「お前誰?」とか「つまんねーの帰ってきたよ」とか「おめぇの席ねぇから!」とかみたいな言葉は思ってても言わn←パンパンパン
就活ストレスの発散で書いてたら一話分投稿する余裕が出来たので投稿しまs←パンパンパン
話忘れた方は読み返すことをおs←パンパンパン
前回までのあらすじ!
達也に倒され気絶した清夜が次に目覚めたのは保健室のベットだった。達也は誤解でタコ殴りしたことを詫び、清夜が許すことで仲直りした二人。しかし、清夜の笑顔の裏には狂気の炎が燃えていた。そして話は代わり、東京のある倉庫。学校の殺し屋もブランシュ討伐に動き出そうとしていた。
これは伊万里が倉庫に入る前、午前中に起きた話
2095年 4月16日 九重寺近辺
的場伊万里は洗脳で強化された殺し屋である。
彼女の洗脳は幾重にも、そして複雑に絡まり重なっている。
だが彼女は甘んじて受け入れているわけではない。
彼女は彼女なりに抵抗しているし、普通の人間になりたいと願っている。
今日もその一つとして美濃に勧められた九重寺近くの癒しスポットに学校をサボって向かっていた。
はずなのだが・・
「そこで何をしている?」
「何って・・この近くにある癒しスポットに向かっているんだけど・・てか結界張ってから聞く方がどうかしてるでしょ?」
「危険な気配を出す人間がそんな目的で彷徨くわけないだろう!」
「いや、気配とかはともかくハゲなんかに用があるわけないでしょ?・・」
現在、裏道で九重の弟子坊主5人に囲まれていた。
特に殺気を出すわけでもなく普通に歩いていただけなのにこの様だ。
伊万里が経験した中で本当に強い奴は気づいても素知らぬフリをするから助かるのだが
生半可に強い奴はこうして相手取ろうとする(翠と藍は例外)から困る。
伊万里はより一層普通の人間になりたいと願うのだった。
だが坊主がそんな願い知るわけもない。
「貴様には少しの間捕まってもらうぞ。」
「嫌よ。もうここ最近面倒臭そうな人間ばかりに絡まれるから勘弁して欲しいの。貴方達には関わらないから結界を解いてどいてもらえる?」
「なら・・力づくだ!!」
ヒュッ!!
ドガッ!
坊主達は一斉に襲いかかる。
無駄のない包囲攻撃だった
だが伊万里は坊主の一人の股をくぐり抜け
くぐり抜け際に金的を喰らわせた。
「うぐぉ・・おぉ・・」
「魔法を使わずに この速さだと!?」
「くっ!もはや容赦はしないぞ!」
「キャハ!これを見てもまだ戦う気?」
シュッ!
バゴッ!
違う坊主は左の手刀をしかける
だがそれも簡単に避けられ逆に顎を思い切り蹴り上げられた。
残るは三人・・
坊主達は一度距離を置き三人の連携で倒すことにした。
「いくぞ!」
「「おう!」」
ガシュッ!!
ブゥン!!
ブン!!
まず最初の坊主はしゃがみこみ足払いをする。
これを伊万里が後ろに避ける
すると二人目の坊主が足払いとほぼ同時に飛び膝蹴りを仕掛けてきた。
危なげながらも伊万里は右に避けると
いつの間にか三人目の坊主が先回りしていたのだ。
見事な連携だったと言っていい。
少なくとも伊万里はそう思った。
だがそれでも伊万里はその上をいく。
「C7」
「とらえ・・・なっ!?」
三人目の坊主は強烈な正拳突きを繰り出したのだが
伊万里は自分自身に移動系魔法『ランチャー』を発動して無理やり後ろに飛んだ。
しかも それだけではない
「A9」
ドガッ!!
「ぐはっ!!」
伊万里は塀に運動ベクトルの倍速反転させる逆加速魔法『ダブル・バウンド』を発動させる。
そうして伊万里が『ランチャー』で頭から塀に接触すると魔法の効果で運動ベクトルが反転し倍に加速する。
そして加速のまま『ライダーキック』と言わんばかりに坊主を蹴り飛ばしたのだ。
残った坊主は驚愕は隠せないものの臆せずに襲いかかる。
しかし裏拳、三日月蹴りなど変則的な技も仕掛けてるにもかかわらず伊万里が背負っているリュックサックにすら触れることができない。
とうとう正攻法では勝てないと判断した坊主達は呪符を取り出す。
だが伊万里は魔法を発動させない。
パリン!パリン!
