怪物語   作:柴犬好き

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戦闘描写難しい……


ほうきフォックス 其の貮

004

 

 

 

 

 

「ぐっ…………!?」

 

相手の神速と言ってもいい速度で振るわれたブレードがこちらの打鉄の装甲を削る。距離をとってアサルトライフルで応戦しようとしても直ぐに距離を詰められてブレードで応戦するしかなくなる。

 

つか初めてISに乗って戦う奴の相手が現世界最強っておかしいだろ…………!!

 

 

「ふん、この程度か?違うだろう?本気を見せてみろ!」

 

 

相手はまだまだ余裕どころか本気の3割もだしてないような雰囲気。しかしこちらのエネルギーは既に7割削られもうギリギリの状況。

 

 

「くそがっ!」

 

再び距離をとると今度は追ってこず、束の間の空白が生まれる。

 

 

「はぁ、はぁ…………くそっ、生身でやるのと勝手が違いすぎる!ていうかラグが酷い!」

 

 

このISは量産型だからなのかは知らないが反応速度が遅い。戦闘では──それも格上との戦闘では一瞬の行動が生死をわけるといっても過言じゃない。しかしこの打鉄は右手を上げようと思った一瞬後に右手が上がる。一瞬遅れの行動など相手に致命的な隙を与えるだけだ。

 

 

「…………なるほどな。貴様の行動に打鉄がついていけていないのか」

 

 

だがこれは相手も同じだろう。相手も使っているのは打鉄、反応速度は同等の筈。それでこの戦闘能力だ────成る程、本格的に化け物だな。

 

 

「これでは貴様の能力が分析しきれないな────ふむ、おい大嶺」

「ふぅ…………なんですかね、織斑先生。続きはやんないんすか」

「それでもいいんだかな、これでは埒があかん。一撃で決めよう」

「挑むところですよ…………!!」

 

 

距離をとり、ブレードの鞘を出現させる。みれば織斑千冬も鞘を出し、ブレードを納めていた。

 

 

「ふっ…………ではやろうか」

「えぇ。物語の主人公ならここで格好いいこと言うんでしょうけど、語る必要もないですしね…………!!」

 

 

鞘を腰に装着し左手を鞘に、右手を柄におき、構える。

 

 

 

俺の劣化版怪異殺しは怪異の急所を正確に切り裂かなければいけない。ならばどう斬るか。袈裟懸けか、正眼か。俺の選んだ方法は────すなわち、抜刀術。

 

とにかく速く、正確に、防ぎようがないほどの一撃を喰らわす。その神速の一撃で何体もの怪異を切り裂いてきた。

 

 

そしてついたあだ名が、『怪異斬り』。

 

 

 

「では────大嶺透、参る!」

「織斑千冬、来い!」

 

 

トップスピードで近付いていった2つの影が刹那、交差する。ガキンッ!!と金属同士がぶつかる音がアリーナ中に響きわたった。

 

先程までとは位置が逆転し、ブレードを振り抜いた姿勢で固まる二人。

 

トスッと地面に折れた刃が刺さる軽い音が無音のアリーナに響いた。

 

折れたブレードの持ち主は────挑戦者の少年。

 

 

『しょ、勝者!織斑千冬!』

 

先程の山田先生の声が拡声器から聞こえてくる。

 

 

「…………やっぱ世界最強は半端ないな。まだまだ全然敵わないか」

「まだ高校生の若造にやられてたまるか。しかしお前も中々だな」

「いやはやそれほどでも…………しかし織斑先生、一ついいですか」

「ん?何だ?」

 

 

 

 

「どんなことがあっても、力に呑まれないでください」

 

 

 

 

 

「…………それは、どういう意味だ?」

「いやただの負け犬の遠吠えですよ。それじゃ先生、また新学期に」

 

 

 

 

 

そう言ってカタパルトに戻ろうとしたが────これどうやって飛ぶの?戦闘中は地面で戦ってたから困らなかったけどどうやって飛ぶのこれ?

 

 

 

 

「…………………………」

「…………………………」

「………………連れていこうか?」

「………………お願いします」

 

 

 

 

締まらねぇ…………てか恥ずかしいぃ!!

