【暁美side】
…私は魔法少女だ。ある少女を救うために私は何度も世界を巡り生きてきた。しかし、何度も世界を廻っても…私は彼女を救えなかった…どうすれば…
「…!」ドンッ
不意に誰かにぶつかる。不注意だっ…
いや待て。どういうことだ。私はこれまでの時間軸で、誰ともすれ違っていないし、ましてやぶつかってなど…
「済まない。不注意だったな。」
黒髪で蒼眼の、見たことの無い男が、そう謝って廊下を歩く。
彼のことは、私でもわからなかった。彼を見たこともなかった。
「…どういうことなの?」
私は1人、考え込んでいた。
【??side】
「…今のが、暁美ほむら、か。」
俺は張り出された学年順位の1番の欄に書かれた自分の名前…ーーーーの名を見る。俺の役目は…彼女達の救出。西暦3019年、全てが崩壊した世界より科学者クロウスター・アレイシアの時空転移で俺はここに来た。
西暦3019年。人類はある存在のせいで絶滅の危機に瀕していた。アジア大陸は陥落し、他の大陸は全て崩壊。文明の崩壊は進み、国連軍、並びに特殊部隊は手も足も出ない。生き残った人類は20人にまで減少、内19人は重症。そして人類は一つの決断をした。ただ1人無事だった俺を、【魔女】が発生したこの時代に送った。魔女との交戦で均衡を保っていた俺が抜けてしまったのだ。まず間違いなく皆は死んだ。俺は彼らの死と人類の存亡を賭けて、ここに来たのだ。
刹那。
世界が変化した。
来たのだ。
ヤツが。
この世界を壊しに。
「…」
男は目を閉じたまま動かない。その立ち振る舞いは年不相応な落ち着きと、その年齢では考えられないような達観した風貌。まるで獲物を狙う獅子のように息を沈め、牙を静かに研ぐその姿は、まさに獣と同等のものだ。
「…なるほど…」
消え入りそうな声で男は呟く。先程まで深く閉じていたその目が開かれると、先程のような澄み切った蒼眼ではなく、血のように真っ赤な赤眼となっていた。
一つの結論を導いた。この戦いの先を男は見出した。
誰が死に、誰が新しい魔法少女になるか。その全てを見出し、ただ1人、
「…ハァ…」
溜息が出た。面倒なのではなく、心を落ち着かせるような深い溜息。彼を取り巻く雰囲気は冷たく、鋭くなり、見るものを恐怖に陥れる程の冷徹さを纏う。
「…」
男は世界を隔てる扉の前に立つ。その風貌は先程とは違う。そのまま彼は扉の中に入った。そして直ぐに姿は影と重なり、見えなくなった。
今宵、その暗躍と反逆は始まる。
文章を幾つか書き直しました。