「「うぉ!?」」
「B12」
「「ぐっ!?・・はっ・・」」
術式解体で起動式が吹き飛ばされると坊主二人は魔法で倒れた。
パチパチ
「・・・」
結界も解除され伊万里が立ち去ろうとすると後ろから拍手が響く。
後ろを振り向くとそこには目の傷が目立つ坊主、つまりは八雲がいた。
「術式解体で起動式を吹き飛ばし、加重系魔法で脊椎を圧迫し脊髄神経を麻痺させたのか~どちらも人並みはずれた技だね。すごいすごい」
「忍者ね・・・始めて見たわ。忍者は何も語らないイメージがあったけど、結構お喋りね九重八雲。何か用?」
「そういう君は殺し屋だね。それも巷で噂の悪党を殺しまくってる殺し屋。用と言えばそうだね・・・弟子の敵討ち・・・なんてどうかな?」
伊万里と八雲は何も言わずに構えた。
殺し屋と忍び。
お互い闇に生き殺気を常に隠している者同士。
冗談のつもりでも、冗談と理解していても警戒を怠れない。
ヴヴヴヴヴ・・・
突如、伊万里のデバイスが震える。
「出ても?」
「どうぞ」
「もしもし・・・ええ、そう・・は?それ私がやるの?お断りよ。あんなのすぐに殺されるのがオチよ。私が動かなくても最悪でも0課、いやそれこそ十師族がやるわよ。・・・はぁ・・・分かったわよ。」
伊万里は電話を切ったと思うと構えることなく回れ右をして立ち去ろうとする。
八雲もそれに合わせるように構えを解いた。
「おや、やらないのかい?」
「・・・バ〜カ!!」
伊万里はそう言うと振り向きながら八雲の顔面目掛けてナイフを投げつけた。
シュッ!!
「!!」
パシッ!!
人差し指と中指の真剣白刃取りでナイフを掴んだ八雲。
投げ返そうとするが伊万里はすでにいない。
伊万里が逃げる時のお決まりパターンだ。
「消えた・・・やれやれ、僕もまだまだ修行が足りないな。にしてもあんな子供が殺し屋をやっているのか。俗世に興味はないんだけど・・いやはや、本当に腐った世の中だよ。」
八雲は頭をかきながら空を見上げた。
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2095年 4月15日 東京 某所
時刻はすでに11時を回ろうとしている頃。
達也はとある倉庫の近くに身を隠していた。
黒のブルゾンにサングラスと、その姿は明らかに後ろめたいことをしようとしていることを示している。
「師匠の話だとここか・・・」
倉庫というには少し大きく古びた感じを受ける。
達也は下校後、暴漢を預かっている八雲から出処の情報を得て話を聞くためにここを訪れていた。
実は深雪もついていくと駄々をこねていたが連れていくわけにはいかないし
何より怒り殺す姿を深雪に見せたくなく一人で来ていた。
達也は自身だけが持つ知覚系魔法『精霊の眼』を使った。
この魔法はイデアにアクセスし、壁などの障害物関係なしに存在を認識することができる達也の強さの要因の一つと言える能力だ。
しかし、これが逆に達也を困惑させた。
「これは・・・どういうことだ?」
知覚したイデアだと倉庫のなかに多数の人間がいる。
だが生きている人間はたった一人なのだ。
仲間割れと思ったが相手は強盗団ではなくブランシュ。
予想外の展開だがそれでも達也は倉庫に入っていった。
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2095年 4月15日 東京 某所 倉庫内
暗い倉庫の中には実際に頭や心臓を撃ち抜かれた死体が多数あった。
抵抗したであろう痕跡もあるが死体の殆どは無抵抗だった。
(アンティナイトを装備していてこれか・・・まさか師匠が言っていた殺し屋?)
