カルデアの日常 〜がんばれぐた男!応援してるぞ!〜 作:音尾素
人類継続保証機関《カルデア》。
そこは、この時代に残された人類最後の砦であり、各時代より呼び出された英霊たちが集う場でもある。
純白に染め上げられたカルデアの施設内の廊下を歩くのは、建物とは真逆の、黒髪の少年。
支給された制服に身を包み、覚束ない足取りで廊下を歩いている。
十代後半程度、身長は年相応。
欠伸が漏れそうになって、口元を抑える右手には、赤い刻印が刻まれている。
この刻印こそが、彼を人類最後の希望たらしめる象徴、礼呪。
膨大な魔力を秘めた、魔術の結晶である。
とは言っても、この礼呪システムはオリジナルの礼呪システムとは違って、主な用途はサーヴァントの援護や回復であり、使用しても補充が効く代物、例え三画全てを使用したとしても、数日間魔力を節約すればまた使用できる。
その所為か彼自身、あまり礼呪の有り難みを理解できていない所がある。
(まあ、礼呪を使うほど追い込まれたことは何度も無いけどな)
確かに、セプテムで最後に戦ったセイバーのサーヴァントは、礼呪無しでは危うい相手だったが、最後の最後まで出し惜しみした切り札が、翌日すぐに再使用可能になっているのを見ると、何とも言えない気分になってしまう。
(.......ま、勝ちは勝ちだけどな)
どんな手段を使ったにしろ、彼の最終目的は勝利する事に他ならない以上、礼呪はその為の布石、あって損は無い。
(俺は、平凡な一介の魔術師に過ぎない)
彼は曾祖父から続く魔術師の家系の長男だが、特筆すべき才能などはなんら持ち合わせていない。
(よりにもよって、そんな俺が生き残っちまった以上、俺は120%の力を出さなきゃいけない)
どう足掻いても、彼は平凡の域から出る事はできない。
(だから、使える物は何でも使う)
人類の未来と言う、凡人には重過ぎる物が、彼の手に掛かっているのだ。
(.........よし)
思考を重ねる内に、眠気は覚めていた。
彼が立つのはカルデアの中心、特異点にシフトする彼に指令を出す司令部の前。
(やるか)
一歩踏み出すと、プシュ、という音と共にドアが開く。
今日も彼は、人類を救う為に戦うのだ。
「もきゅもきゅもきゅもきゅ」
ハンバーガーを貪り食う騎士王と、
「aaaaaaarthurrrrrrrrrrrr!!!!」
それしか言わない黒騎士と、
「恋はドラクル〜(朝は弱いの) 優しくしてね☆」
破滅的スーパーヴォイスを垂れ流すスイーツ系(笑)サーヴァントと。
ーーー
「マスター、おかわり」
「お前どんだけ食うんだよ!?」
「aaaaaaarthurrrrrrrrrrrr!!!!」
「お前は何かそれ以外言えねえのか!?」
「目覚めは深夜の一時過ぎ☆」
「歌うんじゃねえ部屋がぶっ壊れんだろ!?」
はー、はー、はー、と肩で息をする。
セイバーオルタ、ランスロット、エリザベート・バートリー。
彼が召喚したサーヴァントの中でも特に強力な英霊であり、同時に彼を悩ます問題児でもある。
「どうしたマスター、おかわりはまだか」
山盛り(だった、二分前までは)のハンバーガーを一口で飲み込みながら話すオルタ。
幾ら黒化しているとは言え、仮にも王としてそれはどうなんだと思わなくも無いが、恐らく今更言っても手遅れだろう。
オルタはとにかく大食いだ。
どうやらジャンクフードがお気に入りな様で、カルデアにいる時はいつも何かしらを貪っている。
戦闘時の凛々しくも雄々しい姿は一体何処へ行ったのやら。
「aaaaaaarth(ry」
ひたすら叫び続けているのはランスロット。
バーサーカーのサーヴァントなので、言語能力が著しく損なわれているのは分かるが、それにしたって他に叫ぶ事は無いのか。
と言うか、アーサーならすぐ横に居ると思うのだが。
オルタでは駄目なのだろうか。
戦闘時は猛々しく怒声を上げて敵をねじ伏せるが、宝具を使う時はやはり「aaaaa(ry」になる。
「お腹は空くの 生きてるライフ(トースト一つじゃ足りないの☆)」
最早悪夢、何だこれは、ジ○イアンリサイタルか。
.........エリザベートは自称アイドルサーヴァント。
声は良い、声は良いんだが..........いや、もう何も言うまい。
戦闘時は.......通常運転だった。
「........勘弁してくれよ.......」
我の強過ぎるサーヴァントに囲まれて、頭痛の絶えない少年。
