魔法科高校の武器商人<修正版>   作:akito324

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43話です!
書き始めてから四十数話・・・
とうとう10評価いただきました(ひぃぃぃやぁほぉぉぉぉ!)
低評価してくださった方も含めて評価していただいた方、読者の皆様
あーーーーりがとうございますっ!!
ここまで期待されたらストック分を公開するしかない!(計画性なし)
ということで忙しいけど少し手直しして投稿しました。

前回までのあらすじ
アイクを中々、追い詰めらないスターズとホテル・モスクワ。それもそのはず実はアイクの壮大な策略にハメられ互いに追う者同士で潰しあっていた。シリウスとバラライカはそれに気づき、あと一歩の所まで追い詰めたが
アイクに外交というカードをきられ逃げられたのだった。


43話 魔法と武器を売る女

2095年 5月5日 東EU クロアチア領空 飛行機内

 

「アイク、もう間もなくクロアチアに到着します。」

 

「そうかい、ありがとうエレン。タイではどうなるかと思ったがこの飛行機は無事に着きそうだね。」

 

「いくつも逃亡手段を用意してよく言いますよ。ですが危険を承知で乗り込んだ甲斐はありました。」

 

「ほう、では絞り込めたんだね。私の邪魔する内部の人間とスターズと海兵隊を動かした人間が」

 

エレンが『案件B708』と唱えると空中にスクリーンが投影された。

 

「USNAの方はまだ、ですがサイモンの調べで今回の商談は七草に漏れていたことが分かりました。」

 

アイクにとってはスターズと海兵隊を動かした人間の方が知りたかったが無理を言っても仕方ない。

なので海兵隊とスターズのことは頭の片隅において主旨を身内の話に移した。

 

「ということは間村専務か。でも直接漏らしたわけではないだろう?」

 

「はい、漏らしたのは別の人間です。それも巧妙に何人もの人間を通して。」

 

流石にDEMの専務。

こうした偽装、隠蔽は得意ということだ。

しかし、それは同時にアイクにも情報を与えていた。

 

「だが裏を返せば通した人間が間村の味方ということだね。」

 

「そのリストがこちらになります。」

 

リストは間村直属の部下、七草が送り込んだ社員の名前が目立つ。

だが意外にも開発部、人事部など関係ない部署の人間の名前がそれぞれ一つ、二つほどあった。

 

「へぇ、やるじゃないか。ここまでやり手とは」

 

それは間村に対する賞賛ではなかった。

賞賛するのはそれを操る「七草家」。

正確にはその当主「七草弘一」。

ただ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「間村の捕獲部隊、七草の殲滅部隊はすでに用意してあります。アイクの指示でいつでも始められますが。」

 

「ははは、そこまでの必要はないよエレン。ただ、工作員を七草と間村一派それぞれ一人ずつ送り込むだけでいい。工作内容、方法は私が直接指示しよう。」

 

「一人ずつ、それも工作員でいいのですか?」

 

エレンが首を傾げるのは無理がなかった。

世界が注目する十師族のそれも序列二位の一族。

政府与党にまで影響力が及ぶ強大な一族に対抗する人員はたった二人なのだから。

 

「エレン、なぜ七草は四葉より序列が下なんだと思う?」

 

「大漢を滅ぼした名声、一人一人の実力、世界最強の当主、なにより情報戦の強さ。これらが四葉が七草より序列が上の理由だと思いますが。」

 

エレンにとって意図が分からない質問だがさほど迷う質問ではなかった。

 

「まぁ、表向きには日本に対する貢献度の差らしいけど実態はその通りだ。けどね、それとは別にもう一つ理由があると思う」

 

「もう一つですか?」

 

アイクの口元が吊り上がった。

まるで子供が面白い悪戯を思いついたかのように。

まるで小学生が好きな異性を教えあうように。

アイクはそっとエレンに耳打ちした。

 

「それはね、七草弘一に腹心の部下がいないことだよ。」

 

飛行機は何事もなく着陸体勢にはいった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

2095年 5月5日 東EU クロアチア 市内

 

「さて、ここでココ姉が迎えに来てくれるはずだけど」

 

「まだ待ち合わせまで十分ほどあります。もう少し待ちましょう。」

 

アイクとエレンが降り立ったのはクロアチア共和国。

東EUに所属し東西EUの境近くにある国だ。

 

