ラブライブ! The youthful days 作:なふたれん。
俺の推しメンの真姫ちゃんイベが始まりました。
そして学校のテストも始まりました。
さあ、SRと赤点はいくつ取れるのでしょうか!
お気に入りが80件を超えました!本当にありがとうございます!
今日は生徒会室には寄らずに、そのまま家に帰ることにした。家に早く帰って穂乃果たちに聞かなければならないことが山ほどあるのだ。マネージャーになることは承認したが、何をする必要があるのか、そもそもスクールアイドルについて知らなさすぎる。
取り敢えず学校を出る際に、にこにスクールアイドルをするにあたって何が必要になってくるのか、キャラ立て以外を教えてくれとメッセージを送っておいた。
家にたどり着くと、荷物もそのまま穂乃果の部屋へ。
ノックをすると「はーい!」と元気な声が聞こえたのでドアを開けると、3人組がちゃぶ台を真ん中に座っていた。そしてそれぞれの手には団子が。
「お前らアイドルやるみたいだけどダイエットとかしなくていいのか?」
部屋に入ってきて第1声で応援されるのではと期待していたのだろうか、団子の棒を咥えたままダラダラと急に汗を流して固まる3人。
…もしかしてアイドルやっていく意識ない?
「海未は恐らく大丈夫だろうけど、穂乃果とことりはお菓子とかばかり食べてる気がするだが?」
「ピイッ!?お兄ちゃん酷いよぉ」
「せ、セクハラですよお兄さん!」
「そうだよ!穂乃果たちお菓子ばっかりじゃないもん!饅頭とか団子とか!」
「どっちもお菓子じゃねえか…ていうかことりは何?鳥なの?海未に関しては特に何も言ってなくね?」
まあ正直ダイエットとか必要なさそうな体型だが、危機感は常に持たせないと。特に穂乃果はすぐ体重増えるからな。
ちょうどそこへ、先程にこに送っておいたメッセージの返事が来たようで、ポケットのスマホが震えた。キャラ立て以外ってどういうことよとか書いてありそうだが、もし来ていても無視するとしよう。
『にっこにっこにー♡』
は?
『キャラ立て以外って言われても〜やっぱりキャラを立てることが大事よね♡
それとプリティな曲と衣装♡
あと歌いながら踊るからそれをこなせるだけの体力が必要ね♡
ま、どんなアイドルもこの私、宇宙ナ──』
キャラ立てが大事なのはにこから何十回と聞かされた。もういいから。後でありがとうって言っておこう。
はい、にっこにっこにー。
知りたいことは前の方にきちんと書いてくれていたので途中で読むのをやめ、一番重大そうなものを目の前の妹たちに告げる。
「そうだな、まずお前たちに必要なものは…」
「「「必要なものは!?」」」
「──体力、だ」
◆◇◆
「じゃあ俺は会長様に講堂使用申請をしに行ってくるから。海未、よろしく」
「はいっ!」
「「お兄ちゃん待ってぇぇぇぇ!」」
「はい、では階段ダッシュを始めましょうかね」
南無。
恐らく今、神田明神の階段を降りる俺を尻目に、海未が鬼教官になってくれているだろう。海未は家で武道を習っているので、恐らく現在の体力は穂乃果やことりの倍以上はある。そこで海未を指導者として、トレーニングをしてもらうことにした。穂乃果とことりは震え上がっていたが、そんなに怖いのだろうか…。
とにかく俺は、穂乃果たちのライブを講堂で行うので講堂使用申請を出しに行かなければならない。音ノ木坂の講堂は、生徒であれば誰でも使用可能だ。恐らく絵里は申請を拒否するだろうが、それに関しては、校則で生徒会による独断は認められていないので大丈夫だろう。いやぁ、暇な時に生徒手帳を読んでいてよかった。
生徒会室にいたのは、既に仕事を始めている絵里だけだった。生徒会長は俺みたいな書記と違い、毎日のように仕事があるらしく、絵里も当初はその仕事量に泣きそうになっていた。
「お疲れ様、絵里」
「おはよう、海里。…ところで昨日のことなんだけど」
「ん?昨日?…あぁ、穂乃果たちか?」
実は昨日、穂乃果は俺と分かれた後、海未とことりと生徒会室にアイドル部の設立申請に言ったらしい。人数の関係で却下されたと穂乃果が嘆いていたが。
「アイドル部のメンバーの中に貴方の名前があったわ。…貴方もスクールアイドルをするの?」
「あぁ、実はそうなんだ。穂乃果に頼まれて──ち、違うぞ!俺はアイドルの方じゃなくてマネージャーとかそんな感じの!」