『精霊の眼』ではまだ一人の人間いや、仮面をつけた少女の姿を捉えていた。
身長は小柄、片手にサイレンサー付きのベレッタ、スカート中にナイフとカートリッジを装備していた。
ただCADのようなものは見当たらない。
若干の違和感を感じたが達也は先制攻撃で一気に抑え込むことにした。
対象はサイレンサー付きのベレッタ。
使用する魔法は『分解』。
これは最高難易度に数え上げられる、構造情報への直接干渉の分離魔法の亜種にして系統魔法の収束、発散、吸収、放出の複合魔法 。
物体であれば、その構造情報を物体が構成要素へ分解された状態に書き換え、魔法式などの情報体であれば、その構造それ自体を分解できる。
達也はこれを左の魔法と同じく先天的に自由に使うことができるのだがこれが達也の魔法演算領域を占有しており、これ以外に自由に魔法を使えないのだ。
「動くな」
バラッ!!
「!?」
達也が声を上げて立ち上がると突如、ベレッタがバラバラになり少女は驚く。
それでも少女は落とすギリギリのところで全部のパーツをまとめてキャッチして背中のリュックサックに放り込んだ。
『伊万里さん!!裏口の通路です!』
(敵!?何をやってたのよ洲央!)
その少女は伊万里だった。
伊万里は仙崎の依頼でブランシュ拠点殲滅ならびに調査に来ていたのだが誰かが倉庫に入ってきたのは想定外だった。
いや、そもそも外は監視カメラなどを使って洲央と『火車』が監視していたから必要最低限の警戒だけで想定なんて全くしていないのだ。
伊万里はリュックから予備のベレッタを取り出し数発撃った。
パンッパンッパンッ!!
達也は近くの壁に飛び込んで避けた。
伊万里も手応えで当たっていないのが分かっていた。
その後、伊万里は障害物の間を移動し、しゃがんで隠れる。
だが『精霊の眼』を使った『分解』の前に隠れるのは無意味だった。
「これが最終警告だ。次は殺す。」
バラッ!!
(また!?知覚系魔法も併用しているのか!?つまりは隠れても無駄ってことね!)
伊万里は再び全部のパーツをまとめてキャッチして背中のリュックサックに放り込むとスカートからナイフを取り出した。
そして机を、天井を、壁を蹴って三次元軌道で達也の元に飛び込む。
その速さは清夜とほぼ同じ、
(速い!?だが慣れた!!)
放課後同じ速さを見ていたおかげで達也はそこまで驚かなかった。
慎重に目で照準を合わせ達也は人を塵にする分解魔法『雲散霧消』を発動。
「させない」
しかし、その魔法式はサイオンの塊によって吹き飛ばされた。
もちろん達也は知っている。
「っ!?術式解体!?」
シュパッ!
ギリギリのところで達也は斬撃を避け、後ろに下がった。
それでも伊万里は自己加速術式でさらに加速し達也に追いつく。
そして
ザクッ・・・
達也の首にナイフが突き刺さった。
伊万里も完璧に殺せた手応えがあった。
だがそれはただの夢幻に終わる
頚動脈切断を確認
出血多量を予測
自己修復術式オートスタート
コア・エイドス・データ、バックアップよりリード
魔法式ロード・・・完了
自己修復・・・完了
首が修復され伊万里が握っているナイフは刺さったところから10cmほど右にずれる。
伊万里は10の18乗分の1秒前まで勝利を確信していたのに急に手応えがなくなり驚いた。
(勝っ・・・え!?はずれた!?)
狐に化かされた気分だった。
伊万里と達也は一度距離を取りお互いにどうするかと思ったが、そこにさらなる来客が現れた。
「公安0課だ!!そこの二人!武装を解いて手を上げろ!」
「「!!」」
『伊万里さん0課です。二階に開けた穴から脱出してください。証拠隠滅も忘れずに』
(無茶を言う!!)
声の方を向くと黒服の男女が複数人。
只者ではないことは二人ともすぐに気づいた。
すると伊万里は紫の煙幕を、達也は自身のサイオンを使った煙幕を同時に焚いて逃げる。
バァンッ!!
「ッ!!多いな、煙幕なのか?毒ガスかもしれない警戒しろ!!乾!知覚系魔法!!」
「ダメです獅堂さん。イデアに高濃度のサイオンがばらまかれて探知できません!」
「ちっ、とにかく収束系で・・・ん、このガスの匂いは・・まさか!?全員、外に出ろ!!」
獅堂と呼ばれるリーダーらしき若い男が叫んだ頃。
伊万里は倉庫から離れたところで発火の魔法を発動した。
発火した火は煙幕とともに放った可燃性のガスに引火して・・・
ドガーン!!
