ストーリー展開が原作に追い付かない程度の緩い気分で投稿しようと思いますので、不定期になるのは確定です。すまない……。
細かい設定まで把握していない(そうでなくても把握していない)個所があるかもしれませんが、やんわりと指摘して戴けたら嬉しいです。最近、なんか豆腐メンタルなんですよね……。
01
○月×日
今日から、日記をつけようと思う。
自分に起きている出来事を振り返るという意味でも、活字を書くのは大事だしね。
そもそもなんでこんな突拍子もないことをやり出したかと言うと、それは全部今置かれている状況が悪い。
気が付いたら、雪山のただ中にいました。
雪は降っておらず視界は良好だがクッソ寒い。やばいですね☆
どうしてこうなった?どうしてこうなった!
混乱しつつも、自分の状況を振り返る。
手持ちのリュックにはペンとメモ用紙、他にも食料もあるけど、それ以外に良く分からないものも入っていた。
校章だったり、マフラーだったり、小刀だったりと、統一性の感じられないそれらは、何故かどれも質量に対して羽のように軽い。
気のせいか、このバッグも四次元ポケットよろしく見た目以上に物が入っているようにも感じられる。
取り敢えず、マフラーとかの防寒具になりそうなものは速攻で着用。
すると、それだけで快適な温度にまで落ち着いた。
謎が謎を呼ぶマフラー達だが、とても有り難い。
寒さ問題は解決したが、ここからどこへ行けばいいのやら。
食料もどれぐらいリュックにあるか分からないし、あまり悠長には構えていられない。
というわけで、取り敢えずひたすらに歩いていたら、山頂付近に建物らしき影が視界に入った。
ほとんど偶然の産物のようなものだけど、目的地が見えただけでも良かった。
眼下は地上の一切見えないぐらいに山ばかりで、降りるにしても希望が見えない状況だったので、正直助かった。
まぁ、そんな山奥にある建物とか怪しいなんてレベルじゃないけど、藁にもすがるしか出来ないわけで。行くしかないべさ。
○月△日
なんとなく、休憩がてらにリュックの中身を漁ってみた。
冷静になってみると、この謎マフラーしかり、もっと便利な道具が入っていても不思議じゃないなーって今更ながら思ったからね。
という訳で、リュックに入っているもので有用そうなものを漁ってみることにした。
結果――不審者になりました。
如何にも業物な刀を腰に帯刀し、真っ黒なコートを身に纏い、薄い素材の黒いグローブを嵌め、真っ赤なマフラーで口元を覆うように隠した結果が、今の自分です。
客観的に見れば、間違いなく通報されても文句言えないレベルで危ない人だったよ。
父親寄りの目つきの悪さも相まって、知らない人からすれば怯えられても不思議じゃないわこれ。
でも、なんかこれを付けていると何故か凄い力が沸くんだよね。やっぱり不思議道具じゃないか!
そんな理由で、いつ体力が切れてゲームオーバー、なんて結果を避ける為にも、この格好を続けることに決定したのであった。
それにしても、なんか見たことある物も中に入ってた気がするけど、何だっけ。思い出せん。
○月@日
やっと、人に遭えました。女の子です。
名前は菅野理子ちゃん。何でも、この先にある『人理継続保障機関』なる場所に向かっている最中らしい。
恐らく、それこそが自分の向かおうとしていた建物なのだろう。
明るく元気な子で、何でもマスター候補として選ばれたとかなんとか言っていた。マスターってなんぞや。
自分とは違い、遊びの一切無い防寒着フル装備な彼女だが、そんな彼女は何処からどう見てもこんな僻地に居て良さそうな人物ではなかった。
悪く聞こえるかもしれないが、彼女はひと目見ただけで平凡だと分かる容姿をしていた。
美醜に対しての比喩ではなく、雰囲気がそう語っていたのだ。ていうか、見た目はめっちゃ可愛いっす。
それこそ、彼女自身何故この場に居るのかが分かっていないような。この過酷な環境下で彼女の地に足のつかない、朗らかで明るい少女然とした在り方は、誰が見ても
だが、元々喋るタイプじゃない自分は、そんな理子ちゃんの人懐っこさに救われたとも言える。
何せ、久しぶりに人間を見つけたとはいえ、自分よりも年下の女の子にどう接してよいかなんて分からなかったし。
彼女の方から色々聞いてくれたものだから、それに答える流れになってくれたのは僥倖だった。
それにしても、この子もよく自分相手に話しかけてきたなと思う。
流石に理子ちゃんの姿を背後から発見した時は、咄嗟に刀は四次元リュックに仕舞ったけど、それを差し引いて尚、見た目不審者なのだから、そう思うのは自然だ。
それに、自分は父親の教育の影響で、強い我を常に出せるような男に育てられているということも大きい。
