…ふ、人気者はつらいぜ…。…別に悲しくなんかないぜ…可愛い女子にとられたかったとか思ってないぜ…。
あとUAがついに1万5千を超えました。
読んで下さったみなさん本当にありがとうございます!!
μ'sと千石撫子と榛名と澪ちゃんは可愛い(迫真)。
…さて、本日はホワイトデー、「3倍返しだ!!」でおなじみ憎きリア充どもの祭典でございます。
ですがうちの主人公はそんなこと全く関係なしに、普通に海未ちゃんのストーカーを始めてしまいました。
…アイデアが足りない!!超難産!!5日かかってようやく完成しました。少し長めです。あと独自解釈を含みます。ごめんなさい。
そして、ぜひ、自分が海未ちゃんをはたから見守っていると思って読んでみてください。
それでは、どうぞ。
翌7月14日の放課後から、「
「…
「しゅう君、どうしたの?その言い方…。まるでスパイみたい」
「1回言ってみたかったんだよこれ。スパイには憧れてたしな」
時刻は
柊哉とことりは、下駄箱の陰に隠れて、海未の行動を窺っていた。
まるでスパイ映画のスパイのように、または探偵の追跡のように、息を殺して、身を潜めて、
今柊哉に課せられているのは、「
だがそれと同時に非常にリスキーなミッションでもあり、下手したら追跡者が(社会的に)殺される可能性をも秘めている。
それに鉄則として、一度でも気づかれたらアウト、協力者との連携をミスしたらアウト、知り合いに見つかってもアウト、暴走してもアウト。
言っちゃなんだが、意外と難易度の高い追跡だ。
当然依頼者及び
自分も彼女らも、海未からの信頼を失うわけにはいかない、という意味を言外に込めて、土下座までする勢いでお願いした。
しかし
『―――やんなきゃ何も変わんないじゃん!!』
という鶴の一声で、その懇願はいともたやすく沈黙へと戻された。
つまりは呑み込まれたのだ。その言葉の正当性に、ある意味での正論に。
その結果柊哉のミッションは、俗に言う「ストーキング」、よく言っても「偵察」と呼ばれる行動になってしまった。
それも、目的は「
(…なんつー滑稽な絵面)
柊哉はそんな自分の行いを見て、今更ながらにその可笑しさに小さく舌を出す。
間違いだらけだ。矛盾だらけだ。おかしなことだらけだ。
まるで犯罪のようだ。
でも。
マイナス面は沢山あるが、それを塗りつぶしてなお余りあるプラス面。
柊哉はそれを、憧れを語るかの如く、きらきらとした瞳で、心中で叫ぶ。
(…それ以上に、成功すれば、海未と友人になれるんだぜ?…上等だ、絶対に成功させてやる!!)
ハイリスクハイリターン上等。
たとえ茨の道だろうとも、炎の道だろうとも。
その先に
裏から手を回し、状況を操り、時には自らを危険に
柊哉は、何度だって
(―――変に間違えたらそんときだ。なんか別の
そこまで考えたところで、柊哉は現在の境遇に文句を言うことを諦めた。
ナチュラルにマイナス思考をゴミ箱にダンクシュート。
そして事実を振り返るのではなく、目下の問題へと目を向ける。
とりあえず、さしあたってのそれは1つ。
だが理由を知らない周りの人から見ると、この上なく不審極まりない行動だ。
『………………』
故に道行く生徒から胡乱げな目線を向けられる。
不審者を見るような眼で睨まれる。
(…いったいいつ弁解しよう…)
ことりは笑みを浮かべてそれを受け流しているが、柊哉としては、いったいいつ「変態」のレッテルを貼られるか、と内心ハラハラしていた。
女子高ライフ、「変態」と呼ばれるようになったらそれは人生の終わりを指す。
柊哉としては、せっかく手に入れた美少女と過ごす空間を壊さないためにも、それだけは断固避けなければならない。
とはいえ、追跡しているのがことりと自分だとわかると、何故か生徒たちは皆一様に退いていくので、今のところ柊哉が心配するようなことは起きていない。
―――まあ、それはそれで逆に『自分がどういう目で見られてるんだろう』と心配になるのだが。
いずれにせよ、心配事がいっぱいだ、と柊哉が悶々と悩んでいると、柊哉の代わりに海未の行動を見張っていたことりが、小さく声を上げた。
「…あ、
「ようやく来たか…!頼むから打ち合わせた通りに動いてくれよ~っ」