だが無論、彼のサーヴァントはこの三人だけでは無い。
「やあ、サンソン。鎮魂歌を弾いてやるからさっさと地獄へ落ちたまえ」
「はっ、お前こそ僕が首を落としてやろうか?」
「お前ら何時も喧嘩してんな!」
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。
そしてシャルル=アンリ・サンソン。
互いに生前は同じ時代を生きた人間だが、途轍も無く仲が悪い。
片や、マリーを愛した者。
片や、同じ様にマリーを想いながらも手を下すしかなかった者。
同族嫌悪、なのだろうか。
恐らくここにマリー・アントワネットが居たなら、もう少しマシになったに違いない。
だが、いない者はいない。
いつかは召喚できるかもしれないが、それまでは我慢してもらうし無い。
あと、出来れば部屋の中で宝具ぶっ放すのは御遠慮願いたい。
「ローマ!ローマ!ローマである!」
「ネロ!ネロォォォオオォォオオォ!!!!」
「ふはははは!!愛!愛ぃ!!」
「てめえらは何が言いたいんだよ一体ぃ!?」
行き過ぎたローマ愛を叫ぶのはロムルス。
ローマ帝国を建国した建国王、なのだが、ローマが好き過ぎる所為か、彼の発言の半分はローマで出来ている。
かのローマ皇帝の名を叫ぶのはカリギュラ。
彼自身も三代皇帝なのだが、そんな事よりも姪っ子の方が重要らしい。
ひたすら愛を叫ぶのはスパルタクス。
何かもう、この人はよく分からない。
カルデアの資料には「筋肉(マッスル)」としか書いていなかった。
「マスターよ、面倒だ、私は動かなくて良いか?」
「働けえええぇぇえぇええぇええ!!!」
「マースータァ、そろそろ私人間の悲鳴が聞きたいんですが!」
「お化け屋敷にでも言って来いや!!!」
「ああぁ、マスター。嘘は、吐いておりませんよね?
「はい吐いてないですごめんなさい」
「ふむ、マスターよ。紅茶を淹れたが.....飲むか?」
「お前は何だ!?家政婦か!?」
「マスター!拙者薄い本が読みたいでござる!!」
「それな」
カオス極まるこの状態。
残念ながら、これがカルデアの日常である。
「誰かー!!こいつらどうにかしてくれー!!!」
ーーー
「うえぇえ.......今日も疲れた.....」
自室のベッドに倒れ込み、彼は呟いた。
結局あの後、各特異点を周り、小規模な歴史の歪みを正してはサーヴァントが何か言って、それに突っ込み、突っ込み、突っ込んだ。
「あれ?突っ込みしてる時間の方が長くね?」
このままだと、本来の目的を忘れそうだ。
人類の未来を守る、その為に彼は日夜奔走している訳だが、こうもサーヴァントたちが自由だと、こっちの身が持たない。
別にサーヴァントたちが嫌いな訳では無い。
寧ろ逆、未熟な自分に力を貸してくれる彼らに、心から感謝している。
ただ、もう少し大人しくしてくれれば、何も言う事は無いのだが。
「こう、リーダーシップがあるサーヴァントを召喚できれば........」
枕に突っ伏して、そんな事を言っている内に、だんだんと瞼が重くなってきた。
「また明日も頑張らねえと.........」
意識が遠のく。
最後に、ドアが開いて誰かが入って来た様な気がしたが、眠気には逆らえない。
「..........ぱい?.................ですか?」
声も聞こえる。
だが頭に入ってこない、理解出来ない。
けど、聞き覚えがある。
そう、この声はーーーーーーー。
「............ま、しゅ..............?」
ーーー
「先輩、また布団もかけずに.........」
少女は腰に手を当てて、呆れた様に言った。
まるで、駄目な息子を持った母親だ。
視線の先に居るのは、ベッドに突っ伏して爆睡する少年。
よほど疲れて居たのだろう、少女が部屋に入って来た時、既に意識は殆どないようだった。
「............お疲れ様です。どうか、ゆっくり休んで下さいね」
少年の体に布団をかけて、少女は呟く。
慈しむような声色、少年を心から想っての発言。
少女は静かに部屋から出て行く。
明日も早い、信頼する“先輩"の力に少しでもなるため、少女も体を休めに部屋に向かった。
FGO、面白いですねー。
オルタ、ランスロット、エリザが私の1軍。
牛若ちゃん、プロト兄貴、エミヤ、清姫ちゃんが2軍。
幼女のジャック・ザ・リッパーが来るとか聞いて、今全力で石を貯めています。幼女prpr。