待ってなかったら興味程度でいいので読んでみてください。
47話です。
今回はLOST ZEROが中心ですかね。
前回までのあらすじ!
達也と深雪は実家で脱走した研究員の始末と黒羽家の治療の依頼を頼まれる。視点は代わり、清夜は学校で魔法力が高くなる薬の噂を耳にする。しかも、それと関連づいてかサイオン枯渇と記憶喪失の生徒が多数現れるという怪事件の話を聞かされる。
2095年 5月15日 第一高校 グラウンド
「ねぇ、何で話し断ったの?」
「・・・」
真由美たちの話の後、清夜は業務の一環である見回りを開始した。
何も風紀員のように違反者を取り締まる訳でもなし(通報はするが)、実質散歩と言えるのだが面倒なことにエリカが質問しながらついて来ていた。
「ねぇ〜聞いてるの?」
「聞いているよ。別に断ってもいないじゃないか。ただ俺は『現段階では決められません。』って言っただけだよ。」
そう、別に断った訳ではない。
あくまで回答保留。
保留にした時の間抜け面は中々に面白かったが真由美達はオフレコを条件に克人に相談する時まで待ってくれると言ってくれた。
だからこうやって付きまとわれるいわれはないのだがエリカにとっては気にくわないようだ。
「な〜んで決められないの?降りかかる火の粉は事前に知っておくべきでしょ?やることだって調査とか見回り強化程度だし。おもしろそうだけど危険な仕事でもないじゃん。」
ここで清夜は意外感を持った。
そのことにエリカも気づいた。
「・・・何よ?」
「いや、エリカは脳筋的な性格の割には要点を理解して計算できるんだね。」
「誰が脳筋よ!レオと一緒にすんなっ!」
ドカッ
「ゲロッ!」
後ろから脇腹めがけたボディーブローはクリティカルヒット。
清夜はカエルのような声をあげた。
さりげなくレオのことをバカにしているが清夜は痛みでつっこめなかった。
「で、何で決められないの?今度、答えなかったらアナコンダ・バイスよ」
「それは嫌だな。他の女性なら嬉しいけどエリカの胸はそこまでおおk・・・」
「いたぶり殺された後、セクハラで訴えられる?」
パキボキ・・・
「いや、はい。ちゃんと言います・・・」
どちらにせよ煙に巻いて回答を拒否することは出来そうにない。
清夜はエリカを連れグランドの外れにある倉庫裏に移動した。
「ちょ、ちょ、こんな狭いとこ来なくたって・・・」
一人通れるかどうかの狭いスペース。
他の人間に聞かれないためとはいえ二人で話すにはあまりに狭く、そして近すぎた。
数センチ寄せるだけでキスできるくらい・・・
(ち、近い!?)
「いいかい?まず俺は正義感や面白そうという理由で動きはしない。それはもう何となく分かるね?」
「・・・(コクコクコクッ!)」
頷くだけでも唇が重なりそうになる。
分かっているのだがエリカは恥ずかしさから頷くことしかできない。
そもそも頭が沸騰して何て言っているのかも分からないから頷くしかないのだ。
「それに危険な仕事はないというけど、それは危険なことに飛び込まないだけであって相手が・・・つまりは調査に気づいた密売組織が危険を持ち込んでくる可能性がある。エリカや七草先輩なら実家の存在がその危険の抑止力になるけど、俺や桐原先輩にはないんだよ。だから販売規模も戦力も分からない上に実態すら掴めてない状態で自ら進んで調査なんて出来ないんだ。分かったかい?」
(とは言ってもここら辺で薬を売り捌く組織には心当たりがあるんだけどね・・・)
「わ、わわ分かった・・・分かったから・・」
「そう、良かった分かってくれたんだね。」
「ひゃやく・・・ひゃなれ・・・なひゃいよ。」
「へ?」
「離れなさいよ!こんのっ馬鹿!」
「掌底ッッッ!?」
バゴッ!ガン!
清夜は顎に掌底を受け、その勢いのまま後ろの壁に頭をぶつけた。
エリカは倒れこむ清夜には目もくれず倉庫裏を出る。
(ちゃ、ちゃうねん!いやいやいや、何で関西弁になるのよ!?違うのよ!あんな状態なら誰だって勘違い・・・いやいやいや勘違いじゃなくて、誰だって掌底しちゃうわよ。うん、そう、私は悪くない!)
