ラブライブ! The youthful days 作:なふたれん。
未だ凛ちゃんと花陽ちゃんを登場させていないので、次こそは登場させたいです!
…多分。
「お兄ちゃんおはよう!」
「えっ」
いつものごとく朝食を作っていると、最初に起きて来たのは雪穂ではなく、穂乃果だった。
…もしかして今日は俺の命日になるのだろうか?
あの穂乃果が寝坊しないとか…遠足の時以来だぞ。何かいいことでもあったのか?
「今日は一緒に行けないけど許してね!」
「別にお前うるさいから全然OKなんだけど」
「そっか!わかった!」
…いつもならこう言うと、えぇ〜ホントは一緒がいいくせに〜とか言うのだが。本当に何があったんだ…?
まあ寝坊されるよりは随分とマシだからいいかと思い、引き続き朝食作りを続けた。
「行ってきまーす!」
朝食を食べ終わるとすぐに、穂乃果は走って外に出ていった。
手に持っていたあれは──UTX学院の、パンフレット。
確か雪穂がUTX受けたいとか言っていたのを思い出した。何かに触発されたのだろうか?
…まさか、な。
◆◇◆
「失礼します」
学校に着いたすぐ後、絵里と希と理事長室へと赴く。
恐らく、絵里が廃校を阻止するために何かをしようとしているのだろう。…無計画じゃなければいいが。
「生徒会としても、学校存続に向けて活動をしていこうと思います」
へえ…生徒会として、ねえ。責任感を持ってくれているのはいいが、『生徒会長』だからといって、絵里が何かを出来るはずがない。もし提案したとしても…拒否されてしまうのがオチだろう。
「発表には、入学希望者が定員を下回った場合、廃校という決定をせざるを得ないとありました」
「つまり定員を上回れば廃校は免れるってことですよね」
「確かに。ですが、そう簡単に生徒が集まらないからこそ、この結果なのです…何か良い方法があるのですか?」
「…」
そうして絵里は黙ってしまった。本当に無計画だったのか…昨日焦るなと希に言われたばかりだぞ…。
「思いつきで行動しても、簡単に状況は変わりません。生徒会は、所謂生徒の学園生活をより良くすることを考えるべきです」
「でもっ!このまま何もしないわけには──」
「絵里ち」
「ありがとう、絢瀬さん。その気持ちだけ、ありがたく受け取っておきます」
「…っ」
そうして俺たちは理事長室から立ち去ろうとし──
「高坂くんだけ、残ってもらっていいかしら?」
「え、俺ですか?」
「…わかりました」と承諾し、希にアイコンタクトで先に戻っててくれと伝える。頷いた希に連れられて、項垂れた絵里も理事長室を後にした。
理事長の方を向くと、先程の真面目な顔から一転、少し微笑みながら、以前見たような申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
「ごめんなさいね、高坂くん。音ノ木坂に残ってもらったのにこんな結果になってしまって」
「いえ、理事長。言い方によっては嫌味に聞こえてしまうかもしれませんが、いずれ訪れることだろうと思ってましたから」
「そう、ね。貴方は昔から何かと達観していた子だったものね…嫌味に聞こえてしまったのならごめんなさい。でも、私もどうしたらいいかわからないのよ…」
それもそうだろう。
自分の母校であり、そして今や理事長という立場にあるのだから。何とかしなければという責任感は絵里以上に感じているはずだ。
「今は何か出来ることを探すしかありません。絵里のように、自分たち以外の何かのために頑張るのではなく、ね」
「そう…貴方は絢瀬さんと5年間は一緒にいるんだものね。それくらいわかって当然なのね」
「えぇ…まあ、確かに長い付き合いではあります。そして何より──
──血が繋がってますから」
「ふふっ、そうだったわね。もし絢瀬さんが何かに追われてどうしようもなくなってしまったときは…助けてあげてね?」
「言われなくてもわかってますよ。では、失礼します」
そうして、俺も理事長室を後にしたのだった。
◆◇◆
今日の放課後は、環境委員から花壇の手入れの手伝いをしてくれと言われたので、ジャージに着替えて外へ出る。校舎に沿うようにグラウンド側にある花壇には、色とりどりのパンジーが植えられている。だが大した仕事があるわけではないので、作業をしている間にも暇を持て余してしまい、思わず隣で作業をしている環境委員長の同級生に話しかけてしまった。
「しっかし、花っていうのは綺麗なもんだよな」
「え?まあ確かに、そうだね。高坂君とか、花が似合いそう」
「まじ?俺パンジー似合う?」
「…うーん。パンジーっていうより薔薇かなぁ」
「…それ褒めてんのか?」
「当たり前でしょ!高坂君は王子様みたいにかっこいいんだから!」
「お、おう…」
「白馬に乗った王子様みたいよ!そして私を探し出して連れ去ってくれるの!あぁ、君はなんて美しいんだ…そんな!あなた様にそんなことを言っていただけるなんて──」
