怪物語   作:柴犬好き

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お久しぶりです。1ヶ月ぶりです。超遅くなって申し訳ありません…………

次話の更新は出来るだけ早く投稿できるよう努力しますが、また1ヶ月後とかになりそうです。すいません…………

それではどうぞ



りんいんリターン 其の肆

009

 

 

 

 

 

 

 

「えぇと、それでよ。『料理が上達したら毎日私の酢豚を食べてくれる?』ってつまりタダメシを食べさせてくれるってことでいいんだよな?な?」

 

 

 

 

 

 

 

………………思わず深い、深い溜息をついてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんでも俺が気を使って二人きりにしたアリーナの更衣室で、『実は今幼馴染みのポニテ剣道少女がルームメイトなんだぜッ!!』と漏らしてしまったらしい。

 

 

まぁ考えるまでもなく修羅場確定だ。案の定愕然としたらしい凰は『女の子と一緒なんて駄目だよ?(婉曲変換)』と諭してきたらしいのだが、このカスは幼馴染みだから問題ないだろ?と返したらしい。

 

 

こいつの中で幼馴染みとは一体なんなのだろうか。一回ウィ○ペディア先生に聞いてみるといい。決して『寮の部屋で同棲するような関係』とは出ないだろう。出るわけがない。出てたまるか。

 

 

 

 

そして幼馴染みなら問題ないのね!ならセカンド幼馴染みである私も問題ないじゃない!と解釈した凰が部屋に荷物を持って殴り込み、篠乃之に部屋の交換を迫った。

 

 

そんな申し込みに織斑ハーレム一期生である我らが堅物剣道少女が応じるはずもなく、ファースト幼馴染みとセカンド幼馴染みの夢の対戦カードがここに実現したわけである。

 

 

 

その過程で凰が昔の約束を持ち出してきた。それはいわゆる味噌汁プロポーズであり、勇気を振り絞って言ったであろうそれを、あろうことか『タダメシ食わせてくれるのかよヒャッホウ』と解釈していたらしいのだ、このゴミカスは。

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿だろ。いや馬鹿だ。空前絶後の馬鹿だ。今世紀最大の馬鹿だよお前は」

 

「な、何だよ今世紀最大の馬鹿って!!」

 

 

 

言葉そのままである。

 

 

ごろりとベットに寝転んでスマホをポチポチいじりながら、もうやる気ないわ…………という態度を表現する。

 

 

大体なんなのさ、なんで俺のところに来るのさ。女心など俺に分かるわけないだろうに。いやこの場合は誰がどうみても織斑ギルティ一択なのだが、これは分かりやすすぎる。分からないこの馬鹿が朴念神(誤字にあらず)なのだ。

 

 

女の子を泣かしてしまったというのであれば、同じ女の子に聞くべきであって決して年齢=彼女いない歴の大嶺さんに聞くべき内容ではないだろう。

幸いというべきかここにはたくさんの女子がいる。むしろ俺たち以外女子しかいないまである。それに加えてイケメンなこいつが聞きたいことがある、など言った暁には女子が群がってくるだろう。腐れイケメンが。滅びろ。

 

 

 

 

「同じ女子で事情を知ってる篠乃之さんに聞けよ」

 

「それは…………鈴が出てった後に『馬に蹴られて死んでしまえ』って言葉と冷たい眼で部屋から追い出された。今さら聞けないんだよ………」

 

「賢明な判断だな。篠乃之には拍手喝采だ」

 

 

 

自分に重ねて考えてみたら、いやさ考えなくてもこれは酷い。これを公表したら織斑の株も暴落待ったなしじゃ…………………………………ふむ、ありかもしれないな。

 

 

 

 

「俺にはどうしようもないなッ!!いっそ公表して女子の意見を聞いた方がいいかもしれんッ!!」

 

「それは止めときたい。鈴も広められたくはないだろ」

 

「………………チッ」

 

「今舌打ちした?なぁ今舌打ちしたか?何考えてたんだよ」

 

 

 

 

余計なことは気を回しやがってからにぃ…………!!

