東方遠来客〜大怪獣ラッシュ世界から傭兵が現れた〜 作:紅 星鎖
閃火はどうなるのか……?
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ⁉︎
………………あ?」
光が収まるとそこには一人の少女が蹲っていた。
腰まで伸びた長い黒髪にぱっちりとした大きな瞳。
華奢な体に色白の肌。
そして女体になったことを象徴するふくよかな胸。
どこからどう見ても美少女になってしまった閃火(?)。
「な、何が起こって……?
ってなんだこの声⁉︎」
ソプラノの声。閃火(?)の喉から出た声までも元の状態より高いものとなっていた。
「す、凄いわね……。まさか冗談半分で作ったつもりが成功するなんて」
「おい。今、冗談半分って言ったか⁉︎
冗談じゃ済まされねぇよ⁉︎
ホントに数時間でどうにかなるんだろうな⁉︎」
ーーー新薬実験ナイトメア
次の日の朝。鏡の前で閃火は叫んだ。
「結局元に戻ってねぇじゃん⁉︎」
「お、おかしいわねぇ?
普通だったらもう元に戻っててもいい頃なんだけど…?」
あっれー? と首をかしげる永琳。
「ま、そのうちどうにかなるわよ。
今はその姿を楽しみなさい閃火……いや、もういっそのこと………そうね、
「や、やだぁぁぁー‼︎」
閃火→せんか→千夏→ちなつ。
脳内で変換を起こすと綺麗に整った女の子らしい名前になった。
「も、元に戻る薬とかは……⁉︎」
「あるわけないでしょう?
効果は数時間で切れる(予定だった)んだから」
「じゃあ作って! 今!すぐに!」
涙目で必死に訴える閃火改め千夏。
だが、願い虚しく材料切れであった。
「ど、どうすんだよ⁉︎ 今日、兵士たちに訓練つけに行かなくちゃいけねぇのに⁉︎」
「諦めてそのまま……いや、待ちなさい。たしか今日は訓練午後からだったわね? 丁度いいわ。その服だと可愛さの欠片も無いし服を買いに行きましょう」
永琳の瞳が怪しく光る。
危機を察知していつもの黒コートで出かけようとする千夏だったが何故かありえない怪力を発揮する永琳によって捕まりました。
「え? なんで? ビクともしないんだけど?
はっ! まさか体が変化したせいで筋肉量とかが減って本来の力が出せてないのか⁉︎」
要はか弱い普通の女の子になってしまったわけである。
永琳は医者だが弓を使ったり、山に薬草を取りに行ったりしてそれなりに鍛えている。
今の千夏状態では永琳の膂力に抗えないのだ……!
「というわけで行くわよ、千夏」
「うぅ」
自らの敗北を悟り、がっくし肩を落とす千夏であった。
「これなんかどう?」
「おい、なんでさっきからスカートばっか渡してくるんだ?
訓練に行くんだから動きやすい格好にしてくれよ……」
ひらひらのピンクのスカートを持ってきた永琳に嫌そうな顔で渋る千夏。
というか永琳が無駄にノリノリだ。
「こっちのワンピースもいいわね」
「お客様、こちらのカーディガンと組み合わせるとよろしいかと」
「あら、いいわね」
「勘弁してくれ!
というかなんで人増えてんの⁉︎」
ここぞとばかりにお値段高めのカーディガンを勧めてくる店員さんマジ商魂逞しい。
うぅ、と呻きながら千夏がスカートの裾を押さえていると軽快な電子音が流れる。
カシャ☆
「今、写真撮った奴出てこぉぉぉぉい⁉︎」
結局三時間ほど選んだ結果、千夏は清楚な白のワンピースにロングカーディガン、サンダルまで一式買ってオシャレにコーディネートされてしまった。
「えーりん。まさかこの格好で訓練に行けと?」
「?」
え? 今さら何言ってんだコイツ? みたいな目で千夏を見る永琳。
「え? 今さら何言っての千夏?」
「しかも言いやがった⁉︎」
「行ってきなさいよ。別に訓練中に都合よく効果が切れるとかないと思うから」
「思う⁉︎ 今、思うって⁉︎」
「イッテナイワヨ」
「嘘だッッッ‼︎」