今回は達也の戦いを清夜視点で見た感じの話ですね。
前回までのあらすじ!
清夜はエリカたちと、達也と深雪は生徒会長の七草真由美に誘われランチを共にした。そんな中、達也は真由美に風紀委員として指名されことになる。放課後、そんなこと関係なしと清夜は図書館に向かうがそこで昨日の一科生と揉めているエリカたちを発見し助ける。その際、清夜は一科生たちに模擬戦を申し込んだ。
2095年4月5日 第一高校 第三演習室
「なぁ、清夜」
「なんだい達也?」
「なんでこんなことになった?」
「なんでだろうね・・・」
二人は同時にため息をつく
「「はぁ・・」」
模擬戦が行われる第三演習室は大所帯になっていた。
それもそのはず、この場には清夜達と一科生、克人の10人の他に昼休みの生徒会室メンバーと副会長の服部の8名を加えた合計18人がいたのだ。
摩利とアルテミシアは達也と清夜に気づき近寄る。
「来たね二人とも。清夜君には自己紹介をしとこう。私は渡辺摩利。風紀委員長をやっているものだ。」
「私はアルテミシア・アシュクロフト。今回、清夜君の試合の審判をするの。よろしくね。」
「式 清夜です。よろしくお願いします。」
摩利は清夜を品定めするようにジロジロ見てから言う。
「ふむ、私は君の話を聞きたかったんだがな〜。どうして昼休みに来なかった?」
「どうしても何も、これ以上の悪目立ちは嫌でしたから・・」
「その割にはこうして森崎と模擬戦をやろうとしてるんだがね?」
清夜はグゥの音も出なかった。
いや、自分自身なんでこんなことをしたのか分からないから言えないのだが・・
「ははは、まぁいいだろう。君の友達はすでに他の役員から自己紹介を受けている。最初の試合は達也君だから君も挨拶に行ってきたらどうだ?」
「分かりました。それでは失礼します。達也、頑張ってね。」
(できれば君の本気で戦ってほしいけど・・)
「ああ、そっちもな。」
(式 清夜・・これでお前を見極められればいいんだが・・)
お互い、すでに自分の相手など眼中になかった。
気をつけなければならないのは目の前の友人。
今回この演習室では模擬戦が2回行われる。
一戦目は達也VS服部、二戦目は清夜VS森崎となっている。
達也達に何があったかは分からなかったが清夜達が摩利に認可をもらうために生徒会室を訪れたところ
すでに達也VS服部で模擬戦が決定していたところだった。
それで清夜達が事情を話したところ、『じゃあ二試合まとめて第三演習室で行おう』ということになったのだ。
摩利は清夜を見送ると達也に視線を切り替えた。
「さて達也君。今回は一高トップクラスの実力を持つ服部が相手だが・・勝算はあるのかい?」
「何も正面からやり合おうとしているわけではありません。」
そういいながら達也は持ち込んだケースを開ける。
中には拳銃型の特化型CADが二機、カートリッジシステムのカートリッジが6つ入っていた。
アルテミシアは不思議そうにケースを見つめてた。
「カートリッジが6つ・・達也君はいつも複数のストレージを持ち歩いているのね?」
「はい、自分の能力ではこうしないと使い分けができないので・・」
「本当に君は面白い奴だな。さて服部は準備ができたようだ。」
達也は摩利に言われて視線を服部に移す。
服部の姿は森崎に似た自信に満ち溢れた姿だった。
彼の場合それに見合う実力を兼ね備えているかもしれない。
だがその相手がイレギュラーであることを彼はまだ知らない・・
清夜は生徒会役員の紹介を受けた後、深雪に達也の模擬戦が行われる事情を聞いていた。
深雪の話しによると・・
服部が達也の風紀委員任命に反対。
それに反論したのが深雪で服部はそれに対し身贔屓に目を曇らせるなと注意した。
だが目を曇らせているということに達也は反論し証明のために模擬戦を申し込んだということらしい。
「なるほどね・・つまり司波さんの言ったことの証明のために戦うんだ。」
