IS~自称策士は自重しない~   作:reizen

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お待たせしました。本当、字数が少なくなった。

ところで、この更新までにもう一つの方と別の話軸で何故か意味がわからない展開を思いついてしまったんですが、私の脳内はどこに行きたいのでしょうかね


#144 幻想だから問題ない

―――現代

 

 まるで夢を見せられているようだ―――と、部隊員から「隊長」と呼ばれている女性は思った。

 先程まで地下にいて、優勢だったはずの自分たちは化け物によってすぐに劣勢へと追い込まれてしまったのである。

 

「何なんだ……何なんだ貴様は!!」

 

 気が付けば外にいた。そしてバブルスを使い果たしたと思われる部下は逃げられず、拘束されている。

 

「おかしいな。俺は有名人のはずなんだけど……意外と問題を起こしていないのか?」

 

 戦闘中だというのに考え込むユウ。その隙に隊長はユウに攻撃した。

 

 ―――ドンッ!!

 

 衝撃を感じ、地面にぶつかるのを見て隊長は思わず勝ち誇った笑みを浮かべた。だがその喜びは一瞬だった。

 

 ―――ドバッ!

 

 自分の体から化け物の手が飛び出した。突然のことで理解が追い付かなかったが、やがて自分が貫かれたのを理解した。

 そして軽くふるわれ地面に叩き付けられたが、衝撃だけで痛みなど感じなかった。

 

「……どうして…絶対防御が……」

「忘れた? 学年別トーナメントの時にVTシステムを取り込んだから、俺も「零落白夜」を使えるんだよ。ただ

、強化してオリジナルを超えているけど」

 

 隊長は言われて、一人の男性操縦者のことを思い出した。

 

「……桂木……ゆう、や……」

「ご名答。正解した君には特別に人として生かしてあげるよ。まぁ、本当ならラウラに攻撃しようとしたから見せしめに君を両手両足を拘束して最近増えつつあるホームレスたちにプレゼントしようとしたけど」

 

 ―――すべて話してくれるよね?

 

 威圧的な雰囲気で近寄ってくる桂木悠夜に恐怖を覚える隊長。すると、悠夜の後ろから凛とした。

 

「そこまでだ」

 

 声がした方に気だるげに振り向く悠夜。視線の先にラウラを捉えた彼は飛びつくように移動し、ラウラを抱きしめた。

 

「ラウラから離れろ」

「彼女の飼い主である俺が、どうしようと勝手だろ。無粋だぞ、雑魚」

「何?」

 

 ラウラを抱いたまま千冬を睨みつける。だがラウラ本人は未だにユウが化け物のような状態であるため、どうすればいいのか困っていた。

 

「だ、誰だ貴様は! それに飼い主は―――」

「……ああ、そう言えばラウラってこの姿を見るのは初めてだっけ」

 

 すると黒く禍々しい鎧が剥がれように消え、ユウが姿を現す。するとちょうどいいタイミングで今回の戦闘に参加していた全員が集まった。

 その中から一人、猛スピードでユウの方に走ってくる。

 

「ユウ様~!」

 

 臨海学校の時、束が千冬にされたようにユウも飛んでくるように移動するミアを捕まえた。

 

「……落ち着け。確かお前は……」

「ミアですよ! まさか、私の記憶だけ抜け落ちているのですか?!」

 

 ユウは信じられないと言わんばかりにミアを凝視する。

 

「……デカいな。山田真耶に匹敵するんじゃないか?」

「当たり前です。ユウ様が思って努力したんです!」

「俺がチッパイ好きならどうするつもりだったんだ?」

「知ってますか? レヴェルの技術は高いんですよ。一日で傷がなくなるほどに」

「……ああ、そういうこと」

 

 顔を引き攣らせるユウ。すると地響きがし、ユウたちの前に巨大なバブルスが現れた。

 

「……暴走…したか」

 

 隊長がそう溢すと、巨大バブルスはユウたちの方に口に開き、光線を発射した。ユウが手をかざしてバリアで防ぐ。

 

「ミア、今のそいつらを連れて逃げ―――って、おい、ミアは―――」

 

 ―――ドバッ!!