簡単に言えば『俺は凄いんだぞオーラ』を常に出して、相手に嘗められないようにする、威圧感を出せるようになる技術だ。
そんな一般生活において使い所のな技術を身に着けているのかというと、自分が――というよりも、家族の男共が結構危険な目にあったりする仕事をしているせいだ。
危険とは言ったが、マフィア的なものではなく単なる『何でも屋』に過ぎない。
猫探しから用心棒まで何でもござれな、やれることは何でもやると言わんばかりの幅広さで仕事を受け入れている。
しかし、その幅広さゆえに、日常生活を送っていたら会えないであろう危ない人ともお近づきになったりもしちゃうんだよね。
当然、自分としては不本意極まりないが、不幸な星の下に生まれたのか、割と頻繁に遭遇しちゃうのよね。
……多分、恐らく、ほぼ確実に。馬鹿兄貴がやらかしているせいなのが半分は関係しているだろうが、それを追及したところでどうにかなるでもなし。
実力行使なんてしようものなら返り討ちになるし、ロクなことがないので結局降りかかる火の粉を払う方が楽なんだよね。
まぁ、本当にヤバかったら母さんが怒って止めてくれるので、最悪な事態にはならないんだけどさ。
本当、うちの男共のヒエラルキーの低さと言ったら。我が家最強(物理)の親父ですら怒った母さんには逆らえないしね。
そんな一般人からすれば危ないことをしていると言うこともあって、友人と呼べる人は少なく、数少ない友人も時間の流れで疎遠になっていき、成人してからは何でも屋が本格化してきたので友人との連絡さえ取っていない。
でも、理子ちゃんはそんな自分にも平然と話しかけ、笑顔を振りまいてくれる。
あぁ^~心がキュンキュンするんじゃ~。
そう言えば、ここに来る少し前に漸く「合言葉」の仕事に参加させてくれるみたいなこと言ってたけど、一体何だったんだろう。
冷静に考えなくてもロクなことじゃないから、知らなくて正解だったんだろうけどさ。
追記:ここに来て初めての二人ご飯はとても美味しかったです。
○月◇日
人理継続保障機関に着きました。
何か自分は登録されていないから入れないみたいなことを言われたんだけど、何やかんやで特例として招待された。やったぜ。
人理継続保障機関――カルデアとやらは、雪山なんかにあるとは思えないほどの規模の施設で、何でこんな辺鄙な場所にあるんだと考えていたら、理子ちゃんがいきなり倒れた。
驚き戸惑っていると、マシュという眼鏡少女が現れて、介抱に協力してくれた。
あと、フォウってふさふさな動物もいたね。なんかめたくそ警戒されてたけど、昔から動物に懐かれないので、今更気にしないけど。……寂しくなんか、ないもん!!!!!
そんな感じでマシュちゃんとフォウと交流していると、緑の帽子とスーツを着た笑顔が胡散臭いレフ・ライノールって男が現れた。
レフと理子ちゃんの会話を聞いている限り、理子ちゃんのマスター候補というのは数合わせとしての意味合いが強いものらしいことが判明。
よくわかんないけど、数合わせだろうが選ばれた人に変わりはないだろうし、そこの所はフォローしておいた。
そして、予想通りというかレフの自分に対する質問。
これは、自分が記憶喪失だと嘯いておくことで話を逸らした。
真面目な話、ここは自分の知らない世界だと言うことは、何となく分かっている。
いや、あの男共なら、平然と雪山に放置とかするだろう。ていうか、過去に北極に置き去りにされたことあったわ。
正直、ペンギンさんやアザラシさん達とお友達になれなかったら死んでたと思う。
人間、死ぬ気で頑張れば動物の言葉もなんとなく分かるんやなって。
そんな過去を思い出してノスタルジックな気持ちにさせられている中、状況はあれよあれよと動く。
所長?とかいう人の説明会があるとかで、中央管制室とやらに向かう。
部外者な自分もいいのか?と思ったけど、マシュちゃんと一緒に隅にいるならいいと許可してくれた。
レフも来るらしいけど、いらないです。帰って、どうぞ。
○月□日
……あまりにも突拍子もないことの連続で、書く余裕がなかった。
簡潔に説明すると、説明の途中で寝てしまった理子ちゃんが、オルガマリー所長なる人物によってファーストミッションから外されたので、それに追従する形で自分も退室。魔術とか何やら、興味深い話してたけど、理子ちゃんのが心配だしね。
ぶっちゃけ、あんな過酷な環境でようやく到着したか弱い女の子にする扱いではないよ、マジで。
んで、理子ちゃんと共に部屋に向かったら、ロマニ・アーキマンなるいい加減そうな男とバッティング。
そこで適当な談笑をしていると、ロマニがレフに呼ばれるも、少しだけサボろうとロマニがそれっぽい言い訳をしている間に停電が発生。
