どうしてこうなった日記~ぐだぐだ人生録~   作:花極四季

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オケアノス実装に合わせて投稿しようかと考えたが、冷静に考えたらつつがなく事が運ぶとは思えないので、普通に投稿することにした。

やっと序章が終わります。次回は一章前に何話か幕間の話が入る予定。
そろそろギャグを書かなきゃ……(使命感)


~GRAND BATTLE 2/2~

黒く塗りつぶされた意識の中、蜘蛛の糸を手繰り寄せるように状況把握に努める。

身体の芯まで冷えた感覚とは裏腹に、胸の辺りが灼けるように熱い。

四肢の一本さえまともに動く気がしない。まるで、蝋人形にでもなった気分だ。

微かに鼓膜を震わせる何かの音も、意味を持たないぐらいに遠く聞こえる。

 

「――番外――――イレギュラー――しかし――」

 

「――教授!?」

 

「――愚か――使えない――」

 

「――何故こんな――答えて!!」

 

「――所長――逃げ――」

 

「オルガ――予想外――死んでいる筈――」

 

聞き取るのもやっとの、自分を蚊帳の外にして行われている会話。

どこか聞き覚えのある声が増えている気がするが、そんなことには気が回らない。

だけど、おぼろげな意識の中、自分の中の何かが警鐘を鳴らしている。

動け、動け、動け。動かないと、さもなくば――失うぞ、と。

 

「カルデア――人類の生存――赤色――」

 

「嘘――違う――有り得ない――」

 

「君の最期――カルデアに繋がって――カルデアスに触れ――」

 

次第に、遠かった音がノイズを掻き消しながら近づいてくる。

 

「やめて――アレに触れたら助からない――死にたくない――」

 

オルガマリーの悲痛な訴えが聞こえる。

だけど、救いの手は伸びない。伸ばせない。

 

「どうしてこんなことに――私はまだ認められて――やだやだやだやだやだぁ!!」

 

動け、動け、動け動け動け――!!

何が起こっているかは分からない。だけど、ここで動かないでいつ動く。

動け、動いてくれ、動けって言ってるんだよこのポンコツ!!

自慢の馬鹿力でオルガマリーを引っ張れよ!無駄に丈夫な身体で盾になれよ!

それしか取り柄がないんだから、それぐらいやってのけろよ!!

 

しかし、祈りは届かない。

 

「――――助けて、那岐」

 

ノイズは、消えた。

そしてそれを最後に――大切な何かも消えたのを、理解してしまった。

 

「――ハ、ハハハ。何とも無様な表情で逝ったな。つまらん」

 

ふと、聞き覚えのある声が聞こえてくる。

懐かしい――けれど、こんなにも苛々させる声。

 

「き、貴様ァアアアアアア!!」

 

「落ち着いて下さいリリィさん!今の貴方では、あの男――レフ教授には敵いません!!」

 

「そんなこと、知るかぁぁぁあああ!!」

 

「勝てずと分かっていながら向かうか。マスターを護ることも出来ないできそこないのサーヴァント如きが」

 

「ぐ――!!」

 

レフの憎悪が湧きあがらんほどの嘲笑が響く。

――理解した。コイツが、コイツがオルガマリーを――!!

 

「サーヴァントを圧倒したかと思えば、心臓の一突きで死ぬ辺り、あの男も人間だったと言うことだ。そして、マシュを繋いでいる菅野理子も、魔力を搾り取られて意識不明。今のお前たちなど、指先ひとつで下せるだろうさ。まぁ、私自ら手を下さずとも、最早人類に未来はないのだがな」

 

『――カルデアスが赤く染まったことと関係があるのか、レフ・ライノール』

 

「その通りだよ、ロマニ。滅ぶことが確定した未来。それは即ち、消滅に非ず。最初から存在しないのだ(・・・・・・・・・・・)。カルデアスはともかく、その外は冬木と同じ末路を迎えているだろう。しかし、それも時間の問題。時が過ぎれば、内側から焼き尽くされるだけなのだからな」

 

