ハイスクールD×H ~龍と人間と世界の流れ~ 【本編完結】 作:みずしろオルカ
今回も説明回になります。
可愛いを期待されていた方、申し訳ありません。
でも、フラグは建てられた。
(ΦωΦ)フフフ…
アザゼル side
海原曹護。
俺の人間への価値観を根底から覆してくれた人間だ。
アイツはたまにオカ研に立ち寄っては俺らからの依頼を受け、報酬を受け取っている。
何度も見ているが、波紋と言う特殊な呼吸法と銀色・金色の闘気。
これらが、あの男の持つ力の根底にあるものだ。
波紋・気功・魔力・霊力。
これらを全部使っているのは間違いない。
だが、いわゆる弱点を探すと言うのは、海原曹護がいかに俺らに友好的であってもやらなくてはならない事だ。
あいつはオーフィスを主軸に物事を考えている。
それこそオーフィスの静寂を崩すと言う理由で、堕天使の幹部を再起不能にまで追い込む程だ。
三勢力同盟が維持されることが、オーフィスの為になると考えているから、こうして奴は協力しているに過ぎない。
何らかの理由でオーフィスが俺達に敵意を持った時、オーフィスだけでもやばいのにあの男も敵対することになる。
そうなってからじゃ遅いんだよ。
だからこうして、弱点というものを探そうとしている。
調べれば調べるほどに、理不尽な強さが証明されてしまうのだが、どうしてもあの一件がわからない。
金色の闘気を初めて俺らの前で使った、カテレアの奴が来た事件だ。
あの時は銀色を使って戦い、ギャスパーの神器の暴走が収まってから金色の闘気に移行した。
わざわざ俺に使う事を明言していたのにだ。
この部分がどうにも引っかかる。
忘れそうになるが、曹護の奴はあの停止した空間の中で動ける。
最初は神器かと思ったが、奴の神器は『打鉄』という、『龍の手』以下の丈夫なだけの神器だ。
そうなるとあいつ個人の力。
銀色・金色、それに関係した力に違いないだろう。
「まぁ、それが分かりゃ苦労ねぇわな……」
「何の話ですか?」
俺のつぶやきにイッセーの奴が反応した。
いけねぇ、そういや部室だったか。
「いや、海原曹護の金色の闘気について考えてたんだよ」
こいつらも見ているはずだし、イッセーや木場なんかは前線組だから手合せもよくしているはずだ。
小猫なんかは波紋の呼吸の知識が有るから、俺があいつなら愛弟子の様な感覚で可愛がるんだろうがなぁ。
「波紋と気功で銀色って言ってましたっけ?」
「ああ、特別な方法で混ぜることで銀色になるとかなんとかって言ってたっけか」
その波紋と言う力は、仙術と仙道に伝わる奥義の一つとされている。
だが、仙術の攻撃的な傾向に合わないと判断されたのか、仙術側には詳しい習得方法が伝わっていない。
仙道のみで伝わる奥義、それが波紋だ。
調べたが、かなり昔に中国で源流が起きて、そこから二派閥に分かれた。
それが仙術と仙道。
仙術は派手な攻撃に特化した技なんかを使っているから、こっちを目指す奴が多い。
仙道は地味な防御や後衛に特化した技が多いため、目指す者も少なかった。
結果として現代での知名度の差があるわけだ。
「ってことは、金色も何か混ぜるんですかね? 魔力とかですか?」
「……そうか、銀が波紋と気功を混ぜたモノなら金も何かを混ぜたモノの可能性があるのか」
そして、魔力と言う可能性も大いにあり得る。
人間だから魔力が無いと考えていたが、魔術師の家系とか前に言っていたらしいし、魔力を持っていてもおかしくないな。
気功・魔力は生命力を源泉としてそれぞれに変換されている。
例えるなら原油からガソリンや軽油を精製するようなもんか。
もし、生命力から気功や魔力を生成しているとしたら、人間の生命力ではどう転んでもすぐにガス欠が来る。
波紋がどんな役目を果たしているかは分からねえが、あの時ギャスパーの停止結界が展開されている間、あいつが何かの力を使ってガードしていて、それが解けたからその力を金色の闘気に回せた。
そう考えると、あの時の違和感が理解できるものになる。
銀色を惜しまず使っていた所を見ると制限は無いだろう。
だが、金色は注意を払った使い方をしていた所を考えると、制限ありって所だろう。
当然、内容は生命力の枯渇に関わる制限だろうな。
つまり、金色は時間制限付きであること。
仮に金色以上の力があるとしても、金色以上に厳しい時間制限があるだろう。
「アザゼル先生も、これ以上海原先輩を刺激しないで下さいよ。あの人、オーフィスの騎士みたいな人ですよね? 刺激したら両方が同時に襲ってくる可能性だってあるじゃないですか」
イッセーの奴が、とんでもないことを指摘してきた。
そうだ、海原曹護はオーフィスを傷つける奴を許すことはしないだろう。
だったら逆はどうだ?