「…そう」
でも、と絵里は続ける。
「あんなズブの素人集団がどうにか出来るとは私は思わないけど」
「確かにあいつらはお前みたいな踊りが出来るわけじゃない。それでも俺は、あいつらを…どこまでも真っ直ぐな穂乃果を信じたい。あいつが本気なのは絵里なら見てわかるだろ?」
「本気になるだけじゃできないことだってあるのよ?」
どうやら絵里は、何が何でも穂乃果たちを認めたくないらしい。
絵里がここまで言うのは、彼女の実力が本物だから。
幼い頃から本場のロシアでバレエをやっており、俺も1度だけ動画を見せてもらったことがある。
平面である動画でも、素晴らしさが伝わるような表現力に躍動感。あれを見て感動しない人間はなかなかいないんじゃないかと思ったほどだ。
それだけに、生半可なパフォーマンスを見せられることが、絵里にとって1番嫌なことに違いなかった。
「やって成功しませんでした、じゃ済まないわよ」
「それじゃあ、あいつらのライブやら何やらを動画サイトにでもアップして、多くの人に見てもらえばいいんじゃないか?こういう言い方はしたくないが、プロレベルの奴に頭から否定されても世論とあまりにもかけ離れすぎていて…あてにはならないからな」
そう言って俺は講堂使用申請書を見せる。それは新入生歓迎会の日の放課後に穂乃果たちがライブを行うための申請。曲も衣装もダンスもまだ何も出来ていない。本番までに完成させられるかと問われたら不安はある。だがそこに関してはあてがないわけじゃない。
「ライブ、するのね」
「お前には1度あいつらの本気を見てもらわなきゃならない。どんなに拙い踊りだったとしても。穂乃果たちの決意の固さを」
「無駄な時間を過ごすことにならなければいいのだけれど」
「──わ!」
と、急に背後から声が聞こえた。
「っ!…な、何だ希か…」
「海ちゃんビックリした?ねえビックリした?」
「ぜ、全然驚いてないし?余裕だし?」
「ワシワシ」
「すごく驚きました、はい」
神田明神でのバイトを終えて登校してきた希だった。
希の行動として、友達の胸を揉む『ワシワシ』というものが存在する。以前、男だからワシワシされないだろうと、希をからかったらめちゃくちゃワシワシされた。容赦なかった。
胸の方はめちゃくちゃにされるけど背中は胸が当たってすごく柔らかかったです。
「絵里ち、講堂は生徒なら余程のことがない限り使えるんやからね?」
「分かってるわよ…ねえ、海里は穂乃果たちがいるから肩を持つのはわかるんだけど、希はどうしてなの…?」
そう問われると希は、微笑みながら手に持っていたタロットカードを机に置いて、生徒会室の窓を開けに行く。
「何度やってもそうしろって言うんや──
──カードが」
窓を開けると、希が開けた窓から希が閉め忘れた生徒会室の扉へ向け、桜の花びらと共に風が吹き荒れる。
そしてそれと共に舞うタロットカード。その中の1枚『THE SUN(太陽)』が壁にぺたっと張りついた。
更に、あるカードが俺の顔面に張りつく。
それを捲ってみると、『THE WORLD(世界)』。
これはつまり──
「カードがウチにそう告げるんや!」
「…寒いから閉めてもらってもいいか?」
◆◇◆
昼休み、いつも一緒に昼食を取っている絵里と希に、今日は穂乃果たちと一緒に食べると告げると何の躊躇いもなく承諾してくれた。ただ、絵里の表情はどこかもの寂しそうな感じではあった。
2年の教室に行くことは初めてではないが、それでも頻繁に行くわけではないので、緊張してしまう。何より視線が痛いのだ。学校に1人しかいない異性がいたら、そりゃ誰だって凝視するだろう。
教室の扉を開けると…ほら、皆こっちを見る。
そうすると、3人の女子──穂乃果と仲良くしているヒデコ、フミコ、ミカだったか──が目の前に走ってきた。どうせ彼女らはいつものようにこう言うのだ。
「「「高坂先輩!ファンです!」」」
「それ何で毎回言うの?」
すると何故か他の周りの女子もキャーキャー言いながら近寄ってくる。…えーっと、すごい嬉しいんだけど邪魔かな、うん。
穂乃果たちは…あ、いた。教室の奥の方に3人一緒にいて、こちらを見ている。海未とことりはどこか呆れたような、そして穂乃果は頬が膨らんでいる。中庭の木の実でも食ってるのか?
