IS~自称策士は自重しない~   作:reizen

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タイトル詐欺の気がしなくもない


#48 少女の従性と利用価値

 悠夜に連れられ、自分の部屋に戻ったラウラはベッドの上に座っていた。

 

(………私は、もう……)

 

 彼女は少なくとも、自分の立場を―――自分がドイツの軍人であることを誇りに思っていた。

 だが数日前にいきなり言われた「軍から追放、そしてドイツ国籍を破棄」。そして、「人ではなく物」。

 

(……それをあの男は………)

 

 帰り道、悠夜とは一言も話さなかった彼女はただ沈黙―――そして涙を流すことしかできず、今では彼女の瞼は腫れている。

 

(……私はもう……ただの……次世代を残すだけの器、というものだな……)

 

 軍人が捕虜になった場合、どのような末路を味わうかは男女に、そして敵国の特徴によって差異はあれど大抵扱いにパターンがある。そのため、自分がどのような状況になるかを理解しているラウラは、これからすることを考え始める。

 

(………生きていれば、あの男のおもちゃとして様々なことをされる……だが―――)

 

 ———死んでいれば……

 

 そう思ったラウラは回収されることがなかった武器を取り出す。H&K USPのグリップを握り、自分の頭に銃口を持って行こうとすると、インターホンのチャイムが鳴った。

 慌ててラウラは銃を枕に隠すと、鍵が開錠される音が聞こえた。

 

(いや、待て。今のは……)

 

 物音を立てずにラウラはベッドから降り、先程のUSPを出して壁に背を向けて入ってくる不審者を迎撃する準備をした。

 だが途中で足音がなくなり、一向に近付いて来る気配がない。

 

「———気配がバレバレですよ、ボーデヴィッヒさん。それでは敵を迎え討つ前に自分が殺されてしまいます」

 

 悠夜ではない男の声を認識したラウラは「そこに男がいる」ということに焦りと恐怖、そして混乱が起こったが、ラウラはそのことで耳にしたことがあることを思い出す。

 

 ———IS学園には男の怪物がいる

 

「……貴様が、IS学園の怪物か……?」

 

 単刀直入でそう尋ねたラウラに対し、十蔵は呆然としたがすぐに噴いた。

 

「私がそんなことを言われているとは……どこからそんなことを?」

「高官らがそんな噂をしていた」

「………まぁ、彼らかしてみれば私のような人間は怪物でしょうね。ところで、そろそろ姿を現してくれませんか? 私はあなたに関して危害を加えに来たのではないので。それに、若い女性にそこまで隠れられたら傷つきます」

 

 十蔵のその言葉に、ラウラは顔を少し出すが―――

 

「———ここですよ」

 

 既に十蔵はラウラの後ろに移動していた。

 

「馬鹿な!? いつの間に後ろに―――」

「この行動でISを持たないあなたに勝機がないことを察してくれませんか? ちなみにあなたの敬愛する織斑千冬も今は来ませんよ。来たところで、彼女が私に勝てる確率は限りなく0に近い」

 

 ラウラは察するどころか恐怖を持ち始めたが、やがて銃に安全装置をかけた。

 

「結構。それと、あなたの武器は回収します。あなたにここで死なれたら織斑先生もそうですが、あなたのご主人様が悲しむのでね」

「………知っているのか、私が桂木悠夜に飼われているということを」

「ええ。あの時の会話は私も聞いていましたから」

 

 その言葉にラウラは自然に握り拳を作る。

 

「……今日はもう遅い。明日の早朝、彼に関して私が話しましょうか?」

「………何か知っているのか?」

「ええ。少なくとも、あなたが織斑一夏に向けているのは「嫉妬」ですが、彼が向けているのは「憎悪」だということは」

「………私もあの男は嫌いだ」

「ですがそれは、あくまで「嫉妬」ですよ」

 

 ラウラは安全装置を外して警戒するが、十蔵はただ笑顔を向けるだけ。まるでラウラを相手にするなど容易だと言わんばかりの態度だ。

 

「………良いだろう。明日の早朝、貴様の所に行ってやる。場所は?」

「ここに記してあります。———ああ、それと」

 

