ラブライブ! The youthful days 作:なふたれん。
今回からラブライブ!の二次創作を書かせていただきます。
不定期更新で拙い文章ではありますが、どうぞ!
──朝6時。
昨晩かけた目覚まし時計のアラームが鳴る音で、目が覚める。
朝は強い方なのでさっと布団から起き上がると、制服に袖を通して1階の洗面所に向かう。
くまはないだろうな、と確認しつつとっとと顔を洗い、栗色のショートの髪をワックスで整えてからキッチンに行き、5人分の朝食と2人分の弁当を作る。
これが俺──高坂海里の日課となっている。
朝食作りは中学2年の頃から初め、高校3年の始業式が始まる今日この日までやり続けていて、最初は寝坊したり失敗したりもしていたが…今となっては慣れたものである。
両親はそんなことしなくていいと言ってはいるが、これが俺に出来る感謝の方法なのだと言うと何も言わなくなったのだった。
…何か言いたげな表情ではあったが。
ガラガラ。
「ん…」
と、もうそろそろ目玉焼きが出来るという頃合にキッチンのドアが開き、
俺の3個下の妹、高坂雪穂が寝ぼけ眼を手で擦りながらパジャマ姿で入ってくる。
「おはよう、今日から受験生」
「相変わらず早いね…おはよ。そして特大ブーメランだよお兄ちゃん」
「オーマイガッ!」
クスッと微笑む雪穂。我が妹ながら可愛いものだ。
こんなくだらない兄妹の会話も日課──とは言わないまでも日常茶飯事であった。
そして日常茶飯事と言えば──もう1人の妹の寝坊である。
「あの寝ぼすけ…昨日の夜、あんなに早起きするとか騒いでたくせに…」
「はは、お姉ちゃんには無理じゃないかな」
「それもそうだな…はぁ、起こしてくる。雪穂は顔洗っとけよー」
雪穂の「はーい」という返事を背に2階に上がり穂乃果の部屋に向かう。
俺の1歳下の妹である高坂穂乃果は、毎日のように寝坊をする癖に、昨日の夕食時に突然、
「よぉーし!明日から2年生だしお兄ちゃんより早起きするぞっ!」
などと抜かしたのである。
その場にいた家族全員が満場一致で「無理だろ」と結論づけた。
元気はあって、いい子ではあるのだ。穂乃果のいい所を述べろと言われたら誰しもが第1に明るい、とか元気、とか言うのだ。
それ以外は無いのかと聞くと、皆目線を微妙にずらすのだが。
コンコン。
「穂乃果ー入るぞー」
…返事はない。未だ寝ているようだ。
いつものようにドアを開けて穂乃果を起こしにかかる。
「穂乃果、朝だぞ。今日早起きするんだったろ?」
「んへへ…もう食べられないよぉ…」
「…」
毎朝思うことがある。
何でお前毎日同じ幸せそうな寝顔で、同じ寝言しか言わないの?と。
…食いしん坊め。
「穂乃果、今日から学校だぞ。早く起きないと迎えに来る海未に怒られても知らんからな」
「…」と寝言が何故か収まるのと同時にトドメを刺す。
「今日寝坊したら母さんに頼んで1週間お菓子抜──」
「おはようお兄ちゃん!今日もいい朝だね!さあ顔を洗ってこよう!」
そう言うとパジャマ姿のまま1階へと駆け降りて行った。…チョロい。
降りるついでに学校の荷物を持って居間へ行くと、俺が作っておいた朝食を雪穂がテーブルに並べて準備してくれていた。
流石雪穂である。
「ありがとう、雪穂」
そう言って頭を撫でてやると雪穂は照れくさそうに「もう…子供じゃないんだから」と言いつつ嬉しそうにしている。
座敷に胡座をかき、いただきますをして朝食を食べていると、
「今日はお兄ちゃんは遅いの?」と雪穂が聞いてくる。
「んー…学校自体は午前中で終わるけど生徒会があるからなぁ。まあそこまで遅くはならないと思う。…ごちそうさまでした」
