喫茶店経営している場合じゃねえ   作:気宇

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オケアノスはよ(マジギレ数秒前)

始まりました第1章フランス編。そして自称店長ルート。店長が滅茶苦茶かっこよくなる……予定。あくまで予定。

今回新しい顔…じゃなくて仲間が増えます。クラスはアサシンです。気配遮断マジ便利。


フランスの地

「あは、あはははは、あはははははは‼︎」

 

 

フランスの地に壮大にそびえ立つ大城。その中の広い一室で、黒い鎧に身を包んだ女性が、狂った様に嗤い声を上げ、老人が燃やされている光景を見ていた。

 

 

彼女の名はジャンヌ・ダルク。三日前に異端認定され殺された救国の聖女その人。そして今彼女が嗤っているのは司祭の一人。彼の言動が、命乞いが、彼女にはたまらなく可笑しかった。

 

 

魔女認定され、地に堕ちたはずの聖女。その悪しき女に命乞いをするのは、すなわち神の不在を示唆するのと同義。いやそれだけでは無い。そんな紙切れ以下の、薄っぺらな信仰で司祭を名乗っていた老人がの姿が、たまらなく愉しかった。

 

 

「ねえジル!私はとっても愉しい!次はどうして愉しさを得ようかしら!」

 

「おおジャンヌよ、でしたら己が手で街を燃やしてご覧になさい。そうすれば貴女は、万物の全てを超越した愉悦を手に入れられるでしょう」

 

 

少し目の飛び出た、ジルと呼ばれる男の提案に、ジャンヌ・ダルクはますますの愉しさと興奮を覚えた。この過ちの国フランス。それを裁き無に返せるのは我らしかおらぬ。我らには街を燃やす権利がある。老若男女異教徒階級を関係無く蹂躙する資格がある。

 

ーーー生まれの村を直々に焼くのも愉しいかも知れない

 

 

今の彼女は完全に生前の姿を失くしている。高潔な聖女は一転し、文字通りの魔女へ、地獄の使いへ。信仰心など捨て、神を嘲笑い、教徒を嘲笑う。

 

 

「ジャンヌ、提案があります」

 

「ジルの提案なら期待出来るわね。どうしたの?」

 

「旗を作りましょう。我々を示す、旗を」

 

 

それは何たる皮肉だろうか。聖女と呼ばれた時代も旗を持ち、兵を鼓舞していた。良いだろう、面白い。

 

 

「そうしましょう。私が今召喚した同胞(サーヴァント)達は何の因果か竜に関係する人物が多い様ですし、竜の柄を」

 

 

満足そうに頷いたジルは、早速作業へと取り掛かる。もうすぐだ、もうすぐでこの国の一掃が始まる。聖女が過ちだったのならば、彼女が救った国も過ち。過ちは払拭しなければならない。

 

 

「あはははは!最高よジル!さあ!狂った様に笑いましょう!春を蹂躙し、人を蹂躙し、全てを一掃しましょう!あははははは!あはははははは!」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「フゥーーハハハ‼︎てめえらの血は何色だァァ‼︎」

 

 

完全にテンションが振り切れた鏡夜が、そこら辺に沸く化け物に無双の戦闘を展開していた。…時は少し前に遡る。

 

 

 

約束通りゼルレッチから宝石剣を受け取った鏡夜一行は、必要な荷物をまとめたバックパックを背負いつつ、百年戦争の最中であるオルレアンへと飛んだ。そう、飛んだのは良いのだ。

 

転移先は森の中。沸くホネの化け物。転移早々襲われてはたまったものではない。その中でとうとう鏡夜のストレスが爆発し、ホネ達は都合の良いサンドバッグと成り果てたのだ。

 

お気に入りの短剣を振るい、回り蹴りを決め、頭蓋を掴んでは同胞と熱いキスをさせる援助。やりたい放題やり尽くす。見知らぬ地で興奮しているのもあるだろう。とりあえず居合わせたホネは運が悪かった。

 

 

「マスター…すごいです」

 

「キョーヤはあれだな。旅行先で興奮し過ぎて寝られない奴だ」

 

 

サーヴァントなのに戦闘の蚊帳の外にいる自分達に疑問は感じているものの、凄まじいテンションの鏡夜を止める事は、彼女らには出来なかった。彼女達をそうさせない何かが、今の鏡夜にはあったのだ。

 

 

 

「ふぅ…ゴミ掃除終了」

 

「お、お疲れ様ですマスター。敵もいない事ですし、召還サークル…でしたっけ?を作りましょう」

 

 

召還サークルとは、ゼルレッチから叩き込まれた知識の一つ。結界の様な空間であり、その中でサーヴァントの召喚は寝食を営めると言う。なるべく格の高い霊地で設立するとなお良しとの事だ。どうやら現在地の近くに良い霊地がある。そこを召還サークルとし拠点としよう。まずは寝場所を確保が最優先だ。

 

 

召還サークルの設立は至って簡単な物だ。霊地にジャンヌの旗を突き立て、数節の詠唱で全工程が終了する。たったそれだけの事で寝床が確保出来るのだ。カルデラとやらの技術はすごい。

 

 

「よしお前ら、偵察にサーヴァントを召還したい。アサシンだ。異論は?」

 

「賛成です」

 

「おう。それで良いぜ」

 

 

全会一致。アサシンの召喚は"アサシンのクラスそのもの"を触媒とする為、例外的な召喚で無い限りは、必ずハサン・サッバーハの中の誰かが選ばれる。勿論誰になろうと気配遮断のスキルは持っているので、必然的に狙いを定める必要性は消える。要はハサンが来てくれればなんだって良いのだ。

 

 

光を放ち、唸りを上げた召喚陣へ向け聖晶石を四つ、放り投げる。聖晶石は召喚の質を上げる良い触媒となってくれるので、割と頼りになるのだ。生の召喚を見るのは初めてなモードレッドは、強い興味を示しながらその光景を眺めていた。

 

 

ーーー体からごっそり何かが抜け落ちる。

 

 

しかし疲労は無い。これも取り込んだ聖杯の魔力のおかげだろう。ゆっくりと光が収束し、その向こうから一人の少女が現れた。

 

 

真名看破の発動。ジャンヌの視界にたった今召喚したアサシンのステータスが映し出される。気配遮断はA−、敏捷はAとまさに欲していた条件を兼ね備えていた。

ふと真名に目をやる。ハサン・サッバーハは襲名式の名前。その名だけでは歴代19人のハサンの内、何代目かは判別出来ない。が、本当に念の為確認した。第5次聖杯戦争のアサシンの様なイレギュラーな可能性が残されていたからだ。

 

いやしかし、事実は小説よりも奇なり。まさしくそのイレギュラーな可能性なヒットしてしまった。

 

 

彼女の驚愕も当然だろう。何せその英霊には、

 

 

ーーその英霊には、名が無いのだから。




没ネタ

ジャンヌ・オルタ「あはははは!最高よジル!さあ!狂った様に笑いましょう!春を蹂躙し、人を蹂躙し、全てを一掃しましょう!あははははは!あはははははは!…ゴホッ‼︎ゴホッゲホッ‼︎慣れない笑い方をする物ではありませ…ゲホッ‼︎」

ジル「ジャンヌゥゥウウゥ⁉︎おのれ!これも神の呪いか!許さん‼︎」


名前の無いアサシン……、一体どこの狂信者なんだ…?
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