盛大に爆発して倉庫は燃え盛る。
外見からは倉庫と分からないぐらい爆発したが黒服のメンバーはギリギリのところで逃げ切っていた。
「クッソッ!!死体ごと証拠隠滅か!」
「全員の無事を確認。ブランシュの手の者ではないと思いますがどうします獅堂さん?」
「非常線を張れ!!どこのどいつか知らないが絶対に逃がすな!」
翌日、この爆発は近所の子供の火遊びによる事故として片付けられた。
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2095年 4月21日 第一高校 E組教室
(爆発も含めて本当にこの前は死ぬかと思った。いや、死ぬことはありえないんだが・・我ながら綱渡りな戦いをしたもんだ。結局何も情報がはいらなかったし、あとはもう迎え撃つしかないのか・・)
「はぁ・・・」
清夜と殺し屋との戦いから六日が経った放課後
達也は未だあの戦いを忘れずにいた。
忘れたいというわけじゃないが頭にこびりついたような感覚だ。
そんな達也に斜め前の席の生徒から声をかけられた。
「どうしたんだい達也?ため息すると幸せが逃げるらしいよ。科学的根拠はないけど」
「清夜か・・いやなに、思ったよりデンジャラスな学校生活になってしまったなと思ってた所だ。」
結局、あのあと清夜とは何事もなかったかのように仲良く過ごせていた。
学校生活こそ良好とは言えないが友人という面では恵まれたと達也は思っている。
「そうか?結構、刺激的で楽しいと思ってるぜ俺は。こうしてお前らとも仲良くなれたし。」
「そうそう、こんな野蛮人はともかく達也君達と一緒にいるのは飽きないし、少なくとも退屈することはなさそうね。もちろん危ない意味も込みで」
「んだと!?」
「ははは・・・でもそういう意味がなくても私は楽しいですよ。」
『デンジャラス』という言葉に反応したのかレオとエリカも話題に入ってきた。
そしていつも通りに口喧嘩が始まり、美月も苦笑い気味に入ってきた。
清夜は納得いかない表情で答える。
「もう慣れたけどさ、エリカとレオは喧嘩する割には思考が似通っているんだよね」
「「どういう意味だ(よ)!!」」
『そのまんまだよ』と達也、清夜、美月は思ったが”雉も鳴かずば”というやつだ。
とにかく刺激しすぎないように無理やり話をまとめる。
「とにかく確かに友人には恵まれたと思うよ、楽しいし。それに危険って言ってもトラブルは最初だけだったし、きっと偶々だったんだよ。その証拠にここ最近は何もなかったじゃないか?これからは平和な学校生活になるさ。」
「そうだな。俺もそう願・・」
達也は同意の言葉を言おうとした時、突然スピーカーから大音量の声が響いた。
『全校生徒の皆さん!!僕たちは学内の差別撤廃を目指す有志同盟です!!』
「どうやら・・前言撤回になってしまうようだね・・・」
「ああ、現実逃避の時間は終了だな。にしても有志ね・・・」
この学校では教師も生徒も好き勝手に放送を使うことはできない。
どう考えても放送ジャックとしか思えなかった。
達也と清夜には心当たりがある。
この前、達也と紗耶香の二回目の会合で紗耶香は前回から方針を変え”待遇改善要求”と大きく踏み出していた。
達也はその考えを聞いてもなお協力することはなかったのだが
これは恐らくその”待遇改善要求”のためのものだろう。
やり方としてはエスカレートしすぎた犯罪行為だが・・
『僕たちは生徒会と部活連に対し、対等な立場における交渉を要求します!』
周りを見るとクラスメイト達は戸惑いの声をあげているが逆に一科生の方は不満の声をあげているだろう。
清夜は有志同盟とやらに呆れながらも達也に尋ねた。
「こういうのは風紀委員の仕事だよね?」
「仕事を押し付けようとするな。相手は部活連にも交渉を求めている。お前も無関係とはいかないだろう」
ピピピ・・・
ヴヴヴ・・・
噂をすればなんとやら、ほぼ同時に二人のデバイスが震えた。
清夜はアルテミシア、達也は摩利からだったが内容は同じだった。
「無視はできないようだし・・・行ってくるね。」
「俺もだ。行ってくる。」
「あ、はい、お気をつけて」
席を立つ二人に美月が掛けた声もクラスメイト達と同じ不安を感じる声。
それとは逆にエリカとレオは楽しそうにしていた。