 一瞬。それだけでラウラは部屋が歪んだ錯覚に陥った。

 

「———あまり勘違いしないように。目上の人に対して敬語は使うものですよ」

 

 それだけ言って出て行く十蔵。その殺気にラウラは膝をつき、放心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボーデヴィッヒの部屋から十蔵さんが出てくる。どうやら会話は終わったようだ。

 

「ありがとうございます、十蔵さん。助かりました」

「いえいえ。後はあなたのことを私が知る限りお伝えさせ、あなたに対して服従するように説得するわけですが……」

 

 服従するように説得とは、これはまた随分と斬新な単語である。降伏するように説得ならば聞いたことがあるが。

 

「あの過去は話しておいて良いですか? 同情を得るならばそれは話しておいた方がいい。彼女ならば、まだ理解してくれるでしょう」

「そうですね。あのことは………」

 

 気が付けば言葉を切ってしまうが、十蔵さんは殺気を出すことなく俺に暖かい眼差しを向けていた。

 

「しかしあれですね。とうとうあなたは3人……いや、6人ですか。朱音には手を出すなよ、小僧」

 

 意味がわからないことを言われたが、ともかく朱音ちゃんには手を出さない方が良いみたいだ。予定もないが、それを言ったらここで殺される可能性がある気がするのは俺だけだろうか?

 

「いやいや、何の話ですか、何の……。大丈夫です。彼女は妹と割り切っていますので」

「それは魅力がないってことか?」

 

 どうやら言葉の選択を誤ったようだ。膨大な殺気が俺に向けて飛んでくる。

 

「何を言っているんですか、十蔵さん。ちゃんと彼女には魅力がありますよ。だからこそ、俺は戦える兵士が欲しいんです。私たちの事情を知っていて、協力してくれる駒を。本音を言えば、学園なんて止めて大切な人と世界を隔離したい。守るならばそれくらいのことをしないと」

 

 そう返すと今度は正しかったのか、通常モードに戻った。いや、戻ってくれた。

 

「なるほど。だからボーデヴィッヒさんを欲しがったわけですか。確かに彼女の能力ならば鍛えればそれなりに―――いや、かなりの戦士になってくれますね」

「でしょう? 手を抜いたとはいえ俺を多少ですが楽しませてくれましたし。利用価値もそうですが、見た目も悪くないのでこの学園内では数少ない目の保養になります」

「———でも、彼女は悠夜さんと暮らすのよね?」

「そういうことになるな。流石に三人はきついとはいえ、学園に通うのは難しいし。その辺りはどうなんですか、十蔵さん」

「一応、ボーデヴィッヒさんにはこれからもIS学園に通ってもらう予定です。三年間の間に自分が人として知識をあなたに付けてもらって、教師として生徒を教えてもらうってのもアリかもしれませんね」

「……じゃあ、私も一緒に寝てもいい?」

「別にいいんじゃないか? ………え?」

 

 後ろを振り向くと、そこには簪が普通に歩いていた。

 

「………えっと、いつから?」

「悠夜さんが十蔵さんを待っている間、ずっと」

「気付いていなかったんですか?」

 

 十蔵さんが聞いて来るので俺は頷いた。

 改めて簪さんを観察すると、前にボストンバッグを抱えている。

 

「……それは何?」

「私と本音の着替え」

「いや、必要ないよね?」

 

 そもそもどうして着替えなんて必要なんだろうか? どう考えても不要だろう。

 

「私、今日()()悠夜さんの部屋に()()から。師匠に話したら、「曾孫が生まれるのを楽しみにしているぞ」って言ってた」

「ちょっと待て。その師匠って……」

「桂木陽子(ようこ)さん」

 

 まさかと思っていたが、本当にいるなんて思わなかったぞ、おい! いや、考えてみれば本音があんな状態になっているし、いても不思議ではない。なにせあの一見ガキにしか見えない老婆は、格闘だけでなくなんちゃって剣術、さらに毒薬の精製なんてものをする奴だ。媚薬の一つや二つ作れてもおかしくはない。

