二日目は昨日とは違って朝から夜までISの追加パッケージなどをテストすることになっている。
IS学園の訓練機は主に打鉄とラファール・リヴァイヴであるため、それらに関する会社から送られてくるパッケージのテストを行われるわけだが、どちらもシェアが2位と3位だからか、倉持技研並びにデュノア社以外からも送られてくる。まぁ、それに関しては別に珍しいことではない。
というのも現在ISは第三世代型ISの作成に着手していて、オルコットのブルー・ティアーズや凰の甲龍のように完成している国もあるが、日本のように完成していないところもある。それに完成していると言っても「ISとして動く」ぐらいの完成しているというだけで、キチンとした完成はまだまだだ。精々、轡木ラボを除けば完成していると言えば甲龍ぐらいなものだろう。ま、メタルシリーズである黒鋼と荒鋼は完成しているのは技術者が他国の奴らよりも一線を画しているのだが。親父の能力も恐ろしいが、その弟子も恐ろしい。……ただし可愛いが。
———閑話休題
脱線した話を戻すと、未だ各国は第三世代型ISを完成させていない段階にある。つまりそれは「第二世代型ISが主流である」という意味になる。まぁ、第二世代型でもないよりマシってことだろう。親父にもぶたれたことがない子供が主人公の話に例えると、最初に主人公が乗っているのが第一世代だとして、次に乗ったなんとかディアスとやらが第二世代。そしてライバルが逆襲する話で乗っているのは第三世代型という事になる。ということは声が織斑に似ている気がする奴が主人公の機体は机上の空論となっている「第四世代型」ということになるのか。すげぇな。その時点で相手のビットとか奪えるんだぜ。………何それ怖い。特に黒鋼は全射撃武装はビットと同じように扱えることができるから相性が悪い。
(とまぁ、わけがわからない例えとかは置いといて……)
深く追求したら色々と間違えている気がするので現実逃避をする形で現実に戻る。
「………兄様、これを戦闘中に射出するのですか?」
「まぁ、そうなるな」
朝のHRならぬ青空HRを俺たち轡木ラボ所属の俺こと桂木悠夜、更識簪、ラウラ・ボーデヴィッヒは簡易カタパルトに準備されている戦闘機を見ていた。そう。黒鋼の専用となりつつある追加パッケージの三種だ。
これからこれらを使用してのデータを取る。そのため、周りには破片回収用の網を張り巡らせておいて、現在に至る。
「兄様、以前からお聞きしたかったのですが、戦闘中に換装なんてのは自殺行為なのでは? エネルギーはスト○イクのように回復するかもしれませんが、あのシーンもギリギリだったはずですが―――」
「そのギリギリ感を味わいたいってのもあるが、一番は幅広い攻撃範囲だな。同時に
特に「ディザスター」なんてまさしく雑兵殺しだろう。
そもそもの話なんだが、この三種の換装パッケージが準備された理由は「これから起こるであろう襲撃」に備えての準備でもあると思う。大会でのデータ収集ならば、黒鋼単体でも十分に行えるし、朱音ちゃん曰く「性能的に学園の行事で使うのは難しい」らしい。相手にしてみれば素でも強い黒鋼がさらなる破壊力を持って現れるのだから当然と言えば当然だろう。
「に、兄様がそこまで言うのでしたら………」
「俺としては戦艦とかが欲しいんだがな」
「……いずれ朱音が、アークエンジ○ルとかラー・カ○ラムとかを作ってくれるから、それまで待とう?」
「朱音ちゃんの技術は世界一ィイイイイイ!!」ってことだな。俺たちにとってはまさしく神である。
とりあえず話しているだけでデータ取れないなんて事態になったら洒落にならない。俺は黒鋼を展開し、簡易カタパルトに脚部装甲を接続した。
「桂木悠夜、出るぞ!」
同時に黒鋼を発進させ、空中へと出る。
そしてラウラに合図を出すと、ラウラは早速近接パッケージ「シュヴェルト」を射出した。流石はラウラ。わかっている。
それを早速装備した俺はツインロングソード《ツヴァイファング》を抜く。この剣は二本の名称がそれであり、握りを接続してどこぞの主人公機みたいなことができるわけだ。さらにこの「シュヴェルト」にはもう一つ剣があり、そちらは「アスカロン」という銘である。………もしかして、朱音ちゃんが捕らえられた時にこれを使って助けてほしいということだろうか?
