IS~自称策士は自重しない~   作:reizen

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ISを動かし、異能に目覚め、色々な体験をしてきた桂木悠夜。
そんな彼は今日、IS学園に来て2度目の春を迎えた。


#Final そして未来へ

『これより、IS学園第8回入学式を行います』

 

 視界を兼任している副会長のミア。入学式は代表候補生とか企業の会議で出席できない者以外は基本的に出席を強制されている。

 ちなみに今回が第8回目なのは、ISが世に出て技術が発展するまでそれくらいの期間があったから。……冷静に考えて、ISが出た翌年に建設できるほどの安い技術ではないもんな。

 とまぁ、そんなことはどうでもいい。

 

「……にいに、絶対何かよからぬことを考えているよ」

「うん。ゆうやんがあそこまでノリノリな時って、絶対にどこかの王様みたいにノリノリで演説する時だもんね」

 

 外野が何か言っているが、無視だ。

 入学式の内容が進んでいく。そしてとうとう―――

 

「―――次は生徒会長の挨拶になります」

 

 さて、俺の番だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 長い銀髪をなびかせながら、IS学園初の男子生徒会長――桂木悠夜が壇上に移動する。現れた瞬間に男とわかった新入生は「どうして男が生徒会長?」と疑問を持ったが誰も口にすることはなかった。

 生徒会所属の腕章と黒い制服がトレードマークとなっており、その制服の内ポケットに忍ばせていたらしい紙を取り出して開き、マイクのスイッチを入れて話し始めた。

 

「諸君、入学おめでとう。よく高い倍率の壁を越え、今日という日を迎えてくれた。生徒会長として君たちに会えたことは心より嬉しく思う……というのは―――心の底から思っていない!」

 

 ―――パンッ

 

 突然、紙を折り畳んだ悠夜はそれを破り捨てて空中に舞わせる。すると紙に青い炎が点いてパニックになりそうになったが、悠夜が手を叩いて響かせたことで静まった。

 

「安心しろ。マジックの一種だ」

 

 新入生は在校生が苦笑いをするのを見て、おずおずと席に着いた。

 

「さて、浮かれているところ悪いが―――今すぐ気持ちを切り替えろ。貴様ら新入生共は薔薇色の人生を約束されていると思っているだろう、エリート級の待遇やISに触れ放題だと喜ぶ者もいるだろう。安心しろ。そんなことはまずない。貴様らに待っているのはISに乗ることができない地獄だ。上級生からはいびられ、気の弱い生徒は同級生から虐められる。専用機を持っていることに嫉妬される。故に狙われる、媚びられる。そんな地獄から解放されたいならばクラスを牛耳ろ。実力を見せつけろ。力を手に入れろ。アラスカ条約に加盟している国は程度は違えどすべて「女性優遇制度」なるものが制定されたが、はっきり言って徒党を組めばISを持とうが持つまいが女だろうが男だろうが最後に勝つのはあらゆる分野で成功を収めた者のみ。ましてや、男が女に勝てないと言う視野の狭い考えを持っている奴から敗北するのがこの世界だ」

 

 突然の暗い話に新入生のほとんどが生唾を呑む。中には内容が気に入らない内容もあったのか、悠夜を睨む生徒もあったが、悠夜自身ものともせずに話を続けた。

 

「確かに、女性優遇制度が出る前から日本では女の立場を優遇する立場があった。現に男女平等の世界なんかも存在していたみたいだが、それでも職業に関しては少し男が優遇されていたが、その理由はわかる者はいるか?」

 

 唐突の質問、そしてわからないこともあって、誰も手を挙げない。

 

「簡単な話、女は男と違って子どもを産むことができるが、動きが制限される。つわりや突然の体重過多など要因は様々だ。つまりは適材適所ってわけだ。考えてもみろ。お前らが乗る機体は誰が整備する? 整備不良を装って君たちを送り出して爆弾を仕掛けることもできるし、休憩室に爆弾を使えば大丈夫だ。なにもISを四六時中着けているわけじゃないんだからな。整備の時は外すだろ? だからみだりに男を見下すのは自分の寿命を縮めることだと思っておけ。媚びへつらっとけとか、体を使って関係を築けとかは言わない。だがせめて良好な関係は築け。死にたくなければな」

