どうしてこうなった日記~ぐだぐだ人生録~   作:花極四季

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遅れてしまったお詫びよりも大事なことがあるんだ。









天草アアアアアアアア!!テメェはイラネェからアストルフォきゅんを出せよやあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )



05

×月△日

 

疲れた。それしか言えないわ、マジで。

ライダーことマルタに拉致られ、指導(物理)させられ、何かどう見ても馬鹿兄貴にしか見えないモノが出てきたりと、カオス極まりない日だった。

マルタと名乗ったライダーだが、ぶっちゃけ名前言われても分からんですよ。植物の方なら分かるけど。

それはいいとして、そんな彼女は聖女と名乗っておきながら超武闘派でした。杖なんて途中から補助具としてしか使ってないし、だからと言って魔力を打ち出すとかもしないしで、余計にマルタと言う聖女の存在に疑問を覚えていった。

いや、そうではない。きっと、それもこれも無理矢理狂化させられているせいなんだ。そうでなきゃあんな清楚美人な人がヤンキー口調で殴りかかってくる訳がない。ジャンヌ・オルタぜってぇ許さねえ!!

それと、馬鹿兄貴が使ってた赤い籠手と具足が手持ちに追加されました。いらねぇ。

強そうなのは分かるよ?でも、ぶっちゃけどうしろと?

剣持ちながら使えるような構造してないし、瞬時に交換できる訳でもないし、と言うかマルタのお蔭か元の那岐君の力であろう、光の腕と悪魔の脚っぽいのを使いこなせるようになったから、間に合ってます。

 

ジャンヌ・オルタへの怒りも新たに、その後の事を思い出す。

兄貴と対峙して間もなく、いつの間にか意識を失っていたのか夢を見ていた。

すぐに夢だと判断できたのも、あまりにも荒唐無稽な内容だったからだ。

死地と呼ぶに相応しい世界で、俺と母、そして見知らぬ少女と巨大な狼が対峙している。

狼は明確な殺意を持って、俺――ではなく、母を睨んでおり、俺はそんな母を護ろうと母を背中に隠す。

そして、そんな母は――血に濡れて今にも息を引き取りそうな程、弱っていた。

十中八九、あの狼の仕業だろう。

夢とは言え、それを達観して受け入れられる程、冷血ではない。

憤怒を込めた咆哮を上げた俺は――なんか巨人になってました。

その時点で一気に冷静になったよ。しかしいかんせん、肉体は勝手に動き狼を殴りまくる。

これだけ聞けば圧倒的優位に聞こえるが、そんなことはなく。母を護りながらの立ち回りだったせいで、寧ろフルボッコにされる側でした。

でも、最終的には撤退させたよ!倒してないのかって?夢だろうとそうご都合主義はないんですよ。

そんなこんなで、満身創痍ながらも一命を取り留めた母を抱きしめ、生きてくれていることへの感謝を紡いで、夢は終わった。

母はうちの男共と違って繊細極まりないんだから、あんなになったら死んでまうって!夢とは言え、本当生きてて良かったよ。

 

それはともかく、起きてからと言うもののメンバーの空気が最悪です。

マルタとタイマン張る羽目になったのも、自分達が不甲斐ないせいだと特にリリィが深刻そうに謝罪してきて、そこからはより一層ピリピリした空気の中、次なる都市に向かうことに。

リリィはピッタリとくっついて離れないし、その付属でモードレッドも近くにいるし、理子ちゃんは何故か顔を合わせてくれないしで、物凄い胃が痛い。

いや、分かるよ?立場考えたら、前者二人が責任感じるのも。

でも、自分にはサーヴァントとある程度戦える力がある以上、遅かれ早かれこういう事態になっていた。

最悪の事態一歩手前だったこともあるから、それを突っぱねるなんてことは出来ない。自分が死ねば契約しているメンバーも共倒れなんだから、楽観する方がどうかしている。

だけど、自分を護ることに固執していては、それこそ敵にとって隙を晒すのと同義。

臨機応変に、と行きたいところだけどリリィはこの調子だと無理そうだし、モードレッドに期待しよう。

それと、マリーと話す機会が増えた。それも、彼女から率先して話しかけてくるようになったからである。

この空気の重さの中心が自分だと理解した上で、それを軟化させるべく明るく振舞っているのだろう。

まぁ、付属品のアマデウスが五月蠅いのは、今回ばかりはマリーのツッコミもあってこの悪い空気を変える緩衝材となってくれているので、見逃しておいた。

 