「はい、私は間違ったことを言ったつもりはありません。評価方法が合わないだけで実戦ならばお兄様は誰にも負けません!」
若干怒り気味な声色で話す深雪。
『身贔屓なのは間違ってないな』と言ったらヤバイのは入学式で確認済み。
清夜はツッコまずになだめることにした。
「落ち着こう?。俺に強く言われても困るんだけど。」
「!・・すみません清夜さん。」
「いいさ、知り合って3日だけど司波さんが兄思いというのは十分理解したさ」
深雪はこの時でも清夜の心の色を見るのを忘れない。
兄に仇名す者か見極めるため・・
だが深雪には迷いが生じていた。
(ごく普通の水色・・・相手は一科生なのにとても冷静ですね。初めて見た時以外この人の心は普通の色・・濁ってないとも言えないし、澄んでいるとも言えない感じ。いえ、むしろ話せば私は彼から優しさを感じる。お兄様・・この人は信用していいのでしょうか?・・私には判断できません)
深雪の眼は感情と本質、本性を見抜く力であって考えを読み取れるものではない。
だが中途半端に感情と本質、本性を見抜けるからこそ深雪は迷っているのだ。
「そろそろ始まるみたいだね」
「・・はい」
清夜は『ニューロリンカー』の魔法解析の準備をした。
そして摩利が模擬戦の説明に入る。
「ルール説明だ。まずは互いから5m離れた開始線から始めること。死、または回復不能になる魔法は禁止。武器の使用は認めないが捻挫以上のダメージを与えない程度の魔法、素手の使用を許可する。勝敗は相手が負けを認めるか審判が続行不能と判断した時に決まる。これが守れないものは私が武力介入をするから覚悟しろ。」
服部には勝利の光景が見えていた。
(魔法師同士の戦いは基本発動スピードの差で決まる。そしてこの
個人の感情はともかく魔法師との戦闘の考え方は合っている。
魔法はどれだけ大規模なものでも先に魔法で攻撃されたら発動できないケースが多い。
また鉄砲とは違い前後左右に移動しても知覚が反応できない限り大抵の魔法は当たるのだ。
ゆえに現代では正面から戦う場合、西部劇のガンマンのような魔法の早撃ち対決になるケースが多い。
「準備はいいか?」
達也と服部はCADを構えて頷く。
清夜の目に達也のCADが映る。
(あれは俺の研究チームが苦渋を飲まされたトーラス・シルバーの作品!一回の展開で同じ魔法式が何度も発動できる『ループ・キャストシステム』搭載機か・・)
「それでは始め!」
掛け声と共に二人は動き出す
その直後、服部は起動式展開途中で達也を見失う。
「なっ!?」
前述の通り前後左右に避けようと知覚できれば問題はない。
だから目の前にいた人間に魔法を当てるのは造作もなかったはずだ。
だが現実として達也は服部の反応できない速度で視界から消え後ろに回り込んでいた。
服部は動揺を抑えつけ、すぐさま座標を変えた起動式を展開し直した。
「ぐあ・・・」
バタッ
達也はそれよりも早く引き金を引き魔法発動させた。
それにより服部はフラつくように倒れた。
勝負は10秒とかからなかった。
攻撃を受けた服部も含め殆どの人間が何が起きたのか理解できなかった。
清夜は『ニューロリンカー』で起動式の解析結果を見た。いや見なくても魔法の感覚的に何が起こったのか分かった。
(基礎単一系振動魔法、『ループ・キャスト』によるそれぞれ振動数が違うサイオン波三連続、波の合成・・導き出される結論は)
「なるほど、すごい技術だった。司波さんは古流の武術と多変数化の技術のことを言いたかったんだね?」
「!!・・はい!その通りです!」
今はまだ油断できない相手とはいえ、兄の本当の実力のことではないとはいえ、深雪にとっては達也の実力を理解し評価してくれることが嬉しかった。
達也はというと冷静な観察力と推理力に驚いていたが黙って清夜を見つめた。
そして清夜達の声で我に帰る一同。
摩利が信じられないような表情をしながら審判を下した。
「しょ、勝者・・司波達也。」
わぁ!!
