喫茶店経営している場合じゃねえ   作:気宇

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ビッグウェーブに当てられた結果の産物。反省と後悔しかない




序章: 第零特異点・七百二十六号聖杯召喚地
ウチの聖女はアポの子


ウチには一人のアホが居候している。彼女の名前はジャンヌ・ダルク。彼の高名な救国の聖処女その人である。実際その名を聞くと、大抵の人は彼女の性格を文字通りの聖人君子なりオカタイ人物なりと想像するだろう。しかし現実は違った。アホだった。

元々ジャンヌ・ダルク…いや、英霊はこの世界にやってこれない。座に眠る彼らの記録を引き剥がし、分霊としてのみなら可能だが。だがウチのジャンヌ、聖杯から配られた知識と数人の助力を得て受肉した。消されるかどうかギリギリだったらしい。

何故そんなリスクだらけの事をしたのか聞いてみた。するとジャンヌは俺の料理を至高の逸品と称し、「この料理で満腹になりたいから」と理由づけした。聖女ってアホの娘なのか。しかもどうやら、俺は知らぬ間に聖女を餌付けしていたらしい。そんなに言うなら毎日出すが。

 

 

だが俺は英霊に敬意を払っている訳では無い。「へぇー、すげえ」的なそんな反応しか持ち合わせていないのだ。だからいくらジャンヌ・ダルクだろうとタダでメシはやらない。こちとら喫茶店の経営がギリギリなんだ。だから俺はジャンヌ・ダルクを働かせた。安い賃金で。時給800円。

だがよく考えてほしい。店先に倒れてた彼女を保護し、回復するまでタダ飯食わせて、事情を把握し寝床を無料で提供しているのだ。そこへ雇用のお誘い(三食寝床付き)までもをプレゼントしている。かなり良心的な部類だと自負出来る。

現在は適当にヴェールの偽名を与えて、ウチの頼れないウェイトレだ。別に注文を間違えたり皿をひっくり返したりする事は無いのだが、どうも頼れない。初見のインパクトが強過ぎた。そしてその後のイメージが総崩れだった。事実を知ったら歴史研究家達は血反吐を吐いておっ死んじまうだろう。つまりはそう言う事だ。

 

 

店長(マスター)!モーニング3セットお願いします!」

 

 

……ちゃんと働いている分マシかもしれない。ああやめてください王様、ぼくひりきないっぱんぴーぷるです。聖剣向けないで。

 

 

 

ーーーーーー

 

ーーーー

 

ーー

 

 

「お疲れ様。はい、今月の給料。お前が来てからお客様が増えたからな、時給を850円にまで増やして計算したぜ」

 

「本当ですか⁉︎」

 

 

給料袋を屋根に掲げ、まるで兎の如く跳ね回る聖女。子供かお前は。

 

 

まあ、可愛くないと言えば嘘になる。て言うかこうして見るとやっぱり聖女の前に一人の女の子なんだな。とりあえずこいつを処刑した奴ら出て来い。全員に聖杯の泥浴びせてやる。

 

 

しかしこうなるともう一人ぐらいバイトが欲しいな。厨房が俺一人、ホールをジャンヌ一人。お客様が増えたとは言えまだまだ少ないが、それでも喫茶店を二人で回すのには少々無理がある。うん、ジャンヌが来る前に一人でやってた俺凄い。魔術師やってて良かった。

とは言え、こんな零細喫茶店でバイトしたいなんて物好きはいるのか。正義の味方は……学生。あかいあくまは……学生。そして色々無理。あいつ雇ったらロクな事が無い。探すか。

 

「そう言えば、今日で1年目ですね」

 

「お、もうそんな時期か。早えもんだなあ」

 

 

ジャンヌも面倒事に巻き込まれたよな。突然呼び出されたと思ったら聖杯戦争終わってて、更にルーラー権剥奪されたり。ちゃっかり生きているのは強かだと思うけど。聖女つおい。

