えっ、シスコン魔王様とスイッチ姫みたいな力ですか?   作:のんのんびり

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第二百四十二話 立場

 

 

 

 目が覚めて最初に感じたことは、眩しいほどの日の光だった。それに思わず手の平で目元を覆ってしまったイザイヤは、寝起きで働かない頭を横に振りながら疑問符を浮かべる。自分達が住んでいた部屋は、こんな風に朝日が差し込むような場所じゃなかったからだ。逃亡阻止の為か、窓はなく換気口のようなものしかなかった。そこから覗く狭い世界も深い森の中しか映さず、鬱蒼とした雰囲気しか感じられなかったはずだ。

 

「眩しい…」

 

 イザイヤは手の平で光を遮りながら、眠っていたベッドからもぞもぞと動き出す。だんだんと視界が開けてくると、目に入ってきたのは木でできた温かな色合いの空間。研究所のような無機質な壁に囲まれておらず、思わず目を瞬かせてしまう。ここが一体どこなのかと呆然とし、次に身綺麗になっている自分自身をまじまじと見てしまった。肌触りの良い寝間着を身に着け、実験によってできた傷や痕も消え、身体の調子だって良い。

 

 恐る恐るベッドから抜け出すと、部屋はそれほど広くないが、勉強机のようなものや棚が置かれている。収納棚の中には子ども服が数着かかっており、施設に置いていたはずの私物が一纏まりにされていた。目新しいものに釘付けになっていたイザイヤは、コンコンと扉が叩かれた音にビクッと肩を跳ねさせる。咄嗟に「はい!」と返事をしてしまったが、やってしまったとアワアワしている間に扉はゆっくりと開かれた。

 

「イザイヤ、やっと起きたのね! もう、あなたが一番のお寝坊さんなんだから」

「……トスカ?」

「えぇ、どうしたの? もしかしてまだ寝ぼけて――ってイザイヤ!?」

 

 白髪をリボンでおさげにした溌溂とした少女の顔を見て、イザイヤの瞳から無意識にポロポロと涙が零れていた。それに慌てたトスカは、イザイヤの傍に寄ってよしよしと柔らかな金髪を撫でる。その手のぬくもりを感じると同時に、自分が見た奇跡が決して夢じゃなかったんだとようやく実感を覚えた。その安心感で流れてしまった涙で心配させてしまったことに、大丈夫だと赤くなった頬で謝罪を口にした。

 

「ごめん、何か安心しちゃって…。僕達本当にあそこから出られたんだね」

「うん、それもみんな一緒にね。ぜーんぶ私が眠っている間に解決しているんだもの。びっくりしちゃった」

「はははっ…」

 

 ぷぅと可愛く頬を膨らませるトスカに、イザイヤは乾いた笑みを浮かべるしかない。解決したのは間違いないが、その過程の混沌さを経験した身としては笑うしかないのだ。地獄のような日々から抜け出せたのだから、間違いなく待ち望んでいた瞬間だったと言える。しかし、同時に世界のヤバさ(広さ)を知り、価値観をひっくり返され、呻くモザイク怪異の後に神のような奇跡を目のあたりにした。同時に色々起こり過ぎである。何だかまだ夢を見ているような気持ちになってしまうのは仕方がないだろう。

 

「トスカは大丈夫なの?」

「私? 身体の方は大丈夫よ。お医者様が言うには、衰弱が少し見られたけど栄養のあるものをしっかり食べて、激しい運動を控えていれば問題ないって言われたわ。本来なら因子の摘出による後遺症や仮死状態による肉体の損傷とか色々心配はあったらしいけど、あの施設で保護された子どもの中では一番健康だって診断されちゃった」

「そ、そうなんだ…」

 

 トスカからの言葉にイザイヤの脳裏に過ったのは、目に焼き付いて離れない眩いばかりの暁光の奇跡だった。あの時、トスカの身体に赤色の蝶が集っているのを見て、直感だがそのおかげなんだろうと思う。神器の暴走を止めるだけでなく、癒しの力まで使えることに改めて驚くしかない。

 

「むしろ、体力の限界を越えて動いていたイザイヤが一番の重症だったのよ! 神器がイザイヤの気持ちに呼応して、火事場の底力みたいなものを出していたから動けていたみたいだけど…」

「それは、トスカが心配で…」

「わかっている。……ありがとう、イザイヤ。イザイヤが目覚めたら、一番に言いたかったもの」

 

 気恥ずかしそうに頬を赤らめてお礼を告げるトスカに、イザイヤもどういたしましてと二人で笑い合った。トスカからここが教会の施設で、療養と今後のことを学ぶために自分達がお世話になる場所だと聞く。この部屋もイザイヤのために用意されたもので、他の子ども達にも一部屋ずつあるらしい。『聖剣計画』の子ども達を保護するために、前から準備されていたと聞いて目を瞬かせた。

 