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2095年 4月21日 第一高校 E組教室
途中で深雪と合流し三人は事件現場に到達した。
見ると風紀委員を含め真由美以外の生徒会主要メンバーが揃っている。
部活連はというと他にも数名役員がいるのだが来たのは克人とアルテミシアだけだった。
「遅いぞ」
「「「すいません」」」
「他の部活連役員は?」
「交渉になるかもしれないから今回は私たちだけにしたわ」
フリだけの叱責にフリだけの謝罪で返したあと清夜は簡単な確認をした。
そして摩利による現場確認に移った。
「犯人はマスターキーを盗み扉を封鎖。立てこもっているらしく、こちらからは開けられなそうだ」
(予想通りとはいえ、明らかに犯罪行為じゃないか。そこまでして交渉したいか・・・いや犯罪とすら思ってないんだろうな。まぁ、俺の仕掛けに気付いてはいないのは幸いだが)
「明らかに犯罪行為じゃないか」
誰かが清夜と同じことを呟く。
それに続くように鈴音は提案する。
「その通りです。だからこれ以上暴発させないように慎重に対応すべきです。」
「いや、多少強引でも短時間の解決を図るべきだ。」
だが摩利は口を挿んで反対の提案をしてきた。
どうやら扉が開かないせいではなく方針の対立が膠着している原因のようだ。
達也は仕方なしに克人に意見を求めた。
「会頭はどうお考えで?」
克人は意外感が混ざった視線を返してきた。
達也としても出しゃばりすぎたとも思っているが膠着しているよりかはマシだと思ったのだ。
「俺は彼らの要求に応じていいと思っている。」
「ではこのまま待機ということですか?」
質問したのは清夜だった。
話を回して早く解決したいのは清夜も同じだった。
「それについては決断しかねている。不法行為は見逃せないが扉や機材を壊してまでの早急な解決は要していない」
その言葉を聞いて達也はデバイスを取り出した。
誰もそのことに気づいてないが清夜はそれを見逃さなかった。
「なにをするつもりだい達也?」
「破壊はしないが現状を放置しない形で手をだそうと思ってな。幸い、壬生先輩の番号は残っている。」
「具体的には何をするんだ?」
話に気づいたのか摩利が質問してきた。
それに合わせるようにメンバーの視線は二人に集中した。
「十文字会頭の意思を伝えて出てきてもらうつもりです。」
「お兄様。それだけじゃ信じてもらえないのでは?」
「壬生先輩の自由を保証すれば出てくるだろう。」
「壬生先輩ね〜。もしかしてそれ以外の同盟メンバーの自由は保証しないんでしょう?本当に達也は性格悪いね〜」
「その言われようは不満だが、つまりはそういうことだ。」
摩利、克人、鈴音だけでなく清夜と深雪以外の全員が呆気にとられた表情を浮かべた。
そんなことはお構いなしに達也は通話のコールを始める。
そして清夜も動き出した。
「それじゃ、それを利用しつつ通話中に突入、制圧しましょう。」
「え、清夜君それはどういうことですか?鍵は掛かっているし壊してはマズいのでは・・・。」
今度は達也と深雪までもが呆気にとられた。
その間にもプルルというコールは続いている
「大丈夫、鍵は壊さず開けるさ。というより、もう開いているんだよね。これなら通話中だから虚を突く形で突入になって暴発する暇すら無くなるし、渡辺先輩の望む性急な解決もできる。」
「それはそうd・・・え、あ、壬生先輩ですか?・・」
達也は具体的なことを聞きたかったが壬生が電話に出てしまい聞くことができなかった。
「どうやら出てくれたようですね。それでは扉を開けるカウントを始めます。10・・・9・・・」
「お、おい!」
摩利は止めに入ろうとしたがアルテミシアが肩を掴んだ。
「やりましょう摩利さん。今なら三人の方針どおりで解決できますし」
鍵が壊さず開く保証なんてないのだがアルテミシアは確信している目をしている。
しかもそれだけでなく克人も「やろう」という目で見ており鈴音も渋々という感じだがgoサインを出していた。
鈴音はともかく克人までもが信頼してしまっては摩利も他の風紀委員も信じるしかなかった。
「う〜・・後で説明してもらうぞ!全員突入準備!」
「はい・・・はい・・それで・・」
「1・・・0」
ガラッ!
