今回は女に振り回されたり、エリカの心情が見えて来る・・かも
前回までのあらすじ
DEMの『プロメテウス研究所』通称『pラボ』に四葉の分家『黒羽』が忍び寄る。しかしpラボの正体は裏切り者や敵を炙り出す為の『パンドラ研究所』だった。清夜達は『黒羽』の侵入者の殆どを抹殺したが肝心の貢、亜夜子、文弥を逃してしまう。だがそれでも保険として精神系干渉魔法をかけておいたのだった。
2095年4月6日 第一高校 生徒会室
新入生勧誘週間1日目の昼休みのこと
清夜は真由美からの2度目のお誘いを受け生徒会室に訪れた。
喜んで・・なわけない。
だが生徒会長、それも”七草”のお誘いを断り続けるのも学校生活に支障がでると考えてお誘いを受けることにしたのだ。
清夜は扉の前でグルグルと歩き回りながらも覚悟を持って扉をノックした。
コンコン・・
「1-Eの式 清夜です。」
『どうぞ〜』
「失礼しま〜す・・・・」
そう言って清夜はドアをチョビっと開けてドア縁に両手をかけた
もし彼のさっきの行動を知る人物がいるなら『おい、覚悟はどうした』と言うだろう。
中には昨日の生徒会室メンバーから鈴音を除いた者達がいた。
真由美は笑って招く。
「ふふふ・・そんな警戒しなくても取って食べようとするわけじゃないですよ。」
「す、すいません・・」
『ははは』と笑い出す一同。
だが達也は今の清夜の行動に違和感を感じていた。
(なんだ?・・今、清夜の右手が不自然に動いたような気がするが・・・魔法の形跡は感じられない気のせいか?)
だがそんな考えが知られるわけもなく食事が始まった。
〜12分後〜
食事が終わり清夜はこんな声を上げた。
「自分が風紀委員・・ですか?」
摩利は食後のお茶を楽しみながら答える。
「ああ、そうだ。昨日、私が模擬戦前に森崎にかけた言葉を覚えているかい?」
「確か・・・『負けたら教職員枠』とかなんとか」
フリとかではなく清夜は本当に覚えていなかったのだ。
そんな清夜を摩利、真由美、アルテミシアは楽しそうに見つめる
「うむ、『負けたら教職員枠の風紀委員任命は取り下げる可能性が高い』と言ったんだ。それで実際、負けてしまったからな森崎の風紀委員任命を取り下げるつもりなんだ。問題を起こしすぎだしな。」
「それでどうしたら自分に風紀委員指名がくるのでしょう?」
いや本当はなんとなくは分かっていた。
清夜が分からないのは何が目的かということだった。
だが隙なくアルテミシアの追撃が入る。
「フフフ・・予想ぐらいついてるでしょう?森崎君の任命を取り下げるならそれ以上の人材を推薦しなければならない。なら模擬戦で森崎君を倒した君なら適任というわけ」
清夜は少し引きつった顔でアルテミシアを見つめるが彼女の柔和な笑顔は崩れない。
「教職員枠ということは教職員が推薦するはずですが?」
「ええ、先生方は私達があげた推薦者で推薦してくれるそうです。細かい手続きがあるわけではないですし、清夜君が首を縦に振ってくれるだけで面倒なことは何もないですよ。」
どうにかして逃げ場を作りたかった清夜だが真由美がすかさずブロックにはいる。
詐欺師まがいな誘導をしてくるあたり、何が何でも入って欲しいようだ。
清夜は何も『面倒』というだけで嫌がっているわけではない。
風紀委員というのは基本取り締まるのが仕事だ。
だが取り締まられて喜ぶ者はいるはずもない。
少なからず反感は買ってしまうのだ。
だから広く人脈を築きたい清夜にとっては避けたい役職だった。
清夜はゴリ押しという最終手段に移った。
「そうですか・・ですがお断りさせていただきます。自分には荷が重すぎますので。それにあくまで最後は本人の了承が必要なんですよね?」
そう来たかという顔を摩利と真由美。
勝った・・と思いながら清夜は席を立つ。
しかし逃げる清夜に司波兄妹立ちはだかる。
「待ってくれ、清夜。俺一人が風紀委員になるのは心寂しい。
「そうですよ清夜君。それに
(友達ねぇ・・信頼を得たわけではないだろうな・・にしてもこの兄妹・・なかなか痛いところを突いてくるな・・)