 

 いや、何の話だよと何人かは思い始めた頃、悠夜はさらに話を脱線させた。

 

「特に操縦科で強くなりたい奴はロボットアニメはよく見ておけ。ゲームも勉強の合間を縫ってやってみろ。特にバトルシーンがあるシミュレーションゲームとか、ロボット関係の格ゲーとかはお勧めだ。決して世界の連中とやろうとするな。四肢奮迅ならぬ四肢分解されるから………とまぁ、かなり話を脱線させすぎてしまったが、要はこう言いたいわけだ―――今の自分を信じるな。徹底的に己を否定しろ。そして、誰かに……世界に認められるほどの結果を出して初めて自分を信じろ。それまでは徹底的に努力しかない。これからの人生を幸福に過ごせるのは法律でも制度でもない。自分がどれだけ人生という怪物に対して足掻けるか、それだけだ」

 

 言い終わったため、一歩下がって一礼。悠夜はそのまま作法に乗っ取って自分の席に戻っていく。

 式は滞りなく終了し、全校生徒はそれぞれの持ち場に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「疲れた~」

 

 入学式が終了し、初日から始まった授業をこなした俺は、そう言いながら机に突っ伏す。

 

「お疲れ様。とても良い演説だったわ」

「……そうか? 女権団の連中がこっちを睨んできたんだが?」

 

 というか、まだ存在したんだな。とっくに滅んだと思っていたがどうでもないようだな。

 

「彼女たちはいい顔しないでしょうね。現に、私宛に何度か会長の席を譲ったことで批判する内容の手紙が送られてきたし」

 

 呆れつつ奈々はそう言うが、俺にとっては一大事だったので立ち上がる。

 

「……いつから?」

「確か、あなたが会長になって半月ぐらいから―――」

「わかった。今すぐ滅ぼしてくる」

「おいコラ」

 

 奈々に首根っこを掴まれる。

 

「何をするんだ?」

「その手は何かしら……というか、その手というより手に浮かんでいる球体かしらね?」

「偽縮退砲。落とせば半径100㎞は軽く吹き飛ぶ。大丈夫。敢えて姿を見せて自分が誰の眷属に喧嘩を売ったのかわからせてやるさ」

 

 なぁに。軽く数万人が消えるだろうが、世界規模でみれば全く問題ない。

 

「別にそんなことをしなくて良いわよ。私は気にしてないし……それよりも……」

「奈々……」

 

 甘ったるい雰囲気に変わる。俺が神樹様を復活してからというもの、奈々は妙に積極的だ。おそらく、防衛として、そして元会長だから仕事もわかっているからいない間のフォローを任せたのが「ハブられた」と思っているからだろう。俺もそれに応えて顔を近づけ、唇を重ねる。ホント、いくらハーレムを作ることができるし、むしろ子孫繁栄のためにたくさん作れとか言われているので何股してもいいんだが、これはこれで問題があ―――

 

「さすがはご主人様。国家代表すら自分専用の雌犬に変えてしまうなんてカリスマ性満載ですね」

 

 おい誰だ。今余計な奴なことを言った奴は誰だ!? 奈々がフリーズしてしまったじゃないか!

 俺は強引に離すと、赤いリボンをつけて少し改造を施している制服を着たリゼットがいた。

 

「………そういえば、入学してきてたな」

「はい。それもこれもご主人様と毎日致すため、すべてジュールに押し付けてきました! あとクロヴィス叔父様から伝言を言付かっております」

「………何だ?」

「「私もレヴェルに行って、娘に会いたいのだが?」と」

「んなもんジュールに言え!」

 

 すかさず突っ込みを入れるが、すでにそこにリゼットはそこにいない。

 

「―――すごいですね。私も胸に自信はありますが、それでもこの大きさは異常かと思います」

「ちょ、リゼットちゃん?! 揉むの止めて―――」

 

 何故か奈々の胸を揉んでいたので、俺はあわてて引きはがす。

 

「お前なぁ、目に毒なんだからやめてくれ」

「慣れているのでは?」

「………俺は純情なんだよ」

 

 しっかし軽いな。こいつ本当に高校生か?