EU

かつてヨーロッパ連合と呼ばれた経済連合は一時期、軍事同盟にまで発展し、旧ロシア、旧アメリカに負けない強さを誇った。

しかし第三次大戦の終戦後に目立った利益を得られなかったEUは経済思想、主義を主な理由に東西に分裂。

そのため、というか当然のように両陣営軍事力、経済力といった国力の成長が著しく低下した。

さらに去年から始まった、かつての王族を起源とする王国が次々と復活、独立する『王政の春』と呼ばれる政治運動がEU全体の経済成長にさらなる歯止めをかけ、軍事力の低下に拍車をかける始末だ。

もちろん経済においてはUSNA、新ソ連についで3、4番目の経済力はまだあるがどちらのEUもかつての軍事、経済成長の影は見えない。

それにも関わらず両陣営は未だヨーロッパの覇権を巡って睨み合いを続けていた。

 

「し〜〜〜ん〜〜〜やっ!」

 

「ん?ぐぼっ!?」

 

聞き慣れた声が聞こえたかと思うと女性がアイクの腹めがけてタックルをしかけた。

こんな悪ふざけするのは状況的に一人しかいない。

 

「げほっげほっ・・・ココ姉もっと普通に迎えてくれよ。」

 

「やぁやぁ久しぶり清夜。相変わらず胡散臭い男のホログラムを被っているね。私は素顔の清夜の方が素敵で可愛いと思うけど。フフーフ♪お姉ちゃん寂しかったぞ〜」

 

ココは指定席だと言わんばかりにアイクの背中から抱きついて寄りかかった。

 

「ココ!まず社長のアイクにちゃんと挨拶してください。」

 

「あっ、エレンも久しぶり。でもさ、これが私達姉弟の挨拶だから。ね、清夜?」

 

「ココ姉の兄妹はキャスパー兄でしょ。もう挨拶とかいいから案内してよ。ゆっくりしてらんないでしょ?」

 

いつも会うたびに寄りかかられ頭撫で回されてるので、アイクはもう挨拶についてはどうでもよくなっていた。

そんな反応が気に入らないのかココは頬を膨ませた。

 

「む〜ツレないな清夜は。じゃあ車乗って。まずは皆がいるホテルに向かうよ。」

 

三人は車に乗り込み、護衛が待つホテルに向かった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

2095年 5月5日 東EU クロアチア ホテル

 

ココ・ヘクマティアルはヨーロッパ、アフリカを担当するDEMの武器商人だ。

かつての式海運の幹部にして今は亡きフロイド・ヘクマティアルの娘でちょうど今の清夜ぐらいの頃から武器を売り始めていた天才だ。

そして清夜に武器を、交渉術を、偽りの笑顔を教えた張本人でもある。

 

「キリキリ歩け〜清夜隊員!ほれっ、1!2!1!2!・・・」

 

ただ師匠や先生か?と言われればそうじゃない。

一介の部下とも言えない。

それこそさっきの姉という表現が近いだろう。

清夜にとって冬華ほどではないもののそれぐらいに近い存在だった。

 

「まぁ、残念なことにゆっくりしていられないというのは清夜の言う通りだ。結局、問題が起きて東欧の片田舎に足止めされている。」

 

ホログラムを解いた清夜の手を引いたココがピタリと止まって振り向いた。

 

「問題の解決を手伝ってもらいたい。これは正式な要請であると同時に君と君の部下の実力を確認するという意味もある。」

 

ココは清夜に拳銃を手渡した。

初めて会った時もこうだった。

CADではなく拳銃を手渡す。

そこに意図があるのを感じるが未だになんの意味なのか分からない。

それでも清夜は拳銃を受け取った。

 

「ココさん、おかえりなさい。おっ、久しぶりだね二人共」

 

「久しぶり夜君、エレンさん。」

 

すると部屋の前に立っていた東南アジア系とアメリカ黒人系の男性が話しかけてきた。

彼らは清夜にとっては部下であると同時に先生の一人だった。

 

「お久しぶりです二人共。」

 

「久しぶりワイリ、マオ。」

 

「その喋り方を聞く限り、ちゃんと語学の勉強は続けていたようだね夜君。」

 

