東方遠来客〜大怪獣ラッシュ世界から傭兵が現れた〜 作:紅 星鎖
本作ではチート仕様です。
闇色の球が飛んでくる。
慌てて小回りの効かない妖刀破軍をしまい、飛び退る。
「わーお。自分でフラグ建てたとはいえアレ食らって無傷とか何の冗談だよ」
冷や汗が一筋伝う感触が異様に感じられる。
さっきまでの獲物をいたぶるような雰囲気はどこへやら。濃密な殺気が場を満たす。
土砂の中から姿を現したルーミアの怒気は歴戦の強者である閃火をもってしても心胆から震えさせるものがあった。
長年の相棒である妖刀無銘を再び取り出し、次の攻撃に備える閃火。
だが、既に次の攻撃は
「え?」
黒い塊が視認不可能の速度で迫り、無銘を構える寸前の閃火の腹にぶち当たる。
なす術なく吹き飛ばされる閃火。
先程も似たように飛ばされたが今回は威力が段違いだった。
ーーーワンサイドゲーム
「が、あ、ぁぁ、あ?」
何、だ?
今、何をされた?
血溜まりの中、酸欠で呻く閃火。明らかに今までと一線を画するルーミアの一撃は閃火の骨を砕き、肉を潰し、臓器を破裂させた。
口から血塊を吐き出しながらなんとか立ち上がるも、既に満身創痍。
一撃。たったの一撃で戦況がひっくり返った。
「やべ、からだ、うごかな……」
「まさか」
吹き飛ばされた閃火の前にルーミアが現れる。
その紅い瞳は閃火を冷徹に見つめている。
「今ので死なないなんてね。
全力で骨どころか肉片一つ残さないほどの気持ちで打ち込んだのだけれど?」
「くっくく。ま、
「その余裕、いつまで続くのかしらね」
互いに笑う。
しかし、どちらも目はまるっきり笑っていなかった。
ズドォン、という轟音とともに地面が揺れる。
閃火に言われて都市へと走る永琳は音につられてふと後ろを振り返る。
先ほどまで閃火といた辺りで遠目からでもはっきりと分かるくらいに土煙や土砂が飛んでいた。
「何が起こってるのか気になるけど……。閃火の時間稼ぎを無駄にする訳にはいかないわね。
なんとしてでも都市へ戻らなきゃ」
再び駆け出す永琳。しかし、彼女にも危険が迫っていた。
「ニンゲン」
「人間だ」
「うまそう」
「俺が一番にいただく」
「いや、オレが」
妖怪が集まってきていたのだ。
永琳は止むを得ず一旦足を止めて矢を射る。
しかしいかんせん数が多すぎた。
一体、一体と更に増えてくる妖怪たち。
「どうして今日に限ってこんなに……⁉︎」
この時、永琳は知る由もないが閃火の宇宙船には生命体を無意識のうちに寄り付かせないようにする特殊な電波が発生する装置が付いている。
それのせいで普段は山奥にいる妖怪たちが一斉に現れたのだった。
つまりは閃火のせいです。
「…っ! 矢が」
背中の矢筒を後ろ手に探るが全て使い切ってしまったらしい。
妖怪たちもそれを察して下卑た笑みを浮かべて永琳に近づく。
「ぎひひ、手こずらせやがって。
大人しく俺様に喰われろ!」
一際大柄な妖怪がその手を永琳に近づけ、そして。
ーー突如飛来してきた物体により地面に叩きつけられた。
「え?」
「かっ…は……。
あ、れ? えー、りん。
まだこんな、とこ、ろに?」
飛来してきたのは閃火であった。
しかしさっきまでの飄々とした様子とは違う。
全身血に塗れて声もひゅーひゅー、と空気を僅かに震わせて辛うじて喋っているレベル。
はっきりいって長くはもたない。
医師でなくても分かるくらいに閃火はボロボロだった。
「せ、閃火⁉︎ 貴方……!」
「ごめ、ん。足止め、できて、ない。るー、みあ、向かって、きてる」
その言葉を言い切った瞬間、黒い塊が永琳と閃火を取り囲んでいた妖怪を蹴散らし降り立った。
「あらあら、雑魚が集まって何をしているのかしら?
そこの二人は私の獲物よ。
横取りするようなら……」
「ぬかせ!」「たった一人で何ができる⁉︎」「こっちは能力持ちだっているんだぞ!」
「皆殺し、ね」
黒い闇の弾丸がルーミアからばら撒かれ、近くにいた妖怪たちを一体残らず撃ち抜いた。
妖怪たちは全員体のどこかに風穴を開けられ、息絶えている。
まさに蹂躙。圧倒的なワンサイドゲーム。
「あはははははは‼︎
さぁ、傭兵さん。続きをしましょう。
楽しい楽しい、戦いの続きを…!」