どうしてこうなった日記~ぐだぐだ人生録~   作:花極四季

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今回、少し雑かもしれません。
あ、あとうちのオルタが遂にドレス姿になりました。今ではマイルーム在住メンバーの一人で、トップの実力者です。ヴラドは二番目落ちしました。リミゼロあれば……。




02~ぐだ子の戦慄~

 

暮宮さんの戦闘を見届けた私とマシュは、すぐさま彼と合流を果たした。

私達の存在にもさして驚いた様子もなく、当然と言わんばかりに静かな対応をされた。こっちは凄く心配したって言うのに……ズルい。

 

彼と一緒にいたサーヴァントは、予想通り彼が召喚した英霊らしい。

しかも、その正体があの名高い騎士王、アーサー・ペンドラゴンだと言うのだから驚きだ。

更に言うと、女の子だったということにもね。しかも、すっごく可愛いの。

真っ白なドレスもひらひらしてて、髪はさらさらの金色で、スレンダーな体形の中にも程よく引き締まった筋肉があって、全部の相乗効果で黄金比と呼べるほどの完成された肢体を維持している。

あ、でも胸の大きさなら勝ってるかも。……勝ってるよね?

王様だから厳格なイメージがあったけど、リリィちゃん――本人がそう呼んでほしいと言ったのでそう定義する――は王様になりたての状態から召喚されたらしく、まだまだ未熟者だと謙虚かつ丁寧に答えてくれた。

少し固い感じはするけど、壁があると言うよりも、同年代の同性との付き合い方が分かってない感じだった。

ああ、そんな不器用なところも可愛い。なでなでしたい。

本当、ランスロットとかモードレッドは駄目だね!こんないい子を裏切るとかさ!

 

それにしても、暮宮さんが召喚したなら、リリィちゃんではなく全盛期のアーサー王が出てきてもおかしくないと思ったけど、どうなんだろう。

リリィちゃんが悪いわけでは全然ないんだけど、彼ならもっと凄いサーヴァントを呼べてもおかしくないなーってね。

それこそ、ギリシャの大英雄ヘラクレスとか、英雄王ギルガメッシュとかさ。

触媒のない召喚は、召喚者と近しい存在を引き寄せるらしいけど、リリィちゃんと暮宮さんは全然似てないと思う。

うーん、分かんないや。

 

道中はマシュとリリィちゃんを前線に立たせ、骸骨を倒していく。

暮宮さんと私は、後方でついていくだけ。

時折奇襲してくる骸骨は、暮宮さんの一太刀であっさりと沈む為、数で押されて抜かれたとしても何ら問題はない。

というか、暮宮さんいつ刀抜いてるの?いつの間にか斬られてるってことしか認識できないんですけど。

サーヴァントでセイバーのクラスであるリリィちゃんでさえ、彼の居合は万全の状態でも斬られる可能性が高いと太鼓判を押されている。

本当に、暮宮さんって何者?頼もしいからいいんだけど。

 

そんな疑問を抱えている内に、オルガマリー所長が襲われているところに出くわし、救出。

誰もが彼女もここにいるなんて思っていなかったし、そもそも忘れていたんじゃないかな。まぁ、生きていて何よりである。

そんな所長だけど、初対面の態度が悪かったせいで、事あるごとに辛辣に当たられる。

そりゃあ、自分はマスターとしても未熟な訳ですし?知識もないですし?緊急時に私みたいな素人を頼らないといけないって思うと、怒りたくなる気持ちも分かりますし?

でも、だからって私ばかりに当たらないで欲しい。

 

見てて分かるけど、所長は暮宮さんには一言も声を掛けないし、目も合わせない。意図的に意識の外に追い遣ろうとしているのが透けて見える。

臆病な性格なのは嫌という程理解したけど、それにしたって無視は酷すぎる。

所長だって彼の護衛でこれから助けられていくことになるっていうのに、あんまりだ。

暮宮さんが何も言わない以上、私が口出す問題じゃないことは分かっている。

だけど、こんな空気で旅をして人類を救えるとは思えない。

時間が解決してくれると信じたいけど、そんな悠長に事を構えていられるのか、私には分からない。

 

それよりも重大なことが起きた。敵対するサーヴァントが現れたのだ。

真っ黒の霧がヒトガタになったような造形のそれは、マシュやリリィよりも強かった。

二対一なのに徐々に押されていく中、辛くも勝利を収めたのも束の間。ロマンによる増援の報告が送られる。しかも複数。

マシュもリリィも継戦するには消耗しすぎているし、一体であの状態なら、今度こそ敗北は必至。

私はマシュと所長の手を取り、駆ける。暮宮さんもリリィちゃんをサポートしながら走る。

だけど、相手は英霊。私達のようなただの人間が逃げ切れるほど、容易い相手ではない。

建物や瓦礫を足場に、地形を無視した跳躍で私達を追い回す。

結局、あっさりと追い付かれてしまい、マシュとリリィちゃんに二体のサーヴァントの迎撃に出てもらうも、勝ちの芽は、ない。

もうダメ――そう、諦めかけた時。

 

