怪物語   作:柴犬好き

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お久しぶりです。
色々と忙しくて遅れてしまいました…………


クリスマス?なにそれ食えるの?



りんいんリターン 其の參

007

 

 

 

 

 

羽川さんに電話をした翌日。第二アリーナにて、俺達はISを用いた特訓を行っていた。

 

 

織斑が白式で突っ込み、それを篠ノ之が打鉄で迎え撃つ。白式の雪片と打鉄のブレードが鍔迫り合いをしている隙をついて、オルコットが織斑目掛けてスターライトmkⅡの銃口を向け射撃。レーザーが白式の装甲を削る。

 

織斑が慌てて離脱しようとするが篠ノ之がそれを許さない。鋭い斬撃で畳み掛け、それの対処に気をとられているうちにブルーティアーズの射撃で白式のシールドエネルギーが尽きる。

 

 

 

「くっ………………はぁ、負けた…………」

「わかったろ、織斑。お前の白式は完全近接特化。今みたいに押さえられて遠距離から射撃されればジ・エンドだ」

「いや、でもさ。今回は『零落白夜』を使わないってハンデがあったわけだし…………」

「確かにお前の機体には『零落白夜』っていうチートがあるから実際なんとかなる。だがな、防御無視の直接攻撃、エネルギーを大量に消費する絶対防御を発動させるその単一仕様能力(ワンオフアビリティー) は明確なまでの欠点がある」

「えーと…………シールドエネルギーを消費して発動すること?」

「あぁ。ただでさえ燃費の悪い第三世代機、その中でも白式は頭一つ飛び抜けて燃費が悪い。ただでさえエネルギーを考えながら戦わなければいけないところにこれだからな。『零落白夜(切り札)』の使いどころは考えなきゃいけない」

「なーる…………」

 

 

アリーナの隅で黒武者を纏いながら傍観していた俺は降りてきた織斑にアドバイスをする。

 

こいつは生まれ持った戦闘センス──────いや、()()()()()()()()()戦闘センスが高い。剣道をやっていたという下地もあるのだろうが、ISに乗り始めてまだ一ヶ月もたっていないというのに、もう使いこなし始めている。

勿論オルコットなどの代表候補生にはまだまだ敵わないが、それでも着々と実力をつけていっている。

 

 

 

才能が開花した──────そう言うのは簡単だ。

 

だが、『織斑』の血統、呪われた系譜である織斑一夏の才能。それは果たして、開花させて良いものなのだろうか。

 

きっと、『織斑』が開花しきったのが織斑千冬なのだろう。

恐ろしいまでの力、戦闘スキル、身体能力、頭脳。これらを活かしきり、織斑千冬は世界最強まで登り詰めた。

 

 

 

もし『織斑』の行き着く先が世界最強ならば。

 

一族全員が、織斑千冬レベルまでの才能を持っていたのならば。

 

そんな一族──────根絶やしにされて当然だ。

 

 

 

織斑千冬と織斑一夏に接していて分かる。この二人は正しく次元が違う。こんな奴等が何人もいることなんて、想像したくもない。

 

 

恐らくこの二人は織斑最後の人間。

織斑は怪異の血を濃くするため、近親相姦を繰り返していたというし、この二人が愛しあったりしない限り、もう純粋な『織斑』が生まれることはない。

 

 

 

 

 

愛し、あったり、しないかぎ、り……………………

 

 

 

 

あれ?もしかしてこれってちょっと現実味がある?

 

だって織斑一夏はシスコンだし、織斑千冬はブラコンだろ?んん?おやおや?これまずくないか?

 

いやいやまてまて。織斑一夏はモテモテだし、織斑千冬だってモテない筈がないだろう。それを捨てて姉弟でそういう関係になるのは…………………………ありそうで困る。

 

 

 

まぁ織斑の恋愛事情は置いておくとして。

 

 

 

織斑としての才能が完成しきったとき、その人間は人間といえるのだろうか。

人の形を保ちながら、だが中身は完全なる化物になるのだろうか。

 

 

 

 

 

織斑一族。

 

 

果たして、その存在理由はなんなのだろうか──────

 

 

 

 

「──────透!!」

「っ!?…………あぁすまん。ちょっと考え事をしてた。どうした?」

「いや、もうすぐアリーナの使用時間が終わるからそろそろ出ようぜ」

「ん、そうだな」

 

 

ISを解除し、織斑と俺は更衣室へ。女子二人は自室でシャワーを浴びたいと寮へ向かう。

 

 

 

織斑と戦闘について会話しながら着替えていると、更衣室の扉がノックされた。

 

 

『一夏?鈴だけど、入っていい?」

「ん?鈴?いいけど」

 

 

パシュッとドアが開き、ツインテールを揺らしながら少女が入ってくる。その手にはスポーツドリンクの容器とタオル。なるほど、様子を見るに練習を見学してて終わったので差し入れに来たのか。

 

 

「織斑、お先」

「あ、おう」

 

 

邪魔しちゃ悪いよな、と俺は空気を読んで寮への帰途へとついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

008

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅん、それでお兄ちゃんは一人寂しくとぼとぼと帰って来たのかい」

 

 

部屋に帰り、ベッドでゴロゴロしながら余接に今日あったことを話していると余接がそんなことを言ってきた。

 

 