「ここって元々戦士育成施設の一つで、今はあのエヴァルド・クリスタルディ猊下の門下生が使っているところみたいよ」

「クリスタルディ猊下って、助祭枢機卿でエクスカリバーの使い手で「どーん」の人…」

「どーんの人…?」

「う、ううんっ! なんでもない!」

 

 電波が飛んだ。頭を振って迫真の「どーん」を消すと、どうやら紹介PVを撮ったイリナとアーシアがいる教会に保護されたらしいとわかる。トスカはまだビデオを見ていないようなので、おそらく後で見ることになるのだろう。思わずご愁傷様とお祈りしたくなったが、アレを彼女一人で見せるのはそれはそれで心配である。しかし、あの混沌をまた見るのは色々な意味で勇気がいる。一回目は衝撃が強すぎて呆然としたが、二回目だと冷静に見れる分情報量がヤバそうだった。

 

「……一蓮托生。みんなで見れば怖くない」

「イザイヤ?」

「大丈夫だよ、トスカ。僕達は仲間を絶対に見捨てたりなんてしないッ……!」

「えっ、そんな決死の覚悟を決めるシーンあった!?」

 

 イザイヤのマジトーンの気迫に、トスカはびくりと肩を震わせたのであった。そんな覚悟を決めていると、ふと彼女の白い髪に結ばれているリボンの片方がないことに気づく。そのリボンは彼女のお気に入りで、なくした時は非常に落ち込んでいたことを覚えている。その視線に気づいたのか、トスカはにんまりと笑みを深めた。

 

「ふふっ、私のなくしたリボンをイザイヤが拾ってくれたんでしょ。たぶん、そこの箱の中にあると思うよ」

「えっ、わかっているなら取ってもよかったのに」

「もう、イザイヤから直接受け取りたいって気持ちをわかっていないなぁー」

「ご、ごめん…」

 

 ジト目で言われてうっかり謝ってしまったが、あれ、僕が悪かったのかな? と小首を傾げてしまう。だけど、いつも通りの日常が戻ってきたように感じた。イザイヤは言われた通りに箱を調べると、綺麗に洗濯されて折りたたまれていたリボンを見つける。ここまで運んでくれた人に感謝しつつ、トスカへと歩み寄って両手でリボンを差し出した。

 

「改めてお帰り、トスカ」

「うん、ただいま!」

 

 イザイヤからもらったリボンを白いおさげ髪に結びなおし、トスカは元気にくるっと回ってみせた。

 

 

「あっ、いけない! 朝食がそろそろ出来上がるから、イザイヤが起きているか確認しに来たんだった!」

「えっ、もうだいぶ経っているよ!?」

「まずい、行くよイザイヤ! ボスも待たせちゃっていると思うしっ!」

 

 おしゃべりに夢中になったことにおろおろとしながら、トスカの後に続いてイザイヤも歩いてついていく。一応二人とも病み上がりであるため、走るのはまずいとわかっているので気持ち小走り気味だ。歩きながら、そういえばトスカが話していた「ボス」という聞きなれない単語に記憶を思い起こした。

 

「ボスって、倉本奏太さん?」

「そう、私を助けてくれた人。ただ正直あの時の記憶ってあんまりないの。覚えているのは温かい紅い光と、イザイヤが私を呼んでくれた声ぐらいで…」

「……そっか」

 

 つまり、あの時の奇跡をしっかり見たのは自分と猊下だけらしい。ストラーダの様子から、彼は奏太の力を知っていたのだろう。彼の持つ槍から感じられた聖なる光は、まるで神の腕に抱かれているような温かさを感じた。そして背中から生えた紅い翼と頭部の光輪は、教会でも敬虔な信徒でなければ会えないとされる天使様そのものだった。

 

 施設にいる時は自分や同志たちのことばかりが頭にあったが、こうして冷静になってみると冷や汗が流れてくる。もしかしなくても、僕達はとんでもない方とお会いしていたのではないだろうか。警戒心むき出しで話したことや、トスカを助け出す道中の軽口を思い出し、イザイヤはさぁ…と血の気が引いた。

 

「ボス、私を助けるために無茶したみたいで、イザイヤと同じように少し前に目が覚めたばかりなの。体力をつけるためにも、二人ともご飯をいっぱい食べないとね」

「ト、トスカ。あの、僕達のボスになってくれる人だから、もっと敬った方がいいかも…」

「えっ? でも、さっき助けてくれたお礼を言ったら、そんなにかしこまらなくてもいいよって笑っていたよ」

「えーと、そうなんだけど。そうなんだけどさぁ…」

 

 彼との約束で力のことを黙っている必要があるため、説明ができないイザイヤは渋い顔で呻くしかない。あの方、たぶん天使様だよと言いたい。めっちゃ雲の上の人だよと言いたい。教会の信徒として本来は敬って当然の相手なのに、その本人がむしろ軽いノリを推奨してくる場合ってどうしたらいいんだ。初っ端から胃がじくじくしてきたイザイヤの今後の苦労が垣間見えた。

 

「あれ、でも神器を持っていたはずだから人なんだよね……?」

 

