度重なる用事が…え、何。早く本編まで行け?
分かりました…それでは行きましょうか
見てってねー
「早く起きな!」
階段下の物置部屋の扉を叩く音がダーズリー家に響く。
「さっさと起きて、朝食とコーヒーの支度をしな!早く!」
どたどたとキッチンへ歩いていく足音。
物置部屋の住人、ハリー・ポッターは眠たげに目をこすり、ゆっくりと起き上がった。
「……はぁ。」
ため息を一つつき、肩に乗ったクモを払いのける。この部屋で、クモが出ることはもはや日常茶飯事だった。
戸棚に手を伸ばし、ぼろだらけの眼鏡を手に取る。
つぎはぎだらけの毛布をたたみ、部屋を出る。
キッチンへの扉を開けると同時におじさんの怒鳴り声が耳に響く。
「そのぼさぼさの髪を何とかせんか!」
何度も聞いたその言葉。ハリーの髪の毛は何度撫でつけても、所々跳ね上がるのだ。
ハリーは怒鳴り声を聞き流し、朝食を作り始めた時に、丁度どたどたという足音が聞こえた。
ドアから現れたのは、豚…ではなく、ダーズリー家の一人息子ダドリーだった。
見た目はブックリ太った豚が金髪のかつらをかぶり二足歩行をしてるような姿だ。
「今日は可愛いダッダーちゃんの特別な誕生日!最高の日にしなくちゃ!」
ハリーの時とは正反対の声色で、ペチュニアおばさんは話す。
「当たり前だ、最高に日にならなくて何になるんだ?」
ダーズリーおじさんも満足そうに声を上げる。
ハリーはその光景をどんよりと眺める。
ハリーに両親はいない。ハリーが生まれて交通事故で二人とも死んでしまったという。
そして、ハリーには不思議な傷があった。額の真ん中にある、稲妻型の傷跡だ。
おじさん、おばさんいわく「交通事故の時にできた傷だ」という。
更には、時々見る夢がある。
高らかに響く冷たい笑い声。その後に視界中に広がる緑色の光。
これが交通事故かとハリーはずっと考えていた。
「おじさん、おばさん。朝ごはん出来たよ…」
暗い声で、ハリーは食卓に朝食を運んでくる。
「…ふん、焦げてないな。」
鼻を鳴らしながらおじさんは不機嫌そうに朝食を食べ始める。
「お前の朝食はそこに置いてあるからね。」
おばさんが指さす先にはチーズ一切れにトースト一枚だった。
「…はい。」
ハリーは何も文句も言わず、朝食を胃に押し込んだ。
そのまま、キッチンから出て、物置部屋に戻った。
「…父さん、母さん…なんで僕だけおいていったの…つらいよ…」
ハリーはぼそっと呟き、一筋の涙を流した。
その苦しみは誰にも届かなかった。
そう、ダーズリー家の前に居座る厳格な目をした猫以外には誰にも聞こえなかった。
お疲れさまでした