なんとか連休の最後に執筆が間に合いまして、早速アップです(^^
今回のエピソードは……一部の読者様にはお待たせしましたの『ハデス様のベルくん』のステータス発表になります。
他にも色々とハデス様の新たな側面も……?
「ご飯も食べたし歯磨きもした。ベルくん、アビリティ・チェックだよ」
「はい。お願いします。でもその前に濡れちゃったパンツを脱ぎましょうね? 濡れたままだと気持ち悪いでしょうから」
「うん。このままだとチェックのとき、ベルくんも濡れちゃうし」
ハデスの普段着は、ゆったりとしたデザインの白いキャミソール・ワンピースだ。
裾は膝上で少し短めかもしれない。
ハデスは疑問も無く、屈むベルの眼前で裾を握ってたくし上げる。
ベルの目と鼻の先には人間のそれと変わらぬ匂いの体液で大きなシミを作ったシンプルなデザインの女児用パンツがあった。
ベルは何のためらいも無くパンツの両端に指をかけて、
「ハデス様、転ばないように僕の肩に手をおいてパンツから足を抜いてくださいね」
そのままゆっくりずりおろした。
「わかった」
濡れた下着を床に置き、ベルは新しいパンツを手に取るが、
「こんなに溢れてると新しいパンツも濡れちゃいますから……お股拭いちゃいましょう」
とパンツを清潔な布に持ち替え、
「少し足を開いてください」
「うん」
”とろぉっ……”
ベルは、まだ男を知らない無垢な幼器から太ももに伝わる液体を丁寧にふき取った。
だが、
「ん……」
”ぴくっ”
シンプルな形状のクレパスに布を当てたとき、かすかにハデスの小さな肢体が震えた。
ベルが見上げると頬も僅かに上気してるようだ。。
「ハデス様、もうちょっとだけ我慢してくださいね?」
「うん。でも気持ちいいからまた濡れちゃうかも」
父や兄弟まで含めて男とあまりに接点のなかったハデスは、男の視線に関しての羞恥心が無い……いや正確には、全くと言っていいほど育っていない。
つまり「男の前でスカートをたくし上げ、体液でぐしょぐしょに濡れた下着を見られる」という定番的な羞恥プレイのシチュエーションでも、彼女には「恥ずかしい」という感覚が浮かばないのだ。
無論、性的刺激による快感はあるが単なる快楽として認識され、そこに性的羞恥心の入り込む余地はない。
高い知性や知能はあるが、羞恥心だけに限らず異性や異性を認識するからこそ感じる性差に関する感覚部分は、アンバランスなほど成長していないのもまた彼女なのだ。
「いいですよ。また溢れるなら、また拭きますから」
しかし、それを当たり前のこととして受け入れているベルもまた問題だろう。
そうベル・クラネルとハデスにとっては、これは『日常風景』に過ぎず、なんら是正する必要のないことなのだった。
「拭き終わりましたよ。じゃあ、新しいパンツをはきましょうか? また足をあげてくださいね」
「うん」
***
「ん……じゃあ、はじめる」
「よろしくお願いしますね」
上着を脱いだ半裸の少年がベッドにうつ伏せに寝転び、その腰の上に履き替えたばかりのパンツが跨った足の間からチラチラ見える幼女……なにやら犯罪臭のするシチュエーションだが、無論二人は全く気にした様子はない。
それに今更だろう。
そして浮かび上がったベル・クラネルのステータスは……
†††
冒険者Lv:Lv.1
基本アビリティ
力 :807(A) → 851(A)
耐久:834(A) → 888(A)
器用:412(E) → 434(E)
敏捷:521(D) → 548(D)
魔力: 60(I) → 63(I)
魔法
【】
スキル
【
†††
「はぐれミノタウロスと戦ったこととスキルの相乗効果かな? 力と耐久の伸びが今日は特にいい。冒険者暦半月にしては敏捷性や器用さの数字が例外的に高いけど、これは先天的素養なんだと思う。魔法は……言わなくていい?」