オーフィスは海原曹護が傷付いた時、どういうアクションを起こす?
禍の団を抜けてまで一緒に居る男なんだ、十中八九傷つけたら奴の怒りに触れるだろう。
「この考察は封印した方が良さそうだな」
「?」
冗談じゃない。
海原曹護だけでも手を焼くってのに、これ以上バグキャラが襲って来てたまるか!
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小猫 side
なにやら、アザゼル先生が考え事をしていると思ったら、お腹に手を当てて唸り始めてます。
学校の先生で堕天使の総督ですから、色々と気苦労も多いのでしょう。
しかし、アザゼル先生の考察。
独り言が漏れていましたが、海原先輩のあの力は生命力を使っているのですね。
確かに人間の身で、あれだけの強さを体現するなら、生命力を削っていたと言われた方が納得もできます。
でも、命を削ってまで誰かを護る。
なにがそこまで、海原先輩を動かしているのでしょうか?
オーフィスさんは見た目で言えば、確かに保護欲をそそる容姿をしていると言えます。
私もクラスメイトやイッセー先輩からそう言われますし。
でも、どうしてそこまでして護るのでしょうか?
そんなことをしなくても、オーフィスさんは無限龍と呼ばれる存在。
死ぬことも無ければ、敵だって赤龍神帝位なものだと思います。
それなのに、護るとは?
それに、どう考えても海原先輩がオーフィスさんを超えているとは思えません。
金色の闘気とやらも、恐ろしい威力でしたが龍に届く技とも……。
「依頼、終わったぞ?」
ガチャっと、海原先輩が部室に入ってきました。
噂をすれば影と言う奴ですね。
「お疲れ様。海原君はいつも仕事が早いわね」
リアス部長が報酬を渡しながら、そんなことを言っていた。
報酬を受け取った海原先輩は紙袋を朱乃さんに渡す。
「土産だ。適当に食ってくれ」
「あらあら、それではお茶を入れますので座っていてください」
海原先輩、どんなお土産を持って来てくれたのだろう?
依頼された仕事を終えて、報告する時に先輩はいつも新しいお菓子を買って来てくれます。
私へのお菓子情報の一つだと言っていましたが、これが本当にいいお菓子ばかりを持って来てくれます。
買ってくるのも多いですが、たまに自作のお菓子も持って来てくれるのが、本当に律儀な先輩だと感じます。
「イツツ……。そういやぁ、聞きたかったんだが海原」
胃痛から復活したアザゼル先生が先輩に向かって疑問をぶつけます。
「なんですか?」
「正直、力の事とか聞きたいことはたくさんあるが、これだけ答えてくれ。……なぜ、オーフィスを護る?」
その言葉に、部室は一瞬でシーンと静まり返ってしまう。
奥の給湯室で朱乃さんがお茶を入れているであろう音だけが響いていた。
「まぁ、ガキの頃の誓いを愚直に守っているだけの話なんだが……」
そう前置きをして、海原先輩が語り始めました。
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曹護 side
アザゼル先生が問うてきた質問は、ある意味では当然の疑問だろう。
現状、俺はオーフィスを超えられない。
だと言うのに、俺が明言しているオーフィスを護ると言う目的。
「まぁ、ガキの頃の誓いを愚直に守っているだけの話なんだが……」
○○○
海原家は波紋使いの家系であると同時に、魔術師の家系だと言う事は以前も話したな?