言われて見ると、ちょうど穂乃果が海未に駆け寄って、息を整えているところだった。
「ごめん、遅れちゃった~」とかなんとか言って、手を合わせている。
そして、海未はそんなごめん態勢の穂乃果に、「大丈夫ですよ」と優しげに微笑んでいた。
柊哉はその光景に心の底から成功を祈る。
真面目な話、これ以上海未に嫌われると、柊哉は
自らの人生の行く先を決める大事な作戦、といえば明らかに大げさだが、柊哉のこれから先に少なくとも関わってくることは確実なのだ。
そして、行動しなければ何も変わりはしない、ということを、先の
知っていたからこそ、あの穂乃果の作戦を承認したのだから(気づいたのは承認してから3時間も経った後だったが)。
つまり簡潔に言えば、柊哉は
成功を祈らずして何を祈ろう。
(―――ああもう怖いねぇ、このゾクゾクするようなプレッシャー…気持ち悪すぎて吐きそうだぜ…)
「―――ことり、代わるよ」
「ありがとう、しゅう君。…私は後方の警戒するね」
柊哉は一抹の楽しさと、潰されるようなプレッシャーをひしひしと感じながら、ことりと見張りを交代する。
しかしただ交代だけするのも嫌だったのか、ことりは柊哉には見えない、後ろ側の見張り(兼、知り合いの追っ払い)をしてくれるようだ。
願ったり叶ったりだ。
遠慮なくお願いする。
「…すまん、マジ助かる」
後ろをことりに任せた柊哉は、一度キョロキョロと辺りの様子を窺うと、そろっと下駄箱の角から顔を出して、目的の方角へと顔を向けた。
ターゲットの2人は未だ談笑中。
本当に楽しそうに、友達どころか親友、とまでいった感じの、和気藹々とした会話だ。
穂乃果が笑い、海未がそれにツッコミを入れ、そこに穂乃果がさらに合いの手を入れ、海未が呆れてため息をつく。
もはや定例とも呼べる会話の流れ。
(…ああいう話、俺最近してねぇな…)
柊哉は少し羨ましげにそちらを見やった。
それもそうだろう。
今の女子高の暮らしを否定するというわけではないが、前の
可愛い女子の話をしたり、ゲームの話題で盛り上がったり、先生と王様ゲームしたり、
今となっては過ぎ去ってしまった過去の思い出に、柊哉は静かに思いを馳せる。
(…美少女との学園生活も、捨てがたいけどな…やっぱり、ひとりくらいは、俺の境遇を分かってくれる奴が欲しいな…)
叶わぬ願いを夢想し、束の間の思い出に浸っていた柊哉は、あまりにも集中しすぎていたらしく、横からかけられた美少女の
「…しゅう君、穂乃果ちゃんたちが動き出したよ」
「………………」
「…しゅう君?」
「………………」
「おーい、しゅーうーくーん!」
「………はっ!」
その3回目の声掛けで柊哉は我に返る。
そして声の聞こえたほうへと目線を向けると、案の定そこには、ぷくっと頬を膨らませたことりが、柊哉を咎めるように見ていた。
「しゅう君、無視はだめだよ」
「―――…すまん…ちょっと考え込んじまってな…」
「もう…そんなことより、しゅう君、穂乃果ちゃんたち動き出したよ?追おうよ~!」
「へ?…やっべ、マジかよ!…どうやって気づかれずにあっこまで移動すんだろ」
「それは確かに難しいけど…今は2人を追わなきゃ。…行こっ、しゅう君♪」
「…了解」
だが膨らませた頬を元に戻して、楽しげな微笑みを浮かべたことりを見て。
ああ、やっぱ敵わんわ、と柊哉は苦笑して、わざとらしく敬礼すると。
校門を既に抜けようとしている穂乃果と海未を追って、ことりとともに下駄箱の陰から飛び出した。
………。
「…あれ?今、誰かいたような気がしたのですが…」
「き、気のせいだよ、海未ちゃん!さ、早く行こう!」
「穂乃果がそう言うなら…」
『………………』
(…い、一瞬で
―――直後に海未が後ろを振り向いたため、2人は速攻でオブジェの陰に隠れざるを得なくなった。
★
追跡すると、普段は気づかないいろいろな情報を得られる。
よく使い回されている言葉だが、今回のストーキングで柊哉は身をもってその事実を体感した。
例えば帰り道、
そのとき、2柱の女神はとりとめもない話で盛り上がっていた。
近況報告とアイドル活動を主な話題として、話に花を咲かせていた。