「はい。多分、それも悪い意味で先天的素養だと思いますし」
ベッドに座り直したベルは、羊皮紙に転写された羊皮紙を見て自分の魔法才能のなさに苦笑する。
「それに上昇
それにしても、だ。
特に力と耐久の数字……破格の性能を誇る”
両方揃って800越えのAランクなんて、冒険者になってからまだ半月の
そしてその根源となってるのが、ハデスの言葉によれば
スキルは【
さて、その肝心のベルに与えられた能力は……
【
・『誰かを守りたい』『守るために強くなりたい』という願望が触媒となり成長を促進させる。その想いが続く限り効果は持続
・『誰かを守りたい』『守るために強くなりたい』という意思の強さに比例して最終防御力/回避率/命中率/クリティカル率に補正が加えられる。
・成長促進の度合いは『守りたい』という想いの強さと守りたい人数に比例する
・特に力と耐久に獲得経験値ボーナス
・被ダメージにより全基本アビリティの一時的な
・冒険者Lvに比例して効果は増強される
***
「いつ見ても不思議なスキルですね……」
「うん。わたしはスキルに詳しいわけじゃないけど……聞いたことないよ」
少し噛み砕いた説明をすると、「守りたいという願い」が成長促し早め、また「守るという意思」が戦闘力を底上げするということだろう。
「力と耐久値」の伸びが良いのは防御力に直結する基本アビリティであり、被ダメージ・ブーストは基本的にスパロバなどで御馴染みの特殊能力『底力』と同じで、危機的状況になればなるほど「火事場の馬鹿力を能力として発動できる」というものだ。
これも「自分が倒れればもう誰も守れない」という最悪の事態を拒否する意思と言えよう。
想いの強さ人数や冒険者Lvによる増強は、スキルその物の特性だからいいとしても……
このスキル【グロリオーサ】の本質は、全て「自分ではない守る/守りたいという想いを力に変えるスキル」と評していいだろう。
”父性”の意味の解釈は「家族を守る父」という心象からであろうし、”一徹”は言うまでもなく「そうと決めたら最後まで貫き通す、愚直なまでに頑なな生き様」という意味である。
「この世の全ての不条理からハデスを守りたい」と願ったベル・クラネルという少年には似合いのスキルかもしれないが……その反則気味の効果に反して、何故か普通の幸せとは縁遠い、不器用にしか生きれない印象がある。
「ベルくん、偽装はしておくけど他の人に見せたり言ったりしたら駄目だよ? 多分、ベルくんの能力はとても珍しいから、きっと他の神々も欲しくなるから」
ベルの横に座り、床に届かない両足をプラプラさせながらハデスは諭す。
その愛らしい姿に思わず和む。
「もちろんですよ」
「ベルくんが他の神様にとられちゃったら……ヤダ」
”ひょい”
「はわっ」
”ぎゅ”
「うぷぅ」
ベルは隣に座るハデスの両脇の下に手を入れるとひょいと抱き上げ、”定位置”の膝の上に対面で座らせると少し強い力でハデス抱きしめた。
「ずっと傍にいます。僕はハデス様のずっと傍に……例え神でも、『例え死であっても』僕とハデス様を引き裂くことはできません……でしょ?」
「うん。”約束”したから」
「はい。だから心配はいらないです」
「でも、簡単に死んじゃ駄目、だよ?」
「わかってます。ハデス様を
***
「ベルくん、今後の課題も見えてきたね?」
ベルの膝の上で対面からいつもの背中を預けるように座りなおしたハデスは、羊皮紙を見ながらそう指摘した。
そしていつものように昔の車のシートベルトのように膝に座るハデスの腰に手を回し抱くベルは、頭の横から覗き込むように同じく羊皮紙を見て、
「……攻撃力ですか?」
「うん。防御に関してはスキルで補いはつくし、【
