喫茶店経営している場合じゃねえ   作:気宇

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何をするにも仲間は必要ですよね。と言う事で説明+召喚回です。

オケアノスはよ。




英霊召喚は根性で何とかなる

突如として彼の喫茶店に訪れた魔法使い、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。彼の口から告げられた事実は存外緊急的な対処を要する物だった。

 

 

何者かの手による大聖杯の起動。

 

先行して召喚されたセイバーとアーチャー。

 

滅びが確定した人類の未来。

 

未来に存在する対処機関は裏切り者により十数名程の生存者を残し、壊滅。

 

 

ゼルレッチの見立てでは、聖杯の起動率が完全な物となれば、約10年前の惨劇が繰り返されるとの事。そんな事は認められない。

 

 

改めてゼルレッチから、今回の異変の解決を依頼される鏡夜とジャンヌ・ダルク。もちろん二つ返事で引き受けた。ゼルレッチも可能な限りのバックアップを担当してくれるとの事。普段ならば遠慮願うが、今回に関してはこれ以上無い後ろ盾となる。

 

 

「もうじき彼女のルーラー権が復活だろう。だがいつ、聖杯の調子が戻るかは分かったものでは無い。出来るなら今日か明日にでも聖杯に向かって欲しい」

 

「分かりました。大師父、貴方の宝石を…魔力タンクをお借りしたい」

 

 

鏡夜はかなり上位に位置する魔術師、正確には魔術使いだが、彼が人の身である限りサーヴァントには太刀打ち出来ない。だが彼の使う魔術の中には、そのサーヴァントへの対抗を可能にする物がある。

 

 

しかしそれを起動させるには莫大な魔力を要する。一応鏡夜の魔力量のみでも発動自体は可能なのだが、ほぼ全てを使い切る為、発動後は行動が不能になってしまうのだ。故に第三者にその一部を肩代わりして貰う必要がある。

 

 

ゼルレッチは気前よくポケットから、これまた一般人では一生かかっても手が出せぬであろう宝石を五つ、鏡夜に手渡した。宝石に込められた魔力量は一級、いや特上であり、これだけでも鏡夜達を勇気づける事が出来る。

 

 

「感謝します」

 

「気にするな。これぐらいならいつでも渡す。では頼んだぞ鏡の少年、救国の聖女よ。ワシは平行世界に飛ばした衛宮士郎達を連れ回して来る」

 

 

そう言い残したゼルレッチは、手に持っていた宝石剣を遺憾無く振るい、その場から消えてしまった。最後の最後に大きな爆弾を残していった辺り、流石は傍迷惑な魔法使いだろう。一番頼りになる戦力が欠けているらしい。

 

 

「ちょっとタンマ。え?士郎達いないの?」

 

「……らしい、です」

 

 

第一の受難。頼れる仲間は、みんな平行世界。これなら目が死んでいる方がマシだった。

実はゼルレッチも考え無しに彼らを平行世界に飛ばし、挙句連れ回そうとしている訳では無い。現在、この世界線にいれば聖杯の手によりマスターに選ばれる可能性が衛宮士郎、遠坂凛、間桐桜には存在する為、逃す形で飛ばしたのだ。マスター候補がいなければ聖杯の起動が遅れる、との算段。説明不足なのは事実だが。

 

 

「なあジャンヌ、お前セイバーと斬り結べる?」

 

「相手によりますね。アーサー王なら多分死にます」

 

「だよねー。アーチャーってまさか、アイツらのどっちかじゃねえよなあ…」

 

「そのまさかの可能性も否定できませんよ」

 

 

脳裏に浮かぶのは最悪の召喚。セイバーはアーサー王の可能性が残されており、アーチャーに至っては候補の両方がとてもで言い表せない程厄介なのだ。無論他の英霊でもジャンヌはともかく、鏡夜が生身で対処出来る道理は無いが、それでも現時点の候補よりは勝率はある。そして何故よりによってセイバーとアーチャーを召喚したのか、敵サイドに小一時間程文句を言いたい。

 

 

 

だが心から主を信じていたジャンヌに神の加護が行き渡ったのか、はたまたウルトラ教徒の鏡夜に神のきまぐれが行き渡ったのか、彼らにこの状況を覆す事が出来る絶対的な兵器が復活した。

 

 

頭を悩ませる事15分、ジャンヌの腕に赤い光と線が走り、刻印の様な物が刻まれ始めた。その正体は令呪。聖杯に選ばれたマスターが所有する、サーヴァントに対する三回切りの絶対命令権。裁定者のサーヴァントであるルーラーには、聖杯戦争に参加した各サーヴァントに対して、二画ずつの令呪が与えられる。第5次聖杯戦争終了間際に呼び出され、終了と同時に剥奪されたルーラーの権限が彼女に戻ったのだ。平行して接続されたであろう聖杯から知識が供給される。その中にはサーヴァントの召喚方法も含まれていた。

 

 

「むむむ…!来ましたよマスター!」

 

「来たって…ルーラー権がか⁉︎」

 

