何と無く詫び石で10連回したら、エリちゃんがジャンヌとプリズマコスモス引き連れてやって来ました。ぬぉぉぉぉぉ‼︎
これで私も皆様の仲間入りです。霊基再臨しなきゃ(使命感)
ーーやはりアルトリア・ペンドラゴンには記憶があった。
おそらくは聖杯の異常によるイレギュラーな召喚が原因か、はたまた天文学的数字を越えた確率の奇跡か。彼女は淡々と自分とジャンヌの名を口にしていた。
それ自体驚くべき事なのだろうが、更にそれを塗り潰してしまう程の衝撃が彼らを襲った。"どら娘"。確かにモードレッドの事をそう呼んだのだ。
あの聖杯戦争を最後まで戦い抜き、偽りの四日間でおよそ王らしかぬ堕落した日々を送っていた彼女。もしかするとその間に
いや、考察は後日にすべきだろう。ひとまずは心臓を鷲掴みにされたかの様な顔をしているモードレッドの正気を取り戻さなければなら無い。そこへアルトリアから更なる追撃が放たれる。
「モードレッド、その背に負っているのは
「父上…?」
「違う、母上だ」
ーー素の様な物は残っているらしい。
何かが不服だったのか、隣でモードレッドが小さく肩を震わせている。鏡夜達からすれば今の会話内容に特に疑問や義憤は感じなかったが、モードレッドには合わなかったのか。
モードレッドは一歩、二本、前に進む。数歩進んだ場で項垂れていた首をあげ、何故かその目を輝かせた。
「黒い父上カッケェ!」
「「「……へ?」」」
「それカリバーだよね父上!うわぁ!青い方も良いけど黒い方もセンスある!流石オレの父上だ!」
と、場違い過ぎる感想を包み隠さずに述べ始めた。やはりモードレッドはどこまで行ってもファザー・コンプレックスを貫くらしい。敬愛する父の別の姿、それも自身の感性のストライクゾーンを正確に貫く風貌を見れば、ついつい感想を述べてしまうのも当然だろう。そうなのだろう。
肝心のアルトリアはと言うと、服の裾を掴み、自身の胸部を凝視しながら、こちらも同等に場違いな発言を投げた。
「そうなのか?いや、自信が無かったからな。モードレッドがそう言うのなら間違いは無いだろう。…実を言うと少し胸が大きくなっている」
「せ、セイバー?」
「見て下さいジャンヌ。今の私なら貴女にも負けません。天下取れそうです」
長年のコンプレックスが解消された事に、静かに歓喜しているらしいアルトリア。やはりと言うべきか、ジャンヌに張り合おうとする。何の天下かは知らないが、全体の数割には大ウケするだろう。
これに関しては流石のエミヤも苦笑いを溢すに他ならなかった。ここで気の利いた言葉か、あるいは戦闘を強行すべきなのだろうが、理想の人物の意外な人間らしい一面を突きつけられて、どうにも遣る瀬無い感情を抱いていた。
ジャンヌに至っては狂化のスキルが付与されていないか、わざわざ確認したと言う。
鏡夜はもう何が何だか。そこにいるのは円卓の騎士と円卓の騎士王では無く、ただのアホ親子。世界崩壊の危機が迫っているのに流石にその会話はどうかと思う。それでも気を利かせたのか、敢えて親子の会話には割り込まなかった。
「ねえ父上」
「母上だと言っているだろうどら娘。何だ?今すぐ脳外科に連れて行ってやろうか?」
「どうして急にオレを子供と呼んだの?」
そう、伝承ではモードレッドは息子と呼ばれなかった。だが今はどうか。呼び方こそ変わっているものの、アルトリア・ペンドラゴンは確かにモードレッドを自身の子として扱っている。
するとアルトリアは頭を下げ、恥ずかしそうに自身の感情を、その事実を口にした。
「ああ、すまないモードレッド。あの時はブリテンを存続させる事に必死だった。模範的な騎士として振る舞い、少女の感情を切り捨て、人のあるべき形を取り続けた。……分からなかったのだモードレッド。
「オレに王位を譲らなかったのは?」
「単にお前のカリスマが足りなかったからだ。Bになってから出直せ」
そこで二人はお互いの間に齟齬が生じている事を認識した。
そう、モードレッドは「自身が嫌うモルガンの息子だから、アーサー王に認めて貰えない」と早とちりを、当然の勘違いをしていた。しかし実際はそんな事は無く、ただのアルトリアのミス。珍しく人間らしい感情による、些細なすれ違いだったのだ。
「「息子として認めない」って言ったのは?」
「接し方が分からない…と言う理由もあるが、お前息子じゃなくて娘だろう、どちらかと言うと。それに面前で「ほらモードレッド、いい子いい子〜」なんてすれば王の威厳皆無だ。円卓崩壊まっしぐら」
実を言うと、そちらの方が良かった可能性が出て来ているのも否めない。特に裏切りの騎士が見れば鼻血を出して僥倖の表情でその場に倒れる可能性もある。
年下好きの借金騎士が見ればどうなるだろうか。地の果てまで飛んで行ける力を手にするに違いない。
つまり円卓が永遠の仲良しになっていた……かもしれない。
「そっか……そうなんだな。結局オレの勘違いって訳か」
「いや…、これは私にも非がある。むしろ私が全責任を負うべきだ」
ーー本当に簡単だったのだ。当時は方や歩み寄る術を持たず、方や出生の事実と思い違いをしていた。
いや、こうして英霊同士、サーヴァント同士で対峙したからこそなのだろう。ブリテンも王位も今は関係ない。
ある意味運命。この世界のどこかで、こうして再び対峙し心境を晒す事は宿命づけられていたのだろう。
見れば二人はどこか憑きもののとれた顔を見せている。ここに聖杯の縛りがなければより良い展開になるのかも知れないが、生憎だ。
アルトリアの身体がピクリと跳ねる。痺れを切らした聖杯の介入か、互いの距離が縮まった事に対する聖杯の防御プログラムの発動か。
「時間だ。準備を」
こうして長い間、聖杯からの魔力塊による支配を弾いていたのは、セイバーの高い対魔力故だろう。しかしそれも永続では無い。許容不可能な魔力を押し付けられたら、流石のセイバーでも抵抗は難しくなる。
モードレッドも父の異変を感じ取り、即座に
「モードレッド、母が自らお前の武を採点してやろう」
アルトリアが左足を前に踏み出す。その卑王の威圧感、かつて体験した事の無い父のもう一つのプレッシャーに戦慄こそ感じているものの、モードレッドは退かない。
退いてたまるか。恐怖はある。重圧は感じている。だが立ち向かう。そう、この身は叛逆の騎士。眼前に叛逆すべき父が立ち塞がるのなら悉くを出し抜き、自分と主人の為に勝利をもぎ取ろう。
今は父を憎んではいない。だが、それでこそなのだ。上の者に剣を向けている事については同義。ならば貫いてやろう。我が麗しき父への叛逆を。
ーー行くぞ騎士王。魔力の貯蔵は十分か
次回、親子対決。
デュエルスタンバイ!