(………ない話ではないってところが怖いよな)
ISの製作者が行方不明のため、おそらく一番の開発者なのは朱音ちゃんだ。十蔵さんも俺のために敵を作っているから誘拐される可能性は余計に高いため、気を付けなければならないだろう。
(………いや、ないな)
十蔵さんが生きている限りそれはないな。ただでさえ化け物クラスだと思える人間なのだから、下手に手を出すことはできない。あの人が本気でキレた場合、おそらく生身で手を付けられる人間なんていないだろう。いたとしたら、あのババアぐらいか? 止めるどころか喜んで参加しそうなんだが。
『兄様、これよりドローンを出します』
「ああ。やってくれ」
そのドローンも人型のドローンで、撃つ・移動するの二つのことしかできないみたいだが、それでも十分に相手になる………わけがなかった。
いわば雑魚兵と言えるもので、容赦なくぶった切って破壊していく。
(………遺伝子改造された軍のエースパイロットみたいだな)
そんなことを思いながらドローンをすべて切っていくと、ラウラが通信機越しに言った。
『兄様、少しやり過ぎなのでは……?』
「………実のところ、少しは思っていた」
海に落ちたドローンの破片を回収するためにそのまま接水。ハイパーセンサーを使って網の外に落ちている破片を探索する。
(広範囲に設置しておいて良かったな)
まぁ、元々ドローンは網に落ちるように作られているから簡単なんだが。
網を張っているポールを新たに装備されたワイヤーアンカーに接続して戻ってくると、何やら訓練機チームの方が騒がしかった。ちょうど高機動パッケージ「ロンディーネ」のテストをしていた簪も戻ってきたので、ラウラと三人でそっちの方を覗いてみると、織斑先生が見知らぬ女性の頭部を握り潰して破壊しようとした。だが、その女性は何事もなかったかのように離脱し、篠ノ之の方へと向かう。
「やあ!」
「………どうも」
「えへへ、久しぶりだね。こうして会うのは何年ぶりかなぁ? おっきくなったね、箒ちゃん。特におっぱいが」
果たしてどこに持っていたのか、刀の鞘でその女性を殴る。よ、容赦ねぇ。
「殴りますよ」
「な、殴ってから言ったぁ……。し、しかも日本刀の鞘でたたいた! ひどい! 箒ちゃん酷い!」
しかし妙にテンションが高いなぁ。普通殴られたらその場で悶絶するだろうに。……というか何で頭にうさ耳が生えているのだろうか? どこかの異世界からの来訪者なのだろうか?
考えていると山田先生がその女性へと近づいていく。
「え、えっと、この合宿では関係者以外は立ち入り禁止なんですが……」
「ん? 珍妙奇天烈なことを言うね。ISの関係者と言うのなら、一番はこの私をおいてほかにいないよ」
「えっ、あっ、はいっ。そ、そうですね……」
どう考えてもIS学園の関係者ではないから立ち入りは禁じられているはずなんだがな。というか山田先生、そう簡単に轟沈するから生徒に舐められるんだっていい加減に気づいた方がいいですよ。
すると織斑先生がその謎の女性に近づいた。
「おい束。自己紹介くらいしろ。うちの生徒たちが困っている」
「えー、めんどうくさいなぁ。私が天才の篠ノ之束さんだよ、はろー。終わり」
すると周りの生徒が騒ぎ出す。
「あ、あれが篠ノ之束……」
「希代の天才……」
どうやらラウラも簪も驚いたようだが、天才だろうが凡才だろうが不法侵入者であることは代わりないだろう。
織斑先生は先程の自己紹介に不満を持っているが、その女性はあっけらかんに接して怒らせていた。
「え、えっと、あの、こういう場合はどうしたら……」
「ああ、こいつは無視して構わない。山田先生は各般のサポートをお願いします」
「わ、わかりました」
ということなのであの女のことは放置でいいや。正直な話、どうでもいいし。
だが二人にとってはそうではないようです。
(しょうがない。「
本当は止めた方がいいかもしれないが、天才の行動は気になるものだろう。俺が興味がないのは、ISの技術力に落胆してから黒鋼をもらったからである。
(ちょっと寂しいけどな)
ホント俺ってわがままだよな。
内心ため息を吐きながら元いた浜辺に来ると、もう一度黒鋼を展開しようとしたところで砂浜が揺れた。その震源と思われる場所を見ると、さっきの所にはなかったはずの銀色の塊があった。
するとどういう仕組みになっているのか、二面なくなって菱形の塊からなにやら赤い機体が現れる。
「ぱんぱかぱーん! これぞ箒ちゃん専用機こと『
(な、何だと!?)