『――お前は何者なんだ、レフ』

 

「知る必要はない。お前達人間は、人間の無意味さ、無能さ故に!滅びるのだ!!」

 

――黙れ。

 

「無価値に、路頭の小石のように、紙クズのように!ただ死を待つだけの木偶として焼却されるのだ!!」

 

三流役者のような白々しい台詞回しが、怒りを加速させる。

冷たかった身体が、僅かに熱を帯びるも、それに気付けない。

 

「――さて、そろそろ時間だ。この特定点も消滅する。君達はせいぜい、無力を嘆きながら無駄に最後まで足掻くと良い」

 

――無力?

瞬間、頭の中がグチャグチャに掻き回される。

写真の貼り付けを乱雑に行われたような情報が、脳に杭を打ち付けるような痛みと共に刻まれていく。

知らない記憶。でも、何故か懐かしくて――。

その中で、一際鮮明に映った、ひとつの映像。

表情は見えない。しかしその絹のような金髪と雪のように白い肌が、その女性が如何に美しいかを如実に表している。

……俺は――この女性を――失った?

無力さ故に、弱かった故に。

刻まれていない筈の、曖昧な記憶。だと言うのに、自分の中でそれは偽りではないことを告げている。

 

――失うのか?これ以上、大切な人を。

 

理子ちゃんに、マシュちゃんに、ロマニやフォウ――そして、リリィ。

付き合い、なんて言える程長く共に過ごしてきた訳ではない。オルガマリーに至っては、この場の誰よりも短い付き合いだろう。

――そんなの関係あるか。

救いたいから、助けたいから手を伸ばすことの何がいけない?

手が届くなら、伸ばすべきだ。それが大切な人ならば、猶更。

俺は強くなった筈だ。兄貴達にさえまだ敵わないひよっこだけど、あの男を殴り飛ばすぐらいの力はある筈だ。

それともまだ足りないと言うのか?

 

自らの無力加減に、身体が震える。

貼りついた蝋を力づくで剥がすように、ゆっくりと、しかし全力を込めて動く。

それでも、足りない。

足りないならどうする?――他から持ってくればいい(・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

――誰もが、それを前に窒息した。

大地を砕かんばかりの圧力が、とある一帯から観測される。

 

「――何故だ」

 

今しがた立ち去らんとしていたレフの表情が曇る。

特異点の崩壊による世界の揺れとは違う。そんなものよりも、もっと悍ましい――否、畏れ多い何か。

 

「何故――生きている。暮宮ナギィイイイイイl!!」

 

未だ足元がおぼつかないながらも、心臓を穿たれた筈の那岐が、地に足を付けて立っていた。

 

「マス、ター……?」

 

リリィの怒りが、その姿を見た瞬間霧散する。

那岐の死に報いる為にも、消えるまでのその一瞬まで、原因であるレフに牙を剥く覚悟を抱いていた。

だが、そんなことは最早どうでもいい。

一秒でも早くその身体を支えるべく駆けつける。

 

「マスター、よくぞご無事で……!!」

 

泣き出しそうな声に、那岐は反応しない。

それどころか、俯いて表情も窺えない。

 

「――死にぞこないの負け犬が、今更出てきたところで」

 

レフは再び黒の槍を生成する。

その数、実に百を超える。

 

「周りにいる者共々、苦しみもがいて死ぬがいい!」

 

レフが手を振り下ろすと、それは那岐達に向けて襲い掛かった。

マシュとリリィは、互いのマスターを護るべく前に出て構える。

それが最終的に同じ末路を辿るだけの、無駄な行為だったとしてもそうせずにはいられない。

マスターであるからではない。ただ、大切な人を護りたいから。その想いに集約される。

 

「(申し訳ありません、マスター。不甲斐ないサーヴァントで……)」

 

謝罪を心の中で呟くも、決して口には出さない。

最期の最期まで足掻く覚悟を絶やさない為にも、それだけは決して口に出してはならない。

 

「『――Luminous』」

 

静かに、厳かに。

それは下された。

 

「――――は?」

 