 

 

 

 

005

 

 

 

 

 

そんなこんなで入学式当日。

俺は大量の視線に晒されSAN値ががりがり削られていた────というわけでもなく。元々影は薄い方なのだ。極限まで影を薄くして机に突っ伏していれば大体の視線は前の席の織斑に行く。ちなみに俺は一番後ろの席である。正に神立地。とは言っても夜竹さんの視線はビームなのかよというくらい突き刺さってますが。

 

 

視線を集めるのはイケメンの専売特許だよなぁ…………とゲス顔を添えて居心地悪そうなイケメンに心の中で呟いておいた。

 

 

パシュッと音がして圧縮空気型の自動ドアが開き、先日の爆乳教師が入ってくる。相変わらずでかい。クラスの女子の何人かはフリーズしちゃってるぞ。同性から見てもやっぱりすごいのか、あれ。

 

 

「ええと……み、みなさん!入学おめでとうございます!このクラスの副担任をする山田摩耶と言います!これから一年間よろしくお願いします!」

 

…………………………無言。

 

「えっと、えっと…………その、まずは自己紹介からしていきましょうか!クラスメイトの名前を早く覚えて仲良くなりましょうね!」

 

…………………………再び、無言。

 

「ふぇぇぇ…………」

 

もう可哀想すぎるだろ!あとなにあの可愛い小動物は!

と俺が密かに山田摩耶萌えーとか言ってる間にどうやら自己紹介は始まっていたらしい。つつがなく進み、期待の織斑一夏まで進んだのだが

 

「ええと、織斑一夏君?織斑一夏君!!」

「へ?は、はい!!」

 

どうやら聞いていなかったらしい。周りがクスクス笑っているがこれもイケメンの特権。俺みたいな奴がああなったら『は?あいつ何やってんの超ウケるんだけど』と言われること必然である。どうでもいいけど女子高校生の『超ウケる』の使用率は異常。

 

 

「ええと自己紹介の順番次が織斑君なんだけど………やってもらえるかな?」

「は、はい!」

 

がたりと立ち上がり、周りを見渡す織斑一夏。期待の視線が向かうなか、その口を開いた。

 

 

「えっと…………織斑一夏です!…………………………以上です!」

 

 

クラスの大半がドリフみたいにこけた。団結力って素晴らしいね!

 

そのとき教室の扉が開き一人の女性が入ってきてその手に持った出席簿で一夏の頭を叩いた。いやその破裂音は人間の頭が出していい音じゃないと思うんですけど…………

 

「ふんっ!」

「げぇ!?きんつば!?」

「恐らく赤兎馬と言いたいのだろうがせめて人で例えろ!」

 

再び破裂音。あの出席簿は鋼鉄か何かで出来てるの?

 

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!千冬様よ!」

「私、千冬様に会うために北九州から来たんです!」

「あぁなんと美しい…………!!」

 

 

耳がっ…………!!耳がっ!!女子の叫び声って騒音兵器か何かなのかよ!?

 

 

「静かにしろ!今日からこのクラスの担任をする織斑千冬だ!私の言うことには全てはいかイエスと答えろ!無理でもイエスで答えろ!しかし…………はぁ、毎年毎年馬鹿者だけが私のクラスに集められるのか?」

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!もっと罵ってください!」

「でも時々優しくしてください!」

「でもつけあがらないように厳しくしつけてください!」

 

 

女子高校生ってこわーい………………

 

 

 

 

「静かにしろ!まったく、まともな自己紹介くらい出来んのか織斑」

「う…………ごめん、千冬姉」

「織斑先生だ(スパァン!)」

 

そろそろ本気で出席簿の材質が気になる。が、女子はそんな事気にしてないらしく

 

「え?もしかして一夏君って千冬様の弟?」

「そうなんだ…………じゃあISを動かせるのも可笑しくないかもね!」

 

とか言っていた。

じゃあ俺が動かせるのはなんでなんでしょうね…………

 

 

「全く、貴様のせいで時間が無くなった。もう一人の男子の自己紹介をしてから授業を行う!」

 

何言ってるんですか織斑先生!せっかく流れそうな雰囲気だったのに!ほら、周りの女子も『え?もう一人?』とか言ってるし!

 

 

「大嶺、やれ」

「うす…………」

 

席を立つと視線が一斉にこちらを向く。いやそこの方、分かってるから聞こえるような大きさで『………え?いたの?』とか言わなくていいから。

 

「えー世間で言う『二人目』の大嶺透です。特技趣味は特に無し、まぁどこにでもいる平凡な男子高校生なので適当に関わってください」

 

ふっ完璧だな。ちゃんと紹介しつつ関わりたくないように誘導する!マイナス方面での自己紹介のプロだぜ!