 なんて思っていると、リゼットは俺に抱き着いて唇を奪う。

 

「……急に何をするんだ」

「すみません。まずは格差を見せつけるために踏まれる必要があるんですね。はい」

「そんな趣味ないから!」

 

 平伏すリゼットをなんとか立たせると、奈々は本気で引きながら聞いてきた。

 

「ユウ君、あなた本当に何をしたの?」

「何もしてない」

「そう。まだ私はご主人様と何もしてませんわ!」

「………本当に、何もしてないからな?」

 

 そもそも自分が王族だと知ってまだ1年も経ってないんですが………。

 

「まぁいいわ。で、あなたは何をされてそんな風になってしまったのかしら?」

「私は自分が所詮1匹の雌でしかないとわからされたんです。あの戦いを見て………」

「…………あれで?」

 

 どうなら奈々に心当たりがあるようだ。思い出しているけど、あれってそんなに激しかったか?

 大体、俺はあの時は素早さと身体能力ぐらいしか制限を解除していなかったから、そこまで興奮するようなことはなかったはず―――

 

「容赦なく、まるで缶を潰すように敵を潰し、薙ぎ払い、銃弾すらも叩き落とす。その時の笑顔はとても邪悪でした」

「だから何でお前はそれでこうなったッ!?」

 

 思わず叫んでしまったが、本当にどうしてこいつはこんな風になってしまったんだ?! いやいや、おかしいだろ。アレで? 邪悪って、アレで!?

 中二全開は言うまでもない。さらに言えば、相手をボコったりしたぐらいで特に問題は……それか?

 

「明らかに不利な状況。だというのにご主人様は相手を潰していきました。それはさながら猛獣のようでとても凛々しかったですわ!」

「………魔王じゃなくて?」

「そうとも言います!」

「………………普通、怖がらねぇ?」

 

 自分で言うのもやり過ぎたというのはあるつもりだったが、だからと言ってこんなになるのか?

 さっきから俺に引っ付いて離れないリゼット。するとドアが思いっきり開け放たれた。どういう法則で揺らめいているのかわからないツインテをなびかせる鈴音。怒りからか頬を膨らませる本音。そしてため息を吐く簪に笑顔を引き攣らせる朱音がいた。

 

「やっぱりこうなっちゃってたか……」

「やっぱりって?」

「実はその人、自己紹介で「悠夜様と添い遂げるために入学しました!」って言ってたから」

「初見でそんなことを言われたら、満場一致で「何だこいつ」だろうな」

 

 なんて思っていると、鈴音が頭突きをしてくるのでそれを空中に止めた。

 

「止めるな!」

「止めるから! というか止めないと国際問題になるだろ」

「あなたは確か凰鈴音でしたわね。ご主人様に何か用ですか?」

「アンタよアンタ!」

 

 睨むのを止めない鈴音に、何かを悟ったリゼットは照れずにはっきりと言った。

 

「なるほど。つまり「新顔のアンタが先に致そうとしてんじゃないわよ!」と言いたいですね」

「なっ、ちょっ、ま―――」

「―――一体何の騒ぎだ、これは」

 

 今度はラウラだ。俺が考案した黒い制服を喜々として着たこともあって、かなり似合っている。……聞けば、かつて所属していた部隊の制服に似ているとか。その制服の写真を見た時には、考案者とは馬が合いそうだと思った。

 

「ラウラか。遅かったな」

「すみません。各隊の者たちと訓練内容の相談をしていました。それよりもこれは?」

「………単なる順番待ち」

「なるほどな」

「おい待て。今ので内容を理解したのか?」

 

 どう見ても鈴音とリゼットが理由不明で争っている風にしか見えな―――

 

「その女も兄様に忠誠を誓い、その身を捧げようとしたところに鈴音が合流。兄様の寵愛を受ける順番で揉めたのでしょう。ふん、下らんな」

「何ですって!?」

「誰が寵愛を受けるかどうかなど、そもそも話し合うこと自体が問題なのだ。兄様の部屋を訪れればできるというのに」

「え………?」

 

 するとリゼットとラウラを除いた全員が顔を背ける。当然俺もだ。

 

「嘘……アンタら……っていうか楯無さんは国家代表ですよね!? そんな簡単に―――」

「あぁ、私は正式な代表じゃないから高校を卒業をすれば一般人に戻るわよ」

 