いやまぁ流石にそんなことはしない。プロポーズが曲解して伝わってました!むしろ伝わってませんでした!なんて言い触らされた日には俺なら軽く死ねる。

 

 

 

 

「んで、真意だっけ?本人に聞け。以上」

 

「以上って!!もうちょいヒントくれよ!!」

 

「はぁ…………おいおい織斑。本来それはお前が気づくべきことだろうが。何でもかんでも人に教えてもらって、手伝ってもらって。それはお前のためになるのか?なるわけないだろう。

 

人は誰かに助けてもらわないと生きていけない。確かにそれは真理だ。だがだからといって一から十まで助けてもらってどうするんだよ。何で自分だけで解決しようと思わないんだよ」

 

 

 

 

俺は、そういう人間が大嫌いだ。

 

 

物事の解決を誰かに頼んで、そして成功したら成果を独り占めして、失敗したら責任を押し付けるんだろ?

ふざけるな。それこそ、人は勝手に助かるだけであって、誰かに助けられるべきじゃないのだ。

 

 

 

織斑もさすがに反省しているのか、しゅんとしてうなだれている。このまま放置するのは忍びないので一応フォローしておくか。

 

 

「………………ま、でも頼るってのも大切なことではあるんだけどな。とにかく相談には乗ってやるよ」

 

「ううっ……………透!」

 

「気持ち悪い抱きつこうとするな寄るなホモ」

 

「空気ぶち壊しだな!」

 

 

本気で嫌そうにしている俺を見て少なからずショックを受けているように見える織斑。いや誰だって男に抱きつかれたくはねぇよ……………。

 

 

 

そのあと、インスタントの緑茶と棚の奥から引っ張り出した饅頭を片手に消灯時間ギリギリまで話し合っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

010

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日、という奴である。少女漫画なら雀がチュンチュンしているに違いない。

 

 

 

結局昨日は『直接聞こうぜ!』という結論に至った。

俺が説明するのはお断りしたいし、だからといって無関係な人に聞くのは話が広まる可能性があるので却下。そうなると本人に直接聞くしかないという結論に至ったのである。

 

 

 

というか昨日話してみて、織斑がここまで鈍感だとは思わなかった…………。かなりの朴念仁とは知ってはいたがあそこまでとは思わないだろ、普通。

 

 

 

 

「酷い顔してるわよ、あなた」

 

「そう思うんなら労って…………」

 

 

 

朝食時に楯無に同席を求められ、断る理由もないので了承。向かい合って朝食を食べている状況である。

 

 

ちなみに俺は胃に優しいお粥で楯無は日替わり定食だ。今日は魚の塩焼きらしい。

 

 

 

「なんであなたはお粥?」

 

「本人にそのつもりが無いにしてもこっちにはのろけにしか聞こえないんだよ。過去の思い出とか語られてお腹一杯だし、つーか胃がもたれそうだし…………」

 

 

 

この胃に優しい味つけが丁度いいのだ。本当にもう聞きたくないです…………

 

 

 

 

「とは言っても織斑君と同じ男ってことでこれからも色々と聞かれると思うけど………頑張ってね」

 

「何とかしてくれよたてえもん!」

 

「たてえもん!?それは無理がありすぎるでしょう!?」

 

「裏権力とか使って何とかしてくれよたてえもん!」

 

「夢もなにも無さそうねたてえもん…………無理ね。私職権濫用とかしないの」

 

「どの口がほざきやがる…………!!」

 

 

 

ふてくされたようにお粥を掻き込む俺を苦笑しながら見つめる楯無。俺ら二人を一体どういう関係なのか!?と遠目から眺める生徒が結構な数いたりするのだが────俺としてはやましいことは何もないためこれは無視。

 

 

 

「あ、そういえば。その転入生ちゃんなんだけどね?」

 

「うん?どうした?」

 

「………………あの子、透君からみて()()?」

 

 

 

──────()()とはつまり、専門家として見て、()()という話だろう。

織斑一夏は特殊中の特殊。ならばその関係が深い人間を疑うのは当然か。

 

 

「…………特に何かに憑かれてるってわけではないだろ。怪異の気配を感じないし悩んでいるようでもない。強いて言うなら織斑への思いに憑かれているかもしれんが、それは『織斑一夏』の影響を受けている結果だ」

 

「異性を惹き付ける体質ね…………何とも世の男達の願望が形になったような体質じゃない」

 

「…………ま、そんな体質になったのはその世の男達にも原因の一端はあるだろうけどな」

 

「え?」

 