このアメリカ黒人系の男性はウィリアム・ネルソン。

通称ワイリ。

眼鏡をかけた穏やかそうな風格だがUSNAの元戦闘工兵。

そして最後の所属はエコーと同じデルタフォースだ。

清夜には語学と爆弾技術を教えており、特に爆弾技術に関してはFBIのブラックリストに入るほどの凄腕だ。

 

「まぁね、魔法語学に必要だから。マオの方は息子達元気?」

 

「ああ、お陰様でね。エコー達はもう中にいるよ。」

 

東南アジア系の男性はマオ。

元砲兵。

清夜に砲撃と長距離魔法戦術、生物を教えている。

ココの部隊の中で唯一の妻子持ちだ。

 

「んじゃ入ろうか清夜、エレン。はーい、皆!注目!」

 

バン!ドガッ!

 

ココはノックもせずドアを思い切り押し開けた。

案の定、おっさん一人が開いたドアにぶつかり持ってたグラスを落としてしまったがココも中にいた人間もそんなこと気にしない。

 

「おっ!宣言通り無事に着いたみたいだな」

 

「おつかれッス」

 

「お疲れ様ですボス。」

 

部屋にいたのはエコー達三人を含め8人。

 

「おっ!来たな夜坊〜!待ってたぞ〜ウリウリ♪」

 

清夜の頭をグリグリする金髪の白人男性はケツ・・・じゃなくてルツ。

清夜とエレンを除けば一番の若手で元警察の対テロ部隊のスナイパー。

清夜に狙撃を教えている一人だ。

 

「よぉ、夜。ちょっと見ない間に男らしくなったじゃないか。」

 

坊主頭の大男はウゴ。

ココの専属運転手。

部隊の中では珍しいマフィア出身。

清夜に車、ヘリ、軍用機など様々な乗り物の運転を教えた。

 

「そうですね。だいぶ体つきがよくなりましたね夜君。私の訓練メニューが役立ってなによりです。」

 

部隊で唯一の女性ソフィア・ベルマン。

通称バルメ。

スイス軍FRDFの元少佐。

眼帯というハンデがあるにも関わらず部隊のなかでは近接戦最強。

DEMの傭兵の中でも1位タイの近接戦最強の兵士だ。

ナイフが得意で清夜の近接戦闘、近接魔法戦闘の先生。

ついでに言うとココにゾッコンな筋肉マッチョだ。

 

「いやいや、男らしくなったのはきっと女を喰らったからで・・・」

 

茶髪のイタリア男はレナード・ソチ。

頭文字をとってR(以降アールと呼称)と呼んでいる。

見た目はイタリア男にふさわしい軟派な男だがこいつも見た目に反して鳥の羽根を頭につけることで有名なベルサリエリの部隊出身だ。

清夜には中距離魔法戦闘を教えた。

 

「あっ!そうだ聞いたぞ夜坊!社長にかこつけて部隊の女で囲ってるらしいな!一人よこせよ。」

 

眼鏡をかけた日本人男性は東城秋彦。

通称トージョ。

国防軍北部方面電子隊、国防軍情報部中央システム管理隊を経て防衛省の秘密部隊に所属していた。

今の清夜には劣るが電子戦関連が得意で清夜に電子戦の基礎と数学を教えていた。

 

「ってて・・・何だ夜坊来たのか。へへっ今はアイザック・ウェストコットじゃねぇのな。」

 

そしてドアにぶつかっていたおっさんはレーム・ブリック。

いつもヘラヘラしているがエコー達がデルタフォース時代に所属していた部隊の元隊長。

バルメと同じ最古参で式海運の初期からの傭兵だ。

狙撃で言えばDEM一の実力。

清夜には射撃と狙撃、遠距離魔法魔法狙撃を教えている。

 

「皆、久しぶり・・・てか東城とルツは離せよ。あと囲ってるなんて事実は一つもない!」

 

「本当か〜?鼻の下がキノピオみたいに伸びてるぞ。」

 

「よし、歓迎の夜坊投げしようぜ」

 

「ちょっと!アイクで遊ばないでください!」

 

「へへっ、総隊長殿は黙って見てなって。面白いぜ。」

 

飛行機までの威厳はどこへやら。

5年も前から世話になっていたから清夜はこの部隊でこういうポジションになっていた。

こんな時のための護衛も一緒になってからかい始めるし、エレンもレームに捕まって役立っていない。

終いにはプロレス技までかけられそうになった。

武器商人としての笑顔を忘れていないが流石の清夜でも限度がある。

 

ガシャッ!