食べ終わった皿をシンクに置き、水を流しておく。流石に皿洗いまでする時間はないため、そこは母さんにしてもらっている。
先程作った弁当を取り、カバンに入れていると、「あ!お兄ちゃんもう行くの!?」とちょうど顔を洗い終わった穂乃果が居間にやってきた。
「今日は生徒会の仕事を少しだけ済ませたいから早く行くんだよ」
「えぇー!一緒に行こうよー!同じ学校なんだしさ!」
「じゃあ俺より早起きしろよ」
「ぐぬぬ…言い返せない…」
全く、このア穂乃果は…。
朝からため息しかつけない俺に雪穂は苦笑い。
「行ってきます。穂乃果、遅刻すんなよー」
「何で穂乃果ばっかり!」
「お姉ちゃんだからじゃないかな」
いやん雪穂ちゃんドストレート。
それにしても朝から騒がしい姉妹(ほぼ穂乃果)である。
横開きの玄関を開け、外に出る。
朝日を全身に浴びながら伸びをすると、眠気が襲ってきた。
「ふぁぁぁ…帰りてえ」
俺も穂乃果のことは言えんな、と思ってしまう。
──今日も1日が始まるのだ。
◆◇◆
未だ7時前なので、いつもの時間に数人見かける同じ制服の人間は、今日は誰もいなかった。
今日はすべての部活は休みなので、朝練に行く生徒も見ることはない。
この間まで蕾だった桜は、しっかりと花を咲かせ、吹いている少し肌寒い風の中に暖かな匂いを感じさせる。
この通学路を使い続けてもう2年にもなるのだ、見慣れたものである。
いつもは小煩い妹と一緒に行くためにずっと喋っているのだが、無言で1人でゆっくり歩いて行く、というのもたまにはいいものだなと思ってしまう。
──俺が中学3年の時、母と祖母の母校である国立音ノ木坂学院が、少子化や人気校の登場などにおける生徒数の減少に伴い、入学希望者数を増加するために再来年度から共学化を始めるという話を、音ノ木坂の理事長で、穂乃果の幼馴染みである南ことりの母親から直接聞いた。
彼女の話によると、再来年度からの共学化の試験生として、入試をなくしてあげるから来年度からうちに来てくれないかということだった。
家の金の負担を減らすためにトップレベルの公立高校に入学しようと考えていたため、勉強だけはしていたので入試があろうがなかろうが変わらないのだが……問題と言えば、同じ学年に男子がいないことであろうか。
良く言ってハーレム。悪く言って地獄。
女子が嫌いな訳ではないのだが、男子がいないのは精神的に苦痛すぎるのではないかと考えた。しかし、昔から世話になった恩返しということで音ノ木坂への入学を決めた。
だが──共学化したからと言って、伝統があるということ以外に特徴のない音ノ木坂に入学したいと思う人間が増える訳もなく。
むしろ、男子がいないから女子高に行かせたいのだ、という親の反感を買ってしまい、共学化は急遽中止された。
共学化を中止したからといって試験生である俺が今更他の学校に行くのは、人間関係やら大人の事情やらでほとんど無理であると判断した理事長は申し訳なさそうな顔で、仕方ないから音ノ木坂で卒業まで過ごしてね、と言ってきた。
当初は共学化が中止される予定はなかったので、元より俺は音ノ木坂で卒業するつもりだったから構わないのだが、そうなるとできる予定だった男の後輩はいなくなり、学校全体の生徒では俺のみが男という意味のわからない状況が生まれてしまった。
少し寂しいが、それでも毎日を楽しいと感じられているのでむしろ中止されてよかったかな、と思っている。
人生、平坦な道より山あり谷ありの方が楽しいと思うのだ。
どんな状況でも進めばいい。
たった1度きりの人生なのだから
…後悔はしたくない。
「お、何かインスピレーション」
プロローグみたいなもの。
俺も青春したかった。
誤字・脱字や文章上おかしな点があれば御指摘よろしくお願いします。