その勢いたるや、よくも会話が尽きないものだ、と柊哉を唸らせるほど。
帰宅するまで、永遠に続きそうですらあった。
そんな怒涛の会話の真っ最中。
女神の1人―――海未が突然言葉を止めて、電信柱の陰に視線を向けたことが、ことの発端であった。
「―――わぁ~、猫だぁ~!」
「本当ですね。どこからか迷い込んできたのでしょうか…」
その視線の先に姿を現したのは、1匹の子猫。
真っ白い毛に、ところどころ茶色のブチが入った、まだら模様の子猫だ。
子猫は体と同じ毛色のしっぽを健気に振って、ぽてぽてと歩く。
その姿たるや、美少女に次ぐ可愛さの権化だ。「可愛い」としか形容できない。
その可愛らしい子猫は、しばらく歩き、やがて彼女らに気づいたらしい。
まるで
何かを期待するかのように、無邪気な瞳を2人へと向けながら。
「可愛いねー!ね、海未ちゃん?」
「確かに可愛いです…」
そのあまりの可愛さに、2人は吸い寄せられるように近づいていく。
先に子猫に到着したのは穂乃果だった。
「キミは、どこから来たのかなぁ~?」
彼女はしゃがみこんで子猫に目線を合わせ、満面の笑みで話しかける。
太陽のような、キラキラと輝くその笑顔。
すると子猫はその笑顔を眩しがるように目を細め、みゃあ、と小さく鳴き声をあげた。
「そうかそうか~、キミはえらい子だねー」
その返事に感心したのか、穂乃果は子猫をひょいと抱き上げ、自らの腕の中に「抱っこ」。
そして赤ちゃんを眠らせるかのような優しさで、子猫をゆっくりと撫ではじめた。
抱き上げられた子猫は、最初は不思議そうに辺りをきょろきょろと見渡す。
だがやがてナデナデが心地よくなってきたのか、ふわぁ、とひとつ欠伸を漏らした。
(―――うわあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!)
その情景に、遠くから見ている柊哉は悶絶する。
それもそうだ。これは超可愛い美少女と超可愛い子猫の共演。
美少女を愛でるのが至上、可愛いものにも一定の理解がある柊哉にとって、この情景は太陽のように眩しすぎた。
そして、そんな
「…ほ、穂乃果…」
「ん?どーしたの、海未ちゃん?」
「そ、その猫…私にも抱かせてくれませんか…?」
「え、うん、いいよ?はい。落とさないようにね」
ぷるぷると震えながら海未は穂乃果に腕を伸ばしている。
どうやら穂乃果が子猫を抱き上げているのを見て、自分も抱いてみたくなったらしい。
それを分かっているのか分かっていないのか、穂乃果も別段
その途端。
「…っ!!!…はぁ~、可愛いですね~、可愛いですね~♪」
海未は目をカッ!と見開き、子猫を少しじっと見つめた後。
普段柊哉には絶対に見せないであろう緩んだ表情で、抱いた子猫を撫ではじめた。
ゆっくりと、慈しむように、しかし愛でるように。
(―――…は…?)
そんな海未の破顔を目撃した柊哉は、まず死ぬほど驚いた。
しかしすぐに、隣で一緒に情景を見ていたことりの肩をつんつんと小突く。
そして彼女が振り向くよりも先に、ことの真偽を確かめようと、ばたばたと話しかけた。
「(―――こ、ことり?)」
「(…ん?なぁに、しゅう君?)」
「(俺は夢でも見ているのか?…なんか俺の知らない園田海未が目の前にいるんだが)」
「(あ、えっと…あれは、しかたがないっていうか…)」
「(は?どゆこと?)」
「(…海未ちゃんね、実は結構カワイイもの好きなの)」
「(ほう…)」
「(それで、可愛いものを見ると、ああいうふうに顔がゆるんじゃうんだ)」
「(…ええっと、つまりあれは、可愛いものを見る海未の、デフォルトの表情だと)」
「(大まかにいえば、そうだよ)」
ことりはこくんと頷いて、柊哉の驚きを肯定した。真偽は
つまり彼女は柊哉と同じ、可愛いものが大好きな美少女というわけで…。
「(…どうしよう。なんか急に海未に親近感わいてきた)」
「(私も最初知ったときはそう思ったよ)」
「(だよなぁ)」
ことりと2人、顔を見合わせて小さく笑いあう。
視線を前に向けると、穂乃果も苦笑していた。既に知っていたようだ。
(…つーか、猫を愛でる海未が可愛いから、俺としては全然オッケー☆⌒d(´∀`)ノ…なんだけどねー)