何か非常事態らしく、モニターの向こう側は大惨事と化していた。
しかもモニターの向こうは管制室らしく、そこにはマシュちゃんがいるとのことで、ロマニの避難指示を無視して、理子ちゃんと共に向かうことになった。
いや、自分としては避難したかったよ?だけど、流石に乗り気な理子ちゃんがいる手前、男の自分だけ逃げるとか、流石にないですわ。
それと、咄嗟の判断で刀は持っていった。こういう危機に対してのセンサーは敏感になるよう、嫌でも鍛えられたし。
――だからこそ、自分達が管制室に向かうことが愚行であることも、分かりきっていたのに。何故、理子ちゃんを止めなかったんだろう。
そうして辿り着いた先で、崩壊した壁面に潰された瀕死のマシュちゃんを見つけ、気付いた時にはカルデアスが核融合炉の如く朱く染め上がり、隔壁は封鎖。
脱出も絶望的で、どうしようもないと絶望していた二人を、一抹の希望に賭けてどうにか護ろうとカルデアスを背にして壁役に徹する。
動けないマシュちゃんを中心に、理子ちゃんを抱き締める形でどうにか頑張ってみたけど、何の慰めにだってならない。
万が一にも理子ちゃんは救えたとして、マシュちゃんは助からないって確信していたから。
瓦礫の下敷きになった人間を解放すると、圧迫されていた箇所に血液が一気に流れ込むことで心不全を起こしてしまう為、この施設を破壊出来る規模の爆発が起こってしまえば、瓦礫なんて簡単に壊されてしまい――その時点でアウトだ。
それでも諦めることが出来なかったのは――多分、ただのカッコつけなんだと思う。
秒読みで訪れる死を前に、二人の目は絶望と諦観に染まっていた。
どうにかして、その目の色を変えたくて。だけど、現実ではそんなこと出来ないって分かっていたから、せめて無力な木偶の坊なりに、格好良く護って死んだっていう免罪符が、自己満足が欲しかったんだと思う。
だって、そうだろう?こんな結末、誰だって納得できる筈がない。
だからこそ、せめて僅かな選択肢から手繰り寄せられる納得が欲しかった。我ながら、情けない奴だ。
そんなだから、つい最近まで親父に認められなかったんだろう。
アラームが鳴り止まない中、突如理子ちゃんと自分の名前がアナウンスされ、マスターとして再設定とか言い出して、臨界点にまで達していたカルデアスが、遂に爆発して、そこで一度記憶は途切れている。
次に見た景色は――瓦礫と火で満たされた、地獄だった。
自分の良く知る現代の建物が、災害に見舞われたかのように倒壊し、絶望の音を立てている。
音の正体は、欠けた剣を握る骸骨の群れ。
不規則に奏でられる骨の擦り合う音と、瓦礫を踏み抜く音が、四方八方から聞こえてくる。
こうして日記を書いている今でも混乱している。生きている実感も沸いていない。
ただ、自分の生存本能が告げた。このままでは殺される――と。
そこからは。ひたすらに我武者羅だった。
刀でどうにか一方向の骸骨だけでも退け、強行突破し、今は廃屋に身を隠している。
取り敢えず、今日は少しでも休まなければ。とは言え、寝るなんてことは出来そうにないけど。
○月α日
時間を置いたことで落ち着いてきたので、装備の再確認をする。
流石にマフラーは外してる。こんな火の海であんな熱い恰好してられんわ。
自然と力が沸いてくるおかげで、気持ちにも余裕が出来てきた。
取り敢えず、この廃屋の中を探索してみることにした。拠点にするにも、逃げ道だけでも把握しておかないことには始まらない。
廃屋と言っても、武家屋敷なのかとても丈夫で広々としており、物理的な衝撃が柱に及ばない限りは倒壊することはなさそうだ。
家探しをしている時に、仏さんと出逢わないことを祈りながら散策していると、不思議な石を見つけた。
虹色に光るそれは、どことなく自分が纏っている装備と同じ雰囲気を纏っている。
何か凄いものだろうと、取り敢えずポケットに入れておいた。
屋敷を出て敷地内も探していると、納屋を発見。中には、魔方陣のようなものが地面に刻まれており、ただの納屋の筈がどこか異界めいて見えた。
そして、自分はこの景色に既視感を感じた。
漸く、気付く。ここは、『Fate/stay night』に出てくる、衛宮家の納屋で、セイバーが召喚された場所じゃないか、と。
既視感の不連続が、今になって一つの仮定を導き出す。
今自分がいるのは、まさに『Fate/stay night』の世界なんじゃないか、と言うとんでもな仮定だ。
馬鹿馬鹿しい、と普段なら思える推測も、ここまでお膳立てされては否定すること自体が愚かだ。
と言うことは、ここは冬木ということになる。
だけど、この火の海はどういうことだ?
