ウチの【西連寺春菜】が一番カワイイ!!   作:充電中/放電中

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Extra difficulty 『桜の下で』

1

 

「わあー綺麗…」

「…だな」

「これが"桜"ですか、綺麗な雪ですね」

「雪とは違うよ、ヤミさん」

「キレイだねー!私桜スキー!」

 

――彩南高校の皆で、満開の桜並木の下。花見をしにやってきた。

暖かな春の陽気に包まれ、空は見事にすっきり快晴。桜の花びらがひらひらと陽光を浴び、皆の心の中にはただ、高揚感だけがあった。

 

そして誰が言い出したことなのか、桜の木の下にはヒロイン達が今日の花見の題をつけようとそれぞれ自分にあった主張方法でタイトル表記していた。

 

[第三次お兄ちゃん大おかえりなさいパーティー~野菜を食べよう~]と書かれた横断幕。

 

春菜…お前のネーミングセンスって…お兄ちゃんこの先が心配です。

 

[お兄ちゃんおかえりなさーい!ようこそー!おいでませ彩南町へ!]

 

ララ…お前は観光大使になれるぞ、ペケ(人型)がララの字がかかれた旗を振っている、でもララも別の(トコ)から来てるわけだし…それってどうなの?

 

[花時を迎えて~秋人さん、おかえりなさい、私(たち)の傍に~]とささやかな和紙。

 

美柑のセンスは流石だな、字も上手い。両手に持って習字の発表みたいだな…やけに「たち」が小さいが

 

[華麗で優美なる天上院沙姫と負けず劣らずの桜吹雪。ついでの下僕]とデカデカとアドバルーン。あちこちで光る電子掲示板。

 

お前……また無駄金を…

 

[別に帰ってこなくてもよかったのに。あきとだもの]

 

…。御門涼子先生……あぶないですよ…それ

 

[桜の秋がやってくる街、祝・西連寺秋人帰還][快気祝い]

 

凛…古手川唯…お前ら固い。センスないぞ、ハレンチさんの方は退院したわけじゃないんだからな、俺。もうちょっとなんとかならなかったものか

 

最後に…ヤミ、またなんか変な本読んだのか?

 

[ウチの【サイレンジ・アキト】が一番カワイイ]

 

…。ま、いいけど

 

「それよかメシにしようぜー!モモー!焼き鳥くれ」

 

いま焼いてますわよ!と遠く桜の下に設置された屋台から声が投げられる。

 

「あ、私も食べたいかも、はいお兄ちゃんおにぎり」

「…私も食べようかな、はい、お兄さん唐揚げです、どうぞ。モモさん、"砂ずり"あります?」

「…たい焼きください。中の具を"なんこつ"でいいです」

「焼き鳥…いいかも。私は"もも"ね」

「こっちにもよろしく~、ハレンチ唯っちはハレンチボディの為に余念がありませんなぁ~ニシシ」

「胸肉よりもも肉の方がおっぱいは大きくなるのよ、私には"きも"を頂戴」

「たまには庶民的な料理もいいかもしれませんわね、取り敢えずいつもの。」

「…"とりかわ"を塩で、ですね、では二つ頼んだ」

「よく分かりましたね…凛、今の絶対適当ですよね?ね?あ、今の三つでお願いします」

「私はぜーんぶ食べたーい!モモー!全種類よろしくねー!」

「ララ!お前もちょっとは手伝えよ!?ええっと!?注文なんだっけ???」

 

次から次へと屋台へ投げられる声。もはや誰が何を頼んだのかさえ分からない

地に敷かれたシートに座り春菜&美柑お手製の重箱から料理を取り出し皆でパクつく。リトは「モモとナナだけが屋台やるのはかわいそうじゃないか?」と不用意な優しさをみせ、二人を手伝っていた。ナナはというと……

 

「あたしはセルフ!飲み物だぞ!好きなのを持っていけ!」

 

氷水に缶やペットボトルの飲料をつけていただけであった。ちゃっかりラクをしている。

 

「だいたいモモのヤツ…イイコぶって手の込んだ物つくるんだーって、ケッ、あたしまで手伝いかよ」

 

そう悪態をつきながらクーラーボックスから食材を取り出すナナ。頭のなかにはしっかりと先ほどの注文が入っていた。若干何名かは決まっていなかったが、それは置いておき、「兄上(仮)は肉好きだから豚バラでいいんだろ、めちゃくちゃ分厚いのを焼いてやるぞ」と八重歯を見せニタリと笑う

 

――そもそも二人だけがこうして屋台を開いているのにはワケがあった。"とらぶるくえすと"で迷惑をかけたお詫びとして花見の時に料理を振る舞うことを二人が申し出たのだ。勿論、考えついたのはモモだったし、準備もモモが担当したが

 

「ん?おーいメア、お前はなに食うんだよ?」

「…え?あたし?うーん…そうだなぁー」

 