レフの間抜けな声は、誰にも届かない。

誰しもが、目の前に落ちた圧倒的質量の何かに釘付けになっていた。

 

それは、あまりにも巨大だった。そして、尊いものだった。

 

「ての、ひら?」

 

神々しい光を放つそれは、眩さに隠れながらもその輪郭から掌であることが分かる。

しかし、その存在はあまりにも荘厳で。近寄りがたくて。

途切れた腕の付け根から指先に掛けて、何本もの直線が彫り込まれているそれは、どこか冒涜的にさえ思える。

だが、それを加味しても神の掌(ゴッド・ハンド)のような威光は微塵も衰えることはない。

 

「――――馬鹿な、そんな。有り得ない、有り得ん!!」

 

レフが錯乱気味に黒槍を未だ地に伏す掌に向けて射出する。

しかし、それは本体に到達するよりも遥か前に、音もなく霧散する。

何度も、何度も何度も何度も射出しても、同じ結末を迎える。

まるで二者の間の位相が異なるかのように、互いが互いに干渉できない。

 

「何故だ、何故だああああ!!」

 

「『Where do you see?』」

 

レフの剥がれた仮面に、衝撃が走る。

遥か彼方に居た筈の那岐が、レフに察知されることなく懐に潜り込んだかと思うと、思い切りその頬を殴りつけたのだ。

地を滑ることさえ許されないと言わんばかりの速度で、その身体は岩壁に叩きつけられる。

 

「があっ――!!」

 

だが、それでは終わらない。

数秒遅れて、那岐がレフの眼前に姿を現したかと思うと、飛び蹴りの姿勢で突っ込んでくる。

しかし、そこに確かな違和感があった。

那岐の脚部に、先程まで存在していなかったものが装着されている。

黒と赤で構成された、見るも悍ましい形容しがたい何か。

五本の爪はまるで杭のように太く伸び、六本目の爪と言わんばかりに踵の裏にも同じものが生えている。

そしてそれは、まるで生きているかのように胎動しており、不気味さを一層と表現している。

それはまるで――悪魔の脚ではないかと、レフは思考を逡巡させた。

理解した瞬間、レフの顔面にそれは突き刺さる。

そこから怒涛の蹴りのラッシュで追撃が始まった。

 

「『――一体、何が何やら』」

 

管制室から遠巻きに眺めるロマニでさえも、怖気が止まらない。

那岐の身体から湯気のように立ち上がる赤黒いオーラのようなものを見ているだけで、心臓が鷲掴みにされたような錯覚を覚える。

それは、現場にいる三人にも言えることで、理子が気絶したままで助かったと、ロマニは彼女の未熟さに感謝した。

 

その所業、神か悪魔か。

レフに向ける残酷で苛烈で無慈悲な感情とは相反して、何が何でも後ろの三人を護るという鋼の意思を那岐から感じる。

オルガマリーの死が彼を覚醒させたと言うのならば――レフは土壇場でミスを犯してしまったということになる。

他者を見下し、自らを絶対とするその傲慢のしっぺ返しがあの結果だと言うのならば、これ以上とない報復だろう。

――そもそも、アレで未覚醒状態だったのかと、ロマニは愕然とするしかなかった。

自身のことを何も語らず、本人も口数が多くないこともあり、ミステリアスな印象さえ受けた彼の、初めてと言っても差支えない秘密がこれとは、誰が想像できる?

前提として、人間が当たり前のようにサーヴァントと肉弾戦しているという事実が塗り潰されてしまう程度には、それはあまりにもインパクトが過ぎた。

そこに、更に彼が人間なのかすら疑わしい要素さえ盛り込まれたのだから、最早訳の分からないの一言である。

だが、それが逆にとても頼もしい。

 

「『Pray to god if you want to live!!』」

 

――死にたくなければ神に祈れ。

神にさえ唾を吐きそうな下衆に向けるには、あまりに不相応な言葉。

否、そんな男に向けるからこそだ。

お前は神に祈ることしか出来ないのだと。そう確信させるには、最高のシチュエーションだ。

 