 四元属家の人間が「一般人」の部類に入るかはわからないがな。概ね間違っていない。

 そもそもどうして日本人である奈々がロシアの国家代表になったかというと、生徒会長になった時に専用機持ちじゃないことが問題になったらしい。学園最強の人が専用機を持たずにいるのはいざという時には不都合だと思ったIS委員会が、奈々の戦闘スタイルに合う機体を作成していたロシアに紹介して専用機が支給され、その機体のデータを基に今の機体を開発したそうだ。

 ちなみに、ロシア国籍を持っているのは日本国籍の人間にロシアの機体を持たせるのは体裁的にも問題があると思ったから取らされたと愚痴っている。

 

「でも、国家代表に抜擢されるぐらいだから引き留められているんじゃないの?」

「最初はね。今はそうでもないけど……ユウ君のおかげっていうかなんていうか……」

 

 実のところ、各国は最初、俺を独占したいがために様々な策を講じてきた。おそらく委員会の人間が俺が国家代表だと言われた時の反応を見て「今ならまだ間に合う」と思ったのだろう。その結果、俺の逆鱗にいの一番に触れたアメリカ―――その大使館内は荒れることになった。なにせ、IS学園の生徒を複数脅して関係を持っていると当時童貞だった俺が切れてもおかしくはないことを言われ続けたからなぁ。制止を振り切って乗り込んで、女尊男卑について徹底的に否定してきた後、萌え理論を説いて性犯罪に走る者に対しての徹底的な否定もしてきた。あまりの勢いに向こうが土下座してきたのは本当に驚いたが。

 ISは形的に日本発祥ということになっているが、未だに世界に幅を利かせてきたアメリカ。その大使館長が土下座したことはすぐに知れ渡った。おそらくイタリアの国家代表を簡単に捻じ伏せて各国が苦戦したスコールに勝った人間ということもあったのだろう。向かってきたSPも軽く潰したことも相まって、今年初めに行われる予定のモンド・グロッソに出場することを禁じられた……というか懇願された。

 

「そういうことで、簪は晴れて日本からレヴェルの代表候補生になった。おそらく鈴音自体も申請すればすぐにはってのは難しいかもしれないが、せっかく発展した国を吹き飛ばされたくないだろうから移動や自体←辞退 は比較的に容易になっているはずだ」

「私も第三世代機のテストパイロットとして一応は入学していますが、叔父様からも「いつでも嫁いでもらって構わない」と言われてますし」

「いや、それでいいのかフランス……」

「あの母親は一応、かなりの操縦者だったらしいですからね。その母を徹底的に潰したユウ様のことは元から高く評価していたので」

 

 何故かフランスからは評価が高かったけど、そう言った理由からか。

 

「あ、そうそう。お姉ちゃんからでんごーん。今度はいつ会えるかって~」

「仕事が片付いたら」

「しばらく片付きそうにないものね」

 

 奈々の言葉に俺は頷く。すると、急に生徒会長として使っている電話が鳴ったので取ると、生徒からの通報だ。どうやら篠ノ之やオルコットが切れたらしい。おそらく織斑関連だろう。

 

「じゃあ、行ってくる」

「「「行ってらっしゃい!!」」」

 

 みんなに見送られて、俺は生徒会室を出る。生徒会長になってから何故か他人のいざこざを解決しているが、その多くが織斑関連だ。だから―――

 

「一度入院させるか」

 

 俺だって人間だ。だからストレスだってたまる。IS展開? ンなこた知るか。こっちは生身でIS潰せるんだ。

 俺はダークカリバーを手に奴らを叩き潰すために走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから、かなりの年数が過ぎた。

 俺こと桂木悠夜はIS学園を首席で卒業。リゼットをはじめとする後輩たちに祝福されて自国に戻り、数年してから王位に就き、神樹国改めレヴェルの王として国の発展に務めた。そして60歳を過ぎたくらいに、政治に心から関心を持っている息子に王位を譲る。四元属家を母親に持つ子供を除いて長男は自分が成ることができると思っていたようだが、その母親には悪いがそんな人間に継がせる気は毛頭なかった。

 ちなみに俺は結局義妹含めた高校時代に連れ添っていた女たちと結婚し、子どもは総勢100人を超えた。おそらく女尊男卑になってから初めてのハーレム王として語り継がれているだろう。