冗談だと思ってはいるが、気になった俺は周りに気付かれないようにその機体を見てしまった。
「さあ! 箒ちゃん、今からフィッティングとパーソナライズを始めようか! 私が補佐するからすぐに終わるよ」
「……それでは、頼みます」
「固いよ~。実の姉妹なんだし、こうもっとキャッチー呼び方で―――」
「早く、始めましょう」
そもそも篠ノ之はおっぱいに反して頭が固いんだがな。諦めたのか、変な女はリモコンを押して前面装甲が開く。それに搭乗した篠ノ之を見て、篠ノ之の姉とやらは何やらテンション高めで作業を開始した。投影されたキーボードを6枚呼び出して作業する姿はかなりすごい。
わかりやすくまとめると、その機体はあらかじめ篠ノ之のデータを入れられていて、近接戦闘を基礎にした万能型に調整しているらしい。しかも自立支援装備も付いている、とか。
(………問題は、篠ノ之が上手く扱えるかだよな?)
さっきあの人は「全スペックが現行ISを上回るIS」と言っていたが、それはつまり機動力すら黒鋼と荒鋼を超えるということになる。それを篠ノ之が扱えなければただの宝の持ち腐れというものだ。
(ま、関係ないか)
そもそも篠ノ之が死のうが消えようが生かされて知らない男たちの慰み者になろうが知ったことではない。力を持ってしまったのならばそれ相応の責任を果たせばいいのだから。
篠ノ之の筋肉の付き方がどうとか変な人が言っているのを聞きながら考えていると、別の方から良くない声が聞こえてきた。
「あの専用機って、篠ノ之さんがもらえるの……? 身内ってだけで…」
「だよねぇ。なんかずるいよねぇ」
仮にもここは専用機を―――ひいては国家代表を目指して切磋琢磨する学校だ。周りは常に「専用機持ち」を夢見て戦っている。今まで持っていなかった篠ノ之がポンッと渡されることに対して不満を持つことは納得できる。
「おやおや、歴史の勉強をしたことがないのかな? 有史以来、世界が平等であったことなど一度もないよ」
だがこの人が本当に天才なのかは疑問に持ち始めた。いや、むしろ「周りが付いていけないから」天才なのかもしれない。
そろそろ二人に声をかけて作業に戻ろうとすると、何やら背中に柔らかい物が当たった。
「ねぇねぇゆうやん」
「……ほかに振り向かせる方法は思いつかなかったのか?」
正直に答えよう。ごちそうさまです。
後ろから抱き着いてきた本音にそう言ってから引きはがそうとすると、何故か作業をしているはずの生徒たちが全員こっちに来ていた。
「何をやってんだお前ら。ここは企業関係者の区域だから一般生徒は立ち入り禁止になっているぞ」
「えっとね。実はゆうやんにお願いがあって~。しののんが専用機持ちになることに対して理解をさせてほしいの~」
見るとさっき変な人に指摘された奴らや普段から俺のことを敵視している奴らも混じっている。教師たちは仕事を放棄しているらしい。……いやいや先生方、諦めずに頑張って説得をしてくださいよ。
まぁ、なんとなく察しがつくけどさ。どうせ本音が篠ノ之が専用機を持つのを庇ったんだろうよ。こいつは裏の人間だからその辺りの理解はあるし。
「………別にいいが、アンタらの期待通りに行くかわからないぞ」
「構わないわ。さっさとしなさい」
何で命令口調なのかはこの際放置でいいや。
俺は親父作の空中投影ディスプレイを持ってきていた個人のノートパソコンに接続し、文書作成ソフトを出してそこに「篠ノ之」と書かれた図を出す。
「さてまずお前らに問う。ロボットアニメを見て友人と語ったことがある、もしくは語りたかったが諸々の事情で語れなかったという奴はいるか?」
すると本音が、そして後ろでは簪が挙手をした。あと、意外にも鷹月が手を挙げた。
「……弟が、そういうのが好きだから……」
「なるほどな。まぁ、別に恥じゃない。むしろ俺はこの少なさに驚いている」
中には恥ずかしくて手を挙げられなかった奴がいるかもしれないが。
ちなみにこの話を聞いているのは男を嫌悪している奴と専用機持ち(俺と簪は除く)以外の奴らと教師だ。嫌悪している奴らの中でも話を聞いている奴もいるから意外だが。というか教師の姿がいない気がするが、近くにいないだけだろう。