冗談はさておき、目の前の女子たちをどうどう、と宥め穂乃果たちのところへ行き、近くの空いている椅子をその輪の中に混ぜて座る。
「全くもう!お兄ちゃんは穂乃果たちのお兄ちゃんなのに!誰にも渡さないんだからね!」
「お前そんなブラコンキャラだったっけ?」
「あれはいつものことですが…それでもお兄さんが誰かにキャーキャー言われるのを見ると…」
「ことりのおやつにしちゃうよ?…あ、そうだ!」
ことりのおやつって何だよ…豆か?
何かを思い出したように、ことりが机の中に手を突っ込んだかと思うと、スケッチブックを取り出した。そして数枚捲った後、こちらに見せてきた。
そこにはピンクを基調としたアイドルが着る衣装のようなものが描かれていた。
「ことり…これステージ衣装か?凄いじゃないか!」
「えへへ…ちょっと難しいんだけど、裁縫とか好きだから作ってみようかなーって!」
「あとね!あとね!歌詞を書いてくれるかもしれない人は見つけたよ!ねーことりちゃん!」
「ねー穂乃果ちゃん!」
「そうなのですか?いつの間に…どのような方なのですか?」
どうやらことりと穂乃果だけで作詞してくれそうな人を見つけたようで、まだ海未は知らないようだった。
どんな人なんだろうと期待していると、ことりと穂乃果はニヤニヤしながら海未を見ていた。
あっ。俺が考えてた通りになったようで。
「ねぇ、海未ちゃん」
「はい?」
「海未ちゃんって中学の時、ポエムとか書いてたよね?それで穂乃果たちにも見せてくれたことがあったよね?」
「あぁ、何だっけ。引いたり満ちたり心の波がなんたらって──」
ガタッと椅子の動く音がしたと思うと、海未が立ち上がり…走り出した。
だがそんな海未の逃亡も虚しく、俺からの羽交い締めによって強制的に席に戻される。
そんな海未は涙目に。ごめんそんな睨まないで、怖い。
「お断りします!絶対嫌です!お兄さんかことりか穂乃果がやればいいじゃないですか!」
「俺、海未には語彙力負けるから無理」
「私は衣装作りがあるし〜…穂乃果ちゃんは…」
そう言って思い返されるのは穂乃果が小5の時に宿題で書いた俳句。
『お饅頭 うぐいす団子 もう飽きた』
テーマは『秋』だったのに鶯という春の季語を使っていく斬新なスタイル。
しかも秋関係なし。
「…無理だと、思わない?」
「うぐっ…それは…」
「お願い!海未ちゃんしかいないの!」
「穂乃果たちも手伝うから!せめて元になるようなものだけでも!」
「確かにこれはお前にしか出来なさそうな役回りだな。頼む」
そうして悩んだ表情を見せる海未。ちなみに今のお願いラッシュでクラスの視線が俺達に向いているが、俺以外は気づいていないようだ。
そんな中、ことりが動き出す。
自分自身の胸元のシャツを掴み、悩ましげな表情に瞳ウルウルに上目遣い。
「海未ちゃん…」
こ、これは!来るぞ!皆伏せろ!
「──お願ぁい!」
『ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
クラス中から聞こえてくる悲鳴──もとい犠牲者の断末魔の叫び。鼻血を流しているものまでいる。皆が萌え死んだ。
小学校のときからの幼馴染である海未でさえ、ことりのお願い攻撃を真正面から受けて狼狽えている。俺も準備してなかったら死んでいたと思う。
「…もう、ことりはずるいです」
「やったー!海未ちゃんありがとう!大好き!」
『ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
皆さんの本日2度目の萌え死に頂きました。
「後は曲だけだね!」
「作曲ならあてがあるぞ。承諾してくれるかはまだわからないがな」
「ほんとに!?じゃあお兄ちゃん頼みに行ってもらって…」
「もし承諾されたら使うのはお前らだろうが。そこはお前らのうち誰かが行けばいい」
「えぇ!でも穂乃果たちその人知らないよ?」
「いいや、知ってるよ」
「え?」
「──真姫だ」
少し長めでした。
誤字・脱字や文章上おかしな点があれば御指摘よろしくお願いします。