 

 気が付けば、巨大バブルスの顔は吹き飛んでおり、近くにはミアが殴り切った姿で浮いていた。そしてジャマダハルを握り、殴るように突き出すと肉体がはじけ飛ぶ。

 

「10年ぶりに話をしているのに、邪魔するな!!」

 

 今度はその場で回転し、刃に竜巻が現れて肉体を潰していった。

 

「……私は、夢でも見ているのか……?」

「いや、そうでもないと思うけど……あいつ、成長したな」

「そんなことを言っている場合ではないと思うが!?」

 

 肉片が次々と落下してくる。ユウは〈ダークカリバー〉を出して自身の力を注ぎ、ワニに近い大口の怪物の頭部を出す。そして軽く振ると頭が伸びて行き次々と肉片を食べて行った。

 

「……で、これは一体どういうことだ? この学園で何が起こってる?」

 

 すべてを食べ終わったらしい頭部を消したユウが尋ねると、苦々しい表情をした千冬が言った。

 

「見ての通りだ」

「ラウラ……はいいか。あ、うん。そんな悲しそうな顔をしなくていいからな」

 

 ラウラの頭をユウが撫でると、目を細めて余韻に浸る。着地したミア、そして簪たちがそれを見て羨ましそうに見ていると、千冬の通信機から真耶の声が漏れた。

 

『大変です、織斑先生! 篠ノ之さんたちのバイタルが不安定になってきました!?』

「何? どうしてそうなる? まさかハッキングの―――」

 

 そこまで言った千冬は近くからの嫌な視線を感じてそっちの方を向くと、ユウが睨みつけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 まさか、こんなことになっているとはな。

 

「二勢力に攻められ、一方は生徒に任せるとはな。この学園にはセキュリティー対策すらされてないのか?」

「それをすることすらままならなかったのだ。なにせ学園内の隔壁が降ろされて身動きができないのだからな」

「もう少し、その辺りのことは整備した方がいいぜ、絶対―――と」

 

 目的地に着き、止まった俺は掴んでいた織斑先生の手を離す。この姿を織斑に見られていたら間違いなく誤解されそうだな。

 

「だがそんなこと、できる勢力なんて……身内ができるがないな」

「どうだかな」

「いや、ないと思うぜ。IS学園のレベルなんざ大会で確認できるし、おそらく向こうにしてみれば雑魚ばっかだろうよ。俺だって思うし」

「貴様らレベルで物を語るな。次元が違いすぎる」

 

 否定はしない。

 しかし、改めて横たわっている4人を見てため息が出る。どうしてこうなった。

 

「お、織斑先生……って、どうして関係者じゃない人を!?」

「そんなことよりデバイスの準備はできているか?」

「これはあなたに貸すことはできま―――って、え!?」

 

 重力で奪いように取り、すぐに頭に装着する。テニスの選手が頭に着けるみたいな感じだなと感想を抱いていると、システムが作動した。

 

「そんな!? 織斑先生、どうしま―――」

「ここは桂木に任せる」

「桂木……え? 桂木君なんですか!?」

 

 俺の見た目ってそこまで変わったか? まぁ、髪は変色しているしパッと見すぐに判別できるわけがないか。

 

「じゃあ、行ってくる」

 

 体に力が入らない。ああ、これが意識を失うってことか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 悠夜が倒れてすぐのことだった。彼の周囲に鎖が展開され、主を守るように殻を形成し始める。

 その前に千冬は中に入ろうとしたが、鎖に妨害されてできなかった。

 

「あの、これは……」

「おそらく、桂木の安全が保障されていない時に形成されるものだろう。まったく、不可解な存在だな」

 

 吐き捨てるように言った千冬。すると彼女は何かを感じたのか、弾かれるように後ろを向く。すると暗い場所から作業服が似合っている轡木十蔵が現れ、思わず身構えた。

 

「轡木さん。……その汚れは」

「ただの血ですよ。私の人生の中でも稀な部類に入るしぶとさを持ったものがいまして……おやおや、彼はようやく起きたのですか?」

 

 元から知っていたのか、鎖を見てそう言った十蔵に真耶は恐る恐る尋ねた。

 