 俺としては簪がババアのことを「師匠」と呼んでいることに疑問を感じているが、今はそんなことよりも一刻も早くあのクソババアを追い出すことが先だ。

 

「すみません、十蔵さん。ちょっと用事を思い出したので今日は失礼します」

「わかりました」

 

 俺は急いで部屋に戻り、親父が送ってきた物品の中にあるお助けグッズを物色していると、

 

「———ほれ。おぬしが探しているのはこれじゃろう?」

「ああ、サンキュ。これでようやくあのバカクソチビババアを探し出すことができ………って、何でここにいる!?」

 

 平然と俺の隣に立っているロリババアこと桂木陽子。ドヤ顔をして立っているが、身長はボーデヴィッヒと同じくらいだったりする。

 

「いやぁ。可愛い弟子兼おぬしの花嫁候補たちが戦争ごっこで優勝したというので祝うついでに発情させてやろうと思うてな。ほれ、わしからの餞別じゃ」

 

 そう言ってロリババアは俺に薬物製作キットと、首輪とリード、そしてそれらを作成するのに必要な工具キットとレシピ、素材をもらった。まるで錬金術が導入されたドラ○エ8のようだ……じゃなくて、

 

「何でここにいるんだよ。ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ」

「菊代に頼んだら入れてもらったぞ」

「菊代さーん!!」

 

 どうしてこんな歩く天変地異みたいな奴に許可証なんてものを発行したんだよ!?

 

「いやぁ、何人か話しかけてきておぬしの名前を出したら見事に嫌な顔をしていたぞ。嫌われているな」

 

 満面な笑みでなんて心をえぐることを言ってくるんだ。

 辺りを見回して楯無辺りに助けてもらおうとしたが、どういうことが姿がない。

 

「そうそう。知ってるか、悠夜。簪は従順じゃからその首輪をつけてやったら間違いなくエロくなるぞ」

「どうでもいい知識過ぎて泣けてくるわ」

 

 少なくとも、今、この状況においてはどうでもいい。だからむくれないでくれ、簪。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、場をかき乱すわ、からかうわ、空気をあえて読まずに竜巻の如く去って行った……と思われたが、悠夜たちが寝ている間に楯無のベッドの上に寝ている簪と本音を悠夜を挟むようにして配置して、自分は後処理で帰ってこない楯無のベッドに寝て、悠夜が起きた時に超ド級のイベントが起きてしまうが、それはまた別の話。

 翌日。6月30日を迎えた早朝。ラウラ・ボーデヴィッヒは制服に着替え、用務員室に訪れていた。

 ドアをノックしたラウラ。中なら返事が返ってきたのでドアを開けると、そこには二人の老夫婦がいた。一人は昨日ラウラと会った十蔵。そしてもう一人は―――

 

「初めまして、ラウラ・ボーデヴィッヒさん。私はIS学園の学園長を務めさせていただいております。轡木菊代と申します」

 

 十蔵の妻、菊代がそこにいた。

 

「………知っている……いえ、存じ上げております。ですが、何故ここに……」

「それは私があなたが慕う織斑千冬ではなく、桂木悠夜を―――男女平等を支持しているからです」

 

 そう告げた菊代に対して、ラウラは意外そうな顔をする。

 

「最近はなくなりましたが、最初のころは大変でしたよ。ただ校長としての職を探していたら、かなり高い給料で募集をかけられていたので受けたというだけで女尊男卑と思われてしまうし………」

「菊代。今は…」

「そうですね」

 

 十蔵に諫められ、菊代は黙ることにした。

 

「さて、ボーデヴィッヒくん。あなたは桂木悠夜のことをどれくらい知っていますか?」

 

 そう尋ねられたラウラは自分が知っていることをすべて話す。

 男性操縦者になる前は一般人であり、これと言った特徴がないこと。ほかの生徒たちには嫌われ、存在自体否定されていること。自分が敬愛する織斑千冬を嫌っていること。

 

