伝説の萌えもん達に病まれすぎて夜も眠れない   作:レイアメ

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コガネシティ、幻入手

 気まずい―――なんてものではない。今世、前世も含めて、ここまでの空気の悪さは初めてだ。

 ポケモンセンターの一角を借りて、何とか話し合いの場を設けたが、話し合うどころか、目も合わさず殺気を振りまくだけ。そのせいで周りの人々は一斉に逃げていった。

 ポケ萌えもん達にトレーナー、ジョーイさんまで逃げていったせいで、今だけは貸切状態だ。ポケモンセンターごと。

 

「えーと、何で2人はそんなに険悪なの?」

「何がですか?別にそんなことはな―――」

「―――そいつは、コハクに自分の醜いところを見せたくないだけだよ」

「黙れッ。貴様こそマスターを付け回していただろう。卑しいストーカーめ」

「はあ?あんただって―――」

 

 

「もうやめてっ。2人とももう争わないで......!」

 

 

「......マスター」

「......コハク」

 

 情けないかもしれないが、耐えられない。

 この事態になった原因は()だ。自惚るほど、鈍感ではないし、客観的な事実として、この2人は僕中心に物事を考えている。

 だからこそ、耐えられない。僕なんかのために、傷つけあってほしくはない。例えそれが、伝説だろうと、幻だろうと、2人は女の子なのだ。それも、とても弱弱しい女の子だ。

 思い出すのは昨日のアルだ。あそこまで壊れてしまったのは、僕のせいだ。大切な相棒を壊れた、等と言いたくはないが、あれはまさしく壊れたとしか言い様がない。おそらく、セレビィもそうなのだろう。気付かぬうちに傷つけてしまっていたのだろう。

 

 故に僕はもう、背負わなくてはいけない何かを背負っているのだと思う。守らないといけない、彼女達がもう、これ以上壊れないように。

 だから僕はもう手段を選ばない。多少の犠牲は仕方ないとして、目指すは2人の更正と自立。そして―――

 

 

「2人が喧嘩するなら、悪いけど2人を置いて僕は何処かに行くから」

 

 

「ままま、待ってください!仲良くします!仲良くしますからぁ!」

「ごごご、ゴメンナサイ!喧嘩しない!しないよぉ!」

 

 この2人の静かな戦いは、僕の一言により終わりを告げた。

 

 ただ、僕は甘かった。人はそう簡単に変わらないのだと、それがポケ萌えもん達でも変わらないのだと、分かっていたはずなのに。それに気付くのは、もう少し後のことだった。

 

◇◇◇

 

「それじゃあ、ゲットするけどいいね?」

「うん!いいよ~」

「......はい」

 

 私不機嫌です!という感じの雰囲気をしたアル。それでも僕が言ったことを守ろうとしてくれているのだろう、さっきまでの険悪さを押さえてくれている。少しでも前に進んでくれている。それが何よりも嬉しいと思う。

 アルの成長を喜びながら、セレビィをゲットしようとボールを構えようとする。そして気付く。

 

「あ、そういえばボール持ってないんだった。どうしよう」

「え~!何で持ってないの!」

「アルが持たせてくれなかったからなぁ」

「はっ!いいざまだな」

「このっ!」

「 約 束 」

 

「「......はい」」

 

 はあ、成長したのは少しだったか、と思いつつ、ボールをどうするか考える。そして、ふと思い出すことがあった。

 

「あ、そうだ。コガネシティに行こうか」

「コガネシティ、ですか?どうしてそこに?あ、私はこいつが出来るだけ遅くなって嬉しいんですが」

「何で!今すぐゲットしてよ~!」

「いや、コガネシティに用事があるんだ。ちょうどいいからついでに済ましておこうと思って」

「用事ですか。一体どんな?」

「知り合いがいるんだ。前に遊びに来いって言われてたんだけど、すっかり忘れてしまって」

「はあ、そうなんですか?......あれ?可笑しくないですか?私とマスターが出会って6年。そんな知り合いが居たことを私は全く知らないんですか?」

 

 そうだ、と気付く。アルと出会ってから、全く会ってないなと。懐かしい、家に来るたびに、ポケ萌えもん達を見せてくれたあの人のことを。確かエーフィを好きになったのもその人が連れていたブイズ―――イーブイやその進化系を見たときからだった。

 

「まあね、その人凄い研究をしてるとか言ってたからね。アルが来てから全く来なくなったからね」

「ねーねー?その人何て名前なの?」

 

「マサキさん―――僕の叔父だよ」

 

 

◇◇◇

 

 ウバメの森の入り口に僕達は居た。

 

「さて、行きましょうマスター。うふふ、ではしっかり掴まって下さいね。しっかりと、ね?」

「う、うん。分かってるけど、変なことしないでよ?」

「勿論ですよ、マスター。......ふへへ」

 

 激しく不安しか感じない。けれどもアルに空を飛んでくれるほうが速くていいのだから、この方法が一番なのだが、セレビィがアルを殺しそうなほど睨んでることは気にしない。手は出そうとしてないみたいだし、大丈夫だと思う。

 一応ハンドサインで押さえるように言いながら、アルにしがみつく。その時の妙に艶っぽい声は無視する。

 

「さあ、行こうか。コガネシティに」

 

 僕の声と共にアルは‘そらをとぶ‘を使い、コガネシティに向かって進み始める。下を見ると先ほどまで立っていた、ウバメの森は木々が覆い尽し、光が届いていないのではと思うほど、地面が見えない。