達也としては本心半分、清夜の監視のためが半分だったが
司波兄妹の言葉は真由美と摩利を勢いづかせるには充分だった。
「そうだな、先輩の期待には答えるものだ」
「それに達也君を見捨てるのは友達としてどうかと思うわね。」
そんな真由美達の隣ではアルテミシアが梓に何かを吹き込んでいる。
すると梓も説得に参戦してくる。
「そうですね!私も式君のCAD・・・じゃない!風紀委員姿を見てみたいです!」
下心見え見えなセリフ。
おそらくCADの風紀委員と生徒会特権(非公式だが部活連も)であるCADの常時着用許可を使って清夜のCADを見られるとでも言ったのだろう。
しかし、そんなボロもアルテミシアがカバーしてくる。
「大丈夫。式君は入学試験の実技試験では2位だったんだから引け目に感じることはないわ。」
「そうだぞ。俺とは違って男子では一位なんだ。自信を持て」
結果、清夜以外の全員が敵に回ったわけだがゴリ押しの姿勢は変えなかった。
「達也も分かっているだろう?俺のは所詮『はったり』。風紀委員になってから期待を裏切るのは嫌なんだよ。それではこれで失礼します。」
「残念ですがドアはロックされてますよ。私がロックを解除しない限り出られません。昼休みはまだありますし、もう少し話でもしませんか?」
真由美は勝ち誇った顔で告げる。
だがそれでも清夜が席に戻ることはなかった。
「会長・・下手したら監禁の罪に問われますよ。それと猫を被るだけでなく、時には素顔をさらすことで交渉を上手く運べることもあるんですよ。」
と苦笑い気味にドアノブに手をかけると
ガチャ・・
ロックをかけられたはずのドアが開いてしまったのだ。
「「「「「「え?」」」」」」
皆、全く同じ反応を見せた。
だがそんな反応には目もくれず清夜は生徒会室を後にした。
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2095年4月6日 第一高校 廊下
放課後、清夜は一人で部活動の見学に向かおうとしていた。
レオと美月は部活は決めていたし、達也は風紀員で巡回。
そして一、二を争うの懸念要素のエリカに関しては授業が終わるなり数名の女子生徒に話しかけられていたので恐らくそのメンツで見学するのだろう。
とにかく、これから色々と達也に対する
(う〜ん・・ここ最近思惑通りに学校生活を送れなかったから逆にこういう状況は怖いな・・ん?)
すると清夜は前方に見ただけでプライドが高そうと分かる一科生の上級生の一団を見つけた。
清夜は早速工作に移った。
いや工作と言うほど特別なことをするわけではない。
まずは種まきから・・・
清夜はデバイスを取り出して耳にあてる。
電話をするわけではない・・ただフリをするだけ。
「そんでよ〜雑草がさ〜・・」
「ギャハハ、マジかよ!・・・」
馬鹿でかい声を上げて笑う上級生たち。
そんな彼らは清夜とすれ違いざま こんな声を聞いた。
「へ〜
ピタリと上級生達は止まった。
『一科の連中もたいしたことない』という言葉は彼らのプライドを傷つけるには充分のようだ。
「あ?『一科の連中もたいしたことない』・・だと?」
「おい、おま・・アレ?・・・いない。」
しかし上級生達が振り返るとそこにはもう誰もいなかった・・
上級生達は首を傾げた。
「なんなんだ。さっきの奴は?」
「いや、それよりも
「ああ言ってた。二科生の司波達也・・・新入生か?」
「
そう言って上級生達は情報を集め始める。
清夜はそんな姿を物陰に隠れながら見つめていた。
(おうおう・・期待以上に反応してくれてるね。学内ネットはどうかな?・・・おっ!さっそく二科生の風紀員の情報が広まってるよ。)
学内のネットにはSNSのような情報の共有ができるページが存在する。
もちろん、問題のある内容ならば運営などが消去するが消される間にも情報は広がる。
今は『二科生の風紀委員がいる』それだけの情報が広がるだけでよかった。
情報はネットとリアルで右往左往する。
おい、聞いたか!?