「い、痛いよエリカ。俺セクハラしてない・・・ん?あれ戦ってないか!?」
清夜が見たのは木々が生い茂る野外演習場。
そこからチラチラと人影が見えていた。
普段なら克人が部長のクロスフィールド部、そしてレオが所属している山岳部が使っているのだが今日はたまたま両部活とも学外で活動している。
そのため野外演習場に誰かがいることはないのだが4、5名ほどが魔法で戦っているのだ。
清夜は模擬戦闘があるとは聞いてない。
あわてて風紀委員に通報しようとする清夜だがエリカがその手をとめた。
「え?・・・あ!待って待って、あれはレイ君達の実地試験だよ。」
「レイ君・・・?同級生かい?」
「ああ、そうか清夜君会ってないんだっけ。彼らは編入生よ。明日から正式に編入するんだけど、いつもの面子は彼らが編入手続きをした時に会ってるの。ほらゴールデンウィークの時、清夜君用事でいなかったじゃん。」
ゴールデンウィークの時というと、ちょうど清夜が007に殺されかけた時だ。
思い出したくない事案だが清夜はそれよりも”編入”と”彼ら”という言葉に疑問を持った。
「彼ら・・・ってことはレイ君とやらの他にも編入生がいるってことかい?」
「うん、レイ君の妹のマヤカも編入してくるわ。」
(編入か。入学して1ヶ月で編入生・・・それも二人。何でこのタイミングで?毎年100名以上の卒業生を魔法大学や専門の訓練機関に送らなければならないとはいえ、国策機関であるこの学校が編入生を受け入れることなんてありえるのか?)
「何者なの?その二人。それに実地試験って・・・」
「じゃあ行ってみましょ。レイ君も清夜君のこと聞いて会いたがってたし、ちょうどいいじゃん」
「え、ちょっ!?」
エリカは清夜の腕を引っ張って野外演習場へ向かった。
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2095年 5月15日 第一高校 野外演習場
邪魔にならぬよう静かに入るとジャージ姿の男子4人、女子1人の合計5人が見つかった。
見た所、男子2人ずつで別れて戦っておりピンクの髪の女性が傍で見守っているという感じだ。
「あれは、副会長の服部先輩じゃないか。それと小さいのは・・・資産家で有名な百家の十三束」
「風紀委員でマーシャル・マジック・アーツ部 の沢木先輩もいるわ」
「マーシャル・マジック・アーツ。魔法を併用した徒手格闘か・・・・強いの?」
「ええ、二年では服部先輩と並ぶ強者よ。それで最後に残った男の子とピンクの髪の子が・・・」
エリカが名前を言おうとすると一番小さい男子、つまりは十三束が急にこちらを向いた。
「誰だ!?」
「「!?」」
十三束は勢いよく走り清夜に襲いかかる。
自己加速術式を使っているわけではないが鍛えられた人間の速度だ。
むしろ危険なのは突き出そうとしている右手。
清夜のニューロリンカーによる解析だと着弾点から有効範囲内の物体を一定の加速度で吹き飛ばす加速系の『エクスプロージョン』が展開されている。
それを手のひらを魔法発動ポイントにすることで座標変数入力を省略する接触型で発動しようとしている。
下手に彼の右手に触れれば簡単に吹っ飛ばされてしまうだろう。
ただ清夜はそういうことは考えていなかった。
(
ドゴッ!
