ソウルライブ!   作:ミカサ(打ち止め)

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タイトル通り、ようやくスタートラインに立てました。


op,9 Start Line

園田海未は辟易していた。

 

幼なじみの高坂穂乃果が、朝から同じ事を何度も何度も、それはもう楽しそうに語るのだ。

 

「それでね!こう、音がパーって跳ねて、スーッと吹き抜けたんだよ!」

 

「いいなあ、ほのかちゃん。私もききたかったなー」

 

こんなやり取りが、もう何十回と繰り返されているだ。

 

まあしかし、園田も南と同意見だ。高坂がこれほど絶賛する演奏に興味は湧く。

 

しかし如何せん、似たようなやりとりが、高坂と合流してから始まり、それも体力練成の間も繰り返し行われているのだ。

 

少々ウンザリしてくるのも無理はないだろう。

 

そして何より。

 

(どうして私も誘ってくれなかったんですか!!)

 

話を聞く所、その演奏会に集まったメンバーは皆全国レベル、中には世界に通用するかもしれない逸材もいたらしい。

 

吹奏楽とスクールアイドルでは畑違いではあるが、同じ音楽というジャンルで参考になる点もあるだろう。

 

それに、神峰の指揮も見てみたかった。

 

調べた所、吹奏楽の世界では神峰の事を知らない者はいないと言う程の、実力者らしい。

 

園田は、その神峰の指揮に、興味を持たない訳がなく、自分を誘ってくれなかったことに憤慨する。ようするに、拗ねていたのだ。

 

それに、腑に落ちない点がある。

 

(どうして神峰先輩は、音乃木坂に来たのでしょう…?)

 

仮にやむを得ない事情で、全国制覇を成し遂げた学校を去る事になったとしても、何故寄りにもよって“吹奏楽部が無い”音乃木坂に来たのか理解出来ない。

 

きっと、編入先も引く手数多だろう。尚更不可解だった。

 

園田はランニングしながら、思案するも、結局答えは判らず、最後の神田明神に上がる長い階段を登っていると。

 

「あっー!!」

 

「うわ!?ビックリした!」

 

「どうしたのですか、ことり?いきなり大きな声を出して」

 

「あ、あれ!」

 

「あれ?」

 

驚愕の表情を浮かべる、南の指す方向を見上げる園田と高坂。その方向にいたのは。

 

「神峰さん!!」

 

今、園田の最も不可解な人物が、そこにいた。

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

神峰は、東條の視線を追う。それと同時に何やら騒がしい声が聞こえてくる。

 

「ほな、ウチ仕事に戻るな♪」

 

「あ、ああ」

 

そう言って、東條は境内の奥の方へ行った。鼻歌混じりに歩いている後ろ姿を見て、神峰はやはり、得体の知れない“何か”を抱く。

 

と、思案する最中。

 

「神峰さん!」

 

「!(ビクッ)」

 

急に名前を呼ばれ、少々吃驚しながら、神峰は背後に振りかえる。

 

「お、おう。おはよう高坂さん」

 

「はい!おはようございます!」

 

テンションの高さに、若干圧倒される神峰をよそに、高坂はまるで、尻尾を振る小犬のようにパタパタと嬉しそうに近寄ってくる。

 

「神峰先輩おはようございます」

「おはようございます♪」

 

「おはよう」

 

高坂に遅れてやってきた、園田と南にも挨拶を交わす。

 

『それにしても…』

 

神峰は、彼女達の姿を見る。運動着姿に少々息が荒い。神峰の言葉通り、しっかりと足腰とスタミナをつけるトレーニングをしているようだ。

 

「ところで、どうして神峰先輩がここに?」

 

「ああ、昨日高─」

 

「私が呼んだんだ!この時間にいるから、また来てくださいって!」

 

南の問いに答えようとするが、高坂が変わりに答え、少々苦笑いを浮かべる神峰。

 

『何で、こんなに懐かれてんだ?』

 

乙女心が解らない神峰は、どこまでも鈍感であった。

 

そして、気を取り直して、本題に入る。

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

神峰は、語る。

 

どうして、“音乃木坂学院”に編入したかを。

 

どういった思いを持って、彼女達の誘いを断ったかを。

 

神峰は、誤解を恐れず、真摯に語った。

 

「──これが、オレの正体だ。アンタ達とは、“正反対”の人間なんだ」

 

そう。いくら変わったと言えど、本来の“神峰翔太”という人間は本質は、どこまでも怖がりで、卑屈で、臆病な、ただの少年なのだ。

 

三人は、神妙な表情て、神峰の言葉を聞く。その“心”も、深く、深く考えているようだ。

 

「…それで、その話をどうして私達に?」

 

長い沈黙を破り、園田は神峰に問う。

 

