ハイスクールD×H ~龍と人間と世界の流れ~ 【本編完結】 作:みずしろオルカ
まだ仕事を覚えるのに手一杯で、執筆にかける時間が少なくなっている状態で申し訳ありません。
デッドプールの映画見てきました。
ああいうキャラを私は書いたことがないので、面白かったのと同時に勉強になりましたよ。
それでは、お楽しみください。
雪のように聖剣の破片が降りしきる空間で、立ち尽くす二人と自身の身体を抱きしめるようにもがいている一人、そしてその三人を黙って見ている一人の合計四人。
突如苦しみだし、全身を血濡れにしながらもがく様に地面を転がり出すヘラクレス。
何かを振り払うように両手を振り回し、叫びながら暴れている。
もはやこの空間は、修護が支配しているのは明白だった。
「どうした! ヘラクレス!!」
「どうしたって言うのよ!?」
「俺の! 俺の中に入ってくるんじゃねえええ!!!」
曹操やジャンヌの声も届いていないのか、苦しみながら腕を、足を、胸を、顔を、至る所を掻き毟るように、巨大な両手で肉が裂け、血が噴出しながらも、掻き毟り続ける。
「ホラホラ、早くしないと死んじゃうよ?」
そう言った修護は口調こそからかう様なものだったが、表情は笑っていなかった。
無表情に、ヘラクレスが苦しむ様を見ている。
その時、曹操の目に砕かれて空中を舞っている聖剣の破片がヘラクレスに触れた。
途端にズルリ……、と皮膚を突き破って中に潜って行くのが見えた。
「な!?」
今さっき砕かれた聖剣の塊は、破片となって雪のように天から舞い落ちてきている。
曹操の脳裏に浮かぶ修護が起こした二つの行動。
ヘラクレスの胸を殴った時、断罪の聖龍に向けて幾度も銀色の闘気の塊をぶつけ続けていた時。
この破片には修護の銀色の闘気が染み込んでいる。
そして、ヘラクレスを殴った時に、彼に何かを仕掛けたのだとしたら?
そこまで考えた曹操は背骨に氷を突っ込まれたような、ゾッとする感覚を再び味わった。
「ジャンヌ! 今すぐ禁手化を解くんだ!! この聖剣の破片は、ヘラクレスの心臓に向けて進み続けている!」
「な!?」
最初にヘラクレスを殴った際に、修護は彼の心臓に強力な銀色の闘気を流し込んだ。
肉体にダメージを与えずに、ただ心臓に残るほどに練りこまれた精密で強力な銀色の闘気。
そして、その銀色の闘気に引き合うようなタイプの、エネルギーを練りこんだ弾をジャンヌの禁手化に流し込み続ける。
そして、その断罪の聖龍を砕けば、散らばった破片は自動的に強力なエネルギーで周囲の破片を引き寄せるヘラクレスの心臓に向けてズルズルと皮膚を裂き、肉を断ちながら進んでいくのだ。
「がぁぁぁぁぁ!!!! 出て行けえええええええ!!」
半狂乱になりながら、地面に転がり、全身を掻き毟り、破片を取り除こうと抵抗を続けている。
しかし、未だに砕かれた破片は降り続き、地面に落ちている破片すら転がる度にヘラクレスに付着し、体内に侵入してくる。
途端に、雪のように降り続いていた聖剣の破片は見えなくなり、ジャンヌの近くに控えていた半分ほど砕けていた断罪の聖龍も消えた。
ジャンヌが慌てて禁手化を解き、神器も停止させたのだ。
しかし……
「があああああ! あがああああ!!」
未だにヘラクレスは苦しんでいた。
喉が潰れて、叫び声と共に血を吐きながら、全身を力いっぱい掻き毟っている。
掻き毟るような仕草も、徐々に胸付近にまで近づいていた。
「何をしているんだジャンヌ!! ヘラクレスが死んでしまうぞ!」
「もうとっくに解除したわよ!! なのに何で!!!?」
原因が分からずに、ジャンヌも右往左往しているうちに。
「が……ぁ…………っ」
ついに心臓に到達したのか、苦しんでいたヘラクレスは突然動かなくなり、最後には全身が弛緩してしまった。
全身に引っかき傷や小さい穴が無数に出来ていて、その表情は苦悶と絶望に歪んでいた。
「くそ! なぜだジャンヌ!?」
「私だって知らないわよ! 禁手化どころか神器だって切ってるんだから!!」
常軌を逸した方法で仲間が殺された。
訳も分からないうちに、仲間の神器を利用され、神器の使用を切り離しても、ヘラクレスは死んでしまった。
ここまでされ、ようやくジャンヌ自身も全身が氷にでも包まれたかのような感覚に襲われる。
ふざけた言動や行動、挑発で自分達に禁手化をさせ、それを同士討ちにまで誘い込んだ。
最初から最後まで行動をコントロールされていた。
次は、何をされるのか?