「……桂木君のことをご存知だったのですか?」

「ええ。彼の祖母とは並々ならない縁がありましてね。知ってますよ。彼がどのような人間で、ISが束になっても勝てないってことくらいは」

 

 それを聞いた瞬間、真耶は顔を青くした。

 

「まぁ、おそらく彼女らは大丈夫でしょう。いざとなれば私がと思ったのですが、彼がいるなら問題はありません」

 

 そう言って十蔵は血を滴らせながらその場を去る。千冬はため息を吐くと、真耶はその場で膝をついてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おそらく俺は、この時ほど「リア充爆発しろ」と思ったことはないかもしれない。それほどまで目の前で繰り広げられている行為を見るのは不快だった。

 

(……何を好き好んでウザい男女のそう言った行為を見なければならないのか)

 

 いずれ通る道なのは理解しているが、まさかこれほどまで他人の逢瀬に嫌悪感を覚えるとは思わなかった。

 

「だ、ダメですわ一夏さん。これ以上は―――」

「そんなことを言うなよ、セシリア。今日はそういう日だろ?」

「…そ、そうですけど……」

 

 ま、リハビリにはちょうどいいか。

 目の前の壁を破壊して部屋の中に入ると、オルコットはすぐさま布を取って自分の体を隠す。隠した所で意味はないが、彼女のプライドもあるので敢えて言わないでおこう。それに、目当ては織斑だけだ。

 織斑の頭を掴んで地面に叩きつけて割る。よほど力が強かったのか、一瞬で砕け散った。その様はまるでとある傭兵がスイカ割りでスイカをショットガンで撃ったことを彷彿とさせた。

 

「い、一夏さん!? あなた、一夏さんをよくも!!」

「あぁ悪い。思ったより脆オロロロロロロロ………」

 

 その様を改めてみると本気で気持ち悪くなったので、俺はその場でゲロを吐く。今まで綺麗だったその部屋はなんということでしょう。ものの見事に豚小屋を着飾ったようにしたみたいになった。いやマジで。

 意を決して改めて見ると、俺の汚物は金色と黒色が混じったようになっていた。

 

「許しません、許しませんわ、一夏さんを殺したあなたに制裁を―――」

「え? 何?」

 

 喉元に〈ダークカリバー〉を突き付ける。するとオルコットが動きを止めた―――が、睨みつけてきたのでとりあえず適当にグランドストライクを放った。

 世界が徐々に消滅していくと、剣先が悲鳴が起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありえません。ありませんわ! 一夏さんの偽物だけでなくどこの馬の骨すらもわからないあなたなんかに裸を見られるなんて!」

「見てねえし、仮に見ても範囲外で論外だから発情しねえよ」

 

 そう突っ込みを入れると、何故か涙を流すオルコット。何で泣くんだこいつ。意味が分からない。

 

『オルコットの救出、ご苦労』

 

 唐突に上の方から声が聞こえた。この声、織斑千冬か。

 

「お、織斑先生!? これは一体―――」

「そういえば、来る前に操作パネルがあったな。あそこから声を伝えているということか……」

『そうだ。今のところ、外部からの脅威は感じられないからな。なので私と山田先生がお前の補佐をしている』

「これ以上にない不安要素だなぁおい」

『声に出てるぞ』

「狙って出してんだよ」

 

 そう答えて、改めて残るドアを選ぶ。最初に入ったのがオルコットだったが、どれも同じなので選択することは難しそうだ。

 

(……どうせ同じだろうし、適当にやるか)

 

 ここは言うなれば幻想。亜人がいないのはすごく残念だが、幻想として存在するからこそできることがある。

 

 ―――幻想だから、別に手加減をしなくても構わないだろう?

 

 なんて無駄に勝ち誇りながら次のドアを開けると、そこはオルコットの世界でみた感じの、所謂金持ち風の廊下がだった。

 

(まぁ、デュノアって一応金持ちだからそれなりには持っているだろうけど……)

 

 今度は女王プレイか? あのSMだっけ?