 

なので先ほど受け取った拳銃を取り出しスライドを引いた。

 

(((げっ、拳銃構えやがったコエ〜)))

 

すると皆は虫のようにバッと離れた。

言っておくが彼らは凄腕の傭兵だ。

凄腕の・・・

たぶん凄腕の・・・

 

その姿を見てココは本題にはいる。

 

「はいはい、ビビるな。二人が来たから状況確認にはいるよ。トージョ、二人に現状の説明を。」

 

「変わらんね。我らのコンテナは数日前に港で足止めくったまんま。足止めしてる内務省中央税関保安隊にはココさんか社長から連絡をお願いします。」

 

「あいつら最初から通す気ないよ。だからあんな無茶な賄賂の金額だすわけだし。」

 

愚痴を零すぐらいなら別の方法を考えるべきなのだろう。

でもこの業界はこんなことばかりで時には愚痴を零さないとやっていけないのだ。

 

「というわけで私達の荷物を取り返さなければならない。意見あるかな清夜君?」

 

「増援の人間だから方針については何も言わないよ。今、俺のチームに必要なのは標的と作戦だ。」

 

あっけない返事に何を思ったかココは笑みを浮かべた。

 

「フフーフ♪総員出動準備!レームとバルメは私とは別の車でついてきて。あっ、清夜は私の運転する車ね。他は別ルートから!そっちの指揮は・・・エレンで。いいよね?」

 

「妥当だね。エレン指揮を頼む。エコー達もエレンについていって。」

 

「了解しました。」

 

「「「りょ〜かい」」」

 

エレン以外締まらない返事だがココも清夜も叱ることはなかった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

2095年 5月5日 東EU クロアチア 高速道

 

ココと変身したアイクは車で貨物のある港に向かう道中クロアチア内務省の通告を受けた。

 

『ミス ヘクマティアル。貴方はあのコンテナがもたらす影響を分かっているのか?我々はあれを空軍に届かせるわけにはいかない。それでも強行するというのなら、容赦しないぞ!覚悟しろよ小娘!』

 

実に脅迫的な通告だった。

しかし、なんと言われようと彼らは仕事をこなすだけのこと。

 

「そりゃこちらのセリフだよ。」

 

ピッ!

 

ココは電話を切るとバックミラー越しに清夜を見た。

 

「で、どうなの清夜?今度の仲間は?」

 

「・・・エコー達は充分に強い。翠と藍についても目標は見つけてないものの与えた仕事を滞りなくこなしている。アルテミシア、アシュリー、レオノーラ、セシルについては実力があるものの心的な意味で疑問が残るかな。」

 

アイクは持ってきたアサルトライフルに弾を詰めながら事務的に答えた。

もう、仕事の時間だと言う意思表示。

笑顔すら見せないのは商人としてではなく兵士としてここに来たからだ。

商人としては狂気的になり、兵士としては冷徹になる。

これが今の彼のスタイル。

でも今こうして素っ気なく答えるのは二人きりでココと話したくないというのもあるかもしれない・・・

 

「そういう話じゃないっての。もう相変わらずだね。まぁ、こちらでも君が私の元を離れてからのことをとことん調べた。」

 

「・・・」

 

アイクの動く手が止まった。

 

「南米マフィアを潰したこと、そこで母親を殺したこと、アルテミシア達のこと、第一高校のこと、ブランシュのこと、司波達也のこと」

 

「・・・」

 

「そして千葉エリカのこと」

 

とうとうアイクの目がココに向いた。

だが、それでも何も語らない。

笑顔ですらない。

 

「その反応を見て確信したよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。母親や千葉エリカに化け物と言わせる自分の力、冬華を殺した魔法の力、冬華を殺した男と繋がることになった要因の一つであろう武器という力が」

 

「別に、好きでも嫌いでも・・・」

 

「怒ってるわけじゃない。武器屋の社長をしながらそのスタイルを貫くのはむしろ喜ばしいことだと思ってる。けど・・・」

 

喜ばしいというわりには、どこか悲しそうな顔をしたココ。

少し間を開けてから真剣な顔して強調するかのようにこう言った。

 

()()()()()()()()()()()()。」

 