そして、自分が発見された場所から一番近い都市に、リヨンと言う所があるらしく、取り敢えずはそこに向かうことになった。

オルレアンからは遠回りになってしまうが、自分の容態を心配する一同からの提案によるものだったので、仕方なくである。

まぁ、自分より理子ちゃんの方が負担掛かるだろうし、渡りに船だったのかも。気絶していたと言っても、自分起きてからは別に辛いとかそういうのなかったし。

反抗してまた悪い空気再発ってのも嫌だしね。

そんなこんなでリヨンに着いた……と思ったら、何か凄いことになってた。

リヨンの門を護るように背を向けるイケメンが、黒い甲冑で身を覆った騎士が対峙しており、激戦を繰り広げていた。

街への被害が被らないように防戦を繰り広げるイケメンと、獣のように荒れ狂い傍若無人を振舞う黒甲冑では、どちらが悪者か一目瞭然だった。

そして、加勢しようと提案するよりも早く、モードレッドが黒甲冑へと迫った。

リリィも信じられないと言った様子で傍観していたが、それを気にする余裕がなくなる程、事態は加速していく。

ジャンヌ・オルタが馬鹿みたいな数のワイバーンとなんかでっかい龍を引き連れてやってきたのだ。

どうやら狙いはイケメンらしく、こちらがリヨンを護っていることを良いことに、圧倒的物量で押し上げてきた。

後のリソースを考えることは不可能と判断したので、可能な限り宝具を使用して壁となるワイバーンを減らし、本命の龍とオルタを狙う作戦に出た。

結果的には、辛勝ではあるが退けることに成功。

なんと、あのイケメンの正体は龍殺しの逸話を持つ英霊ジークフリートだったのだ。

先の黒甲冑との戦いで消耗していたこともあって、一発限りではあったが宝具を解放してファヴニール――あのでかい龍にダメージを与えることに成功。撤退に持ち込めたのだ。

ワイバーンの壁さえなければ致命傷までワンチャンあったんだろうけど、街を護れただけでも良しとするべきだろう。

と言うか、後から聞いた話だけどあの二人三日三晩ぐらいずっと戦ってたらしいよ。

ジークフリートは、背中以外は不死身の肉体と言うチート持ちでまともなダメージを与えられず、黒甲冑の方は木の枝から小石まで武器として扱い、特性か何かなのかそれらを疑似宝具のように扱って変幻自在の攻防を繰り広げていたらしく、かつリヨンを護らないといけないということもあって、千日手となっていたとのこと。

リヨンの人達にはとても感謝された。特にジークフリートは文字通りの英雄と賞賛されていた。当人は随分謙虚だったが。

それと、あの黒甲冑だけど、何と話によるとあれは円卓の騎士の一人であるランスロットらしい。

バーサーカーとして召喚され、更に狂化増し増しになっていたせいか、モードレッドやジークフリートと戦っている時にも、アーサーと吼えていたらしい。

恐らく、理性が吹き飛んで誰もかれもがアーサー王に見えているのだろう。

リリィ大好きなモードレッドにとって、ランスロットは生前の因縁もあって不倶戴天の敵。そんな理由から、オレが仕留めると言って聞かないのだ。

因みにランスロットはオルタの撤退に乗じて、令呪でも使ったのか一瞬で消えたとのこと。

と言うか、もしそうなら令呪あるのかよ……。イレギュラーな複数召喚だからもしかしたら、と思ったがそう都合よくは行かないらしい。

 

そして、これからについての話し合いが始まった。

図らずもリヨンを防衛する形になってしまった手前、この街を放置する訳にはいかなくなった。

オルタにとって、リヨンの街は最早間接的な人質だ。

リリィやジャンヌ、ジークフリートといった分かり易いぐらいの善性を持つ者にとって、万が一リヨンを後ろ盾にされようものなら、少なからず精神的な影響は免れないだろう。

それが例え、特異点を修正した後にはすべてがなかったことになると知っていても、だ。

必要な犠牲、と葛藤もなしに割り切れるならばそれは最早ヒトではない。目的を完遂するために作られたプログラム、機械だ。

知る限りでは、アーサー王としてのアルトリアがそれに当て嵌まる。

ブリテンと言う崩壊寸前だった国を纏める為に、自己を封印しブリテン発展の為に尽力する狂いのない歯車となった彼女の最期は、人らしさを失った王への猜疑心から来る叛逆の刃によるものであった。