「突入!」
通話に割って入る形で引き戸型のドアが開いた。
中には紗耶香を含めて5人。
全員が二科生だった。
「風紀委員だ!おとなしくしろ!」
「ぐっ!!」
虚をつく形で突入したため抵抗する準備すらできない同盟メンバー。
そして次々と捕まり、風紀委員の沢木碧が報告した。
「委員長!全員拘束しました!。」
時間として20秒も掛からなかった。
結果、暴発させることも壊すこともなく性急に解決してしまった。
改めて摩利たちは驚いた。
「本当に壊さず暴発させず終わるなんてな・・」
「司波君!どういうことなの!私たちを騙したの!?」
やはりというか、一番暴れたのは紗耶香だった。
達也は答えようとしたが清夜が口を挿んだ。
「いいえ、達也は十文字会頭の意思を伝えようとしただけですよ。私が提案して突入させてもらいました。」
「あなたはこの前アルちゃんといた・・・君も二科生なら分かるでしょう!?平等に優遇してくれないこの現状を!どうして邪魔をするの!?」
突如、清夜の目が冷たくなった。
豚とか家畜を見る目を遥かに超えた冷たい目。
剣道を極めてきた壬生でさえビクッと震えてしまう目だ。
「・・・では仮に交渉するとして先輩達は何を要求するのですか?」
「そ、それは全般的に待遇をそちらで改善を・・」
「あんた馬鹿か?具体的な案は何一つ言えず、すべて生徒会と部活連任せ。そんな頭の悪い連中の話に誰が乗るかっての。今時、小学生でもそんな間抜けな回答しないぞ。それに優遇というのは誰かより”優”れた待”遇”を受けるから優遇なんだ。そこに平等などない。」
最早、こんな哀れな連中に敬語などなかった。
今度は違う女生徒が反論する。
「私たちは間違っているというんですか!でも事実として差別は・・・」
「あんたらの差別無くそうというのは否定しないよ。数値や制度的な差別は
「なら・・・」
「だがそれだけだ。お前らがやっているのは結局、犯罪だ。お前らが敵だと思っている差別する奴らとなんら変わらない。そもそも、お前らの行動は自分で考えたものなのか?いいや、違うね。あのスピーチも俺を説得するセリフもこの計画も覚悟でさえ、誰かに与えられたものだな?」
「っ!?」
捕まっている生徒は全員、清夜から目を逸らした。
他の生徒から見ても図星なのが丸分かりだ。
「つまらない。本当に差別をなくしたいのなら己の考えたことで、行動で示せ。まっ、あんたらに言っても無駄か。それよりも誰から与えられた?答えろ」
「それも大事なのかもしれないけど今は彼女達を開放してあげて。」
「「「会長!?」」」
その言葉と共に現れたのは真由美だった。
だがそんなことを言われても摩利達、風紀委員は納得しない。
「だが真由美!?」
「ごめんね。言いたいことは分かるわ。でも学校は今回の件を生徒会に委ねるそうです。」
(委ねるそうです・・・ね。どうせ学校に脅したんだろう。学校としても警察沙汰にしたくないだろうし。こいつもこいつで親父と同じ狸だな。こっちの狸のほうが可愛らしいけど)
「壬生さん達。私たちはあなた達の主張を聞こうと思うんだけど来てくれますよね?」
「私たちは逃げません!」
「そう、じゃあ、私たちはこれで。行きましょうか?」
そして真由美は壬生達を連れて部屋を後にした。
相手が悪とはいえ、ついつい感情的になってしまった清夜。
いや憎しみ、怒りという意味では普段と変わっていない。
だが冷静を欠いてしまった清夜は反省し、両指で口元を無理やり釣り上げた。
ということで予告通り、達也VS伊万里のバトルでした!そして公安0課も出しました!戦ってないけど
『緋弾のアリア』最新刊にも出てたのでタイムリーですね(この話はもう大分前に出来ていましたが)。
次回予告!
討論会前日、様々な思惑が絡まる学校生活で清夜もアイザック・ウェストコットとして復讐鬼としてブランシュの思惑に介入することを決意する。そして達也と深雪は清夜の悲惨な過去と思惑(?)を知ることに・・・
次回はいつか分からないけど、おたのしm←パンパンパン
「これはダメじゃない?」、「これだと運営に取り締まられるんじゃない?」という場合には是非、メッセージなり感想なりで報告をお願いします。感想、誤字脱字、評価、アドバイスもジャンジャンお待ちしております。