「・・・」

 

アイクの弾倉を握る手が自ずと強くなりミシィという音が車の中で響いた。

これが彼の本心なのかは分からない。

 

「彼女に君の求める救いはない。彼女は君を理解できないから。彼女は君を頭ごなしにしか見てないから。」

 

「俺は彼女に救いを求めたことなんてない。」

 

「嘘だね。そうでなきゃ2年前、君が殺されかけてまで助けるわけがない。ましてや入学してから森ナントカや翠の攻撃から千葉エリカを守るようなことはしない。君は心のどこかで彼女とまた一緒に笑い合えると思っているんだ。でもね、宣言してあげる。」

 

運転席と後部座席。

それだけ距離が離れているのにアイクは顔と顔がぶつかるぐらいの距離で言われてるようなプレッシャーを感じた。

ココは最後にこう締めくくった。

 

 

 

 

「 千葉エリカは最後に必ず君を見捨てる。」

 

 

 

 

「・・・」

 

アイクは何も言わなかった。

いや、言えなかったのだ。

ココに言われたほとんどは自覚があったから。

覚悟を決めたはずなのに彼女の前だと揺らいでしまう。

先日、屋上で倒れたことが何よりもの証拠だ。

 

「君は賢いはずなのにこういう所が甘いんだな。『()()』と『()』。()()()()()()()()()()()()()()()。『復讐』を選べば『愛』する人は復讐する人を受け入れてはくれないからね。」

 

「・・・事情を話せば」

 

「「受け入れてもらえるかも」って?それはありえない。もし愛する人が『復讐』を受け入れてしまったら、もうその人は復讐する人にとっての『愛』する人ではなくなっている。だって『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。絶対にそんなことは起きない。これはね()()なんだよ清夜。君は決めなければならない・・・どちらかを」

 

だからアイクは二人きりで話したくなかった。

遠回しに清夜とエリカのことを指差しディベートで言い負かすぐらいなら気にしない。

アイクが嫌に感じるのは話している時の洗脳されてるような感覚。

諭され思想を変えられるような盲目の侵略、支配。

彼女の導くまま()()()決めてしまいそうだ・・・

アイクは完全に動かなくなった。

それにココが気づき謝った。

 

「ごめんごめん。話しすぎた。別に『今の君を受け入れてくれる人がいない』とは言ってないよ。君のことをちゃんと理解して受け入れてくれる人はいる。」

 

ココは誰とは言わなかった。

 

「あっそ」

 

アイクは自身の状態に気付き慌てて無関心を取り繕った。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

時を同じくしてココの後ろを走る車にはレームとバルメがいた。

 

「で、どうよバルメ?」

 

「どうよ?と言われても。夜君のことですか?まだ再会したばかりなので何とも言えませんが。でも、少しは丸くなったんじゃないですか?」

 

「けど気配はさらに鋭くなった?」

 

「ええ、あの歳であんな気配は出せませんよ。」

 

レームは運転しながら火をつけた。

 

「へへっ、あいつ精神で言えば誰よりも異常だからな。ココが連れて来た時、『ありとあらゆる戦闘を教えてくれ』と言ったのはびっくりしたぜ。あの泣き虫のガキが妹亡くした瞬間に冷徹なソルジャーになりやがった。」

 

「そして、私達の訓練を泣き言一つも言わず、涙目すら見せず無表情でこなしていった。大人と同じメニューですよ?むしろ辞めさせるためにより厳しくしたのに逆にメキメキと強くなりました。レームは今の彼に勝てますか?」

 

「無理だな。魔法なしならギリギリ勝てるが、魔法使われたら手も足も出ねぇよ。」

 

「即答ですか・・・しかし私もです。彼の近接格闘のレベルは私やチェキータの域まで迫っています。魔法近接格闘なら完全に抜かれてる・・・ってレーム!タバコつけないでください!」

 

いつの間にか車の中を充満していた煙にバルメが咳き込む。

病気というわけではなく単に彼女がタバコ嫌いなだけだ。

 

「はいはい・・・ん?」

 

レームは仕方なく火を消した。

すると後ろにいた2台の車がレームの車を追い越して行った。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

アイクもレーム達を追い越した車の存在に気づいていた。

 

「ココ、質問。」

 

「フフーフ♪バストでもヒップでも何でも教えてしんぜよう清夜隊員。」

 

「ここの尾行者の扱いは変わってないよね?」

 

「そりゃもう!相も変わらず先手必勝!一撃必殺!」

 

バババッ!