「グァッ!」
金属が体に打ち付けられる特有の音が鳴ると十三束が苦痛の声をあげて倒れた。
やったのは清夜ではない。
エリカだった
「フゥ〜・・・いきなり危ないわね。」
「1科と喧嘩した時より速い・・・」
魔法なしで十三束を上回る移動速度もさることながら剣を振る速度も見事だった。
警棒を抜く動作から振り終わりまで動作に無駄がない。
そんな清夜の呟きにエリカはピースで答えた。
「言ったでしょ。『あたしも清夜君が頼るくらいに強くなるから』って」
「・・・ああ、そうだったね。」
思わず清夜も
するとそこに戦ってた服部と沢木が駆け寄ってくる。
「おい、十三束どうした!」
「お前達は4月の模擬戦の時の・・・十三束に何をした!?」
「え、え〜と・・・」
「ははは・・・」
先に襲いかかったのは十三束なのだが証拠がない。
しかも事実としてエリカが倒してしまったのだから二人は苦笑いするしかなかった。
だがすぐに助け舟がきた。
「い、いえ・・・僕が・・・悪いんです。僕がいきなり・・・襲いかかったから。」
「十三束、大丈夫なのか!?」
(へぇ・・・手加減されてたとはいえ、すぐに立てたか。”森なんとか”の実力を見てこの学校の生徒の強さを侮っていけどエリカといい、十三束のご子息といい、あながち馬鹿にできないな)
「っつぅ・・・ええ、ちゃんと手加減してくれましたから。だから大丈夫です服部先輩。」
「攻撃してごめんね。私は1-Eの千葉エリカ。んで、こっちが」
「同じく式清夜です。すいませんでした。邪魔にならないように静かに見学しようとしていたんですが返って不審に思われてしまいました。」
バツの悪そうな表情をするエリカと清夜。
しかし十三束は笑顔で返してくれた。
「1-Bの十三束鋼です。こちらこそごめんね。てっきりテロリストの類と思ってしまって攻撃してしまったんだ。それと式君。」
「はい?」
「そんな敬語とかじゃなくてもいいし鋼でいいよ。僕達同い年じゃないか。っていきなり襲った僕が言ってもあれか・・・」
「いや大丈夫。俺のことも清夜と呼んでいいよ。改めてよろしく鋼。」
「うん、よろしく清夜君。」
握手した十三束と清夜。
無事解決したのなら駆けつけた先輩二人も文句の言いようがない。
「ま、お互い納得したならいいさ。俺は2年の沢木碧だ。よろしくな二人とも。十三束は部の次期エースなんだが倒してしまうとは驚いた。」
「4月の模擬戦で知っているとは思うが2年の服部だ。それで、見学と言ったな?俺たちは別に構わないが一応零乃から聞いてからにしてくれ」
(
清夜がそう思ったその時、服部達の後ろから残りの二人が現れた。
「俺達も構いませんよ。」
「はい、兄様がそういうのなら私も異議はありません。」
一人は男。ピンクの髪に清夜と同じ赤い瞳、体格は鍛えられてる訳でもなく普通。長髪で後ろで髪を束ねている二枚目だ。
もう一人は女。男と同じくピンクの髪に赤い瞳、髪はツインテールにしており幼児体型ではあるがエリカや深雪にも負けない美少女だ。
髪と瞳の色が同じなので一目見ただけで彼らが兄妹だと分かる。
「あ、やっほ〜
「よ、エリカ。」
「ふふふ・・・来ましたか我が同志よ!」
「同志?」
まやかの『同志』という言葉に首をかしげた清夜。
エリカは慌てて話を戻した。
「な、なんでもないの!それで
「ん、君が式か!俺は零乃
「零乃まやかです。私のことも”まやか”で結構です。兄共々よろしくお願いしますね。」
(やっぱり零という字を冠しているか・・・あの襲って来た零とも無関係じゃないんだろうな。もう少し調査レベルを上げとくべきだったか。)
会社には零の調査をさせていたのだが清夜は編入してくるという報告は受けていない。
清夜の予想だと恐らく魔法協会ひいては十師族が文官(政府陣営)や武官(国防軍陣営)に今日まで知られないよう、よほど巧妙かつ秘密裏に進めていたため気づけなかったのだろう。
七賢人であるサイモンに調査させてないこと、アルテミシアにはゴールデンウィーク中、飛行デバイスのテスターをさせていたことも原因だ。
自分の判断ミスで機嫌が悪くなった清夜だがすぐに表情を取り繕った。
「式清夜です。俺のことも清夜で・・・」
「俺も敬語じゃなくていいぜ清夜」
「私もです!」
「・・・分かった。よろしくね二人とも。」
笑顔で二人に握手する清夜。
ただし今度のは取り繕ったものだった。
自己紹介を終えた後、演習場の中央に戻った一同。
すぐに十三束&零乃の一年タッグVS沢木&服部の二年タッグという振り分けで戦闘が再開した。
「行くぞ二人とも!」
「一年といえど手加減はしないぞ」
「
「ああ、全力で行こう!」
ガッ!ドガガッ!
沢木と十三束が魔法で威力を上げた突きをぶつけ合う。
対し服部と
変化はすぐに訪れた。
「ッゥ!やるな十三束!」
「ありがとうございます!」
互いの突きが弾け着地した両者。
服部はそこに間髪を入れず魔法を発動する
「だが、まだ脇が甘い。」
ブァッ!