 

 そして今―――

 

「な、何で……」

「くそ、聞いてないぞ! 何でこんなところに海賊が現れる!?」

 

 何人か()()()時、誰かが俺の前でそう叫ぶ。だが俺は興味ないのでそのまま残りを狩ると、耳を澄ませて周りの音を聞く。

 

「……ここか」

 

 俺はドアを軽く引くと、大げさに音を立てて吹き飛んだ。

 

「見いつけた」

 

 そこにいるのは男女問わず疲弊する子供たち。最長で10代前半と言ったところか。

 

「………あなたは、誰ですか?」

「俺? 見た目と実年齢がかみ合っていない化け物って言ったところだ」

「……はぁ」

 

 インカムのスイッチを入れて周りの部隊に連絡を取る。

 

「こちらデーモン1。目標を確保した。そっちは?」

『こちらデーモン3。敵ISを大破に追い込みました。これから腐った膿を取り除きます』

「……同じ女なんだから、手加減してやれよ?」

 

 そう言うと『了解』と返されて通信が切られる。

 そして俺は未だ怯える彼女らにこう言った。

 

「初めまして。俺は君たちを連れ出しに来た」

「………私たちは売られたんですか?」

「いや、むしろ奪いに来たってところかな。言うなれば、正義の海賊ってところか。ああ、別に見返りに君の体を要求するってことは安心しな。まぁしたいなら相手ぐらいはしてやるが」

 

 ダメだ。意外と乗ってこない。せめて顔を赤くしてくれればこっちもやり様はあるのに。

 

「ともかく、外では俺たちの仲間が待っている。案内するから追いて―――」

「見つけたぞ!」

「貴様、実験動物に何をするつもりだ!!」

「ここには人しかいませんけど~?」

 

 飛んでくる銃弾を弾いて無効化しながらそう言うと、相手は笑った。

 

「はん! どうせ全員犯すつもりだろうさ!」

「それいいねぇ。あ、アンタみたいなババアには興味ないからお帰りください。むしろ今すぐ相手探した方が良いんじゃない? あ、いないか」

「ぶっ殺す!」

 

 ISを展開して攻撃して来ようとするが、残念なことに相手は俺―――無駄なのだ。

 

「な、何で動けねえ!?」

「アンタ、実年齢はもう20代後半だろ。可愛いこの子たちと違ってババアなのに、ISスーツを着ているとかウーケールー」

 

 まぁ、俺は70代後半なんだが。

 

「だっまれぇええええ!!」

「それはお前だ―――『グランドストライク』」

 

 黒い球体を生成してその女を殺す。残ったのはISコアのみで俺はそれを回収した。

 

「な、何なんだ……」

「化け物……!!」

「理解は早くて助かる。俺は化け物だ。じゃあな」

 

 腕を軽く振って風の斬撃で2人を殺し、俺は子どもたちに誘導した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ありがとうございます。私たちみたいな存在に、ここまで良くしてくださって」

 

 場所は変わり、今は隊長室。かなり立派な部屋に座る彼女を俺は撫でた。

 

「何を……」

「いや、なんとなくこうした方が良いかなって思って」

「汚れます。私たちはこれまで様々な手術をした実験動物なんです。だから、そんなことをしたら」

 

 それでも俺は彼女を撫で続けていると、机にあるスフィアから連絡が入る。

 

『隊長、施設の調査報告がありました。中に入っても?』

「どうぞ」

 

 空気が抜けた音と同時に一人の女性が中に入ってくる。

 

「……また口説いていたのですか? あまり妻を増やすと世間から白い目で見られると思いますが?」

「もう王ではないからな。後は好き勝手やらせてもらうさ。どんな人間を口説こうが俺の勝手だろ?」

「………はぁ」

 

 娘にため息を吐かれるのって、結構効くよね。

 

「もういいです。いつもの光景なので。ですがする前にはちゃんとした施設で検査を受けさせてからにしてください」

「………いつも、何ですか?」

「ええ。いつもです。リーダー格の女性を呼んではまだ現役と言わんばかりにひたすら犯して孕ませる。わが父ながら本当に呆れますよ」

 