「地域にもよるが、これを見る限り大半の女はやはり「ロボットアニメ」には興味を持たない。だが男は違う。確かに成長するにつれて「ガ○ダム? ああ、あんなのの何が面白いの? というかアニメ自体興味ないし」とか言う奴も中にはいるが、それでも憧れる奴はたくさんいる。だがそれと同類と言えるISは男には扱えないときた」
「あんなダサいのと一緒にしないで」
「今は発言は控えてもらおう。つまり男にとって夢は壊されたに等しいとも言える現状になった。さらに追撃と言う形で「女性優遇制度」を設けられ、男の地位も下がっているんだ。中には「男」という形でリストラされたりすると聞く。だが、開発者はいない―――ならばその身内を狙ったとしても行動としてはおかしくはないだろう。さっきあの女が言った通り、「有史以来、世界が平等があったことなんてない」からな。兄弟姉妹の間で格差が起こっても不思議ではない」
図形を作成してはわかりやすく表示しながら説明していると、観客の中から悪い声が聞こえた。
「ふん。短絡的な思考ね。これだから男ってのは―――」
「では、この世界の現状を反転させてみようか」
どうやらさっき口を挟んだ奴とは別の女に対してそう答えた俺はエンターキーを押して次のページに移動し、そこで「IS」と書かれた図を真ん中に出す。
「仮にISが男にしか扱えないものだとしよう。ISを取り入れた政府は「男性優遇制度」を作るのは明白。その世界にとって女は男の子孫を残すだけの価値しかないものでしかない。そうなれば、女は奴隷同然となり、金を持つものは何人もの女を囲い、たくさんの子供を産ませる。というかその程度の家畜としか見られないだろうねぇ」
「「「は?」」」
今の世界を普通に逆転させてみると、当然と言うべきかほぼ全員から反感を買った。まぁ、本音とかは俺の顔を見てから焦っていたが。
「ふざけないでよ! 何で私たちが男たちに買われなきゃならないのよ!」
「そうよ! 頭逝ってんじゃないの!?」
「死になさいゴミ虫が!!」
すげぇ罵倒だなぁ。しかも言葉が過ぎたのか、普段は大人しい奴らも口々に言ってくる。だけど俺は予想通りだったこともあってその罵倒に対して普通に答えた。
「別におかしいことじゃないだろ。お前ら女だって男のことを下に見ているし、所詮お金を稼ぐ程度のことしかできないとか思っているのが大半だ。それに所詮は「あくまで」って話だ。そうカリカリするなよ。ISがあるんだから早々世界が逆転することはないだろ」
まぁ、現状を考えればそうなったら男たちは容赦なくISを持ち出して殺すか生け捕りにしてヤってしまうのは否定できないんだけどね。そうなったら俺も主にIS学園に対して襲撃してきた男たち相手に牙を向く。
「さて、話を戻すが―――男にとってISは忌み嫌うものになったと言っても過言ではない。当然ながら身内である篠ノ之を狙われる可能性があるから、別に篠ノ之が防衛手段としてISを持つことに関しては仕方がない部分もある。あの態度を取っていることを見ればあの人が篠ノ之に対して好意を持っているのは明白で、人質としても女としても使い道は十分にあるからな。一般心理的に考えれば大切な人を人質に取られたら人質の安否を気に掛けるのが普通だし」
「……でも、篠ノ之さんは剣道の全国大会で優勝しているよ? 早々負けないと思うけど」
相川がそう言ってきたので論破する。
「確かに対面でならば篠ノ之にだって勝機はあるさ。でも襲撃者が対面で来るとは限らない。狙撃銃や罠を使う可能性もあるし、やりようによっては対面でも篠ノ之に勝つ方法はあるからな。それほど「篠ノ之箒」には様々な利用価値があるわけだ」
正直な話、今まで篠ノ之が生きて来れたのは運が良かったのかもしれないな。
周りは納得したようで口々に意見を交換をし始めるが、そろそろ作業に戻った方が良いだろ。
「さて、話は終わりだ。では各自作業に戻れ。これ以上は織斑先生が出張るかもしれないぞ」
しかし珍しいな。あの織斑先生が勝手な行動をしている。生徒たちを叱らないのは。
そう思って後ろを見ると、篠ノ之束がこっちを見ていた。
(……? 後ろに何かあるのか?)