「ウアァ!」
移動系の『上昇』で上に吹き飛ばされた十三束。
一応、彼も情報強化で防ごうとしたものの干渉力で負けてしまい飛ばされたのだ。
すぐさま
「鋼、空中で姿勢を整えるんだ!こっちで受け止める!」
「OK!」
フワッ・・・
無事着地成功した十三束は再び沢木にぶつかり4人の闘いが繰り広げられていく。
その様子を清夜はエリカとまやかと共に外れたところで見学していた。
「4人ともやるわね〜。前衛が沢木先輩と十三束君、後衛が服部先輩と
「実地試験と聞いたけど
「いえ、実地試験と言っても魔法だけでなく新型のCADのモニターという面もあるんです。それに攻撃出来ないというわけではなく兄様の魔法は後方支援に向いているんです。」
「後方支援?それは・・・あ、いや、なんでもない」
清夜は魔法を聞き出そうとしたが口を噤んだ。
世間一般として他人の術式を聞くことは親しい人間だとしてもマナー違反。
尋問や拷問、挑発でもない限り、そこらへんのマナーはしっかりと守る清夜だった。
「構いません。ですが代わりにお願いがあるんです。」
「お願い?」
「はい、この実地試験は魔法力問わず校内の実力者さんに協力をしてもらっているのですが、清夜さんにもこの実地試験に参加して欲しいのです。」
「ついでにあたしも含めていつものメンバーは皆参加しているよ。」
「達也も?」
「うん。」
(てことはテロリストの類ではないのか・・・でも、とりあえず様子見かな)
「ごめん・・・残念だけど俺は二科生だから参加するほどの実力はないんだ。他を当たった方がいいよ。」
爽やかにされど丁重にお断りした清夜。
しかし、まやかは驚いた顔をして否定した。
「え、でも清夜さんは実技で深雪さんにつぐ成績ですよね?」
「・・・」
思わぬ切り返しに清夜の思考が停止した。
入試の成績は基本非公開のはず・・・
なぜ知っているのかと叫びたくなったがすぐに答えは分かった。
「それにAクラスの森崎君も瞬殺、ブランシュ事件でもプロの戦闘員8人相手に一人で生き残ったそうじゃないですか。エリカの話では他にも経絡秘孔を突いて人を爆発させたり、怒りが頂点に達すると髪が金色になって戦闘力が上がったり、etc、etc・・・とか。話を聞いて兄様も興味を持ってましたよ」
「・・・エ〜リ〜カ〜?」
「・・・ヒュ〜ヒュヒュヒュ〜♪」
吹けもしない口笛をしてそっぽを向くエリカ。
なので清夜は笑顔でエリカの頰をつねって伸ばした。
「ははは♪嫌だな〜エリカ。勝手に成績とか非公開の模擬戦とか教えちゃうなんて〜。最後の嘘なんて北○の拳やド○ゴンボールじゃないか。」
ギィシィィィィ・・・
「ギャァーー!痛い!いだい!いだ〜い!ごめんなさい、ごめんなさい!いつも清夜君謙遜するから、つい皆で喋っちゃったのぉ!すいませんでした!」
「ええとゲフンゲフン、それで参加はダメですか?」
「はぁ・・・まぁ、興味がないわけでもないからね。君が聞いた話の実力が発揮できるとは限らないけど、それでもいいなら。」
「いいんですか!?やった!ありがとうございます!」
まやかは飛び跳ねながら喜ぶ。
その姿は幼児体型の美少女らしい絵だった。
「では兄様というよりは零家の魔法について説明しますね。まず零家の魔法は基本、零家の人間しか扱えません。そn・・・」
「・・・うん?零家?零乃家ではないのかい?」
「ああ、そうですね。まずは零家について説明した方がいいですね。でもその前に、実地試験・・・私達は『任務』と呼んでいますが、このことや魔法、零家についての話は極力他人に話さないでくださいね?」
「わかった。」
(無論、嘘だがな。)
そうしてまやかは零家について教えてくれた。
もちろん、全部を教えてくれたわけでもないだろうが話をまとめると・・・
零家とは『零乃』、『零式』、『零宮』の三家からなる一族だそうだ
零家の魔法の性質上、公には認められておらず
そして彼ら兄妹は『
「それで零家の魔法というのは魔法師を補佐したりするものが多く、その中でも零乃家は魔法師の能力を引き上げる魔法の研究をしています。兄様の魔法はその代表例で己の魔法力を使い魔法師の潜在的魔法力、つまりは発動する速度、魔法式の規模、事象を魔法で書き換える強度を底上げする『
「その魔法、あたしもやってもらったけど自分が思った以上に魔法が使いやすくなったし強度も上がっていたわ。お、ちょうど『
清夜はエリカの言うとおり二人を見る。
すると
「らしき」と言うのは見たことない形状のCADだからで、その薄い金属板のような形状は札と言うよりもカードという表現が近いかもしれない。
清夜も合わせて『ニューロリンカー』でその起動式を解析するが・・・
(解析不能・・・てことは少なくとも会社のデータベースにはない系統外魔法か。だろうとは思ってたけど・・・でも)
予測の範囲内とはいえ、解析不能の結果に清夜は
しかし、あえてここでは深く考えず清夜は成り行きを見守る事にした。
「いくぞ鋼!」
「まずい!させるか!」
4人の闘いは佳境をむかえていた。
服部は『
「ありがとう
そして3、4秒遅れて服部の『上昇』が十三束に襲いかかった。
しかし
「もう効きません!」
十三束は吹き飛ばなかった。
なんと先ほどは防げなかった情報強化で防いだのだ。
話は聞いていたが目にして改めて清夜は驚く。
「情報強化の強度が上がった・・・!それにさっきとは構築速度が段違いだ」
魔法の不発で隙ができてしまった服部。
十三束は自己加速術式を使い、沢木をすり抜け服部に詰め寄る。
「これで・・・終わりだ!」
ドガッ!