 そういえばガンテツさんも言っていたが、ウバメの森は磁場が狂ってるから方角も分からないとか、そう思うと空を飛べるというのは、旅をする人には大きいのだろう。世界を見て回りたいと思ってる僕からすれば、アルはかなり有能なのだろう。というか全てを生み出したとも言われている伝説のポケ萌えもんなのだ(実際本人も、世界は私が作ったと言っている)、そのくらい当たり前だろう。

 ふと、思うのだがアルの飛行速度が妙に遅い気がする。

 

「ん?何だかアル遅くない?」

「いえいえ、何のことですか?普通に進んでおりますよ?うふふ」

「早く進め!コハクにくっつくな!」

「じゃあ、マスターを落とせと?最低だな」

「そういうことを言ってるんじゃない!もういいっ!」

「な、何をっ!?」

 

 セレビィが何らかの力を使った瞬間、世界が変わる。正確には時間の流れが世界と異なり、僕たちだけが時間の進みが早くなる。確か似たような体験を僕達は―――僕とアルはした。それはヒワダタウンに向かっていた時、何時の間にかヒワダタウンに着いていた時だ。アルは知っていたのか、大した驚きもなく、ただ僕との時間が短くなったことで舌打ちをしている。

 

「これ、ヒワダタウンに行くときと同じ...」

「そうだよ!あれは私がやったんだよ!コハクが嫌がってたからね!」

「そうだったんだね」

 

 マサキさんにはすでに連絡していたんだけど、予想以上に早くついたものだから、暇が出来てしまった。

 

「それじゃあ、先にボールを買いに行こう」

「やった~!じゃあじゃあ、早く行こうよ!」

「分かってるから、急がないで。ボールは逃げないから」

 

 手招きで急いでと言っているセレビィを微笑ましく思いながら、拗ねているアルに近づいて手を差し出す。

 

「ほら、行こう?」

「マスター......はいっ!」

 

◇◇◇

 

「ねーねー!コレ何!?」

「それはキズぐすりね」

「じゃあ、これは!?」

「それはいいキズぐすり」

「これは?」

「ポーション」

「!?」

 

 初めてのものばかりだからか、興奮した様子のセレビィ。アルも興奮した様子で、色々と物色しているみたい。だから2人はほっとくいて、目的のボールを捜しているけど、こうも色々あると見つからない。というかセレビィほどのポケ萌えもんに普通のモンスターボールで大丈夫なのだろうか。アルの時はアルが、

 

『それならば、これを使ってください』

 

 とか言って、見たこともないボールを渡してきたんだけど。全体的に紫色で真ん中にMって文字があるボール何だけど、一体何のボールなんだろう。まあ、それはいいとしてボール、ボールっと。

 

「ねえ、そこの男の子。おーい君だよ」

「はい、何でしょうか?」

「今、イベントしていてね。君のポケ萌えもん達が君に懐いていれば技マシンをランダムでプレゼント!という企画なんだよ」

「それで、何で僕に?」

「いやいや、見てたよ。愛されてるんだねぇ、彼女達に」

 

 ニヤニヤしながら見てくる店員さん。少し恥ずかしいので顔を逸らすと、アル達の姿が見える。自分でも分かるくらいに顔が赤くなるのを感じる。

 

「あはは、恥ずかしがること無いよ。彼女達に愛されてるということは誇ることだよ。逆に懐かれていないと、肝心なところで裏切られるってことがあるからね」

「そうなんですか?」

「そうだよ、野生でのバトルで裏切られて死んじゃった人もいるくらいだからね」

「そ、そんな......」

「ま、君の場合は大丈夫だろう!はい、これ。中身はお楽しみで」

「ありがとうございます!」

 

 店員さんは笑いながら業務に戻っていった。渡された技マシンはCDのようなものと、ヘッドホンのようなものがセットで、中身は、

 

「恩返し?どんな技だろ」

「コハクー!ボールは~!」

「あ、忘れてた」

 

 ボールはさっきの店員さんに教えてもらい買いました。(1800円)

 

◇◇◇

 

「それじゃあ、改めて」

 

 目の前にいるセレビィに向かって、ハイパーボールを投げる。セレビィにボールが当たるとボールが開き、赤いレーザーみたいなものが出て、レーザーに当てられたセレビィはボールの中に入っていった。

 

「ど、どう?」

 

 地面に落ちたボールが2、3回揺れる。揺れの収まったボールは急に開きセレビィが出てくる。

 

「え、失敗!?」

「ううん、違うよ。ちゃんとゲット出来たよ。ふふふこれから私はコハクのものだね~!」

「そ、それじゃあニックネームを決めないとね」

 

 セレビィなんだから、セレ?レビィ?いや、何か違うなあ。

 

「よし、君はこれからセーレね」

「セーレかぁ、うんうん!ありがとう、コハク!」

「アルも拗ねないの」

「ちっ......分かりました」

「うんうん、偉い偉い」

「ま、ますたぁ......!」

「あ、私も私もぉ!」

 

 引っ付いてくる2人を宥める。外から見ると可愛く見えるんだけど、目が笑ってないのがかなり怖い。火花が散るとかそんなレベルじゃないね。ニトログレセリンみたいな危うさだね。

 

 

「おお、何や騒がしいと思ったら坊主やないか」

「ま、マサキさん!!」

「おお、久しぶり」





 コハク「やめて、私のために争わないで!」
あふれ出るヒロイン力。

 マサキ=主人公の叔父
新たなポケ萌えもんゲットのフラグ

 技マシン【恩返し】
実は主人公の隠れた才能を目覚めさせる。
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