 自分が見た光景と、人間の血がなければ神器を所持できないという事実の矛盾に首をかしげてしまう。光力を持ち、光輪と翼をもっているなら天使だと思った。しかしあの時、奏太の神器の光を浴びた魔剣が脈動するように鼓動したのを覚えている。神器同士が共鳴し、身体に熱が走ると同時にオーラが膨れ上がった感覚。直感ではあるが、あの聖遺物(レリック)は神器だと感じた。

 

 ここにきて困惑で頭がいっぱいになる。正直心の準備が何もできていないし、どう接すればいいのかわからない。どんな風にお会いすればいいんだろうと悩むイザイヤを置いて、トスカが食堂の扉をさっさと開けてしまったことに慌てたが――

 

 

「やだぁぁああぁッーー! あの混沌とした杖大会に行きたくないっーー!!」

『ダメだよ、カナくん。君、一応主催者側だからねぇ。病み上がりだから午後まで待つけど、さすがに『変革者(イノベーター)』目当てで来た選手も多いんだ。選考でだいぶ人数は絞ったから、最後ぐらい顔を見せなさい』

「一般通過聖剣使いとか、ロックフェスする戦女神様とか、ノリノリの魔王少女様とか、他にも濃い面子が多数いるんでしょ!? 絶対に収拾つかないじゃん!」

『ふふふっ、カナくんも丸投げされる恐怖を知ろうねぇ』

「うわぁぁぁああん!!」

 

 

「……ご飯、食べようか」

「う、うん」

 

 通信で赤と青の髪をした男性に諭され、マジ泣きする奏太(ボス)の姿を背に、子ども達は現実逃避することにしたのであった。

 

 

 

―――――――

 

 

 

「はい、朝食のパンと野菜スープですよ。おかわりもあるのでたくさん食べてくださいね」

「あ、ありがとうございます。あの、アーシア・アルジェントさんですよね?」

「はい、私の名前を憶えてもらえて嬉しいです!」

「イザイヤ、アーシアさんにお礼を言っておいた方がいいよ。ここに運ばれたみんなもだけど、アーシアさんが治療してくれたんだから」

「えっ!?」

 

 イザイヤが目を丸くすると、えへへと照れたようにおぼんで顔を半分隠すアーシア。確かに朝起きた時に痕が見当たらず身体の調子も良いと感じていたが、まさか聖女である彼女の力のおかげだったとは。『聖剣計画』の施設にいた頃から「聖女アーシア」の名前は聞いていた。そして、ビデオ越しで彼女の言葉に励まされたことも記憶に新しい。イザイヤはアーシアの方へ向き直り、丁寧に頭を下げた。

 

「ありがとうございます。すごく調子がよくてびっくりしました」

「そう言っていただけて安心しました。もし怪我をしたら、いつでも声をかけてくださいね」

「ええと、いいんですか?」

「これでも元聖女ですから」

 

 ふんす、と可愛らしく胸を張るアーシアに二人で笑ってしまった。「元聖女」という肩書きは、彼女にとって悪い意味ではないのだろう。今は違ったとしても、これまで聖女として頑張ってきた自分自身をちゃんと認められた証なのだから。それから少し視線を彷徨わせたアーシアは、おずおずと声をかけた。

 

「あの…、よろしければ私のことはアーシアって呼んでください。私もあなたをお名前で呼んでもいいですか?」

「あぁ、もちろん。改めてイザイヤって言います。これからよろしく、アーシアさん」

「はいっ! あと、お、お友達になっていただいても……よろしいでしょうか?」

「友達…」

 

 少し不安げに、でも勇気を振り絞って真っ直ぐに視線を合わせるアーシアに、イザイヤはきょとんと眼を瞬かせた。これまでイザイヤに友達はいなかった。『聖剣計画』で一緒に暮らしていた同志達は仲間であり、家族のような括りだったからだ。幼い頃から聖剣のために生き、同年代の他者と関わってこなかったため、こんな風に友達ができるということに嬉しさから頬が赤くなった。

 

「えっと、ありがとう。友達って僕初めてで、どうすればいいのかわからないけど…」

「それなら、私もまだまだ友達初心者ですよ。イリナさんにいっぱい教えてもらっているところなので、一緒に勉強していきませんか?」

「ほぉーら、イザイヤ。女の子にここまで言わせて、まだ返事もしないの?」

「あははっ…、まったくだね。うん、友達になろう。ちなみにトスカは?」

「私はアーシアさんの最初の友達で、寝坊助のイザイヤが一番最後」

「やりました、みなさんと友達になれました! うぅっ、一日でこんなにたくさんの友達ができるなんて…」

 

 どうやら施設にいたみんなへ、すでに声をかけた後だったらしい。ちらっと視線を周りに向けると、何人かがニヤニヤとこちらを見ていたり、アーシアにほっこりとした表情を見せていたりした。「あぁ、主よ…」と感動にお祈りを始めるアーシアに、つい微笑ましさに笑みを浮かべてしまう。最初の友達が彼女でよかった、そう心から思えた。