正しければ、効率的ならばすべてが上手くいく訳ではない。人の心と言うものが介在する限り、常に流れは不定形で有り続け、決して固まることはない。

だからこそ、人は繋がりを貴ぶ。繋がりを経て、人らしさを得て、繋がりはまた違う繋がりを生んで、そうして結束していく。

どんな人間でも、感情が伴う限り喜ぶことだって悲しむことだってある。だが、そういったものは自己完結しても虚しいだけでしかない。

共有し、分かち合うことで心は豊かになっていく。逆に、孤独で在り続ければ荒む一方だ。

人々から賞賛され、その名を呼ばれることで人は初めて英雄となる。それは、ある種の繋がりだ。

希望を振りまくのが英雄ならば、その後押しをするのが彼らが護る無辜の民。どちらが欠けていても成り立たない、相互関係。

そのような生き方を経験してきた彼らにとって、一時の関係とは言え護るべき存在を背にしてしまった以上、見て見ぬ振りは出来ないだろう。

寧ろ、後顧の憂いを失くすと言う意味でも、多少リスクを払ってでもこの街を護るのが得策だと結論付けた。

とは言え、合理的な面がない訳ではない。

ジャンヌ・オルタの最終目的は、自身を裏切ったフランスを破滅させること。

フランスの崩壊は人理の崩壊へと繋がり、人類の焼却へと至る最悪の連鎖が起こってしまう。

それを防ぐ防波堤と言う意味でも、リヨンを護ることは決して感情論を抜きにしても無駄にはならない。

此方があと一歩までオルタを追い詰めても、その前にフランスが事実上の崩壊をしてしまえばゲームオーバーになる。

これからどれ程まで戦火が拡大していくか予想も出来ない現状、予防線を張ることは戦力の分散と言うリスクを踏まえた上でもやっておくべきであろう。

 

と言うことで、メンバーを二分することにした。

メインチームは、ジャンヌ・オルタの探索および彼女側の戦力を減らす為の遊撃部隊。

メンバーは、リリィを初めとして遊撃にうってつけな兄貴ことクー・フーリン、ファヴニール対策のジークフリートで構成。

防衛チームは理子ちゃんをリーダーに、アマデウスの優れた聴覚で敵をすぐさま察知し、マシュちゃんとジャンヌの防御組で耐え、マリーが硝子の馬で攪乱させて戦力を分散させつつ、モードレッドが打って出る形を取る。

リリィとモードレッドが離れるなんて有り得るの?と思ったそこの貴方、これを提案したのは以外にも彼女からだったんだよ。

恐らく、ランスロットがもう一度リヨンを襲う可能性があると踏んだのだろう。理性が崩壊している状態では、オルタにとっても扱いにくい存在だろうし、使い潰せる状況ならばそちらを選ぶ筈だ、とのこと。

とは言え、流石に心配だ。万が一の令呪のサポートも無理だし、取り敢えず具足の方だけでもさっきの赤い奴を渡しておいた。

彼女の戦い方は、喧嘩殺法と言うか騎士らしくない使えるものは何でも使うスタイルなので、蹴りだろうと何だって使うこともあり、ちょうどいいんじゃないかと思ったのだ。

と思いきや、籠手も欲しいと言われたのであげた。まぁ、邪魔だったし、だからと言って放置もアレだしいいけどさ。

別れ際まで籠手で剣を掴む練習をしていたのは微笑ましかった。多分、リリィが居ない寂しさを紛らわせようとしていたんだろうな。

実際、リリィ成分(笑)を補給するべくして、普段以上にひっついていたし。街の人から生暖かい視線向けられていたよ。

まぁ、親近感を持たれるのは良いことだ。サーヴァントは一般人からすれば理性と知性を備えた龍が闊歩しているようなものだし、幾ら街を護ってくれると言っても信用できるかは別だしね。

 

それと別れ際に、モードレッドが万が一ランスロットがこっちに出たなら、全力でリリィとは接触させるなと釘を刺されました。

あのランスロットは、どう見ても正気ではない。遠巻きにとは言え、円卓の騎士でありリリィにとってはその変わり果てた姿を前に、まともに戦えるとは思えない。

いや、間違いなく無理だ。戦士としてはいっぱしでも、精神的に未熟な部分がちらほらと見受けられる。

サーヴァント同士の戦いは、苛烈を極める。そんな状況で精神的動揺が起こる場に駆り出すなど、鴨が葱を背負って来るのと同じ。嬲り殺しにされるのがオチだ。

そんなこと、マスターとしてさせる訳にはいかない。

リリィ達には悪いが、そんなケースになれば俺自ら前線に出ることも辞さない。リリィよりは戦えるだろうし。

まぁ、そうならないことを祈るばかりだよ。明らかに強そうだったし、死にたくないしね。

 




Q:更新遅かったのは何故?
A:隕石破壊によって世紀末化した地上で三体のロボットを操作して戦うオンラインゲームでハートキャッチ(物理)してたから。アストルフォきゅんがいなかったらもっと遅かったかも。

Q:モーさん強化されスギィ!!そもそも装備できるのアレ!?
A:マルタ様の奇蹟によって作られたものとはいえ、再現率は半分がいいところの劣化品なので、DTの触媒にもならなければ純正品よりも性能は落ちています。でも、その代わり装備するデメリットはほぼ存在しない良心的な仕様。デメリットについては後々に判明する予定。

Q:背中以外無敵とか、誰だこのイケメン!?(驚愕)
A:彼はすまないさんではない……伝説の龍殺しジークフリートなんだ。しかも原作よりも本調子なので、このままいくとジャンヌオルタに億が一にも勝ち目はないが、さて……。

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