嘘!?出来損ないに取り締まられるなんて私嫌よ!
どうせ、七草会長でも垂らし込んだんじゃないのか?
え、真由美お姉様が!?誰よそいつ!?私が潰してくるわ!
探しましょうよ!
ああ、探して身の程を弁えさせてやる!
学内のネットだけでも物凄い早さで情報が広まる。
清夜の顔がついついニヤけてしまう。
(いいね、いい感じに学校の・・いや一科の緊張が高まっていってるのが分かる。ネットの情報というのは現実の事件によって際立つことがある・・・あとは何かしらの形で押してやれば敵意は一気に・・)
「あ〜!!やっと見つけたよ清夜君!」
「!!」
警戒を怠っていたわけではないが予想外な人物に清夜の心臓は飛び出そうになる。
清夜がソロ〜と後ろを向くとそこにはエリカが清夜の肩を掴んで立っていた。
「や、やぁ・・ちb・・」
「ん?」
ギギギ・・
「いだだだだ!え、エリカ!どうしたんだい?」
やはり清夜が『千葉』と呼ぶのは許されないようだ。
清夜がデバイスをしまうとエリカは答える。
「うん、清夜君は部活決めてないでしょ?だから一緒にどうかな?って」
「あれ?でもエリカは他の子に声かけられてなかったけ?というより一人でいるなんて珍しいね。」
清夜の印象としてはエリカは沢山友達を作ってワイワイ楽しむような人間で、
少なくとも静かに一人で歩く姿は想像できなかった。
「そう?待ち合わせたりとかしないで気ままに動くタイプだから。で、たまたま歩いていたら清夜君が見えたから誘ったわけ。」
(一人が珍しい・・ね。顔の割には女の子を見る目がないんだね・・ちょっと面白いかも)
千葉エリカという人間は一人でいることが多い。
人付き合いが苦手というわけではない。
むしろ愛想はよく、基本誰とでも仲良くやれる。
しかし、すぐに疎遠になる。
面倒というわけではないのだが、いつも一緒に・・ということができないのだ。
仲良くしていた友人は、気ままな猫みたいで醒めていると
仲違いした友人は、お高く留まっているとも言われた。
彼女自身は人間関係の執着が薄いと思っている。
男も同様、ナンパのように纏わりつく男は絶えなかったが長続きした者はいなかった。
きっとこれかもそうして生きていくんだろうと思っていた・・・
入学式の日までは・・
(本当は君を探してた・・なんて言えないよね。清夜君と出会ってからなんか最近変よね〜あたし・・らしくないというか・・)
エリカがそんなことを考えていると清夜は腕組みをして考えてから答える。
(工作活動中に遭遇するよりかはマシか・・エリカちゃんは最早、俺の中では神出鬼没だからな)
「う〜ん。まぁ、いいかな。エスコート出来ないけど・・それでもいいなら」
「・・・」
「エリカ?どうしたんだい?」
「あ、ううん何でもないの!あたし見たい部活があるからそこを中心に見て回ろう。」
(本当・・あたし どうしたんだろう?)
というエリカの思いとは逆に顔は不思議と微笑んでいた。
武器商の本領を発揮し始める清夜。彼の煽りは達也にどう影響するのか・・・
次回予告
エリカと見て回ることになった清夜。
清夜は無事、見て回ることができるのか!
お楽しみに!
「これはダメじゃない?」、「これだと運営に取り締まられるんじゃない?」という場合には是非、メッセージなり感想なりで報告をお願いします。感想、誤字脱字、評価、アドバイスもお待ちしております。