そう思って俺は後ろを見るが、そこには誰も、そして何もない。
「———おい」
結局何だったのだろうと思いながら視線を戻すと、一瞬で変な人がこっちに距離を詰めた。
「お前、IS見せろ」
そんなことを言ってきたが、答えは当然ながら「No」だ。確か記憶によればこの人がISコアを開発したらしいが、だからと言って見ず知らずである彼女に情報を売る気はない。あと死にたくない。
「お断りです」
「お前に断る権利なんてないんだよ。とっとと見せろ」
「いや、あのね―――」
理由を説明しようとした瞬間、俺の腹部に衝撃が走った。
■■■
「兄様!」
ラウラはすぐにナイフを抜こうとするが、それを千冬が防ぐ。
「いい加減にしろ、束」
「えー。でもこいつを回収するために来たわけだしぃ」
おどけながら言うと千冬は睨んで再び警告を発する。
「……束」
「……はぁあ。わかったよ、ちーちゃん」
そう言って持っていた悠夜を離す篠ノ之束。簪、ラウラ、そして本音は悠夜の元へと駆けようとするが―――それよりも早く束が体勢を崩された。
「「なっ!?」」
そのことに千冬も、そして束本人も驚きを隠せないでいる。何故なら束の戦闘スペックは千冬と同等であり、悠夜の様な一般人が倒せるような相手ではないからだ。
「………なるほど。流石は姉妹だ。それで妹は恋愛に興じようと言うのだから笑えるな」
束の髪を掴んで立ち上がった悠夜は束を無視―――かと思いきや顔だけを向けて侮笑を浮かべる。
「何で黒鋼を欲しがるか知らないけど、正直ウザいんだよね。大体IS作れるんだったら自分で作れっての―――それとも、俺と言うサンプルを解剖しないと男が動かせる理由がわからないわけ? 天才なのに?」
明らかに意味が崩壊しているが、千冬の静止を無視して悠夜に仕掛ける。それを見たラウラは悠夜を庇おうと走るが、それを止めたのは簪だった。
「何をする―――」
「大丈夫だから」
すると簪の言う通り、悠夜は束の攻撃を紙一重でかわして束の胸を掴んだ。
「いい加減にしろ、馬鹿者共!!」
千冬は二人に制裁を下すが、悠夜はすぐに胸から手を離すも千冬の鉄拳を受けた。
「いったーい!」
「おぉ、痛い痛い。アンタさぁ、同類なんだからさっさとこのアホ追い出してよ」
「黙れ凡人。束さんはアホじゃない」
「IS関係者とIS学園者の違いすらわからない大人とかただのアホでしょ? というか天才ならば凡人の言葉を予見して理解すれば? あぁ、できないから「自称」天才なのか」
大人だろうが天才だろうが悠夜は容赦なく侮辱する。その様子に専用機持ちも含め、全員がポカンと悠夜を見ていた。ただ一人、簪だけを除いて。
そんな時、山田先生が慌てて騒ぎの中心にいる織斑先生のいる場所へと入り、織斑先生に耳打ちして状況を説明した。