 

「あと、今は厨房の方でお手伝いをしているイリナさんも後で友達アタックしてくると思うから」

「友達アタック…」

「ふふっ、……こんな風にのんびりとご飯を食べられるようになるなんてね。まだ夢の中にいるみたい」

「……これからは、ずっとだよ」

「うん」

 

 並べられた朝食を前にお祈りをした後、ほかほかのパンに二人で齧りつく。野菜スープの具は細かく刻まれていて、病み上がりのイザイヤ達でも食べやすいようになっていた。しばらく食事を黙々と進めた頃、通信が終わったらしいボスが力尽きたようにテーブルに突っ伏しているのが目に入る。杖大会のカオスさはイザイヤ達もよく理解しているので、静かに十字を切ってアーメンと冥福を祈るしかなかった。

 

 

「うぅぅっ…、俺の安息があと数時間で終わる…」

「どんまいカナたん。俺はそろそろ次のところに行くけど」

「見捨てるのか、デュリオッ!?」

「ごめん、俺を待つ弟と妹達がいるんだァッ!」

「この、キングオブお兄ちゃんがァァアアッーー!!」

 

 でも、子ども達を待たせちゃダメだから行ってこい! で何だかんだで見送る奏太とデュリオのやり取りに、仲良いなこの人達と朝食のパンを齧りながら眺める。実際、『教会の切り札』であるデュリオは忙しい身だ。仕事の合間に教会の子ども達のところへ顔を出す生活をしているため、朝食を食べたら出勤しないと時間が足りなくなる。クリスタルディ猊下のお膝元であり、もう一人の最強が残っているなら護衛の心配もいらないだろう。

 

「それじゃあ、みんな。また今度遊びに来るね」

「はい、ありがとうございました。でも、いいんですか?」

「もちろん。君たちも俺にとって大事な弟と妹なんだから」

 

 くしゃりと子ども達の頭を撫でると、今度はおいしいお菓子を持ってくるよと笑って行ってしまった。神滅具持ちであり、若手の教会の戦士の中でトップレベルの実力を持つデュリオ・ジェズアルドの名前を知らない者はいない。そして、誰よりも優しい人だとも。その手の温かさを実感した子ども達は、もう一度頭を下げて彼を見送った。

 

「はぁー…、うん。切り替えた。おじいちゃん、すみません。禁手の後にやっぱり寝込んでしまったみたいで」

「いえ、構いません。しかし、体調の方は本当に問題ないのですか?」

「大丈夫ですよー。だからメフィスト様も俺の顔を見ていける、と判断したんでしょうから。メフィスト様、普段は優しいけど、こういう仕事の話は手厳しいのはわかっているんで」

 

 悪魔だからもあるだろうが、仕事などの契約関係は厳しく教えられているのだ。本当に奏太の体調が万全ではなかったら、ちゃんと休むように言ってくれただろう。大悪魔に仮病は通じない。子ども達には聞こえないぐらいの声音で、小さく息を吐いた。

 

「……あれだけ異能を使って、半日寝るだけで済むって考えるとだいぶ進んでいるのかもしれないですね」

「言われてみると、今回は翼と光輪がありましたな」

「マジっすか。まぁ、ちゃんと後悔がないように力は使っているんで」

「……わかっています」

 

 ひらひらと頭の上に手をやった奏太は、ストラーダの心配げな声にそっと笑った。後悔はないが、小さな弱音ぐらいは吐かせて欲しい。それを理解し、猊下は静かに耳を傾けるだけにする。前回のイングヴィルドの時は、神器が協力的だった。しかし、今回は暴走状態の神器を相手にしたのだ。下手したら丸一日ぐらい寝込む可能性も考えていたが、半日で済んでしまった。もしかしたら、イングヴィルドの神器に干渉した時に共鳴現象を起こしていたのかもしれない。

 

 神器同士が干渉し合うと、お互いに影響を及ぼし合うことがある。それが神滅具同士ともなればなおさらだろう。しばらく朝食に出されたパンを無言で口に運んだ奏太は、深く息を吐いて思考を切り替えていく。相棒に頼んで漠然とした不安などをクリアにしてもらいながら、なるようになるしかないと納得していった。くよくよ悩んでも仕方がないものは考えないことにするのが一番だ。

 

「助けられる人がいるなら、俺の性格的にどうせ止まらないだろうしなぁー」

「難儀ですね」

「本当です」

「しかし、人らしいと思いますよ」

「……なら、いっかな」

 

 吹っ切れたように呟くと、朝食を作ってくれたシスターにスープのおかわりを頼む。そんな奏太に触発され、これまでお腹いっぱい食べられなかった子ども達も遠慮がちにおかわりの声が上がった。原作では決して見られなかった光景。『聖剣計画』は無事に解体され、子ども達は自分の夢を追いかけ、イザイヤとトスカは同じ時間を歩むことができる。目の前に映る子ども達の笑顔がこうして見られたのなら、それが一番だと心から思えた。