 曖昧な記憶を辿りながら、声を探り歩く。すると聞き覚えがある声がいかにも「ここにいますよ」と言わんばかりの大きな扉から聞こえてきた。

 とりあえずいつも通り壊して中に入ると、織斑弟が学園祭の時のメイド服を着たジアンの腰に抱き着いていた。

 

「誰だお前は!」

「通りすがりの破壊者、だ!」

 

 すぐに織斑の近くに移動して蹴り飛ばす。今度は腕を残した状態で吹き飛ばしたので、血を浴びたメイド服姿のジアンが怯えるような目で俺を見てきた。

 

「俺の腕が―――」

「安心しろ。すぐに体が潰れる」

 

 そう言って織斑の体を足で潰す。するとそこら中に血が吹き飛んで思いっきりかかった。

 

「……きったねぇ……」

 

 自分でやっといてなんだが、思ったよりも被害は大きかった。と言っても心的被害なので賠償責任とかないが。

 

「い、一夏!? 一夏ぁああああ!!」

「うるせぇ」

 

 睨みつけて黙らせる。……まさか俺、かなり人相悪くなってないか? いや、絶対なってる。

 悲観的になりつつも周りを壊す。すると世界が壊れ、さっきのドアの前に戻ってきた。

 

「あれ? ここは一体……」

「どうやら戻って来たみたいだな」

 

 そう言うとジアンは改めて俺の方を見て怯え始めた。おそらく、さっきの行動の反動だろう。実際されると思ったら誰だって怖がるだろうしな。

 

「……き、君は誰なの……?」

「そこまで変わっているのか、俺は……」

 

 思いのほか、ショックを受けるものだな。

 するとまた上から織斑千冬の声が聞こえてきた。

 

『桂木、よくやった。では次に行ってもらいたいが、今一つは織斑がしている。お前はもう一つの方を担当してもらいたい』

「え? 桂木君なの?!」

 

 意外そうな顔をして俺を見てくるジアン。そして彼女は恐る恐る尋ねてくる。

 

「ねぇ、桂木君はどうしてさっきあんなことを……」

「……ストレス発散だ。現実であんなことをしたら人殺しですぐに施設行きだからな。これまでずっとアレのせいで色々と苦労させられたんんだ。八つ当たりぐらいさせろ」

 

 そう言ってドアの方へと移動する。

 

「……待って!」

 

 行こうとしたら何故かジアンに止められ、俺は後ろを振り向いた。

 

「一つだけ聞かせて。リゼットがあんな風になったのは、あなたがリゼットにも同じことを―――」

「してないから。人聞きの悪いことを言ってんじゃねえよ」

 

 そう言ってドアを開けると、ふと思い出したことがあった。

 

「でもま、改めて思い返してみるとあの日常もそこまで嫌じゃなかったかもな。そう言う意味ではリゼットが帰るのは寂しかった」

 

 何せ俺、友達と呼べるものが一人もいないので。

 何故そんなことをこいつに言ったのかわからないが、ともかく俺はドアをくぐった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まさに無茶苦茶。彼を現すにはその言葉がふさわしいだろう。

 それほどまで、私が生み出した幻覚は次々と破壊されていった。というよりも、あの男は概念諸共壊していくのでもはや「幻覚」というものが失われているようだ。

 

(……でも次は、大丈夫)

 

 いつの間にか、私は笑っていた。これであの男とまともにやりあうのは二度目。安全地帯にいるからか、あの男をどうやって倒そうか考えるたびにワクワクしていた。

 

(次のあなたは、どんな世界を見せてくれるの?)

 

 私はそっと、黒いブレスレットに触れた。




ということで、今回は「次回予定」を久々に。


次回予定

考えてみれば、「普通」とはそう言うことを指す筈だった。
だけど彼女に襲った災厄はとても悲劇的で、誰からも救いの手を差し伸べてくれない。
そんな時、彼女を狙って一人の男が行動を起こす。

自称策士は自重しない 第145話

「厄災見舞われ廻せた後に」

「ある程度、俺の能力を反映させたようだが成長しないならその程度ということだ」

 そして幻想世界で、彼の能力は猛威を振るう。





ということで次回は丸々1話使って鈴音編ワールドパージをお送りしたいと思います。
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