならば、友好的な態度を示しつつ、相互不干渉を取り付けられれば御の字といった所か。

 

 最悪、オーフィスに出て来てもらわなくてはならない。

 それは避けたいが、彼女の方が若干やる気なのはどういう事なのか。

 

「……その波紋と言う技を私たちが習得することは可能かしら?」

 

 塔城と同じ質問だ。

 習得できるならしたいのは普通だ。

 

 だが、同じ答えを返すしかないと言うのも、ファミレスの時のままだ。

 

「波紋の呼吸と言う名称だから可能だろう。だが、使いこなすためには修行が必要だし、それは長期で厳しいものだ。俺以外から教わるのなら大丈夫だが、俺は目的があるから教えることはできない」

 

 ここからは、塔城にも教えていない部分だ。

 

「それに、才能というものもある。仙術・仙道の才能が無ければ修行の内容も長期化する。塔城以外は、良くて年単位、悪くて習得しても戦闘には使えないだろうな」

 

 これもまた事実。

 何十年も修行しても、座禅を組んだ状態でやっと練れる程度の人もいる。

 

 二か月程度で戦闘にも応用できるほどの使い手になる人間も居る。

 

 本当に本人の才覚次第なのだ。

 誰にでも使えるが、その熟練度は全く異なるのが、この波紋と言う技術だ。

 

「そう、時間的に絶望的と言いたいわけね?」

 

 まぁ、その通りだがもっと言えば、簡単に手助けする気が無いと言う事だ。

 それを面と向かって言うつもりも無いが。

 

「時間的にも個々の才能的にもお勧めできない、と言う事だ」

 

 俺の言葉にムッとした表情のグレモリー。

 おそらく、自分の眷属達の才能が無いように言われたのが気に障ったのだろう。

 グレモリーは眷属思いだと聞いたことがある。

 

「それは、私の下僕達に才能が無いと言う事かしら?」

 

 口に出してきた。

 

 同い年だが、少し熱くなり過ぎる帰来があるな。

 

「才能のバラつきがモロに出る技術だと言う事だ。俺の見立てだと、元々仙術の知識がある塔城ぐらいだと思うぞ。実戦で使えるほどの練度にたどり着けるのはな」

 

 純潔の悪魔は太陽の波長に近い波紋は練りにくい。

 転生悪魔はそういうことは無いが、後は個々の才覚だ。

 

 塔城はおそらく戦闘に耐えられる練度になる。

 それ以外は、姫島がもしかしたらと言う程度。

 

 兵藤や木場は気功を学んだ方が良いかもしれない。

 

 俺の言葉に、若干剣呑な空気が緩和された。

 

「そう、まだ聞きたいことがあるけど、立ち話も失礼ね。座って話しましょう、朱乃」

 

「はい部長」

 

 グレモリーはそのまま部室に備え付けられているソファーへ。

 姫島はおそらくお茶を入れに行ったのだろう。

 

「どうぞ、海原先輩」

 

 塔城からソファーに案内される。

 

 サッと出してきたのは缶に入ったクッキーだ。

 

 こいつ、俺をダシに来客用のお菓子を食べるつもりか。

 

「ちゃっかりしている……」

 

 そして、堂々と俺の隣に座り込んで俺にクッキーを出すようにして、自分も食べやすい場所にいる。

 良い性格をしているなこいつ。

 

「まぁ、お菓子でも摘まみながらゆっくりしてね。お茶も出すわ」

 

 さて、時間稼ぎのようだし、魔王かその眷属が来るのを待っているのだろう。

 

 特に問題ない。

 

 接触するなら権力がある方が交渉がしやすい。

 なにしろ、こっちはオーフィスと言う存在に干渉するなと言う無茶苦茶な要求をするのだ。好印象を与えることが必要だろう。

 




 波紋は誰でも習得できるけど、その練度は才能が必要である。

 ということです。

 独自設定・独自解釈が溢れ捲っている今回。

 楽しんでいただけたならうれしいです。
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