「順を追って話しましょう。まず織斑先生が彼に嫌われている理由は、4月にクラス代表を決める戦いがありました」

「……話は聞いています。確か、織斑一夏とイギリス代表候補生が戦ったと。そしてその裏で桂木悠夜が襲われていた、と」

「ええ。調べたところによると、どうやら食品を輸送するトラックに紛れていたようで、着替え中の桂木君に襲い掛かったようです。この言い方はどうかと思いますが、その原因を作ったのは他ならぬ織斑先生にあります」

 

 ラウラにとって千冬はどん底にあった自分を「隊長」という地位に戻してくれた恩人である。その恩人を悪く言われるのは嫌な思いだった。

 

「何故、そう思うのですが?」

「本来、桂木君はクラス代表戦には関係ありませんでした。関係あったのは織斑一夏、そしてセシリア・オルコット。この二人の口喧嘩に織斑一夏から推薦されていたからという理由で無理矢理巻き込まれたに過ぎません」

「襲われたのはあくまで結果ではないのですか?」

 

 ラウラのその言葉に十蔵は「確かに」と答える。

 

「ですが、織斑先生が桂木君を無理矢理参加させたことで、桂木君は織斑先生に敵意を持つようになりました。簡単に持ち始めた気がしますが、その理由もわかっています。しかしそれは総じての方がいいでしょう。そして次のイベントであるクラス対抗戦。彼は救援が来ない状態で単独で戦いました」

「……それはおかしくありませんか?」

 

 ふと、ラウラが言葉を切る。

 

「何がでしょう?」

「学園には戦闘部隊がいると聞いています。桂木は男と言えど学園の生徒。部隊は救援に行くはず―――」

「彼はね。ただ「男」という理由で見捨てられたのです」

「———!?」

 

 ラウラは信じられないと言わんばかりの顔をする。ラウラ自身、周りを見下してはいるが国民が助けを求めているのならば性別に関係なく助ける。そしてそれが彼女にとって当たり前だった。

 

「幸い、彼が対応できる武装の準備が私の会社にあったのでそれでなんとか乗り切りましたが、もしなければ間違いなく彼は死んでいたでしょう」

「……指揮官は誰だったのですか?」

「織斑千冬ですよ。彼女は現在、有事の際の指揮官をすることになっています」

 

 そうなったのは千冬が世界覇者であり、女にとって崇拝するべき存在として扱われているからである。それが例え引退後であってもだ。その役はいくつもの修羅場を乗り切ってきた十蔵でもいいのだが、今の女性は男は所詮自分たちに金を貢ぐ奴隷としか思っていないため、言うことを聞かない可能性がある。もっとも、彼女たちが十蔵と生身で戦ったところで1分持てばいいレベルなのだが、ISがある以上同条件で戦うわけがない。

 

「では、あの人は桂木が一人で戦っていることには………」

「その時に偶然にも周囲に電波障害があったようで、彼女がいた管制室には情報が届いていなかったようです。彼女自身、後から桂木君が単独で戦っていたことを知ったみたいですし」

 

 そう言われてラウラはふと思い出したことがある。

 彼女がまだドイツにいた頃、上官の女尊男卑思考の女が悠夜が専用機を受領したと聞いたらしく毒づいていた。

 

「確か桂木は、本来ならば専用機を受領しない予定だったんですよね?」

「ええ。おそらく彼が強制的に試合に出されていたとしてもまともな成績を残せず、訓練機すら防衛手段の機体として支給される予定もありませんでした。確かに私は彼の身内を知っていますが、実力を見ずにコネで専用機を―――ましてや大金がかかるIS開発などさせません。彼自身、何よりもそれを嫌っていますからね。ですが、彼には裏打ちされた実力があり、クラス対抗戦の裏で周りを助けるために我々の製品で見事に敵を倒した」

 

 するとカーテンが閉まり、プロジェクターが起動する。あらかじめ打ち合わせでもされていたのだろうか、菊代がパソコンを操作して画面に映像を出す。

 それは打鉄を装備した悠夜が無人機との戦闘をしているシーンだった。

 

「これは……本当に桂木なのですか?」

「あの特徴的な眼鏡をかけているでしょう?」

 

 ———言われてみれば

 

 ラウラは瓶の底のような眼鏡が悠夜にかけられているのを何度も見たことがある。こんなものをかけているのは学園中探しても悠夜ぐらいなものだろう。

 だがその戦闘はラウラの想像を超えるほど見るに堪えないものだった。防戦だからということもあるが、どこか手加減しているとも感じれる。それは「強者としての余裕」というよりも「攻撃をすることを怖がっている」という風だ。

 

(……それが一体、あそこまで戦えるようになる?)