しかしどうも、こんな節目の日とかその一週間以内は嫌な事しか起きないんだよなあ。情報源は俺。毎年誕生日の一週間前後は嫌な事しかありませんでした。実家死ね。てか滅べ。

 

 

「晩飯にするか。シチューで良いよな?」

 

「あ、お手伝いします」

 

「いや、座っといて。1年目ピッタリの日に手伝わせる程鬼じゃねえよ」

 

 

明日は定休日で余裕もあるし、何か簡単な労わりのスイーツ作るか。今ある材料で作れるのは……パウンドケーキいけるな。よし作ろう。

シチューはお昼のあまりを温めてと。シチュー良いよね。心も体も温まる。今度はビーフシチューにしよう。ジャンヌの口に合うかな?まあ、食べさせてみて判断しよう。

と、呟いている間にシチュー完成。並行して焼いていたパンも大丈夫。後は皿に野菜盛ってサラダにすれば…全部が完成。

 

 

「さ、食べようか」

 

「「いただきます」」

 

 

実は食卓に一人増えるだけでメシが5倍ぐらい美味くなる。やっぱり誰かと食卓を囲むって良いね。

 

ーーーーーー

 

ーーーー

 

ーー

 

 

私、ジャンヌ・ダルクのマスターはかなりの変わった方だった。店先に倒れていた私を介抱したくれたばかりか、回復するまでの間の衣食住を提供し、更に自身の正体を明かしたらあっさり契約してくれた。どんな対価を要求されるのかと考えていたら、まさかの雇用。久しぶりに聖人を見た。

とは言え、あの方は特別神を信じている訳では無い。彼曰く、全ての宗教や神には必ず欠点があるらしい。だから自分はその中の一つを信仰する事なく、敢えて全てを平等に信じていると。これを聞いた時は開いた口が塞がらなかった。これを私は宗教のごった煮と呼んでいる。

でも最近…と言うよりここ数ヶ月、あの方の言う事が正しい気がして来た。先程も彼のお話を聞かせてもらったが、これまた私の時代には無かった考えだった。面白い。もっとあの方を見ていたい。

 

 

そうだ、あの方をからかったらどんな反応をするのだろうか。と思い、試しに入浴に乱入して見る事にした。時間も丁度良い。

 

 

タオルを巻いて…準備完了。お邪魔しますー。

 

 

「マスター、お背中をお流し致します」

 

「………は?」

 

 

お?中々良い反応ですね。これはからかい甲斐がありそうです。ジャンヌちゃんは一回死んで、ルーラー権剥奪されて、色々吹っ切れたのですよー。

 

 

「おいジャンヌ、頭打ったか?何なら病院行くか?」

 

「いやですねえ、マスターったらど・ん・か・ん…キャッ♪」

 

 

少し大袈裟過ぎたでしょうかね。さあマスターの反応は?私の見立てでは赤面しておおよそバーサーカー並みの言語で何やら色々言ってくるはず……反応無し?

 

 

「なあジャンヌ…」

 

「はい、どうしましたか?」

 

 

あの方手には……お鍋のふた?どこから取り出したのでしょうか?

 

 

「いっぺん、頭冷やしてこぉぉぉい‼︎」

 

「はいぃぃい⁉︎」

 

 

お鍋のふたは凶器になります。お取り扱いにはお気をつけて。…たんこぶいたい。ぐすん。




余談ですが主はGOでジャンヌを所有していません。もうそれは旦那並みのテンションでガチャった結果、筋肉ダルマが万華鏡引き連れて来て以来、☆4以上の味方が降臨なさらないのです。英雄王の財産は無課金にはありがたすぎましたよ……


筋肉ダルマに頼っていると殆どが苦労なくクリア出来る事実。ただしパーティに花が無い模様。盾子こそ至高。


いやね、筋肉ダルマって一周回って可愛く見えてくるのよ。見た目に反して以外と紳士な所とか。同じ境遇の方がいらっしゃれば挙手を願います。
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