怪物語   作:柴犬好き

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今回変態的部分があります。
どんなのと言われれば原作におけるおよそ4ページにわたっての羽川さんの下着描写的なあれです。

ではどうぞ


しゃるるタートル 其の肆

007

 

 

 

 

 

「…………ふぅ」

 

 

 

 

寮の部屋の前でため息をつきながら突っ立っている怪しげな男がいた。

 

というか俺だった。

 

 

これが女子の部屋であったら即織斑先生に通報され、地獄の説教が待っているのだろうが、この部屋は俺の部屋であるため問題はない。

 

 

なぜ自室の前で憂鬱そうに突っ立っているのかと聞かれれば、やはりそれはシャルル・デュノアのことだった。

 

 

シャルル・デュノアは女の子。先ほどの楯無との会話ではっきりしたことではあるのだが、ぶっちゃけてしまえばシャルルが女の子で、織斑一夏や大嶺透のデータを盗ろうとしているスパイだとかは正直どうでもいいのだ。

 

 

 

 

俺に関係あるのはシャルル・デュノアが怪異に憑かれているということ。

 

 

 

 

すなわち専門家としての仕事だ。

 

 

 

 

専門家はある意味一種のカウンセラーのようなものである。

怪異が人の願いによって、行動によって現れるものであるのだからその『願い』を解決するために行動するのが専門家だ。

 

 

つまりシャルル・デュノアの問題を真の意味で解決したいとするならば、話し合いは必要不可欠なのだが。

 

 

 

「そうなると、デュノアが女であるってことに気づいていることを明かさなければいけないんだよなぁ……」

 

 

 

明かすだけなら簡単なんだ。ただその後の寮生活が面倒なことになるだけで。

 

 

デュノアは隠しきれてないない部分もあるが男として振る舞っている。男として認識されているのなら男である俺と同室でもバレない限り襲われたりはしない、という考えなのだろうが…………

 

女であるとバレたと同時にデュノアは退学の危機と貞操の危機を感じるだろう。こっちにその気がなくともデュノアがそう感じるなら、デュノアはそれを起こりうることとして認識する。

もしそんな状況になってしまった場合、あいつに憑いた怪異の()()からしてとてつもなく面倒なことになるのは確実だ。

 

 

「…………ふぅ」

 

 

ここにずっといても始まらない。取り敢えず部屋に入ろう────と、扉を開けた。

 

 

 

そして俺はその先の光景を一生忘れることはないだろう。

人間初めて見た印象深いものはえてして忘れ難いものだ。忘れたくないという思いと忘れられないという思い、この二つがその記憶を鮮明なものにする。

 

 

例えばエベレスト山頂から見下ろす景色は一生忘れないだろう。

例えば人生を変えた本は1日たりとも忘れたくないだろう。

例えば初めて買ったエロゲは決して忘れられないだろう。

 

 

扉を開いた先の景色はそれらに匹敵するくらい衝撃的な光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バスタオルを一枚だけ巻いた姿のデュノアがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャワーを浴びていたのだろう。髪は濡れ、毛先からは幾つもの水滴が落ちた。光に反射し艶やかに光る金髪は髪フェチではない俺でもドキリとしてしまう。

水滴は首の傾斜にそって鎖骨の窪みに溜まっていく。そこから視線を落とせば決して男とはいえない豊満な二つの山が存在していた。今は完全に当人が停止しているがさっきまで動いていたので慣性の法則に従い、二つの山は微かに揺れる。大きいとは言えないその動きは逆にとても扇情的だった。

バスタオルしか巻いていないので必然的に肩や腕、脚は露出してしまう。お湯を浴びて汚れが洗い流された美しい肌はほんのり赤く染まり湯気がかすかにたちのぼっている。それは明確な、だが健全なエロスを感じられた。

すらりと伸びる美脚は見事な曲線美を描きだしまるで一級品の彫刻のような美しい形をしている。

そして驚きの表情が浮かんだままフリーズしているデュノアの顔。よく見てみれば、否よく見てみなくてもシャルル・デュノアはとんでもない美少女と言えよう。男子の制服を着ていることで女顔の王子系イケメンとして捉えられていたがいざこのような格好をされると、どうして男と思っていたのだろうかと真剣に悩まざるを得ない。やはり服装とは人の印象を決定づけるのに大きな力を秘めているようだ。

 

そして服装というのであれば今のデュノアのバスタオル一枚、という格好は『美少女に着て欲しい服ランキング』TOP10には確実に入るであろう最上級の服装である。

 

 

だがここはバスタオル一枚を服装と称していいのかから論じるべきなのだろう。

 

便宜的に今はバスタオルを服装としているがそれは全裸に帽子一つを『ファッション』と主張しているようなものではないのだろうか。変態である。間違いなく変態である。だが『裸に一枚だけ』とはどうしようもなく男のロマンだ。エプロンしかりYシャツしかり。服装が『印象を決定づけるもの』として扱われるならこのバスタオルやエプロン、Yシャツは『男のロマン』という印象を与える立派なファッションと言える。

 

 

つまり────変態とはロマンだ。

 

 

だがこのロマンにも例外は存在する。男でいう『ただしイケメンに限る』という奴だ。

格好いい台詞や行動はイケメンにしか許されていない。それと同じで『ただし美少女に限る』というものも確かに存在するのだ。

 

 

そしてこの場合。最高の『ロマン』であるバスタオル一枚を最高の『美少女』であるシャルル・デュノアが装備することによりここに究極の────男の夢が実現した。

 

 

 

俺はこの光景を一生忘れることはないだろう。

 

 

 

 

「ひっ──────」

 

 

 

この間約3秒。俺が脳をフル回転させて心の記憶ボタンを連打し、悲鳴対策のために中に入りながら扉を閉めるのとデュノアが再起動して悲鳴をあげる時間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

008

 

 

 

 

 

 

「…………ノックもせずにいきなり入ってきて悪かった」

 

「…………ううん、僕もシャンプーを探して不用意にバスタオル姿で洗面所の外に出たのが悪かったし…………」

 

 

 

寮の部屋が完全防音で助かった。危うく社会的生命が終わるところだった。俺も、そしてデュノアも。

 

 

 

「…………ところで透が部屋に入ってきたとき、およそ1100文字にわたってキャラ崩壊を起こしながら私のバスタオル姿が事細かに描写されていた気がしたのは気のせいなのかな?」

 

「気のせいだな。俺は窓の外の素晴らしい景色を描写していただけだぞ」

 

 

 

窓の外の、以外あながち間違っていない。

 

 

 

「…………ねぇ、透は私のことを聞かないの?」

 

 

 

おずおずと、静かな部屋に響く声。

それは不安、恐怖、焦り、そしてどこか期待が含まれているような感じがした。

 

 

シャルル・デュノアのことを聞かないのか。もちろん俺は知りたい。楯無からは女の子であるということと、企業のスパイであることを聞いただけだし、詳しい事情は知らない。大方とんでもなく複雑でどろどろとした話なのだろう。勿論聞く。勿論聞くが──────

 

 

 

「…………シャルル・デュノア」

 

「……僕の本名はシャルロット・デュノアだよ。そう呼んで欲しいな」

 

「……じゃあシャルロット・デュノア。話を聞く前にだが────」

 

「…………うん」

 

 

 

 

 

 

 

「ひとまず、その()()から出て来てくれないか?」

 

「…………え?」

 

 

 

 

 

 

俺は、シャルロット・デュノアを包む()()()()を見ながら、そう語り始めた。

 

 

 

 

 




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