ソウルライブ!   作:ミカサ(打ち止め)

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もちろん右翼も好きですよ


op,3 注目の多い料理店

─スクールアイドルとは─

 

芸能プロダクションを介さず、一般の高校生が行うアイドル活動である。

ただのアマチュアと侮るなかれ、その影響力は計り知れない。

グッズ販売やメディアなども大々的に報道され、若者達に絶大な支持を受けている今最も熱い話題なのであるのだ。

 

そして、全国スクールアイドルの大会、“ラブライブ!”。そこで優勝する事が彼女達スクールアイドルの共通の目標なのである。

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

「へェ、そんなのあったんだ」

 

神峰はそんなこと露も知らず、彼女達からひとしきり説明を受け関心する。そんな神峰の様子を見て、園田は若干呆れてしまった。

 

「最近よくニュースなどでも取り上げられているのですが…」

 

「やることが多くて、あまりテレビとか見てないんだよなあ…」

 

「せめてニュース位は見てください」

 

「うっ…、面目ねェ」

 

年下の女の子である園田に諭され、うなだれる神峰。そしてまた年下の女の子の南に慰められる何とも奇妙な場面であった。

 

「ところで、神峰さん」

 

緩んだ顔を引き締め、高坂は神峰を真っ直ぐに見据える。それに同調し、神峰も彼女を見詰めた。

 

「私達のダンス、どうでしたか?」

 

恐る恐るといった感じか、彼女は緊張した面持ちでそう尋ねた。

 

駆け出しのスクールアイドルと言った彼女達は、これまで他者に踊りを見せた事がないのだろう。まだまだ練習量の時間や自信も持つにもほど遠い。意図せぬ事態だったが、初めて自分達以外の人に見せたことで、感想が欲しいのだろう。

よく見ると、高坂だけでなく、他の二人も神妙な表情で緊張しているようだ。

 

『…正直、踊りとかよく解んねェけど、本気で取り組んでる彼女達の力になってやりてェ』

 

先程の練習や、彼女達の“心”を見ると解る。本気で“スクールアイドル”に取り組んでいることを。

例え、どんな事を言われようともそれを糧にする覚悟がある。

そう見えた神峰は、彼女達の願いも無碍には出来なかった。

それに似ているのだ。まだ吹奏楽部に入りたてで、何をしていいかわからず、目の前の事にただガムシャラになっていたあの頃の自分に。

 

だったら、全力で返すのが彼女達への礼儀なのであろう。

 

「ダンスとか詳しくないけど、それでもいいか?」

 

「「「はい!!」」」

 

「じゃあ、真摯に聞いてくれ。まずは高坂さん。三人の中で一番勢いがあって、他の二人を引っ張りリードしていたのは良いと思うし、それが高坂さんの長所だと思う。だけど、元気いっぱいっていうと聞こえは良いけど、勢いだけじゃダメだ」

 

動きに強弱を着けないと、抑揚のない淡々としたメリハリのない印象しか残らない。それでは観客も直ぐに飽きてしまうだろう。

 

「次に園田さんは、どうも動きがぎこちなかった。体力面やポテンシャルでいうと、この中で一番なのに勿体ないと思う。照れや緊張をどうにかしたら、表現力もあるし、きっと今よりも良いものが出来るハズだ」

 

そこは演奏と同じだ。自信が無いなら音は自信の無い弱々しい音になり、楽しく吹いたら楽しい音が出る。今の彼女に必要なのは照れを吹っ切る自信なのだ。

 

「最後に南さんだ。南さんはテンポキープと調和が上手い。他の二人のテンポや動きがズレそうになった時、上手くバランスを取っていたと思う。でも、高坂さんと園田さんを気にしすぎて、自分の動きを疎かにしてちゃあ本末転倒だろ」

 

指揮者と同じで、テンポが目まぐるしく変わると演奏者が混乱し、上手く実力が発揮できず、演奏の崩壊を招く危険もある。調和も同様だ。そういった意味合いから、この中で一番重要なポジションにいるのは彼女だと言えるだろう。

 

「そして何より、体力が問題だ」

 

あまりアイドルに精通していない神峰でも、アイドルの過酷さ位は解る。

歌とダンスを同時に何曲も行い、決して笑顔を絶やさない。

あの光輝く舞台には、想像も付かない凄まじい努力をした上で、漸く上がれる場所なのだろう。

 