「はい!それはもちろん真名看破に真名裁決、対魔力カリスマに啓示に聖人ぜーんぶ来ました!お爺さんの言う通りでしたね!」

 

 

これでジャンヌ・ダルクはルーラー、ジャンヌ・ダルクに舞い戻り、全てのサーヴァントを支配出来る上位サーヴァントとなった。ルーラーは基本公平な立場を取らなければならないが、此度はその様な余裕は無い。最悪セイバーとアーチャーに令呪で自害を命じればそれで済む。

 

 

「さあマスター、仲間を召喚しましょう。どうやら触媒が無くてもいけるらしいですよ。聖晶石って持ってます?こんな感じの」

 

 

スラスラと廃棄されたレシートの裏に、伝えたい物体の形をペンで描くジャンヌ。だが生前の影響か、お世辞にも良い絵とは言い表せない物が完成した。と言うより何を書いているのかさっぱり分からない。

 

 

だが鏡夜はマスター。理解出来ぬのなら感じ取れば良い。考えるな、感じろ。根性で足りない部分を補えば良い。せめてこの絵に色があれば何とかなったかも知れないが。

面と向かって「何これ」と言うのも失礼極まりない。つまり鏡夜は思い出そうとしているフリを取りながら、その絵の正体を見極めると言う難題を押し付けられているのだ。

 

 

するとジャンヌの腕がぬっと伸びて来、よく分からない物体の角に光沢を付けた。ますます分からないのは内緒である。

 

 

「あー、うん。これね。多分知らん……知らん?」

 

 

何か思い当たる節があったのか、鏡夜は急いで自室の金庫を開け、中から大瓶を取り出した。その中に詰められていたのはまさしく、ジャンヌが求めていた聖晶石なる物体そのものだ。

 

 

「これですマスター!流石ですよ!」

 

「いやあ、死んだばーちゃんが集めてた物なんだが、まさかこんな使い方があるとはなあ」

 

 

そう思うと唯一、血縁関係の中で信頼と尊敬していた祖母は何者なのか。そんな疑問が湧いて来るが、今は後回しにするべきだろう。サッサと召喚を済ませたい。

 

 

「サクッと召喚しましょう。どうやら未来では英霊召喚が簡略化されているみたいですね。配られた知識の中にそれが入っていたので試しましょう。私の旗を中心に召喚陣を書いてください」

 

「詠唱は?」

 

「流行は詠唱破棄ですよ。ほら、破棄したら何か強くなった感が出るじゃないですか。それにどうやら石さえあれば問題無いみたいです。ガチャですが」

 

 

かなり適当な気もするが、平常運転と言われれば納得してしまうのが鏡夜。庭に突き立てたジャンヌの旗を中心に、記憶を頼りに陣を描いた。そこ向かって聖晶石を四つほど投げてみる。

 

 

正直に言うと、英霊召喚はガチャガチャその物である。召喚したい英霊を決め、その英霊に所縁のある聖遺物を用意すれば確実に呼べるのだが、喫茶店のマスターをやっている魔術使いがその様な大層な物を所有しているはずが無い。天命に任せるのみ。

 

 

案ずる事は無い。この身はウルトラ教徒。奇跡ぐらい引き起こせる。

 

 

陣に紫電が走り、強い光がその場を包み込む。身体にごっそりと半身が落ちた様な感覚が走った。この疲労感は成功の証だ。

収縮した光の先から、白銀の鎧を纏った騎士が、こちらを見据えていた。

 

 

ーーー大成功だ

 

 

「何かイレギュラーな召喚らしいな。ま、良いか」

 

 

だいぶくぐもった声ーーおそらくは兜が原因だろうーーで呟く、自らが召喚したサーヴァント。何やら自己完結しているらしい。気怠い身体を無理に起こし、そこに立っている白銀の騎士へ歩み寄る。

 

 

「つまり、お前がオレのマスターって事か」

 

「そうだな。鏡夜、しがない魔術使いだ。実は非常事態でな、今すぐにでもお前の力を借りたい」

 

「んじゃその前にオレの信用を勝ち取ってみろ。話はそれからだ」

 

 

思っていたよりもクセのある英霊に思える。良いだろう、英霊を餌付けするのは得意中の得意だ。料理はコミュニケーションの道具ともなる。

 

 

「お前に俺の料理を食わせる。それで判断してくれ、セイバー」

 

 

すると目の前のセイバーは身体をピクッと跳ねさせ、兜は外さないもののチラチラとこちらを眺める様になった。どことなく、あのセイバーを食事で釣った時の様子に似ている。

 

ーそう言えば、騎士王には息子が居たらしい。




まさかの正義の味方が不在と言う事案が発生。とーさかさんもまとーさんもいません。帰って来るのはその内。綺麗なワカメならちゃっかり生きてますけど。

銀色の騎士……、一体何レッドさんなんだ…。とうとう店長の財政に大ダメージが。(主に食費と服代)

感想お待ちしております。新着感想通知が来るとバナナ片手に狂喜乱舞する作者です。
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