 そう言いながら彼女―――ルウはため息を吐いた。

 別にそれを狙っているわけじゃないもん。気が付いたらそうなってただけだもん。

 

「大体、娘……というよりも孫と変わらないどころかむしろ年下の少女と関係を持つなんて、あなたはそれでも老人ですか!!」

「………俺の祖母が150歳まで生きていたから、もう少し大丈夫だと思う」

「少しは反省しなさい!!」

 

 そう言ってルウはさりげなく少女を連れて出て行く。

 

 

 俺が神樹様に伝えた意思の通り、先駆けてレヴェルは宇宙にスペースコロニー「オーディン」を建設することに成功した。そもそも、先祖がコロニーを作成するにあたってとても重要だった酸素を人工的に、それも早く生み出す理論を完成させていて、尚且つ篠ノ之束を含む天才が複数いたことからたった3年で打ち上げ部分を完成させたのである。そこから徐々に地域を増やしていく形で場所を広げていき、さらに量産したISとIGPSを使って目標の広さを確保して本当の完成を迎えたのである。

 篠ノ之束はISコアを「宇宙にコロニーを作るために使用する」という条件で提供し、先進国を主に一部の国がコロニーを作成、打ち上げた。当然、増えたとはいえISコアには限りがあり、すべての国に行き渡らない―――行き渡らなかった国のほとんどは、ISコアを保有する国に移住を決めた。そして―――アフリカ大陸に存在する国はすべてレヴェルの管理下に入った。ISコアを保有する国もあったが、その国の一つであるギリシャは代表候補生だった「フォルテ・サファイア」を俺の嫁として機体と共に提供するほどだ。それほどまで日本やアメリカなど比較的にコアを多く保有する国に攻められることが脅威だったのだろう。アフリカ大陸がレヴェル大陸へと名を変えるほどの大合併に当然ながら他国は反対の意を示してきたが、俺たちはそれを無視して合併を承認。その結果―――世間一般では「戦争」が起こった。

 アメリカと日本を中心に、IS操縦者を集めて俺たちの国にに攻め込んで来た。言うなれば第三次世界大戦とでも言うのだろう。だがあれははっきり言って「戦争」ではなく俺たちのストレス発散程度にしかならなかった。

 

 ―――一方的な虐殺

 

 酷いことを言えばそうだが、間違っていることはないと俺は思った。結局、IS隊は俺たち4人の兄妹には手も足も出なかったのだから。…………まぁ、俺はそこで初めて人を殺したな。あまりにも殺しすぎて当たり前だとしか思っているが、今考えればとんでもないことだろう。

 

「お父様」

「何だ、ルウ」

 

 歴史を振り返っていると、ラウラを少し大きくした感じの娘が立っている。……結局ラウラはあれ以上はお腹は大きくなったがそれだけだったな。っていうかアイツは不摂生ではなかったから妊娠以外ではお腹は大きくなっていなかったが。……まぁ、流石に歳には勝てなかったのか昨年逝ったが、

 

「お休みのところ、申し訳ありません。少々、お話しをしたいと―――」

「話じゃなくて、お前の場合は甘えたいだけだろ」

「………はい」

「別に恥じる必要はない。親子なんだから甘えたければ甘えればいい」

 

 ちなみにルウはラウラが40の頃に産んだ3女で、末っ子だ。昔っから俺に懐いていて王位を退いた後に海賊をするって時もいの一番に付いて行くと言って聞かなかった。年齢で言えば彼女ももう30を超えているが、それでも俺の子どもということもあってか10代後半にしか見えない。

 俺はルウに抱き着かれたのでそのままさっきの女の子みたいに頭を撫でてやる。

 

 桂木悠夜、72歳。宇宙海賊「ディスカード」の長にして、100を超える子持ち。まぁ、宇宙海賊とか言っても違法組織の摘発を主に宇宙に流れている宝を探しているだけの存在なんだがな。

 

(ほんと、こうしてみるとラウラが生き返ったみたいだな)

 

 そんなことをしみじみ思いながら、俺はそのまま眠りについた。そして明日も、宇宙の非法組織を狩る為に航行を続ける。それが王位を退いての趣味であり生きがい、宇宙進出を果たした責任者の宿命だ。





後書きはこちらとなります。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=140248&uid=15171
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