「グァッ!」
強烈な横蹴りが服部の腹を抉った。
服部はなすすべもなく倒れるしかなかった。
「服部!くそっ!」
沢木は悔しい思いを噛み締めて、すぐさま十三束に殴りかかる。
だが十三束の自己加速術式はまだ終わっていなかった。
「ハァッ!」
ドグォッ!
「ガ・・・ハッ!」
バタッ・・・
左ストレートのカウンター。
まさに紙一重と言えるパンチが沢木の頬にヒットした。
手加減しているとはいえ、倒すには充分すぎた。
「これが・・・零の力」
見た目こそ変わらないものの十三束の魔法力は見ただけでわかるほど上昇していた。
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2095年 5月15日 第一高校 部活連本部
模擬戦は
その後、清夜とエリカは服部、沢木、十三束の3人と別れ、桐原と見回りを交代し零乃兄妹を部活連本部に招いた。
そこで清夜は知る。
「えへへ、やっぱり兄様は最強ですぅ〜。」
「おい、俺の腕で頬ずりすんな!世間体考えろバカ!」
「よいではないか、よいではないか〜。ぐへへ・・・」
妹のまやかは深雪に負けないブラコンだという事に・・・
清夜は仕事柄、今まで色んな人間を見てきたがこれは笑顔が引きつるレベルの人間だ。
(グヘへとか言ってるぞ。よだれまで垂らしてるし、もう顔が美少女をかけ離れてオッさんになってる。ヤバい、この兄妹別の意味でヤバい・・・)
「やめろまやか!今日できた友人がもう友達じゃない人を見る目になってるぞ!」
「そ、そんなことないアルよ。清夜、
「そ、そうアルよ。その愛貫くといいよろし。(視界に入らないように距離をとる)」
「日本語覚えたての中国人になってるアルよ!?違うんだ決して怪しい関係じゃないんだ!だから視線外して距離を取らないでくれ!Come Back!清夜、エリカ〜〜〜〜!!」
「グヘへ、周りの了承を得たところで・・・フレンチなキッスから始めましょう!兄様〜〜!」
数分後・・・
まやかの頭の上にたん瘤が出来ていた。
「本当に・・・すいませんでした。」
「バカな妹ですまない。けど悪いやつじゃないんだ。」
まやかと一緒に
エリカと清夜は特に気にする様子もない。
「まぁ、あたしは知ってたし。」
「それに知ってなくともそういうのは司波兄妹で慣れてるから別に大丈夫だよ。その様子だとまやかは司波さんとも仲良くなれてるんだろうね。」
「はい、同志ですから!!」
「ああ、同志ってそういう・・・」
清夜は言いながらエリカをジトーと見つめる。
「ちょ!?違うわよ!あたしを超絶ブラコン同盟と一緒にしないでよね!!」
「はいはい・・・それより本題に入ろうか
清夜は真面目な表情に切り替えた。
「ああ、協力してくれることはまやかから聞いた。だけど改めて聞かせてくれ。清夜、俺たちの『任務』に協力してくれないか?」
「前言撤回になってしまって悪いんだけど了承する前にいくつか質問をさせてくれないかな?」
「こっちはお願いする立場だからな。ぜひ聞かせてくれ。」
「一つ、
「ちょ、清夜君!?それはさすがに失礼じゃ・・」
「そうです!その言い方、まるで兄様が協力とつけ込んで魔法師の情報を盗んでるって言ってるようなものじゃないですか!無礼でしょう!撤回してくだ・・・」
「まやか!」
「!」
兄が好きな妹が怒り、兄が妹の名を呼んで制する。
そういう所は司波兄妹とそっくりだった。
「ごめんね、まやか。けど俺にも秘密にしたい術式とかあるからさ。正体不明の魔法でそういうのがあっても困るんだ。」