ジャンヌの頭は一種の興奮状態から一転して、恐慌状態に陥っていた。
「秘密はこれだ」
カランカランっと、二人の足元に二つの物体が転がされる。
一つは細く長い直剣。
もう一つは、同じものが根元付近から折れているものだった。
「これは、教会の代行者が持つ黒鍵?」
黒鍵とは、教会が悪魔祓いで手に負えなくなった相手を確実に殺すために送り込む、悪魔殺しの代行者という者達が持つ投擲用の剣のことである。
見た目は細身の直剣で、刀身を魔力で作る場合もあるが、今回はすべて金属で出来ている。
「知り合いの教会関係者からちょっとね。当然教会の武器だから聖なる力もちょっとは付いてて気づかなかっただろ?」
曹操はそれを聞いて悟った。
砕けた聖剣の欠片に混じらせて、黒鍵の破片をヘラクレスに浴びせたのだ。
修護自身の銀色の闘気をたっぷりと込めて。
全身に降りかかった聖剣の破片に混じり、黒鍵の破片が確実にヘラクレスの心臓へ向かって進んでいく。
曹操とジャンヌが状況を把握し、神器を停止させたとしても黒鍵の破片はそのまま突き進み、ヘラクレスの心臓を穿つ。
わざとジャンヌの神器がヘラクレスを蝕んでいると臭わせた情報。
聡い曹操はすぐに気づいたが、別の破片を混ぜてくるという考えに至らなかった。
修護がわざと情報を気づかせ、狙いから思考を反らさせた。
自分で気づいたように思わせ、その実は気づいた事実に細かい部分に対する思考を鈍らせるだけの衝撃的なものを演出していた。
なにより、時間をかければヘラクレスが死ぬという焦り。
これらを畳み掛けられて、思考の幅は狭まり、最終的には……。
「あ……ぇ……?」
ガクンッと突然ジャンヌがその場に膝を突いた。
修護はジャンヌを指さしている。
拳銃を模したような形で、指先から僅かに魔力が漏れていた。
こうして、魔術を行使されたことすら気づけない。
これが、神器を展開している状態ならば、聖なる力で魔術を防げただろう。
だが、今この瞬間。
ヘラクレスを助けるために、ジャンヌは神器を完全に解除している状態であり、訳も分からないままに仲間が殺された現状に呆けてしまっていた。
だから、ガントという初歩の魔術にかかり、その身に呪いを受けてしまったのだ。
人を指さすのが失礼と言われるのは、このガントが由来だとも言われているほどに、隠密性が高い呪いだ。
重篤な病人の体調にも似た、眩暈や吐き気、高熱に寒気。
それらが、急激に健康体だった体に襲い掛かるのだ。
不意を突かれた体は意思とは関係なく、その不調から逃れるように、全身の力を弛緩させてしまう。
「二人目」
膝を突いた状態で呆けていたジャンヌの周囲から、突如小さい魔力の爆発が起こり、身動きが取れなくなっていたジャンヌを巻き込み、その命を刈り取ってしまう。
「ジャンヌ!?」
突如、仲間が吹き飛んだ場面に、曹操はあわてて神器であるその槍を構える。
だが、それは結果的に、彼の命を救う判断になった。
突然目の前に赤い何かが飛んできた。
真っ赤なそれは、非常に目立ち、その構えていた槍を迎撃ではなく、防御の姿勢にするのに警戒させる理由になった。
(こんな目立つ攻撃! これまで忍び寄る蛇のような攻めだったのが、こんなお粗末なものをよこす訳が無い!)
その考えは的を射ていて、正確な見立ては曹操の命を救うことに繋がった。
炸裂した赤い何かは、魔力の奔流を生み出し、曹操を呑み込もうと襲い掛かっていく。
防御の姿勢を取っていたから軽傷で済んだが、槍で迎撃していれば、その無防備な身体にダメージを負っていたことは確実だ。
(狙いやすいように、わざと目立つ赤色の攻撃をしてきたのか!)
魔術師のことを研究していた経験から、曹操は思い当たる魔術を絞り込む。
宝石魔術。
あの赤い物はルビーで、ジャンヌの命を刈り取ったのは目立ちにくいラピスラズリのような宝石。
本当に一手一手が
「素に石と鉄。 礎に楯と風の道化師。 祖には我が主神フール。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、世界に至る三叉路は循環せよ」
攻撃から逃れ、再び修護に視線をやると、はるか後方にて新たなる一手を行使していた。
近所の良いスパを探して、癒されたいです。
デスクワークですから、いろんな人と関わるので、溶けるぐらい癒されたいです。
ギャグの手本にしているIS作品を読みながら、最近はなのはの作品も読みながら、新作を構成しています。
いやぁ、あの二人のギャグは本当に面白いので、是非とも自分も書けるようになりたいです。
それでは、また!
-追記-
6/8 最後の詠唱が遠坂家のものをそのまま使用してしまったので、中身を変更しております。
不明な点がありましたら、遠慮なくご連絡ください。