 

 食卓を囲む賑やかな声を聴きながら、余韻を感じる様に食事を楽しんだ。

 

 

「さて、午後から俺も仕事にいかないといけないから…。今後についての主要な説明をやっておきたいと思う」

 

 全員が食事を食べ終わり、食器の片付けやテーブルの後片付けが終わった後、第一期生をつれて少し大きめの部屋に集まることになった。部屋の隅にあったパイプ椅子を人数分用意し、緊張しながらも奏太の話に耳を傾ける。部屋にはイリナとアーシアもおり、ストラーダ猊下は周囲の様子を確認して不審なものや第三者がいないか目を光らせた。ここからは関係者のみにしか聞かせられないからだ。

 

「まず、今から話すことはこの部屋の中にいる人以外には他言無用にして欲しい。デュリオやクリスタルディ猊下、ビデオで紹介した子ども達なら知っているから問題ない。みんなは関係者になるから事前に教えておくけど、一応世間への公表はまだ先だからさ」

 

 そもそも新組織の設立の話だって、まだ詳細はそこまで世間に公開されていないのだ。一般信徒の中には、まだ停戦協定による混乱の余波が残っているところもある。イザイヤ達も紹介PVを見るまで異種族や他陣営に対して懐疑的だったので、世間を刺激しないためという理由も理解できた。

 

「みんなは聖書陣営による停戦協定についてはどこまで知ってる?」

「その、正直に言うとあんまり…。去年のクリスマスあたりに聖書陣営が合同で発表して、悪魔・堕天使・天使による戦いの停止が決められたって聞きました」

「あと、十四番目の神滅具が誕生して神器による障害が治る様になったとか…。日本って島国に協定の中心地をつくることになったとか……」

 

 今更だが、歴史的な特大スクープの目白押しだ。どれもが世界を揺るがすほどの事態であり、歴史が動いたと言っても過言じゃない。そして、そんな世間を騒がせた中心となる場所に自分達は関わることになると改めて実感する。だんだん緊張を帯びた顔つきになってきた子ども達に、奏太は肩を竦めてみせた。

 

「そんなに肩に力を入れなくてもいいぞ。駒王町は確かに停戦協定の中心地になるけど、君たちがやるべきことは昨日話した通りだ。新組織の第一期生として将来の目標に向かって活動し、今後のテストモデルになってもらいたい。ついでに悪魔・堕天使側の使者であり、将来を担う有望な若手達との関わりを深めていけたらと思ってる」

「リアス・グレモリーさん達や、姫島朱乃さん達と仲良くってことですか?」

「うん、もちろん無理に仲良しになれとは言わない。だけど、種族や陣営という垣根を越えてお互いを知る機会は持ってほしいかな」

 

 しがらみの少ない子ども同士であり、将来各陣営の中枢を担うことになるだろう有望な若手同士。数年後の和平へと繋げていくための準備段階も兼ねている。聖書陣営が協力し合う姿を、子ども達を通して外へアピールする宣伝にもなるだろう。そもそも自分達が所属する組織の理念は『異種族と共存しながらも、人が人らしく生きられる居場所』をつくることだ。仲良くなる努力をするのは当然だろうと全員が頷いた。

 

「あの、僕達のやるべきことはわかりました。ちなみに僕達ってボスの部下って立ち位置になるんでしょうか」

「んー、そうなるかな。君たちは教会の所属という枠組みから、一旦フラットな立場になってもらいたい。俺も魔法使い陣営に所属しているけど、『HSD×D(止まり木)』という連合組織のトップとして独立している感じだ。メフィスト様……さっき通信で話していたヒトは魔法使いの俺にとっての上司だけど、組織のトップとしての俺は立場的には対等ってことになっている。聖書陣営の庇護は受けているけど、下部組織って訳じゃない」

「えーと…」

「メフィスト様に例えるとわかりやすいかな。彼は大悪魔であり、当然所属自体は悪魔陣営だけど『灰色の魔術師(グラウ・ツァオベラー)』の理事長としての立場も持っている。彼は悪魔だから魔王に従うけど、魔法使い達の庇護者として魔王とは対等の取引を行っている。悪魔の政治には関わらないってスタンスを貫いている方だから、悪魔側に協力的ではあっても、魔法使い達の利益のために一番に動けるんだ」

「つまり、協力はしても一方的な贔屓はしないってことですか?」

「そういうこと。ここは『異種族と人を繋ぐ場』として人を中心にした『中立の組織』だ。異種族の庇護によって守られながら、同時にこちらも彼らに矛を向けることなく有用性を示していくことになる」

 

 メフィスト・フェレスという伝説でしか聞かない大悪魔の部下だとさらっと言われて固まった子ども達だが、今はとにかく理解に努めようと必死に頭を回転させた。メフィスト・フェレスが魔法使いの組織の理事長として悪魔側が対等に見ているのは、それだけ彼の実績と実力を認めているからでもある。大悪魔であり無下にできないほどの影響力を持つ彼だからこそ、悪魔側も相手を立ててくれるのだ。