「なんつーか悪意がこもった言い方だな、余接…………」

「いやいや、それは勘違いというものだよ。お兄ちゃん。悪意は混じったりなんかしていない」

「ん、そうなのか?」

「うん。混じってなんかいない。純粋100%混じりっ気なしの悪意だよ」

「むしろ質悪いよなぁそれ!!」

「え?だってお兄ちゃんは悪意を向けられたり踏まれたりするのが好きなんでしょ?」

「全くもって好きじゃねぇよ!ひどい風評流すな!!」

「確か最近は楯無お姉ちゃんに踏まれるのがブームなんだっけ」

「そんな酷いブームは断じて起こってない」

「さゆかお姉ちゃんに言葉攻めされるのがいいんだっけ?」

「いや確かにあいつはSっぽいが言葉攻めとかはしないだろ、流石に」

「あぁ…………うん、そうだね」

「おい待て、なんだその生暖かい視線は」

「知らない方が幸せなことってあるよね」

「確かにあるがこれは当てはまらねぇよ!!いいからさっさと教えろ!!」

「お兄ちゃん──────遠くにいっても、僕はずっとお兄ちゃんの味方だよ」

「ここぞとばかりに笑顔をつくるな」

 

 

普段無表情なのにこんなときに貴重な笑顔使ってんじゃねぇよ。

 

 

 

ふぅ、とため息を一つつき、備え付けの机に向かう。今日はたっぷりと宿題がでているのだ。

 

 

ここには臥煙さんの依頼を遂行するために来ているのは確かだが、また学びに来ていることも確か。それなりに勉強をしておかないと色々と大変なのだ。例えば出席簿とか出席簿とかあと出席簿とか。

 

 

「えぇと…………緊急時以外でのISの無許可の使用は法律により罰せられることがあり、専用機持ちは慎重な管理が求められる…………」

「ねぇ、そういえばさ、お兄ちゃん」

「なんだよ余接、俺は見ての通り勉強中なんだ。退屈ならゲームでもやってろ」

「お兄ちゃんは、翼お姉ちゃんから織斑一族のことについて聞いたんだろう?それについて僕にも教えておくれよ」

「………………」

 

 

どこで知ったのだろうか、この式神は。別にこの子はなんでも知ってるというわけでもないだろうに────

 

 

「なぁに、単純なことさ。お兄ちゃんの携帯の通話履歴を調べれば簡単に分かることだよ」

「普通にプライバシーの侵害だよなそれ!!パスワードもどうやって開けた!!」

「ふっ。『例外の方が多い規則(アンリミテットルールブック)』の使い手である僕には雑作もないことさ」

「黙れ脳筋パワーキャラが。アンリミテットルールブックはそういう小細工が出来る技じゃないだろ」

常識(ルール)なんてくそ食らえ。僕は非常識(例外)を押し通す」

「無駄に決め台詞っぽいなぁそれ!」

 

 

お前はどこの少年漫画の主人公だよ。死体の付喪神である式神が主人公って斬新すぎるだろ、その漫画。

 

 

「それにしてもさ、お兄ちゃん。僕から見ても織斑は危険だ。危険すぎる。それこそ鬼いちゃんが死んであの後期高齢者が復活するくらいでマズイよ」

「後で詳しく教えてもらうからな…………分かってるよ。織斑千冬一人であれなんだ。それに加えて織斑一夏も覚醒した暁にゃ本気で手に負えなくなる。臥煙さん一派総攻撃だ」

「バランスの崩壊って話じゃない。マジで世界が滅ぶレベルになるだろうね」

「というか『織斑』なんて規格外、どうして『くらやみ』が動かないんだ?あれこそ怪異の道をとっくに踏み外している代表みたいなものだろ」

 

 

『くらやみ』。怪異を狩るハンター。上位存在。バランサー。いくつもの異名を持つが、その本質は『怪異としての道を踏み外した怪異を消し去る』というまさしく次元が違う存在。

 

 

本来ならあそこまでバランスを破壊した存在は真っ先に消滅させる対象だと思うのだが…………

 

 

 

「うん。その点は臥煙お姉さんも気になったみたいなんだけど。どうやら織斑一族はすでに『織斑』という一つの怪異として成り立っているようなんだ」

「は…………!?」

「怪異譚とは人々に語り継がれるもの。怪しく恐ろしく正体不明。そんなものに形を与えて物語として語り継がれてきて、怪異は今に至っている。すなわち、織斑一族は怪異譚の一種として既に人に語られている正真正銘の怪異だ」

 

 

…………頭が痛い。

それは織斑一族が住んでいた村だけではなく、恐らくさまざまなところで語られているのだろう。さもなければ怪異譚として成立しない。

 

 

だが古来より伝わる怪異譚ならまだしも、『一族』が怪異化するなど、殆ど前例はないんじゃないだろうか。そんな例外(イレギュラー)を容易く発生させてしまうほどの、『くらやみ』に怪異として認められてしまうほどの『織斑』の存在意義。

 

 

 

「──────全くもって意味不明だぜ」

「かっこつけてるところ悪いけどさ、お兄ちゃん。確かお兄ちゃんって宿題をやるつもりじゃなかったんだっけ」

「………………あ」

 

 

余接と話していて時間はどれくらいたっている?机の上に置いてある時計を一瞥し、すぐに目をそらして手元のノートに目線をうつす。

 

 

 

「………………」

「………ま、頑張ってね」

「おいこらまて余接!!お前が話を逸らしたんだろ!?お前も少しは協力を────」

 

 

 




恐らくこれが年内最後の投稿となると思います。
今年お気に入り登録や感想・評価をくださった方々、本当にありがとうございます。
また来年も読んでいただけると嬉しいです。

それではよいお年を
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