何故か急に妄想し始めたこいつは置いておこう。いつも妄想を始めると止まらないからな。周りの環境委員の奴らも、こんな奴が委員長で大変だろうな。もう慣れたのだろうが、苦笑いを浮かべ、それ以上は何もせずに作業を再開する。と、花壇を挟んで俺の前にいる女子が、鼻歌を歌い始めた。
「〜♪」
「!その歌…!」
「あ、高坂君も知ってる?この上の3階にある音楽室から放課後は大体毎日聞こえてくるんだ。作業のいいBGMになるんだよね〜」
知ってるどころじゃない。一緒に作った曲だ。…ていうかあいつ、1回教えてやったんだから申請くらいしろっつーの。誰も咎めたりしないんだから。
「よくよく聞いてるとさ、すっごいいい曲なんだ!誰が歌ってるのかは誰も知らないんだけどさ、あの綺麗な声とピアノが相まって心に響いてくるっていうか──あ!始まったよ!」
そうして聞こえてきたのは、やはり聞き覚えのあるややハスキーな声。そして思い入れのある曲。
こうして周りに評価してもらっていることはありがたいが、無許可はよろしくない。少々注意をしに行こう。だって無許可で使ったのバレたら怒られるの俺ら生徒会だし。
「…ちょっくら行ってくる」
「あっ!こら!みんな行きたがってるのに自分だけだなんてずるいぞ!」
「無許可で音楽室使われたら俺たち生徒会が怒られちまうからな、そこは勘弁してくれ」
「えー…」
俺は軍手を外し、ジャージに少し付いていた土を払う。そしてその場にある水道で手を洗ってから音楽室へと向かった。
だが、俺が音楽室へと向かう途中で歌が終わってしまった。このままの速さで行くと逃げられかねないので、何段飛ばしかで階段を駆け上がる。
そして3階に着いて、音楽室の方向へと体を向けた瞬間──
「きゃっ!?」
「うぉ!?」
音楽室から小走りで来た真姫と正面衝突してしまった。俺は衝撃に何とか耐えて立てているが、真姫は耐えられずに後ろに倒れ込みそうになっていた。真姫が危ない、と思ったときには手が伸びて彼女を抱きかかえていた。
「だ、大丈夫か」
「か、海里…!大丈夫、よ…そ、それじゃ!」
と真っ赤になった真姫は、走り去ってしまった。
…また今日も言えなかった。
「あれ?お兄ちゃん?」
「穂乃果?どうしたんだ、こんなところで」
「いやぁ…真姫ちゃんの歌声が聞こえてきたからさ、見に行って、アイドルやってみない?って聞いたら意味わかんない、って逃げられちゃった」
「逃げられちゃったって。何?お前アイドルのプロデュースでも始めたの?アイマスなの?」
「アイマス…?が何かは知らないけど──
──アイドル、やるよ?」
「…は?」
…俺は夢でも見ているんだろうか。こいつが、アイドルをやるなんて。もしかして今朝から全部夢…?そんなわけないか。
と、俺がぼけーっとしていると、
「お兄ちゃん!スクールアイドルって…知ってる?」
「スクール、アイドル…?」
知っている。今までにこに散々スクールアイドルの動画を見せられてきた。1つの学校内の生徒のみで構成されたアイドル、それがスクールアイドルだ。今朝、UTXのパンフレットを持っていたということは、A-RISEに魅せられてしまったのだろう。
だか、それを穂乃果が…?
「…やめておけ。そんな突発的にやる、と言ってできるようなものじゃない。失敗例だって俺は知ってる。それを踏まえてお前には──「やるのっ!」──っ!」
「やるったらやる!」
そう意気込む穂乃果の目は…本気だった。こいつの本気は計り知れない。この目になった穂乃果は諦めが悪い。言い方を変えるなら──できるまで何度でも立ち上がることができる、ということだ。
もしかしたらこいつなら。
この学校を変えられる…そう思ってしまう。
今は小さい可能性だけれど、かけてみるのも悪くはないんじゃないかという考えに悩まされる。
自分たちのために、やりたいことをやる。それも簡単なことじゃない。でも、こいつならやりかねない、やってくれるはずと思ってしまう。
そして俺の出した答えは──
「──わかった」
肯定しか、ありえなかった。
「えっへへ。ありがとっ!…それでね、お兄ちゃん」
「ん、どうした?」
「お兄ちゃんには、私の…私たちのマネージャーみたいなものになってほしいなぁ、って」
「…ま、断る理由もないしな。やってやるよ」
これから、こいつがどう化けてくれるか楽しみだ。
それより、私たちと言っていたが…まあ穂乃果のこういう意見についていけるのは、あの幼馴染み2人しかいないだろう。よく海未はやると言ったな…あんなに恥ずかしがり屋なのに。
「じゃあ、よろしくな、穂乃果。お前らには期待してるよ。それで──」
「んー?なぁに?」
「──お前らってグループ名とかないの?」
「あっ」
…本当に大丈夫か不安になってきた。
エリチカとチガツナガッチャッタノォ!?
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