「「「………………」」」
「どうして子猫という生き物はこんなにも可愛いのでしょう…
そのまま暫し、猫を愛でる海未を(可愛いなぁ)と見守るモードに入る。
3人の間にまったりとした、何とも緩やかな時間が流れ始めた。
これで尾行中でなければ、柊哉はおそらく海未と一緒に子猫を愛でていただろう。
何時間でも居座りたいと思えるこの時間を、柊哉は幸せとともに脳内保存する。
可愛い、美しい、神々しい、そんな感想しか出てこない。
柊哉はこの穏やかな時間をとうの昔に捨てたと思っていた。
願ったって許されない、そもそも願うことすら許されないと、本気で思っていた。
しかしμ’sに導かれ、美少女に導かれて、時間はもう一度柊哉に回帰してきた。
戻るはずのなかった、戻るとは思わなかったその時間が。
(―――だから美少女のファンはやめられないんだよなぁ)
柊哉は3人の女神に心の底から感謝しながらその情景を見やる。
「可愛いは正義」とはよく言ったものだ。
自らの人生を、こんなにも彩ってくれるのだから。
柊哉は無垢な瞳で辺りを見やる「可愛い」子猫と、その子猫を慈しむように撫でる「可愛い」海未を、
「―――…にゃ、にゃあ~…なぜ反応しないのでしょう?…にゃ~、にゃ~」
2秒でヒビが入った。
「「「………………」」」
穏やかな時間が一転、痛い沈黙が場を満たす。
現実を直視できない。嘘だと誰かに言って欲しい。
(…え、今の…海未だよな?…あの、クールな園田海未さんだよな…?)
柊哉だけでなく、隣のことりも、海未の傍の穂乃果も、信じられないものを見る目で海未を凝視している。
流石の幼馴染でもネコの鳴きまねをするとは思わなかったらしい。
それも、あのクールな海未が、だ。
静かすぎる時間が、3人の間を流れていく。
聞こえるのは海未と猫が、周りに気づかずにじゃれあう声だけ。
そんな沈黙からいち早く復活した穂乃果が、震える声で海未に話しかけた。
「…海未ちゃん?」
「…なーなー…いえ、これではだめでしょうか…み、みーみー…」
「海未ちゃんっ!!!」
「うひゃあっ!!!?」
穂乃果の2度目の呼びかけに、猫を撫で回していた海未は驚いて飛び上がる。
ようやく隣に穂乃果がいたことを思い出したようだ。海未に見えるのは驚愕の表情。
いつからそこにいたのか、と言わんばかりの表情。
ということは。
猫を愛でるのに夢中になりすぎて、周りが見えていなかったということになり。
「………見ました?」
「うん、ばっちりと」
猫をそっと地面におろした海未の、上目遣いの質問に、穂乃果は正直に頷く。
その瞬間、海未はボシュウッ!!!という音が聞こえるくらいの勢いで、耳の裏まで真っ赤になった。
リンゴのように、とまではいかないにしても、顔全体が桃色に染まるくらいには真っ赤に。
直後、その端整な顔を手で覆うと、恥ずかしさをこらえるように、叫ぶ。
「―――…今のは見なかったことにしてください!!!」
「あ、待ってよー、海未ちゃぁん!」
そして海未は速攻で走り去る。
陸上選手もかくやと呼べるほどの高速で。
あっという間に角を曲がって、姿が見えなくなる。
それを穂乃果が走って追う。
アイドル活動で体力がついているからなのか、走るスピードは速い。
海未が曲がったのと同じ角を曲がり、穂乃果の姿も消える。
2人がその場から消えたのを見計らって、柊哉は一言。
「…これ、俺がストーカーしてたってバレたら殺されるな…」
その呟きに、子猫は、我関せずといった風体で、塀の上で欠伸していた。
いかがでしたでしょうか?
私としてはもうちょっと続けてほしいと思うのですが…。
ストーカーを書くのって難しいですね。
そして最近感想がなくて寂しいです。
感想読むの楽しみなので…いつも感想をくれる零一様だけでなく、いろんな読者様からの感想が読みたいです。すごく。
ご指摘、アドバイス、評価、感想、勧誘、挨拶、励まし、叱咤など、心よりお待ちしています。
それでは、また16話…じゃない!!
海未ちゃん明日誕生日だったあ~!!!書いてない~!!急いで打たねば~!!
…それでは、また海未ちゃんの誕生日編で!!たぶん!!