一回だけ、しかも歌もないダンスにこれほどの疲労を見せていたら話にもならない。

彼女達は、基礎体力が圧倒的に足りないのだ。

 

「それ以外でも、例えば─」

 

神峰は今までの経験をもとに気づいた箇所をつらつらとあげていく。

吹奏楽もダンスもスタンスは違えど、根本的な部分は同じだ。

自分の思いを、感情を音に、動きに乗せて表現し、観客に届ける。

その中で共通する事を噛み砕いて説明する。

 

彼女達も、神峰の言うことを一字一句聞き逃さないよう、集中してきいている。

 

そして、一時間後。

 

「─とまあ、オレが気づいた点はこれ位だな」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

非常にぐったりした様子で、彼女達は神峰に頭を下げる。長時間聞いていたので、疲労困憊の様子である。

 

正直まだまだ言うことが沢山あるが、もう日が暮れそうで、暗くなる前に切り上げた事に、彼女達は気づいてはいない。

 

「そして、最後にアドバイスだ」

 

「アドバイス、ですか?」

 

それは、神峰が指揮者になってから学んだ、最も重要な事である。

 

彼女達も緊張の面持ちで、神峰の言葉を待つ。

 

「ケンカだ」

 

「「「へ?」」」

 

あまりにも予想外の言葉に、三人は思わず言葉を失った。

 

「あ、あのそれはどういう意味合いで…?」

 

困惑する園田の問に、神峰は苦笑しながら答える。

 

「別に、殴り合いのケンカをしろって言うわけじゃない。もっと意見を出し合えってことだ」

 

「それならもうすでに…」

 

「いや、まだまだだ。お互いまだ遠慮があるように見える」

 

古くからの友人で、お互いの気持ちも通じあっているのも、神峰は見てわかった。

しかし、“スクールアイドル”としてはズブのド素人なのだ。一人が気づいて、他の二人が気づいていない事も多いだろう。

 

「個性が強いアンタらが意見を出し合えば時にケンカもすると思う。でも、それでいいんだ」

 

「…ケンカをすることで、相手をもっと深く理解するってことですか?」

 

「そう。南さんの言うとおりだ。どんな小せェことでも片っ端から言っていけ。遠慮なんてすんな。認め合い、理解するんだ。自分の個性をどう風に使うのが一番いいか考えろ」

 

一体感は馴れ合いなどでは決して生まれない。本当の絆は困難を乗り越えてこそ生まれるのだ。

 

「一人一人の強力な個性をまとめあげ、一つの巨大な個性を作り上げるんだ。そうすれば、誰に負けねェ」

 

そう力強く言い切る神峰。その言葉を聞く三人の表情に、“心”に、チリチリと熱を帯びていく。

 

「やろう!海未ちゃん!ことりちゃん!」

「ええ!中途半端じゃなく、徹底的に!」

「頑張ろうね、二人とも!」

 

完全に“心”に火の着いた三人を見て安心する神峰。これほどやる気が出てくれると、アドバイスした甲斐があるというものだ。

 

ただ、問題なのはもう時間が遅いということである。流石に女の子を暗くなってから帰すのは親御さんに申し訳ない。

 

盛り上がっている三人には悪いが、そろそろ解散するとしよう。

 

「あー…、盛り上がってるところわりィけど、時間も時間だし、そろそろ帰らねェか?」

 

神峰の言葉で、現実に戻る三人。

 

「そ、そうですね。それそろ帰りましょうか」

「神峰先輩、今日はありがとうございました!」

 

三人は慌てて、勢いよく頭を下げ御辞儀する。神峰は、三人を後押ししただけと答え、屋上の扉に向かって歩きだした。

 

「待ってください!!」

 

ドアノブの手を掛けるその瞬間だった。神峰はその声に振り向く。そして、声を発した主である高坂の前に歩み出る。

 

「穂乃果?」

「ほのかちゃん?」

 

二人も高坂の行動は予想外だったらしく、心配そうに見詰める。

 

だが、そんな二人をよそに、高坂は真っ直ぐと神峰を見据える。

 

そして、言い放った───。

 

「私たちと一緒にスクールアイドルやりませんか!!」

 




でも一番好きなのはドカベンっていうね
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