満開の桜を見上げ、朱い三つ編みを揺らすメア。この時がナナとメアの初の会話であった。

 

「素敵なお肉、かな?」

「…なんだそりゃ…」

 

疑問符を浮かべるナナの目にはメアの長い三つ編み…

 

「んじゃメアは"ぼんじり"だな」

「?なにそれ?」

「鳥の尻尾の部分なんだぞ?メアの髪は尻尾みたいだしナ!」

 

八重歯を見せにししと笑う、最近弟子入りしたので師匠と似た笑いだった。

 

「尻尾…素敵っ♬」

 

それちょうだい!とメアは瞳を輝かせナナへ満面の笑みを向けた。屈託のない笑顔にナナは任せとけっ!と笑顔で返した。

 

 

2

 

「もう食えん…」

ぼすっとシートに頭を倒す……、心地いい感触が後頭部を押し返した。

 

「満足できました?秋人さん」

上を見上げれば美柑がいた。膝枕してくれたらしい。

 

「おう、うまかったぞ、揚げ物上手なんだな、美柑は」

「ありがとうございます…、揚げ料理って油の温度とか、大事ですよね」

「そうなのか?」

「そうなんですよ、低いとカラッと上がらないんです」

「へぇー知らなかった」

 

見上げる美柑の髪へ桜の花びらが落ちるので手を伸ばし、手に取り眺める。美柑は幸せそうな笑顔で続けた。

 

「カラアゲは二度揚げすると美味しいんですよ?」

「そうなのか」

「はい、そして蜜柑も二度きりと言って実を傷を付けないように大事に収穫するんです…私もそうやって収穫されてしまいました。」

「そうなのか」

「もう…秋人さん、聞いてませんね?」

 

ぽんっとおでこにひんやりとした感触。デザートの蜜柑だった。

食べさせてあげますね、に思わず、「そうなのか」と返してしまいそうになる。さっきからお腹いっぱいで眠たいのだ。どこからか「ぐぬぬぬぬぬ……」とか変な声が聞こえる。眠いから静かにしてほしいとお兄ちゃんは思いますよ、春菜…………

 

「それにしても綺麗だな、秋人。」

 

スッと二人きりの甘い雰囲気に斬りこむ武士娘。秋人と美柑の傍に腰を下ろし、共に桜を見上げる。

 

「…凛は綺麗なものが好きなのかよ?」

「綺麗なものが嫌いな者など居ないだろう?」

 

何を言っているんだ、と視線を戻し、そっと秋人の頭を優しく撫でる凛。膝枕をする美柑は蜜柑を剝くために両手をとられ、阻止できなかった。むぅ……と頬を膨らませる美柑。今度は凛と秋人の二人に親しげな空気が漂う

 

「…でも綺麗で、眩しいからまともに見れない者はいるかもしれませんわね……」

 

……何いってんのこのバカ、ねむ…

……沙姫様…どうして邪魔を…なんとなくこの後に続ける台詞が分かるような気がします…

 

「そう!この私のようにッ!!」

 

おーほっほっほ!と高らかな笑いを響かせる読めない女王(クイーン)天条院沙姫。

 

――――読めないのではありませんわ!読まないのです!は女王の弁である。

 

「でもホントにキレー!なんだか私の髪の色に似ててスキかも!」

「そうでしょう?この私のように!」

「んーん、サキじゃなくてサクラだよ?」

 

ぴょんとジャンプをして桜の花びらをキャッチするララ。二つ結びにした髪がふわりと舞い上がるとまたララの胸元へと戻った。

 

「なんですって!?私のキレイさを褒めたのではなくて!?」と肩を怒らせ憤慨する沙姫に、「んーん、違うよ?」と小首を傾げるララ。

 

ぎゃーぎゃーと言い合いを始める二人を尻目に秋人はうたた寝を始めていた。

 

「あら?オニイサン寝ちゃった?意外とオコサマだねェ~♪ほれほれプニプニ~」

「もう、お兄ちゃん寝てるんだから頬を突かないの、里紗…」

「ダメですよ、籾岡さん。それは私の仕事ですから、枕の私の許可を得てからにしてください」

「枕な美柑ちゃん…ハレンチな…」

 

ゴロリ、と秋人が寝転がると美柑は慌てて頭を押さえる。転がる先には春菜の膝があった、むっと美柑は春菜を見つめる。美柑ちゃんの膝枕より、私のいつもの膝枕のほうがいいんじゃないかな?と言わんばかりの自慢気な笑顔の春菜。

 

「もも……」

 

ふと秋人が呟く。女性陣一同は秋人を眺め、その後名前の少女を見た。

 

「……なんでしょう?皆さんそろって…?」

 

ちょっとだけ得意げなモモ。ふふんと胸を張りサラリと直した髪を弾いた。

 

直後、「…にく」と呟いた秋人。予想通りの展開に皆は笑い転げるのだった。

 

 

……モモの秋人へのヘイトが上がったのは余談である。

 

 




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