その“心”は、神峰に対する猜疑心で覆われており、神峰は、慎重に答える。

 

「本当のオレを、“弱い”オレを知って欲しかったんだ」

 

嘘偽りのない自分を知って欲しかった。

 

「その上で、アンタ達の手伝いがしてェ」

 

例え、その願いが叶わなくとも、眩い“心の輝き”を放つ彼女達に、知って欲しかったのだろう。自分とは“違う”、最初から逃げない彼女達の光に憧れて。

 

「………何だ、“そんなコト”だったんだ」

「え?」

 

しかし、彼女達にとっては、取るに足らない“そんなコト”だった。

 

「私達だって、“弱い”です。本当に“スクールアイドル”をやることで、廃校を防ぐ事が出来るかと」

 

「でも、あの時屋上で、神峰先輩が拍手してくれて、褒めてくれて、本当に嬉しかった」

 

「私達は“スクールアイドル”を選んで、間違いじゃなかったって思えたんだ」

 

彼女達は、あの時の、神峰の行動に救われていたのだ。

 

“真っ暗”で“大荒れの海”の上で、“光”を見つけたのだ。

 

彼女達は更に言葉を、紡ぐ。

 

「私達があったのは、本当に偶然です」

 

「でも、あなたに救われたのは本当です」

 

そして、高坂は、真っ直ぐに神峰の目を見据え、あの時と変わらず、言った。

 

「私たちと一緒にスクールアイドルをやりませんか!!」

 

答えは、迷うまでももなかった。

 

「ああ…!オレがアンタ達を導く!辛い時は支え、迷った時は道標になり、一緒に前に進む!アンタ達の“指揮者”になる!」

 

神峰は、そう力強く宣言する。

 

これから先、幾たびの試練、困難が待ち受けていようとも、決して諦めず、彼女達の指針になるよう、神峰は誓う。

 

そして、そんな神峰に呼応するように、彼女達も笑った。

 

その柔らかな笑顔は、どこまでも優しく、そして、美しかった。

 

「これから宜しくお願いします、神峰先輩」

 

「一緒に頑張りましょうね、神峰先輩♪」

 

「絶対に、絶対に成功させよう、“翔太”先輩!」

 

『ん?“翔太”先輩?』

 

突然の名前の呼びに、神峰は首を傾げる。

 

「ほ、ほほほほほのか!?いきなりどうして名前で!?」

 

“何故か”顔を真っ赤にして、園田は高坂に詰め寄る。

 

そんな彼女をよそに、高坂はあっけらかんと答える。

 

「だって、仲間になったんだし、何時までも名字じゃよそよそしいかなーって」

 

「だとしても、年長者に、それも男性の名前を…!」

 

「まあ、オレは構わねェけど」

 

現に、“あいつ”の姉に名前で呼ばれているし、自分も名前で呼んでいるので、別に抵抗も無ければ違和感もない。

 

「それじゃ、私も名前で呼ぶね♪翔太センパイ♪」

 

「ことりまで!?」

 

「海未ちゃんはどうするの~」

「一人だけ名字で呼ぶの~♪」

 

高坂と南は、ニヤニヤとからかうように、園田に聴いた。そして、観念したのか、大きな溜め息をつく。

 

「わかりました。呼べばいいんでしょ、呼べば!」

 

(別に、男の人の名前を呼ぶ位、どうって事ない!…ハズ)

 

園田は真っ赤になりながらも、神峰の前に立ち、顔を見上げる。そのあまりの迫力に、神峰は思わずたじろぐ。

 

『そもそも、何で名前を呼ぶだけでこんなに恥ずかしがってんだ?』

 

それは複雑な乙女心なのである。

 

「しょ、しょしょ、しょう、しょうた………ってやっぱり無理ですー!!!」

 

「海未ちゃーん!!」

 

案の定、園田は羞恥心に負け、逃亡してしまった。そして、それを追いかけて行く高坂と南。

 

ポツーンと、神峰は一人、そこに取り残されてしまった。

 

そして、その状況に、思わず笑みを零す。

 

こういった、“絞まらない”始まりが、何とも“今の自分”に相応しい。後は、最後の“締め”を最高の物にすれば良いのだから。

 

そうして、神峰翔太は、彼女達を追って、走り出した─




先日、巨人の高橋由伸選手の現役引退、監督就任が決まりました。

本来は喜ばしいコトではありますが、まだ引退も早いですし、引退試合もありません。

不祥事に始まり、それを考慮してかドラフトも目玉選手を指名しませんでした。

そのしわ寄せが高橋由伸選手に行っているようにしか思えません…。

来年の高橋由伸監督の頑張りを応援します。



………ラミレス新監督の応援も宜しくお願いしますね。
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