一科生の、それもトップクラスの上級生に勝つという前代未聞の出来事に清夜を除く二科生メンバーは大いに喜んだ。
「いよっしゃー!!やったな達也!!」
「達也君、ナイス!!まさか一高トップクラスに勝つなんてね〜とにかくおめでとう!!」
「す、すごいです!達也さん!勝っちゃいましたよ!?」
それに対し一科生メンバーは悪い夢でも見ている気分だった。
「そ、そんな服部先輩が!?・・ありえない!」
「
そうだ!と他の一科生メンバーも声を上げた。
二、三年生のメンバーも偏見などで見ていたわけではないが目の前で起きたことの理由が分からなかった。
摩利はCADを片付けようとした達也を呼び止める。
「待て、疑うわけではないが一体何をした?あの速さは何だ?もしや最初から起動式を展開していたのか?」
疑わないと言っているが聞いていることは疑っている内容。
だが達也は正直に答えた。
「いいえ、間違えなくあれは身体的な技術です。」
二科生メンバーを含め、殆どの人間はまだ驚異的な速さに納得できなかった。
克人は清夜に話を振る。
「式、『古流』と言ったな?説明してくれ。」
「さぁ?自分もどんな武術かは知りませんが昔、古流の空手家が似たような移動法を使ったのを見たことがあります。」
深雪が合わせるように補足する。
「清夜さんがおっしゃった『古流』というのは本当です。私も証言します。お兄様は忍術使い『九重八雲』先生の弟子なのです。」
皆、『九重八雲』の名に驚いた。
摩利も疑いが解けて納得した
「あの『九重八雲』の弟子なのか・・」
清夜もその名を知っていた。
『九重八雲』、忍術という古式魔法を扱う魔法師。
忍術の名の通り忍術の元祖は忍び、忍者で体術にも優れた魔法師として有名だ。
だがそれは表社会の評判。
裏社会では忍術以上に忍びとしての諜報能力の高さで名が売れている。
日本国内の情報ならば国家機密でも手に入れられると噂され、公安、ならび国内の諜報機関にマークされている危険人物だった。
(達也が忍者ならあの気配も納得できる・・わけない。忍者のような諜報系の人間は基本自分の素性をあかさない。ここで忍者の弟子だとバラすのは本当にバレちゃまずいことがあるからだ。隠し、隠れることが多い忍者以上に隠さなければならないことは何なんだ?)
真由美は服部を倒した魔法について聞く。
「じゃあハンゾー君(服部のアダ名)を倒したのは忍術ということですか?」
「いえ、あれは振動系魔法でサイオンの波を作ってぶつけただけです。」
「嘘を吐くな!魔法師はサイオンを知覚するがサイオン波については日頃から浴びて慣れているはずだ!」
森崎が声を荒げた。
しかし真由美と摩利、克人に邪魔をするなと言わんばかりの睨みで森崎は黙ってしまった。
この三人は高校生のレベルを超えている魔法師で三巨頭という名で尊敬や畏怖的な意味で呼ばれている
しかしそれでも女性二人に萎縮してしまうのはどうかと思うが・・
ここで鈴音が勘付いた。
「なるほど、振動数の異なるサイオン波を三連続で作り出して三つの波が服部君の位置で合成するようにしたのですか。結果、三角波のような強い波動になり服部君を倒したということですね?」
「さすがですね、市原先輩。」
起こった事実としては正解だった。
だが何をどうやってという意味では回答不十分だ。
いや、むしろ一発でそこまで分かれば優秀な方。
初見で武術と多変数化と言える清夜の方が異常なのだ。
今度はエリカから質問が出た。
「でもさ達也君。あの短時間に三回も魔法発動できるなら実技の評価も高いんじゃないの?」
「もしかして『ループ・キャストシステム』じゃないですか?司波君のCADは『シルバー・ホーン』ですよね?」
ここで意外にも梓が割って入ってきた。
梓も鈴音の話を聞いて思いついたが、それもあと一歩足りない回答だ。
というか、倒した方法の回答というよりCADの機種を聞く意味合いの方が強そうだ。
梓は達也のCADをプレゼントを待つ子供のように目をキラキラさせばがら見つめている。
「シルバーって・・確か『ループ・キャストシステム』の開発者だっけか?」
レオの質問に梓の目はさらに輝く。
どうやら彼女は俗に言う『デバイスオタク』らしい。
「そうなんです!フォア・リーブス・テクノロジー(Four Leaves Technology 以降FLTと略称)の専属!全てが非公開の天才エンジニア!世界で初めて『ループ・キャスト』を実現させたプログラマーなんです!あっ!『ループ・キャストシステム』というのは・・んんん!!」