 

 

「はぁ…………もういい。授業を始めるぞ!教科書をだせ!」

 

始業を告げるチャイムがなり、学園始めての授業が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

燃え尽きたぜ、真っ白な灰のように…………

なんなのあれさっぱり分からねぇ。電話帳サイズの参考書も読んだけどまるで理解できない。もっと要点をまとめて欲しいっすね!

でも参考書を捨てたとか言ってる織斑はもっとやばそうだが。あれを一週間で暗記はきついぞ。

 

机に突っ伏して頭から煙を出していると視界の端で織斑がポニーテールの女子に連れていかれていった。

確か篠ノ之箒だったか。

 

 

篠ノ之というとたしか神社の神主をやっていたような気がする。というか臥煙さんから貰った資料に書いてあったような気がする。

それっぽい名字でそれらしい出自なので怪異に関わる一族なのかと調べてみたのだが、どうやら篠ノ之一族はそういうものとは無関係のようだ。それでも篠ノ之束の妹ということで結構重要なポジションだったりするのだが。

 

全くイケメンはしがらみが多くて大変ですねぇ。その点俺はイケメンじゃないから縛られなくて助かる。だから夜竹さん、俺イケメンじゃないから縛ってほしくないんですけど…………

 

 

「で?一体どういうことなの?」

「いや、どういうことも何も適性検査で適性があった、だからここに入学したってだけで」

「ダウト」

 

即答で否定しないでください…………ていうか織斑一族のことを隠してるだけでこれは別に嘘ついてないんだけど。

 

「どうせ怪異関係のことなんでしょ?この前斧乃木ちゃんと一緒にいたことと関係がある」

「…………さぁな」

 

勘が鋭すぎるっていざ直面するとかなり面倒くさい。しかしこいつを巻き込むわけにはいかないのだ。

自分が一度怪異に憑かれただけあって彼女は怪異の話題に敏感だ。だからこそ、織斑一族のことは言いたくない。まだ夜竹はこちら側に片足しか踏み込んでいない、まだ引き返せる領域にいるのだ。俺の都合で彼女の日常を破壊したくない。

 

「…………まぁ手伝って欲しいときは言うからさ」

 

 

だから、こんな風に誤魔化すことしかできない。

 

 

「うん、約束だよ」

 

 

そう言って笑う彼女の顔を見て、少し心が疼いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えと、透だよな?俺は一夏っていうんだ。二人だけの男子でお互い大変だと思うけどこれから一緒に頑張ろうな!」

 

二限目が終わった後、そう言って織斑が声をかけてきた。背景がキラキラのイケメンスマイルを添えて、である。

 

「ん、あぁよろしくな」

 

二限目も二限目でさっぱりなので必死に参考書を読み直していたのだが一旦参考書を閉じ、織斑に向き合う。

 

「透は授業についていけてるか?」

「はっ愚問だな。さっぱり分からん」

「だよなぁ…………」

「つかお前は参考書捨てるっておかしいだろ」

「いや電話帳と間違えて…………」

 

 

 

 

「ちょっとよろしくて?」

 

?なんだこの金髪縦ロールは。っとそういえば資料にあったっけ。確かセシール・ボイコット?

 

 

「ん?何か用か?」

「まぁ!なんですのそのお返事。私に声を掛けられたのですからもっと礼儀にそった返事をしたらどうですか?」

「いやごめんな、俺君の名前も知らないし」

「知らない!?この私を、セシリア・オルコットを知らないと!?これだから男は…………」

 

あぁそうそうセシリア・オルコット。確か極度の女尊男卑主義者だっけ。

 

織斑とぎゃーぎゃー話している途中にチャイムがなり、捨て台詞を残して席に戻っていった。何だったのだろうか、アレ。

 

 

 

 

「いまからISの武装に関しての講義を始める──と言いたいところだが、まずこのクラスのクラス委員を決める。クラス委員はクラス対抗戦に出場したりクラスの雑務をしたりが主だな。誰か推薦したい者などはいるか?」

 

代表ねぇ…………面倒くさそうだしやりたくないな。適当に織斑あたりに押し付けるか。都合のいいことにクラスの女子は織斑を推薦してるし────

 

「はい。私は大嶺透を推薦します」

 

だと思いましたよ。しかし夜竹、このコミュ障に代表が務まると思う?

 

 

このまま織斑と俺の一騎討ちになると思いきや────

 

 

「待ってください!納得いきません!」

 

 

────やはり、なんの波乱もなしに終わるということはないようだった。

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