 

アイクは車のサンルーフから体を出すと何の前触れもなくアサルトライフルを後ろの車に発砲した。

 

「ちょっ!?清夜!」

 

ココは驚きの声をあげた。

だがアイクは気にもとめず今度は後ろのの車に「マリオネット・ジャック」をかけ、同じく後ろを走っていた2台目の車に激突させた。

 

キキィー!!バゴーンッ!

 

車は案の定ブレーキをかけるが間に合わず勢い良く激突、最後にエンジン部から爆発し、2台とも盛大に吹き飛んだ。

無差別テロではない。

よく見ると車の運転手は迷彩服姿にヘルメットを着用した兵士だった。

尾行していたのか。

例えそうだとしてもココには文句があった。

 

「ちょっ!撃つならちょっとは予告してくれないかな!?というか尾行いるなら言ってよ清夜!お姉ちゃん危うく漏らすところだったよ!」

 

ココにしては珍しく涙目で訴えた。

先ほどのラスボス感はどこへやら。

仕事が出来るんだか、出来ないんだか。

そんな呆れ声は喉元で堪えてアイクは忠告した。

 

「・・・だって今さっき気付いたし。それよりも準備して、そろそろ今の斥候より強い本命がくるはず」

 

するとさらに後ろから中型のバンと普通車両がココとレームの車の間に割って入った。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

2095年 5月5日 東EU クロアチア 内務省

 

斥候を送った張本人、つまりは先程の電話の男もその様子を電話をしながらモニターで見ていた。

 

「まさかアイザック・ウェストコットまで現れたとは・・・あぁ、彼等の貨物は俺が止めた。さっき言った通り、睨み合いという平和をぶっ壊す危険な代物なんだ。」

 

その手には貨物の中身が書かれたリストが握られている。

 

「中身か?あれはな我が国の主力戦闘機3個飛行隊分の改修化高機動パッケージだ。周辺諸国との空軍力を均等化させるほどの品物だ。君なら分かるだろう?()()()()()()()()()()今、空での戦闘で物言うのは戦闘機の力だ。いままで両陣営で戦争にならなかったのは我が国の空軍力が劣っていたからだ。」

 

モニターに映るアイクは敵普通車両を倒した。

これはこの男にとって戦況が段々不利になってるということだった。

 

「もし、あれが空軍の手に渡れば我が国だけでも君の国だけでもない。東西EUで大戦争になる。最悪、その流れで()4()()()()()()にまで発展してしまう。」

 

ミスしてはならない。

この戦いは世界の行く先がかかっていると言っても過言ではない。

だから他国の人間にも頼らなければならない。

 

「警察は介入させてない。俺が部隊を投入させたからな。別ルートでも確保に向かっているようだがそっちは・・・そうだ彼等の()()が対処する。・・・仕方あるまい。今は力があるなら企業にでも頼らなければならないんだからな。」

 

電話の相手が男に提案した。

 

「そうか、君も動いてくれるか。あぁ、今回の活動については俺が上に言っておく。」

 

男は最後に映画でよく聞く名前をつぶやいた。

 

「頼んだぞ()()()君。」




というわけでいかがでしたか?
なんか最後にヤバげな名前出たけど気にしな〜いww
ヨルムンガンド原作よりヨーロッパやばいけど気にしな〜いww


今、私は現在卒業制作関連でまた忙しくなってしまいましたが
原作次回予告読んでから『魔法科高校生の劣等生』熱がさらに上がって上がって止まりません。
第4次世界大戦の兆候とか・・・超望んでいた展開になりそうです。
次回が待ち遠しいです。


次回予告!!

貨物に着々と近づく清夜達。
だがそれは東西EU戦争、ひいては第四次世界大戦までのタイムリミットが近づいてることでもあった。

清夜は大戦争を引き起こすつもりなのか!?

そして、世界の危機にあの男が清夜の前に立ちふさがる。

お楽しみに!


「これはダメじゃない?」、「これだと運営に取り締まられるんじゃない?」という場合には是非、メッセージなり感想なりで報告をお願いします。感想、誤字脱字、評価、アドバイスもジャンジャンお待ちしております。
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