「――give me more power!!」

 

縋るような、渇望するような言葉が、暮宮さんの口から流暢な英語で紡がれる。

彼を中心に爆発的に高まるプレッシャー。後に、このプレッシャーの正体が魔力だと所長から説明される。

瞬間的な魔力の高まりを前に、サーヴァント達の動きが鈍り、マシュ達は辛うじて回避に成功する。

そこからの光景は、未だに現実かと疑うものだった。

 

暮宮さんが腰を軽く落として刀に手を掛けたかと思うと、瞬きした後には既にその姿はなく。

トドメの一撃を加えようとしたランサーの腕が、宙を舞う。

誰もが――斬られたランサーでさえも――理解するのに数秒を要したことだろう。

ランサーの腕が地面に落ちた音が響いた途端、停止した時間が動き出し、ランサーの悲鳴が鼓膜を揺さぶる。

しかし、それさえも煩わしいと、いつの間にかランサーの背後に回っていた暮宮さんが、その胸倉を鷲掴みにしたかと思うと、片手で軽々と地面に叩きつけた。

陥没する地面は、まるでクレーターのようで、その威力がどれほどのものかを証明していた。

目下の脅威が暮宮さんだと判断したアサシンのサーヴァントがその隙に攻撃しようとするも、あろうことか彼は刀を目にも止まらぬ速さで回したかと思うと、投擲してきたダガーを盾の要領で叩き落としていく。

そして、親指を地面に突きつけて、挑発。

嘗めているのか、と。その程度か、と。

 

アサシンの雰囲気がより鋭くなり、先程以上に苛烈な攻撃が暮宮さんに襲い掛かるも、それさえも届かない。

ダガーをすべて消費したのか、アサシンの動きに一瞬動揺が見られる。そこに、暮宮さんは付け入った。

一息でアサシンの懐に迫ったかと思うと、刀ではなく拳だけでアサシンを一方的に攻め立てていく。

デンプシーロールからのアッパーカットで遥か上空まで吹き飛ばし、同じ高度まで飛んだかと思うと、アサシンの足を掴んで自身もろとも空中で超速度で回転する。まるでサーカスの空中ブランコみたいだ。

遠心力を全開に利用した回転が最高潮に達すると共に、アサシンの身体を地面に叩きつけた。

ランサーの時とは比べ物にならない威力で放たれたそれは、小規模な地震さえ引き起こした程。

それでも、流石英霊と言うべきか。死ぬには至っていない。

ランサーも再び立ち上がって、無数にある背中の武器で怒涛に攻めるも、使う武器ひとつひとつを一刀の下に切り捨てられ、丸腰になった所で四肢をバラバラに切り裂かれた。

アサシンも、ランサー以下の耐久性で受けたダメージはまともに回復する様子はなく、あっさりとランサーと同じ末路を辿った。

 

誰も、声を出せない。

目の前の光景を、今になっても信じられないせいもあるが、恐らく――みんなが彼を恐れている。

英霊より強い人間。サーヴァントのように令呪による楔もない、解き放たれた獣。

所長は怯え、マシュは警戒を露わにしている。

一触即発な雰囲気の中、暮宮さんは――その場に崩れ落ちた。

その姿をすぐさま抱き留めたのは、リリィちゃんだった。

何故倒れたのか、なんてことは誰にも分からない。

 

そんな私達の混乱を他所に、新たなサーヴァントが現れた。

青髪のサーヴァントは、自らをキャスターと名乗る。

本来なら加勢するつもりだったが、暮宮さんのせいでタイミングを逸したとのこと。

どうにも、彼はこの狂った聖杯戦争の唯一の生存者であり、同時にこの聖杯戦争を終わらせようと行動しているらしい。

私達がシャドウサーヴァントと呼ぶことになったあの黒いサーヴァントは、ここで行われた聖杯戦争で召喚されたらしく、セイバーの手に掛けられた者は等しくこうなったとのこと。

つまり、セイバーを倒すことが出来れば、この異変は収まる可能性が高い。

でもキャスターではセイバーとの相性は最悪。一人で挑んでも勝てる相手ではないとのことで、私達に目を付けた、というのが彼の弁だ。

嬉しい提案ではあるけれど、それよりも暮宮さんだ。

追ってのことは、彼を安静にさせてからということで、取り敢えずの終着点とした。

 

それから半日は経っただろうか。暮宮さんは目を覚まさない。

睡眠を必要としないリリィちゃんが夜に見張り番をして、日中は私が彼を看てリリィちゃんの回復に当たらせる。

静かに寝息を立てており、私の知る限り苦しんだりする様子はなかった。

電池が切れて動かなくなった人形みたいに倒れたのを見る限り、あの戦闘で一気に身体が限界まで消耗したのかもしれない。

 

