「俺は戦車道を始めようと思う」
俺は相馬にそう言い切った。
そしてしばらくの間が空き―――
「あっはっはっはっは!まさか冗談で言うとは思ってたけどまさか本気で言うとは思わなかったよ!」
何故か笑われた解せぬ。
「で、どうするの?と言うかどうやって乗るの?女装するの?」
「お前だけしていろ!」
「おい、それは言わない約束だよ?」
爆弾発言する幼馴染みのボケにまんまと引っかかった俺だが今年の新入生歓迎会で女子高主催の男装女装コンテストに出場した相馬の姿がふと思い浮かぶ。
今に思えばあの時の相馬の胸の膨らみとは一体....。
そして相馬と俺はある日を境に距離は常に一定間隔開いている。
昔はよく「かずまーかずまー」って言ってくっついていたのに。
「今更だがあの時の相馬の胸「それよりも戦車道でしょ!」....そうだな」
話が脱線しかけた。いや、していたかな?まぁいい。
戦車道で全国大会に出てやろう。
「相馬。さっきの質問を順に答えていくと、まず校長か理事長に俺達が戦車道する事を伝える。次に戦車道を設立、資金を確保。最後の女装だがする理由が見当たらない」
「なるほどねー」
「あぁ」
そうと決まれば校長室に突撃だ。
―――――――
その日の放課後。
コンッコンッコンッ
俺は校長室の扉を三度ノックする。
『どうぞ』
と室内から県立シラヌイ付属男子高等学校現校長の高村校長の厳つい声が外まで響く。
そして「失礼します」と言い、校長室の扉を開け、俺の視線の先には校長講和で体育館を照らし、机に向かって何かを書いていてる高村校長の光り輝く頭があった。
「....学生が校長である私に対して事前にアポを取る事を学生帳に書いていなかったか?」
そう言う校長は俺がアポを取らずにやってきた事に対してやや訝しげに言った。
確かに新学年の始めの時に再び配布された学生帳には校長が言っていたことが書かれてある。
だが、俺も引けをとってはいられない。
「突然の訪問ですいません。ですが今回の用事は少々急を要するものなので直接伺わせてもらいました」
「ふむ、急用かね」
俺が急用だと言ったから作業をしていた机から顔を上げ、俺に続きを促すような目線で見てくる。
そして先程教室で考えていた問題を聞いてみた。
しかし、高村校長は「くだらん」と言い再び机に向かって作業を再開した。
「校長。私はこの学園が好きです。ですが今の現状を甘えたままでは確実に我が校はお荷物となり廃校はまぬがれないでしょう!高村校長先生はこのまま本校が終わるような事があって本当によろしいのでしょうか!」
「言い訳ないだろ!」
ここまで言うと校長は机に拳を叩き付け、俺を睨み、怒鳴った。
「できうることなら儂だってこの学園を
校長は弱々しく呟きながら再び椅子に腰掛け、悲痛な想いを抱きながらも学園を想う者の願いを。
そしてそれ以外にも気になるのは、
「校長先生、なにか重大な何かを隠していませんでしょうか?例えばこの県立シラヌイ付属男子高等学校を廃校にするようなお話とか」
「っ!?」
俺は思い付いた事をそのまま述べたが校長が驚きを見せたお陰で確信が持てた。
つまり校長には十中八九廃校に話が来ていた、と言うことになる。
「どこからその事が漏れたのだ....」
と禿げた頭を擦る校長。
よほどこの案件の隠蔽には自信が有ったのだろう。
多分だがこの事を知っているのは一部の教師と生徒会しか知らされていないのだろう。
「なぜそう思った....?」
校長が俺が知っている事に対する疑問を投げ掛けてくる。
「校長が残したいさと言ったことでしょうか」
昨年度の全国大会で優勝した県立大洗女子学園にも廃校の話があり、約20年近くのブランクがあったという。
なんの実績を残さず、尚且つ戦車道とはほど遠い男子校であるわが校に失礼だが廃校の話が来ないわけがない。その事を前世が云々等を省いて説明した。
「そうか....」
校長は納得したのか椅子の背凭れに深く沈める。
しかしその顔は諦めた者の顔だった。
「校長、我が校が生き残る方法は一つしかありませんが存在いたします」
俺がその顔に対して不愉快になりつつも一つの提案をする。
それは―――
「ん?言ってみろ」
「我々も戦車道をやれば良いのです」
―――戦車道の設立案である。