「ええ。厚い獣皮や筋肉に阻まれて、槍で上手くダメージが徹せませんでした」
「被ダメージ・ブーストなら多分、結果的にある程度は補正されると思うけど、あれは
「わかってます。僕は無謀と危険を冒険と取り違えたりはしませんから」
彼の口癖である「僕の命は僕のものだけじゃない」ということだろう。
「うん。合格……♪ だから、もっと攻撃力のある武器に切り替えることを考えたほうがいいと思う」
「やっと手に馴染んできたところなんだけどなぁ……」
「わかってる。でもベルくんの”力”の伸び方を考えれば、もっと重い槍も十分に使いこなせると思う」
「わかりました! ハデス様がそう言うなら、すぐに検討します!」
「慌てなくていいよ? でも中層にいくまでには考えておいて」
「はいっ!」
「あっ……それと
「”サイドアーム”?」
「この先、深く潜るならダンジョンに留まる時間も遭遇するモンスターの数もどんどん増えるから。その分、武器が破損する可能性が高まるよ? 槍が壊れたり折れたら即時戦闘不能なら、ダンジョンからの帰還も難しくなる。帰り道にだってモンスターはいるよ?」
「あっ、なるほど!」
得心の言った表情をするベルにハデスは満足そうに、
「
「肝に銘じておきます……!」
「焦らなくていいから自分の手に馴染む武器を見つけてね?」
「はいっ!」
***
「あとは……すぐには無理かもしれないけど、必ずパーティーは必要になるから」
「ああ……でも、」
表情の変化はないが、ハデスはベルの膝の上で膝を抱えるように縮こまり、しゅんとしたように……
「ごめんね……わたし、死神だから。それにオリュンポスでも疎まれてたみたいだから。だから【
読者諸兄はもうご存知だろうが……
これは大いなる誤解なのだが、無理もない理由がある。
彼女が冥界の王(女王)に着任するとき、当時はまがいなりにもオリュンポスの主神らしい振る舞いをしていたゼウスは、
『すまんな。このままだとお前は戦争の火種になりかねん……冥界へ行ってもらえぬか』
としか伝えていないのだ。
無論、詳細な理由は伝えていない。
当然だろう。
ハデスはゼウスにとって「目に入れても痛くないほど可愛がってる姪っ子」のような存在だ。
純粋無垢な彼女に、どうして「
そんなヤロー共の欲望まみれな醜い現状を言えば、優しい彼女がどれほど心を痛めるだろうか……
それを
ならばハデスが、
『そっか……わたしは戦争の火種になるくらい厄介者だったんだ……知らなかった。わからなかった。冥界に追放されて当然だよね……』
と思い込むのも無理はない。
そしてその誤解は是正されないまま現在に至るのだった。
そんな神々の……人が思いも至らぬ古い時代の出来事と事情を、当然ベルが知ってるわけもなく、
「いいんです! ハデス様を怖がったり嫌ったりする人を、僕は”
「ありがとう……ベルくん」
そう呟くハデスの大きな金色の瞳は、大粒の涙が今にも零れ落ちそうに潤んでいた……
皆様、ご愛読ありがとうございました。
実はマッチョだったベル君のスキルとハデス様プロデュースのベルくん強化プラン(対ダンジョン攻略用の装備適正化)はいかがだってでしょうか?
ベルくんとハデス様は、なにやら最初からトップギアでしたが(笑)
意外と常識人(常識神?)な側面もあるハデスだったりしますが、しかしこのまま彼女が適正な助言を続けると、なんか困りそうな人が二人ほど出る悪寒が……エイナさんとかリリとか……(^^
サブタイはまんまベル君のスキルのことでした。ステイタス的には筋肉兎のベル君?
まあ、ミノタウロスの攻撃を凌げた種明かしがこの【グロリオーサ】で伸びまくった力と耐久だったんですね~。
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!