「はいはい〜あーちゃん、そこまででいいよ。」
アルテミシアが梓の口を塞いだ。
聞くところによると二人は親友の仲だとか。
『ループ・キャストシステム』
それは一度の起動式展開で同じ魔法式を起動式の展開なしで何度も使えるシステム。
昔から理論的には可能と言われていたが中々 実現できず多くの企業が挑戦した。
その中で一番始めに実現させたのがトーラス・シルバーが所属するFLTだ。
清夜も自身の研究チームで開発していたが発表まであと一歩の所でFLTに先を越されたのだ。
清夜の目的は復讐だが技術者として先を越された屈辱は忘れられなかった。
その日から清夜はトーラス・シルバーを勝手にライバル視している。
(そう、達也が持っているのは『ループ・キャストシステム』が発表された時のシルバーシリーズの機種『トライデント』、それも銃身が長い限定モデルだ。忘れるわけもない!だが見てろシルバー・・お前の『ループ・キャストシステム』のおかげで飛行魔法の研究がかなり進んだ。来月、再来月にはお前に見せつけてやる・・)
清夜がそんなことを思っていると真由美はあることに気づいた。
「え、でもそれだけじゃできないんじゃない?」
「そうですね。『ループ・キャスト』は全く同じ設定をした魔法式の展開を繰り返すだけです。振動数、波長まで異なると魔法式が変わってきます。・・・まさか式君が言ってたことは・・」
市原は今度こそ完璧に魔法のカラクリが分かった。
摩利が清夜に問う。
「清夜君どういうことだ?」
本人に聞けよ。とは言わず清夜は丁寧に説明した。
「つまり起動式の振動数などを設定する部分を全て変数にして発動する度に変数に数値を入力していた・・・てことでいいんだよね達也?」
「ああ、正解だ。まさか一発で気づくとはやるな。」
「達也のほうがすごいんじゃない?あんな技術は先輩たちにも難しいですよね?」
清夜は照れくさそうに反応したが心中は喜んでいなかった。
(それだけなら駆け出しの殺し屋魔法師にもできる。達也の実力が分からなくて残念だな。っていても必要以上に達也の事情に踏み込まなければいいんだけどね。なんだか他人だとは思えないし、踏み込む羽目になりそうなんだよな〜。まぁ明日からちょっかい出せばなんか分かるか。)
すると服部がフラフラしながらも立ち上がった。
「なるほど・・な。魔法師の評価は発動する速度、魔法式の規模、事象を魔法で書き換える強度で決まる。よって・・多変数化はどの評価にもあてはまらない。生徒会室で司波さんが『評価の仕方に合わない』と言っていたのはそういうことか・・」
「ハンゾー君、大丈夫ですか?」
「大丈夫です!!」
真由美が呼びかけると顔を赤くしながら姿勢を正した。
「無理しちゃダメだよ、服部君。」
「だだだ大丈夫だ!大丈夫だ!!アシュクロフト!」
大事なことなので二回言いました。というわけではないようだ。
アルテミシアが近寄るとさらに真っ赤になったのがその証拠。
服部は誤魔化すかのようにコホンと咳き込むと深雪の前に立った。
「司波さん。先ほどは失礼なこと言いました。目が曇っていたのは私のほうでした。許してほしい。」
「私こそ生意気を申しました。お許しください。」
深雪は深々としたお辞儀で返す。
どうやら蟠りは解消したようだ。
達也に謝罪する気はないようだが・・
森崎の他、一科生メンバーはというとショックというより深雪の姿に惚れ惚れとしていた。
「それで・・だなアシュクロフト。次の試合を見学させてもらえないか?」
「私は別にいいけど二人は?」
アルテミシアは森崎と清夜を見た。
「自分は構いませんよ。」
「服部先輩、安心してください!!自分がこいつに圧勝して
清夜はどうでもいいような感じで、
森崎は頼んでもいないことも含めやる気満々で答えた。
達也の試合の解釈はこれであってるのかな?
初めて原作読んだ時は難しすぎて1ヶ月くらい放置したんですよね。
次回予告!
森なんとか と 清夜の直接対決!
お互い譲らない攻防!3時間を超える激闘に!そして体力の切れた清夜に森崎の新必殺技が襲いかかる!果たして清夜はこの激闘を勝つことができるのか!?
・・・・
・・・
てな感じになるといいね。森なんとか君?
「これはダメじゃない?」、「これだと運営に取り締まられるんじゃない?」という場合には是非、メッセージなり感想なりで報告をお願いします。感想、誤字脱字、評価、アドバイスもお待ちしております。