 

 ラウラは悠夜と一戦交えたことを思い出したが、あの時ラウラは「中々やる」という印象を持っていた。

 だが映像の悠夜はそうでもないどころか、一夏よりも劣る印象を持ってしまう。

 

「では、次の映像を見せましょうか」

 

 次に映し出されたのは同じ場所だったが、途端に悠夜はそこから離脱する。「逃げ出した」と思ったラウラだが、すぐにその答えが違うことを理解する。

 今度は動きが変わり、早くなった機体を平然と乗りこなすだけでなく、容赦なく敵を倒す。

 

「一体どういうことだ!?」

 

 普通ならばそんなことなどありえない。

 ISもそうだが乗り物を乗り換えた場合、大抵は性能の違いに驚き、操作に戸惑ってしまうものだ。だが悠夜はなんでもない風に戦闘を行い、容赦なく敵を嬲った。一部、焦るシーンもあったがそれが演技だということも知らされる。

 

「随分と違うでしょう? 彼曰く、あれくらいは当たり前だそうですよ」

「……当たり前?」

「彼の世代で言えば、戦時中換装なんてアニメの主人公がしていることですから。ともかく、これだけ動けるならば用意しても問題ない。そう判断して「轡木ラボ」から専用機を用意させました」

 

 その言葉にラウラは納得してしまう。

 それほど悠夜の動きは変わっていて、もしその敵機が自分であったならば対応できないだろうと思うほどだったからである。

 

「それから彼は、事あるごとに大きなイベントの裏で鎮圧作業を行っています。あなたが襲った更識君のことといい、レーゲンの暴走といい、昨日のことなど、あなたはまだ覚えているでしょう?」

 

 ラウラは俯き、小さく頷く。

 

「それに、あなたは今頃殺されるか、もしくはドイツへ無理矢理戻され二度と表舞台に立つことなく使われなくなれば処分されるかのどちらだったでしょう。いや、下手すればあなたは月曜日の時点で悠夜君の手で殺されていたかもしれない。だが彼はあなたを助けることを選び、暮桜となったシュヴァルツェア・レーゲンからISコアとあなたを救いました。それに昨日、襲撃者からもあなたを守った。それでもまだ、あなたは「織斑千冬」を選ぶのですか?」

「………私は……」

 

 現実を突きつけられ、彼女は次第に涙を浮かび始める。

 いつの間にかラウラの目から涙が流れ始めていたが、彼女は気付かずにある質問をした。

 

「……最後に聞きたいことがあります」

「何でしょう?」

「私は彼に助けられ、ある夢を見ました。桂木悠夜がバイクに乗り、銃を持つ人間や警察に追われる夢を……」

 

 十蔵は一度驚いたが、やがてゆっくりとその答えを教えた。

 

「……そうですか」

 

 そう答えたラウラは持って来た鞄を取り、礼を言ってそこから退散する。

 

(……私は、恩返ししたい)

 

 そう思いながらラウラは自分の鞄の紐を強く握る。それはおそらく彼女の耳には十蔵の言葉が強く残っているからだろう。

 

 

 

 

 ———彼はね、IS学園に来る前に女尊男卑の思考を持つ女たちに襲われていたんです。彼女らは自らの役職をすべて使い、彼を殺そうとしました。ある人はナイフを、ある人はどこかから手に入れた銃を、またある人は警察を動かし、罪をでっちあげて彼を逮捕しようと動いたのです




ここ最近、急に温度が下がってきましたね。みなさんも私みたいに体調を崩さないようにしましょう。まぁ、それでも私は色々としていましたけど。バイトとか。

次回予告? 道筋は決まっていますが上手くまとめられていないので休みです。嘘予告ですけどね。
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