自分は原作ぐらいしか良く知らないけど、確かこんな状況が第四次聖杯戦争の末路だと言われていた気がする。
主人公がその災害に遭い、そこで衛宮切嗣に助けられたことが、主人公の人格形成の雛形となったということぐらいしか知らない。
取り敢えず、今日はここで散策を終えることにした。色々と考察したいことも出てきたし。
○月β日
今日、骸骨の群れが衛宮家に襲撃してきた。
奇跡的と言うべきか、魔術によるトラップが機能していたらしく、鳴子の鳴る音が襲撃者の存在を知らせてくれたのが幸いだった。
そうでなければ、自分は寝ている間に二度と目が覚めない状況に陥ってただろう。
しかし、それで状況が改善されたかと言えばそうでもなく、危機が迫っていることに変わりはない。
必死に戦って、必死に逃げる。やっていることはそれだけの、どこまでも見苦しい立ち回り。
それでも、死ななければいい。理不尽に死ぬのだけは、許容できない。
そして、自分はいつの間にか、納屋に追い詰められていた。まるで、導かれるように。
後ずさりで魔方陣を踏んだ瞬間、魔方陣とポケットの石が共鳴するように発光。
光に怯んだ骸骨を一閃し、一息吐いて振り返った先には――鎧を着た見覚えのある女の子が立っていた。
自分の知る彼女の凛々しいそれとは程遠い、開花したばかりの白百合のような甘い笑顔。
戦場であるこの場に不釣り合いな白無垢と、それを覆い隠す軽鎧の存在。そして――その手に携えた、黄金の剣。
その剣を、見間違う筈もない。
騎士王アルトリア・ペンドラゴンの原点にして、永劫の呪いを植え付ける楔。
しかし、今の彼女はそんな未来なんて露程も知らない、希望に満ちた目をしている。
何となく、分かってしまった。彼女は、選定の剣を抜いたばかりのアルトリア・ペンドラゴンなのだと。
そして自分は、そんな彼女をサーヴァントとして召喚してしまったのだと。
彼女――リリィは自分が戦うから下がってくれと、そう提案してくるが断った。
そもそも、こんな場所に安全な所なんてない。ならば、サーヴァントである彼女の傍にいた方がまだ安全であると、説明した。
騎士王ならば間違いなく拒否する提案だが、リリィは一考して、何を納得したのか、背中を預けるとまで言ってくれた。
嬉しいと思う反面、そんなことが自分に出来るのか?と思わずにはいられない。
それでも、彼女の傍にいることを提案した手前、そんな都合の良い逃げは許されない。
ならばやるしかないと、必死に戦った。
兎に角、斬る。決して深追いせず、必ず彼女の背中に立つように意識する。それだけをただ繰り返した。
ぶっちゃけ刀の使い方なんて知らないから、いつ折れるかと冷や冷やしたものだったけど、受けない限りはその心配はなさそうで、安心した。
こういう確認をしながら戦えたのも、ひとえにリリィが一緒に居てくれたおかげだ。
敵もいなくなったということだが、骸骨が暴れたせいで衛宮家も流石に限界を迎え、倒壊してしまった。
拠点を変えると共に、リリィに現状の把握を提案。情報を集めるべく行動する流れになった。
さて、次に日記を書けるのはいつになるだろうか……。
Q:主人公の名前は?
A:次ぐらいで分かるんじゃない?(鼻ホジ)
Q:菅野理子がぐだ子?
A:そうだよ。因みに作者のゲーム内での名前でもあるよ。
Q:人間なのに鯖と対抗できる骨を倒せる主人公。
A:この時点で勘違いされる爆弾投下しているんだよなぁ……。刀繋がりで龍殺しになる未来も有り得そうなんだ、すまない……。
Q:リリィが最初のサーヴァントな理由は?
A:今のところストーリーに一切絡んでなくて、扱いやすいキャラだったから。因みにこれのプロトタイプの話は、ステンノちゃんを召喚して何故かステンノちゃんが主人公に一目惚れしたけど、異性に対する愛情を発現したことがなかった彼女にはその感覚が理解できず、結果突き放す行動を取ってしまい、主人公が嫌われていると認識するタイプの勘違いものでした。あまりにも砂糖吐けそうな内容だったので、多分自分には書けないと断念した。