 

 だが、その相手が人間となると話が変わってくる。悪魔・堕天使・天使という上位種に守ってもらうのなら、当然それだけの対価が必要になる。そしてその対価を払えるから、対等な立場として立つことを認めてもらえたということなのだ。聖書陣営が人による中立組織を認めた対価、というものにごくりと唾を飲み込んだ。

 

「組織の有用性って言うのは…」

「……バルパーのやつも言っていたけど、悪魔や堕天使も組織としての利益がないと新組織の後ろ盾になってくれないっていうのは本当だ。神器所有者を保護することで世界に混乱を起こす可能性を減らせること。有能な神器所有者を確保できるチャンスがあること。あとは、……まぁほとんどは俺が対価を払っているから大丈夫だよ」

「そもそも『HSD×D(止まり木)』は、聖書陣営が若を囲い込むために創ったようなもの。若が中立としてトップに立ち、協力的であるからこそ組織を庇護してくれると言ってもよいのだ」

 

 ストラーダからの補足に、ぎょっと思わず肩を跳ねさせた。たった一人の人間のために大組織が新組織の存続を認め、さらに庇護に置いていながら対等な関係を築いている。本来ならありえないことだが、司祭枢機卿であるストラーダ猊下の言葉に嘘はないのだろうと感じた。奏太はその説明に少し複雑そうな顔をしながらも、おおむねその通りなので口は挟まなかった。

 

「確かお兄ちゃんが持っている神滅具を巡って、聖書陣営が奪い合いになって戦争の発端になるぐらいなら、協定を築いてその力をみんなで共有しようってことになったんだよね」

「うん、俺の神器は不治の病とされたものを治した実績があるからね。悪魔は『眠りの病』を、天使は『神器症』を、堕天使は新規神滅具の研究を、ってそれぞれの目的が一致したって流れだ」

「それが、十四番目の神滅具…」

 

 事前に事情を知る父親から話を聞いていたイリナは、補足するように情報を伝える。その効果から治療系の神器じゃないかと噂されていたが、大組織がそこまでして確保に動くということはそれほどの力なのかもしれない。

 

 

「とまぁ、ここまでが表向きに発信されている情報だ」

『えっ?』

「ここからが本番。現在停戦協定を結んでいる聖書陣営だけど、すでに和平を見据えて動いている。もともと三勢力とも二度目の戦争を起こしたくない思惑は一致していて、冷戦を止めるきっかけをずっと探していた。つまり、都合よく聖書陣営に影響を及ぼせる俺の存在は、彼らにとってその後押しになったってわけだ」

 

 停戦協定というだけでも大事だったのに、すでに和平までの道筋ができていることに子ども達は呆然と目を見開く。奏太の存在はきっかけに過ぎず、神滅具を口実に協定を結ぶ理由付けにしたのだ。ある意味で利用されたと言ってもいいだろうが、奏太も奏太で頼りまくったり丸投げしまくったりしているのでお互い様だろうと思っていた。

 

「本当に和平を結ぶんですね…」

「あっ、だから三つの勢力が集う緩衝材となる場所が必要だったってことか。三勢力間で取り合いになっていた人間の異能者を中立の組織が保護することで間を持つことができるようになったってことですね」

「そうそう。それに俺がボスをやれるのもコネみたいなもんだしな。魔法使いの理事長の直属の部下で、魔王の弟子で、堕天使の総督の教え子で、聖書の神様の後継者を宿す神の子だったからって感じだし」

「いやいやいや、ヤバい肩書きが渋滞し過ぎで――って、ん?」

 

 今、絶対聞き逃してはいけない肩書きが耳に入った子ども達は、ギギギと壊れた人形のように顔を奏太へと向ける。理事長も魔王も総督もヤバいが、特大の爆弾がさらっと投下された。奏太は教会の子ども達の反応に「やっぱりかー」と小さく笑いながら、自分の立場について明確に口にした。

 

「聖書の神様は唯一神として君臨していた。しかし、聖書陣営の覇権は長期にわたる戦争でも決着がつかず、戦う理由だった当時の魔王ルシファーもすでにいない。もう天使や信徒たちも疲労困憊で、これ以上の戦いは守るべき人間を傷つけるだけだと判断した。しかし、悪魔と堕天使と手を取り合うには、戦争の主導者だった自分が表に出ては彼らに余計な恨みを募らせるだけと考えられた」

 

 レーシュという聖書の神の後継者が生まれたのは、偶然が重なって生まれた奇跡であり、聖書の神の意思は介入していなかった。しかし、唯一神がいるのに何故後継者がいるのかという疑問は当然生まれるだろう。だからこそミカエル達は相談し合い、協議を重ねた結果、世界へ発信するためのバックストーリーが創られたのだ。

 

