魔法戦記~StrikerS~空虚なる星の記憶~   作:akagitune1

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4.模擬戦(殺し合い)

 右手を掲げた瞬間に複雑なミッド式魔法陣が一瞬で形成され、集まった高密度の魔力に白色の"局員が着る制服"をはためかせながら唱える。

 

「ディバインバスター」

 

 放たれたのは桃色をした極大の光線、軽くAランクの攻撃力を誇っているその砲撃だがその攻撃がデバイスの補助なしで放たれたなど実際に目にしなければ誰も信じないだろう異常。

 

 それをサーチャと呼ばれる遠くを見る魔法で見ていた者達はだれもが、この一撃で終わったと感じた。なにせ放たれた先にいた対戦相手(愚か者)もまた、なのはと同じように局の制服にデバイスなしという出で立ちだったからだ。

 

 だが破壊の光線によって舞った、土煙が晴れるとそこにはとくにダメージを負ったふうには見えない仮面の男が一人。

 

「へぇ、その状態でもAMFを張れるんだ?」

 

 AMFとは魔力の結合を阻害することで魔法を無力化させるAAAクラスの魔法技術。仮面の男、トーマもまたなのはと同じく異常であった。

 

「そちらこそ、デバイスの補助なしで出せる出力じゃない」

 

「潜った修羅場が違う・・・・・・っていいたいけど、たいして変わらないかな。まっ、今ので君の実力は分かったかな」

 

「それなら、終わりだな」

 

 その言葉にキョトンとするなのは。トーマとしてはこの模擬戦は自分の実力を図るための場であると考えていたからその言葉は間違いではない。間違いがあったとすれば、読み間違えていたということであろう。もしもあの時、なのはではなくフェイトと模擬戦をしていればここで終わっていただろう。

 

「ウォーミングアップわね、行くよ。レイジングハート」

 

「all light my masuter」

 

 またたきする間もなくなのはの手には愛杖と白い下地に薄っすらと黒色の線が入ったバリアジャケットが展開される。

 

「チッ」

 

 それを見て、トーマはそのままに前へと飛び出す。相手を歴戦の砲撃手であると考えたが故の近接戦闘に持ち込むという思考。だが歴戦の砲撃手たる彼女がそのような対策を全く打たないわけがなかった。

 

「グラビトン♪」

 

 どこか楽しそうになのはは歌う。ただそれだけで彼女の周りの地面に落ちていた石ころ達がピシッという音と共に割れる。なのはが行ったのは自らを中心に置いた重力魔法。SSSクラスの難易度を誇る上に消費魔力がとても大きいため、基本的には部隊ごとで数十人掛かりで展開させるのが普通であるはずのそれをただのシングルアクションにて展開させるなのははまさに管理局が誇るエースの中のエースであった。

 

「e____i」

 

 だが対するトーマもまた、エース。なのはと同じか、なお速い速度で真っ黒の鎧型バリアジャケットを纏いてその右手に銃剣を装備した彼は黒騎士という異名に恥じることない出で立ち。

 

「これ以上は、無意味だ」

 

 そしてグラビトンを受けてなお、トーマだけ避けるように魔法が届かずに無傷。それが分かっているがゆえに無感動に手にした銃剣をまっすぐなのはに構えていう。だが

 

「ふふっ」

 

 なのはは嗤う。クツクツと、銃口を向けれているのにも構わずに。なにがおかしいのか腹を抱えて嗤う。

 

「あはは」

 

「なにが、おかしい」

 

「こういうこと」

 

 嗤いながらそう言うと突如としてなのはが砕ける。いや、正確には霧散する。なのはが行なっていたのは単純な幻影魔法、だがトーマはもとよりサーチャーで二人の模擬戦を見ている観客もいた中で変われる隙などあるはずもなかった。

 

「まさか・・・・・・」

 

 答えはトーマを覆うように現れたクリスタルゲージとよばれる魔力檻。そして真上を見るとそこには"初めて杖を向けた"なのはの姿。

 

「ちょっとだけ、本気で行くよ」

 

「all right master」

 

 そして桃色の光が辺り一面を覆い尽くす。それは収束魔法と呼ばれる高難易度の技術、だというのに収束されていく速度と圧縮されていく魔力が異常。なにせものの数秒で彼女の周りに存在していた魔力は枯渇したのだから、そして魔力がなくなった空間を埋めるように膨大な魔力が辺りから流れこみ、その余波が彼女の長い栗色の髪を揺らす。

 

「ディバインブラスター」

 

 そして彼女の声(トリガー)とともに放たれたのは、何もなかった。そう、彼女の杖の先からは何も出ているようには見えなかった。

 

「チィッ」

 