「清夜が謝ることは何もない。至極真っ当な意見だ。説明が足りなかったまやかが悪い。先ほどの妹の不備を含めて謝罪する。で、質問についてだが実力者を集めている所でそう思ったんだろ?でもこれは潜在的総合魔法力を数値化するぐらいで発動速度や強度、規模といった具体的な情報を抜き取ったり魔法適正や資質、固有魔法を解析するようなことはしていないから安心してくれ。」
「そ、なら良かった。じゃあ・・・」
「あ、あの!清夜さん・・・その、す、すいませんでした。説明が足らなかったこと・・・あとそれで無礼者扱いしてしまったことも。」
「いいよ、お兄さんが大事だもんね。守るならそれぐらい喰ってかからないと。」
「!・・・ありがとうございます!」
不快な顔一つせず許す清夜に
「じゃあ、もう一つ質問だ。
「ない。けど絶対とも限らない。だから魔法に振り回されない実力者に協力をお願いしているんだ。」
「サイオンを注入されたことによるサイオン中毒とか、使った後は普段の魔法力が落ちてしまうとかも?」
「兄様の『
「そうか、ありがとう。質問は以上だよ」
「納得してくれたか?」
「まぁね。」
清夜は満面の笑みで答えた。
けど、その笑顔とは裏腹に心は冷めていった。
(やっぱりな・・・嘘はついてなさそうだけど、さっきからこいつら
「じゃあ協力してくれるのか?」
「ああ、期待に応えられる実力が出るとは限らないけどね。」
「謙遜だな。でも気に入ったぜ。ありがとう!じゃあ早速、カードを作ろうか。」
「カード?」
「発音は合っていますが兄様が言ったのはC.A.R.D。正式名称Casting amplify Recapture Deck、日本名称だと術式増幅再現起動式と言います。でも私達、零家の人間はこの起動式をカードとして知覚するのでカードという認識でOKです。兄様が『
「じゃあ使ってた新型CADというのは・・・」
「皆のC.A.R.Dを保存するためのCADだ。C.A.R.Dは一般に使われている起動式とは少し種類が違うから他のCADと新型CADで同時発動しても失敗しないんだぜ。」
「えっへん!すごいでしょう兄様は?」
「なんでまやかが偉そうにするのよ。」
「それに俺が自慢するとこ一個もなかったし。いいから、まやか手伝ってくれ。清夜は俺と手を繋いでくれ。」
「分かった。」
言われて清夜は
そしてまやかがカード型のCADを右手で持ち、左手で二人の握る手にそっと乗せた。
どうやらカード生成にはまやかが必要らしい。
「いっきますよ〜メモリーアクセプト!」
魔法師にしか知覚出来ないサイオン光が清夜と
カード型のCADには特に何も写っていないが兄妹たちの目には見えているのだろう。
その見えたせいか、零乃兄妹が突然固まった。
「・・・え・・・何・・・これ?」
「何も写ってない・・・」
生成されたのは
黒のカードが示すのは彼の心か、それとも彼に訪れる運命か・・・
ま、皆さんの予想通り伏線ですよ。
LOST ZEROの主人公のビジュアルとか性格は単なる想像です。
一枚絵ぐらいでいいから見てみたいですね。
誰か描いてもいいんですよ(チラッ)
次回予告!
続々と記憶喪失、サイオン枯渇の被害者が増えていく中、とうとう生徒会、部活連、風紀委員会の3巨頭による本格的な捜査が始まる。しかし、バイヤーはそれを嘲笑うように捜査の網をすり抜けていく。バイヤーは一体?そしてその裏にある思惑とは一体!?
次回もお楽しみに!
「これはダメじゃない?」、「これだと運営に取り締まられるんじゃない?」という場合には是非、メッセージなり感想なりで報告をお願いします。感想、誤字脱字、評価、アドバイスもジャンジャンお待ちしております。