 神の死は決して悟られてはならない。故に神は存在しながら、後継者がこの世界に立つ流れが必要だった。もちろん主要な上位陣には神の死を伝える必要はあるだろうが、最高機密を知るのは少人数であった方がいいのは当然だ。なので、ラヴィニアやリアス達にも神の死については一切語っていなかった。彼らに伝えるとしたら、原作のように世界へ影響を与えられる立場に成ってからになるだろう。

 

「魔王ルシファーに代わって、子である悪魔が魔王の後継者になったように。神もまた自分の後継者(新しい神)に世界の主導権を任せることにしたんだ。それが唯一神として君臨していた自分自身の教えに背いた罰。その後継者を熾天使であるミカエル様達が支え、神は天界の奥に籠られることになった」

「つまり、私達の神様は今いないの?」

「あまり大っぴらには言えないけど、戦争での傷や消耗がまだ癒えていないんだ。神様だって疲れるからね、これまでずっと働いてきたからゆっくり休む必要があるんだよ。でも、神様は君たちを見捨ててはいない。眠りにつきながらも世界で不具合が起きているところを修繕したり、世界を守るために裏で頑張ってくれていたりするんだ」

「そっか、神様にもお休みが必要なんだね」

 

 神は天界の第七天で傷を癒すために眠りにつく。そして目を覚ました時に裏で世界のために働きかけてくれている。唯一神を下りた罰としてトップの座を自ら下り、後継者であるレーシュと天使長であるミカエル様に天界を一任された。大まかなストーリーはこのようにつくられ、後継者であるレーシュがまだ生まれたてなこともあり、しばらくはミカエル様が天界の実質的なトップとして動くことになる――と和平の時に公表される予定だ。

 

 神の死後、天界を運営していたのは天使達であるため彼らの体制自体は何も変わっていない。そもそも相棒であるレーシュが宿主至上主義過ぎて、天界の運営に関して全く興味を示さないどころか「天使長がやればいいじゃん」と丸投げ状態なのでミカエルの心労はいかほどかは関係者のみぞ知る。彼が天界のトップを後継者に託せる日は果たして来るのか…。

 

「新しい神様を主が…。ど、どのような方なのでしょうか」

「えーと、どんな…。精神年齢的に言うと、……十歳ぐらい?」

『十歳ッ!?』

 

 アーシアの質問に、さすがに新しい神様が宿主にしか興味がないオカンで保護者から問題児扱いされているとは言えず、とりあえず精神年齢で誤魔化すことにした。実際、相棒は存在自体は長く在ったが、自我が芽生えて他に興味を持つようになったのは奏太が神器に覚醒した十年前だ。奏太を通して、最近ようやく外にも関心を多少は見せるようになったぐらいである。宿主に対してですらコミュ障を発揮し、心から引きこもりたい精神を持つ相棒に奏太は遠い目になった。

 

 まさか新しい神様が、自分達よりも年下だったことにポカンと口を開けて固まる子ども達。さすがに神様の後継者と言っても、精神年齢十歳に親である神と同等のことを願うのは厳しいだろう。天使長であるミカエルが、神に代わって天界のトップとして取り仕切っていることに誰もが納得した。

 

「相棒は俺の神器に宿っていて、今は俺を通して色々勉強中なんだ。天界でこれまで通り世界を回しながら、奇跡の力も俺を通して地上に届けることができる」

「奇跡を起こす神の力を持つ神器。神滅具として認定されるのは当然であり、聖書陣営が和平へと舵を切るきっかけにもなられたのだ」

「じゃあ、トスカが助かったのはやっぱり奇跡の力だったんだ…」

「えっ、えぇぇ…、つまり私って神の奇跡を体験しちゃっていたの? とんでもなく畏れ多いことしてた? うぅぅ~、とにかくありがとうございます、後継者様! でもせっかく奇跡を受けられたのに、何で、何でその時の記憶がないの、勿体なさ過ぎるよ私のバカぁ…」

 

 己の目で見た奇跡に憧憬を滲ませるイザイヤの隣で、トスカは虚ろな目でガックシと肩を落としていた。だが、神の奇跡を受けたことは事実であるため、アーシアや周りからのキラキラした目にちょっと有頂天になって、ふふんと胸を張ってしまった。

 

 そんな中、ふわりと奏太の周りを白色の蝶が舞い、子ども達の顔を見つめる様に静かに宿主の肩に止まった。微かに感じる荘厳なオーラに、子ども達は反射的に頭を垂れたくなったがスッと奏太が手でそれを止めると「珍しいね、相棒」と蝶の頭を指で撫でていた。白い蝶は気持ちよさそうにその指とじゃれた後、静かに姿を消した。

 

「受領、だってさ」

「えっ?」

「トスカちゃんの祈りが相棒に伝わって嬉しかったみたい。ほら、神様への祈りは届いても、相棒自身に祈りが届くことはあんまりないからさ。純粋な祈りって神性にとってはご褒美だから」

「私の祈りが…。じゃあ、私毎日お祈りします! 助けてもらったお礼には程遠いかもしれないですけど…。もちろん、ボスも助けてくれてありがとうございました」

「うん、どういたしまして」

 