 だがトーマは舌打ち、そしてトーマは銃口を頭上のなのはへと向けて叫ぶ。

 

「撃ち抜けッ」

 

 放たれたのは黒色の砲撃。とても瞬時に放てる威力ではないにもかかわらず、だがその攻撃はなにかと競り合うようになのはには届かない。

 

「ふふふっ、強いね」

 

 自らの眼前に黒色の死が有るというのにもかかわらず、平然となのはは嗤う。媚びるように、見下すように。

 

「なんだ、お前は」

 

 対するは困惑。理解できない、許容できない、違う生き物。そんな感情が歴戦の戦士であるトーマにして思い浮かぶ。まるで油と水、汚染しようとする油にそれに必死に抗う水。

 

「不愉快だ」

 

「そう、私は愉快だよ」

 

 轟音とともに2つの力がぶつかり合いながらも、二人の声は互いに届く。

 

「消えろ」

 

 それがとても不快で、トーマはここにきてようやく反撃に出る。いままでのも、そして今現在のもやられたからやりかえすという受け身だった彼がここにきてようやく動き出す。

 

 それは砲撃を中断すると同時に空へと駆け抜ける暴挙、そう暴挙だ。砲撃手というのはどれほど優れていようとも近づかれればそれで終わり、そのことをなのはが理解していないはずもなくその結果。空は縦横無尽に罠という罠が張り巡らされた不可視の要塞と化していた。

 

 だがその全ては彼にとって意味を成すことはない。彼がとった防御らしい防御といえば二度、一度目は広域殲滅魔法たるグラビトン、そして不可視の砲撃。だが空に浮かぶそれらは前述の2つほど凶悪なわけもなく、暴挙にしか見えなかった彼の行動は実は正解の判断であったというところである。

 

「さっすが♪」

 

 バインドも魔力弾も被弾したそばから無効化されているというのに、なのはは楽しそうに嗤う。そしてトーマの手にした銃剣が振り上げられ、一閃目で彼女のシールドを紙のように切り裂き二閃目が彼女を襲う直前となってもなのはは笑い続ける。

 

「つっかまえた♪」

 

「なっ」

 

 だがその凶刃がなのはに届くことはなく、わずか数センチの所で止まっていた。トーマには刃を止める理由はなく、何かをしたとすればなのはのみ。

 

「簡単な攻撃は全部無効化、だから君は私の攻撃を受けることを良しとした。だけどね」

 

「ぐっ」

 

 苦しそうな声を漏らすトーマ、彼の首筋をよく見るとそこには細い銀色の何かが巻き付いている、否。彼の身体中にその銀線は巻き付いていた。

 

「それが全部囮っていう可能性になんで気が付かないのかな。君の敗因は焦りすぎたこと」

 

 そう言ってゼロ距離にて愛杖をトーマに突きつける。そして急速に収束されていく魔力が風を巻き起こす。

 

「次はもっと楽しい"おはなし"がしたいな」

 

 そして放たれたのは桃色の光。その光はトーマを吹き飛ばしどこまでも飛んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は少し、遡る。

 

 

 

 

 配属された初めての部隊の模擬戦。今まで様々な魔導師達と戦ってきた”彼女”だが、朝の突然の呼び出しから始まった現状の模擬戦は今まで経験し、または見てきた戦いと次元が違っていた。

 

「これがエース・オブ・エース・・・・・・」

 

 虹彩異色の瞳を大きく見開き、その戦いを刻み付けるように見つめる彼女。

 

「なのはあれでもリミッターを2つかけてる状態なんだよね・・・・・・でもまぁ、あの二人は見たとおり次元が違うから。なのはもなんで分かってるのに見せたんだろう」

 

 金髪巨乳の女神は不思議そうに呟いて、首を傾げる。そしてフェイトの言葉にぎょっとする、入ったばかりの新人と区分されているポニーテールの少女とショートカットの少女。

 

 だが”壁銀の髪の少女”は微笑む。未だ上があるのかと、まだこれで本気ではないのかと。ならば本気ならばどれほどのものなのかと、想像し自分があの二人と戦った時を想像して微笑む。

 

「スバルとティアナはあぁはなるなよ、これ以上あくm・・・・・・なんでもあらへん」

 

 どこか身体を震わせて青ざめながらいうはやては何かを思い出してすぐに言葉を重ねることで誤魔化す。

 

「とくにな、アインハルト。頼むからあぁはならないでな」

 

「へっ、はい」

 

 見入っていた彼女、アインハルトは唐突に上司であるはやてに呼ばれ返事をするもその視線は戦闘に釘付けであったのだった。

 

 

 




 なんかいろいろとおかしいって? わたし、疲れてるのよ(-_-;)
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