「あと少しで予鈴も鳴るだろ。楯無も早く移動した方がいいぞ」

 

 

 

空になった器をトレーにのせ、立ち上がる。

ぽかんとしている楯無をほっといて教室に向かおうとすると、慌てて楯無も立ち上がって俺を追いかけてきた。

 

 

 

「ちょ、ちょっと待って!原因の一端ってどういうこと!?」

 

「ん?いや人が先か、怪異が先か。卵が先か鶏が先かという、いわゆるブートストラップパラドックスって奴だが、この場合はこれは成り立たない。

人が先か怪異が先かというなら完全に人が先といえる。人が噂し、人が語り、怪異は始めて成立する。そして一つの怪異である『織斑』がこの大原則から逃れられるはずもない。

 

そこに人がいるから──────そこに怪異がある。

 

なら『織斑』の性質も()()()()()()()()()成り立った。世間で語られる一種の理想や幻想。それが形となり、結晶となり、怪異と成ったのが『織斑』だと俺は考えてるんだよ」

 

 

 

教室への廊下を歩きながらつらつらと語る俺を呆れたように首をふりながら楯無はこう称した。

 

 

 

 

 

「あなたは自分のことを二流の専門家なんて言ってるけど、私から見れば十分に一流よ。透君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

011

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。

第一アリーナの更衣室ではちみっこいツインテと朴念仁イケメンが向き合い、言い争いをしていた。

 

 

「教えてくれたっていいじゃないか!!」

 

「は!?なんで教えなきゃいけないのよこの鈍感馬鹿!!」

 

「誰が馬鹿だよ!!」

 

「あんた以外いないでしょうかこの今世紀最大の馬鹿!!」

 

「透も言ってたけどなんで今世紀最大なんだよ!!」

 

「……………え?ちょっと待ちなさい透も言ってたってまさか話したの嘘でしょ」

 

 

 

…………うわー飛び火したよ。こっち見んな。

 

 

 

 

 

即日決行を決断した織斑は凰をアリーナの更衣室に呼び出した。呼び出した先が更衣室ってのがもう駄目だ。

それでも、すわっ!まさか告白か!?と思い意気揚々と現れた凰に対してあの約束の意味を教えてくれ!!とプロポーズの解釈を直球で聞いてきた織斑に対して怒り炸裂現在に至る。

何これ意味わかんない…………

 

 

 

「あー、アレだ。確かに聞いたは聞いたが…………真意の方は伝えてないから。安心しろ。後で飲み物でも奢ろう」

 

 

自分で言ってて全く安心できる要素がない…………飲み物って。モテない男子のフォローかよ。…………モテない男子でしたそうでした。

 

 

 

「………………ふふ「ふふふ!「ふふふふ!!「ふふふふふ!!!「ふふふふふふ!!!!」

 

 

 

あぁ………………死んだな、織斑。

 

 

 

「……………………クラス対抗戦」

 

「は?」

 

「クラス対抗戦で決着つけてやるッ…………!!勝った方が負けた方に何でも一つ命令できるッ!!殴り飛ばして蹴り飛ばして射撃して切り刻んで無様な姿観客にさらしたあと人としての尊厳も踏みにじってあげるわッ!!」

 

「上等だ!その代わり俺が勝ったらその場で意味を教えてもらうからな!」

 

「なっ…………!!」

 

 

プロポーズを観客の前で説明しろと…………公開処刑ですねわかります!ていうか鬼畜すぎる。

 

ん?いや待て。観客の前で説明するということはそのプロポーズは公認に近いものとなる。ならばそれを恥ずかしがってやっぱり無しと凰が取り下げたりしたら少なからず色々と言われるわけで?数の力とは膨大なわけで?もうゴールインするしかないわけで?婚約者がいるとなると他の女は入りにくくなるわけで?

 

 

そこまで計算していったのか!?この無自覚一級フラグ建築士は遂に身を固めようというのか!?

凰も気づいたのか、

 

 

「………………いいじゃない上等じゃないでも手は抜かないからねっ!!」

 

 

 

顔を真っ赤にしながら言われても…………つーかこれ俺いる?帰っていい?もうお腹一杯っていってるだろうがくそが。

 

 

 

 

 

まぁ何はともあれ、凰と織斑はクラス対抗戦で決着をつけるということになったのだった。

この学校の女子決闘とか好きだな。

 

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