うちの親父と兄貴は魔術師としては破格の才能の持ち主でな。
兄貴は時計塔で魔術を学び、親父は当時小学生だった俺を連れてあちこちを回っていた。
もうどこで会ったかも忘れてしまったが、その時に出会ったんだ。
無限龍オーフィスにな。
なぜあんなことになっていたのか、なぜあの場所にオーフィスが居たのかすら分からない。
俺と親父が辿り着いた時には、その町は燃え盛り、その中央に彼女がいた。
親父の予想だと、身の程知らずにも無限龍を召喚しようとして彼女の逆鱗に触れたのだろうと言う話だった。
その時に、町が燃えながら崩れていく中で、それに何の価値も見出していない様な瞳をした彼女。
オーフィスから俺は目を離せなくなっていた。
親父が駆け回っている中で、ずっとオーフィスを見ていたんだ。
普通ならそこで恐怖を覚えて、その場から逃げだすのだろうが、俺はオーフィスから目が離せなかった。
崩れる建物、幸い死体は見えなかったが返り血を全身に浴びたその姿。
でも、その姿に俺は魅かれた。
おそらく誰も勝てないだろう存在を、悲しそうだと思った。
なにも無い。
なにも気にしてない。
それがどんなに辛い事か、悲しい事か。
なによりも、それに気付いていない事とか。
その時につい言っちまったんだよ。
「いつか、君の隣に立ちたい」
ってな。
笑っちまうだろ?
無限龍の隣に立ちたいって、小学生のガキが、燃え盛る街の中で返り血を浴びた少女相手に言ったんだ。
今でも思うよ。
もしかしたらあの日、人として大事な何かを落としてしまったんじゃないかってな?
「……? 弱いお前には無理」
そう切り返されたな。
悔しかったよ。
当たり前だっていうのに悔しかった。
その時に誓ったよ。
無限龍にも届きうる力を手に入れてやるってな。
「必ず、強くなる!」
そっから、死に物狂いで自身を鍛えて、今の力を手に入れた。
高校に入ったあたりで、オーフィスと再会した。
向こうは覚えてないだろうが、俺は認められたらしい。
彼女の傍に居る事を、彼女と過ごす事を。
だから、今できることをやっている。
俺が、オーフィスを護る理由なんて、言葉にすればこんな短い理由だ。
ただの憧れ、哀れみ、同情、色々な感情があるだろうが、何よりも彼女にその表情しかさせられない世界に怒りを覚えただけだ。
ガキの頃の感情のままこうやって守ろうと努力している最中だよ。
○○○
懐かしい。
オーフィスにあの頃の事を覚えているのか聞いたことは無い。
覚えていないだろうしな。
だけど、ガキの頃の誓いをこうして護っている。
ちょっとだけ、満足だな。
だが、争いって奴は、静寂を望む彼女も、彼女を護りたい俺も、無理やり流れに組み込もうとする。
本当に、世界って奴はめんどくさい。
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小猫 side
海原先輩に聞かされた、荒唐無稽な話。
だけど、アザゼル先生はポツリと漏らす。
「小学生ってことは、九年前後か? なら、あの事件に当てはまるが……」
どうやら、町か村が燃え落ちた記録があるのでしょう。
海原先輩の過去。
護る意味。
そんな話を聞いた時に、私ももしかしたらその頃の海原先輩と似たような心境になっているのかもしれません。
海原先輩、貴方も他人から見たらそう思われる対象なのかもしれませんよ?
甘味を探したり、作ったりしている時の先輩は、今の無愛想な感じではなく、本当に笑顔でした。
オーフィスさんと触れ合っている時と、その時だけしか、貴方は笑っていませんでした。
先輩は、もっと笑顔になれる世界があることを、知るべきだと思います。
ただ、オーフィスさんを護る為だけに九年以上を費やしているのでしょう?
私と姉様は別れてしまったけど、先輩たちは一緒に居ます。
ですから、笑顔の時間をもっと増やすべきです。
転職したい……。
いや、ニートにはなりませんよ?
ニートになるとネットや小説代払えないですからね。
その為だけに仕事していると言っても良い(`・д・´)キリッ
あ、後美味い物食べたり作ったりすることもかな?
一応、メイン更新がここなんだけど、饅頭外伝の方が書きやすいなぁ。
完結させるまで続けたものだし、当然なのかもしれませんね。