……少しだけ、安堵する。

恐怖からではない。いや、別の意味でなら、恐い。

彼の強さは未知数だ。あれが限界なのか、それさえも計り知れない。

だからこそ、これかも彼はこんな状態になるのではないかと、不安になる。

マシュもリリィちゃんも――私も、弱い。彼に比べたら、まるで赤子だ。

彼がこの状況に巻き込まれたのは、恐らく偶然だ。だと言うのに、今や問題解決の中心になりつつあり、こうして倒れるにまで至っている。

情けない。その一言に尽きる。

マシュもだけど、特にリリィちゃんが深刻そうに語ってきた。

サーヴァントとマスターという関係上、護るべき相手に護られることの屈辱と、その事態を打開し得ない自らの無力さへの嘆き。

私はただ、その言葉を聞き届けることしか出来ない。

 

そんな時、キャスターが重い腰を上げた。

辛気臭いと一蹴し、挑発し、リリィに剣を抜かせた。

そこからは、リリィちゃんとキャスターの一騎打ち。

本来ならキャスターに勝ちの芽は見えないカードだが、精彩を欠いているセイバーの剣では、如何にキャスターと言えど百戦錬磨のその身体に傷をつけることは出来ず、子供をからかうように魔術でセイバーをあしらっていく。

キャスターもキャスターで、杖をまるで槍のように扱ってなおリリィを上回る技術を持っていることに、驚きを隠せない。

キャスターは魔術を使うことに長けたクラスだと聞いていたが、まさか彼の本職はランサークラスではないだろうか。

 

不毛とも言える戦いが終わりを告げたのは、リリィちゃんが剣を降ろしたことによってだった。

キャスターが、リリィちゃんの混乱した頭をすっきりさせる為に、敢えてあんな行動を取ったのだと意図を理解したことで、最早この戦いに意味はないことも理解したらしい。

リリィちゃんの謝罪と感謝の言葉で、その場は締めくくられた。

 

その後、マシュの方に矛先が向く。

彼女も先程宝具の展開が出来ないことを口に出しており、それがキャスターの何かに触れたらしい。

ここにいる全員を殺すと公言し、防ぎたければ抗えと。

所長は騒ぎ立てたけど、リリィちゃんが気絶させた。グッジョブ。

……キャスターは本気だ。だけど、それを止めようとは思わない。私も、リリィちゃんも。

これを乗り越えられなければ、遅かれ早かれ同じ末路を辿るだけ。

弱ければ死に、強ければ生きる。そんな当たり前が、私達が立つこの地には蔓延っている。

こんな取っ掛かりで躓くようなら、いっそここで終わってしまった方が、きっと良い。

死ぬのは怖い。それでも――それが逃れられない運命だと言うのなら、せめて光明を見出す一手が見たい。

それに、マシュはきっとやってくれる。そんな確信があった。

 

かくして、その希望(ゆめ)は現実となる。

キャスターの宝具―灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)が解き放たれ、私達を圧殺せんと迫るその瞬間、マシュの盾を中心に巨大な魔方陣による盾が展開され、巨大な炎の塊の全てを受け止めた。

マシュが宝具を展開できなかった理由は、前提を履き違えていたからだとキャスターは言う。

護る為の力。それが、マシュに備わった力の指向性であり、彼女自身の願望でもあった。

しかし、宿った英霊の名を理解するには至らなかったようで、そこは残念だったけど、分からないものは仕方ない。

復活した所長がまたあれこれ五月蠅かったけど、何とかなだめたり宝具の名前を仮想宝具・擬似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)にしたりとあれこれしている内に、暮宮さんが目を覚ました。

 

暮宮さん曰く、少し頭がくらくらする程度で、命に別状があるとかそういうことはないらしい。

それよりも、私が過剰に心配するものだから何があったのかと勘繰り出したぐらいである。

別に隠している訳ではないので、素直に私が見て思ったことを話した。

暮宮さんは、それに対して何も語らなかった。

だけど、私は見逃さなかった。彼の表情に僅かばかりの影が差したのを。

思えば、普段の彼は表情を崩すことはないが、サーヴァント二体を葬ったあの時は、明らかに感情が昂っていた。

だけど、今はそんな雰囲気は一切纏っていない。私の知っている暮宮さんだ。

なら、それでいい。あの時の彼はとても頼りになったけど……なんとなく、あんな風にはさせてはいけないと感じていたから。

そうさせないためにも、私も何かできることがあればしないと。彼に任せきりなんて、そんな甘い考えが許される筈がないもんね。




Q:主人公無双
A:序の口なんだよなぁ……

Q:殴りはともかく、叩きつけに鯖にダメ与えられるの?
A:まだ語られないけど、独自設定を考えています。多分、序章終わっての閑話辺りで語られると思う。

Q:マシュの視点はあるの?
A:謎の多いキャラで、あまり触れられないんだ、すまない……。
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