 感動で涙目になりながら、トスカは奏太へと深く頭を下げる。照れくさそうに奏太は頬を掻いた後、少し脱線してしまったかなとコホンと咳払いを一つした。それに子ども達も意識を切り替えて、話を聞くために耳を澄ませた。

 

 

「後継者である相棒と相性がよくて、それで色々あった後。相棒をこの地上に下ろせるのが俺だけってこともあって、ミカエル様から神の子としての認定を受けた。バルパーが言っていた『神の領域に越権出来る権利』というのも相棒のおかげだな」

「若は人の身で最も神に近しい方であり、奇跡の体現者でもある。救世主、聖者、二代目神の子……我々にとっては様々な象徴の証ではありますな」

「おじいちゃん、わざと言っています?」

「事実でしょう。若が注目されることを好んでいないのは知っていますが、謙遜し過ぎてはいけません。今後、あなたは彼らの上司となって部下を持つ身となるのです。公式のような体裁が必要な場では、あなたに対して相応の態度が求められるのですから、彼らが失敗しないように忠告しなければなりません」

 

 プライベートなら問題なくても、公式の場で神の子である奏太に対して気安い態度をとるのはまずいだろう。結果的に部下である彼ら自身の首を絞めてしまう。奏太は少し悩まし気な表情を浮かべたが、猊下の言う通りではあるのでこくりと頷いた。これまでのように兄貴分的なノリのまま、組織のボスをするわけにはいかないのも確か。アットホームな職場は心がけるが、立場にあった対応というのは必要なのだ。

 

「まぁ、なんだ。肩書きはたくさんあるけど、俺自身はこんなんだからさ。色々足りないところも多いだろうけど、君たちのボスとして頑張っていくつもりだ。神様の代わりなんて大きなことは言えないけど、俺の手で救えるヒトが一人でもいるのなら出来る限り助けたいって思っている。人も異種族も」

 

 聖書には「隣人を自分と同じように愛しなさい」という戒めがある。この「隣人」とは物理的な距離のことではなく、自分とは関わりのない者や会ったこともない者も当てはまるとされていた。倉本奏太にとって「隣人」とは人だけじゃないのだ。優しさを、和解を、責任を、尊厳を、彼は目に映る全てのヒトに向けている。

 

「でも、俺一人じゃさすがに難しいからさ。だから、もしよかったらみんなも手伝ってくれたら嬉しい。君たちの夢も、俺の夢も一緒に叶えていきたいんだ」

「私達とボスの夢を…」

 

 ごくりと唾を飲み込んだ子ども達は、互いに目を合わせてこくりと頷いていく。倉本奏太の肩書きや立場を考えれば、部下になる自分達の立場も重いものになる。自分達が彼の期待に応えられるかはわからない。また失望させてしまうかもしれない。それでも、『聖剣計画』の時のように周りから求められるまま流されるのではなく、自分達の足で未来を決めたいと感じた。ボスと一緒に夢を叶えながら、「心から神を愛し、隣人を愛する自分」になりたいと心から思えた。

 

 心を通じ合わせていく同志達を見つめながら、イザイヤは胸に手を当ててそっと目を瞑る。これまで自分の夢に対して漠然とした未来しか思い浮かべられなかったが、あの暁の光を目にしてから気持ちが定まったような気がしたのだ。救いを求める者に救いの手を届けたい。あの時のように自分の手を掴んでくれた奇跡を、幻想で終わらせたくない。その理由が、ようやくわかったような気がした。

 

 僕は強くなりたい。誰よりも強くなって、みんなやボスの夢を守り、導く剣になりたい。この眩しい太陽の輝きが、ずっと自分達を照らし続けてくれるように。ヴァスコ・ストラーダの剣技をこの目で見て、世界の頂にある強さを垣間見ることができた。純粋に剣士として、あの高み(伝説)に挑戦したいという思いも強まった。

 

「それじゃあ、改めて。これからよろしくな、みんな」

『はいっ!』

 

 こうして、『聖剣計画』の子ども達は新たな未来に向かって歩みを進めたのであった。

 

 

「あれ、ちょっと待てよ。一個言い忘れてた」

『えっ?』

「俺って『HSD×D(止まり木)』ともう一つ、『魔法少女ミルキー☆カタストロフィ』って組織のボスもやっているんだよね。つまり、魔法少女は君たちにとって先輩後輩同士の関係だ。魔法少女達は自分達に後輩ができたって聞いたら涙を流して喜ぶだろうから、先輩にたくさん教わったらいいと思うよ」

 

 善意でアドバイスを送る奏太の満面の笑顔を見て、ちょっぴり決断を早まったかもしれないと思った子ども達であった。

 

 




 これで『聖剣計画編』は終わりになります。次回は杖大会の顛末と北欧パワー外交になる予定です。その後に堕天使陣営を書くことになりそう。堕天使陣営キャラが濃いんよ…。
 12月は休みの日がバタバタするため、更新はそれが落ち着いてからになります。応援ありがとうございました。
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