光を帯びた右腕がより一層輝きを増し、光は次第に形を得る。

それは、先程現れた光の腕を等身大のサイズまで落としたものであった。

しかし、その存在感は健在で、見る者全てを魅了する魔力を帯びているそれは、紛れもなく先の掌である証明となっていた。

 

「『Be gone!!』」

 

洞窟全体を揺らすほどの一撃が、レフが貼り付けられていた場所に掌底という形で炸裂する。

特異点の崩壊も合わさって、立つことさえままならない状態。

粉塵が晴れ、神の掌は消失する。

破壊された箇所に、レフはいなかった。

消滅した、というには那岐の表情は曇っており、逃げられたのだと遠巻きに眺めていた全員が理解する。

 

「――――ッ、マスター!?」

 

全てが終わったと同時に、那岐は膝から崩れ落ちる。

それを慌ててリリィが支え、マシュも理子を抱えて合流する。

 

「『マズい、そろそろ本当に限界みたいだ。こっちでもレイシフトの準備はしているけど、どうにも崩壊までに間に合いそうにない。少しだけでいいから、そっちでどうにか生き延びてくれ!』」

 

「そんな無茶な――」

 

「『大丈夫、数秒ぐらいなら意味消失に耐えられると思うから!自分を信じて!』

 

それだけ言い残し、通信が途切れる。

あまりにも理不尽な要求に、マシュは苦虫を噛み潰したような表情をする。

 

「勝手なことを……後でしばきます、ドクター」

 

「そうするにも、何としてでも戻らないとですね」

 

「……はい」

 

リリィの優しい声色に、マシュは少しずつ冷静さを取り戻す。

何故彼女はここまで穏やかでいられるのか。

――それはきっと、彼女が今度こそマスターを護るという使命を全うできるからなのかもしれない。

理不尽が具現化したような青年は、今は静かに寝息を立てている。

流石の彼でも、この状況をひっくり返す奇跡は起こせないだろう。

だからこその、安堵。絶体絶命が故に、やっと自分が役に立てると、本懐を遂げることが出来るなんて、ままならないにも程がある。

 

互いにマスターを胸に抱き、その場に縮こまる。

何が出来る訳でもない。だからせめて、自分達が先に消滅するように祈りを込めて、マスターの盾となる。

人間よりも高次の存在であるサーヴァントが先に消滅するなんて有り得ないが、マスターが消えれば自分達も消える以上、優先すべきがどちらかは語るまでもない。

死が二人を分かつまで――そんな悲哀にロマンチックな感情を抱きながら、訪れるその瞬間を待った。

世界が白に染まる最後の光景で二人が見たものは、今までどこにいたのかさえ忘れていたフォウの姿だった。

 

 

 

 

 

目が覚めたら、リリィの顔がすぐ近くにあったでござる。

ファッ!?と驚いていみるも、身体は動かない。兄貴達の地獄の特訓(という名の玩具にされる刑)でヘロヘロになった時と同じ感覚だ。

リリィは穏やかな表情で寝息を立てている。サーヴァントだから寝なくてもいいんだろうけど、寝られない訳でもないっぽいし、普通だな!

……そんなことより、冷静に状況を分析してみる。

どうやら自分はカルデアに戻って来たらしく、見覚えのある白の景観が寝起きには眩しい。

そして、ベッドの上に寝ている自分。リリィはベッドの端に腕を乗せ、それを枕に寝ておられる。

あー、こうしてじっくり見ると本当に可愛いな畜生。

理子ちゃんやマシュちゃんも可愛いけど、リリィは突き抜けているっていうか。

騎士王なセイバーは、凛々しい要素が前面に押し出されているせいで、可愛いと言うより美人なイメージが強かったんだけど、リリィの場合垢抜けてない感じが強くて、初々しいんだよね。

だからだろうか、外見年齢なら明らかに年下ということもあって、凄く可愛がりたくなるんだよね。やったら斬られそうだからやらないけど。

 

「おー、起きたかねヒーロー君」

 

空気の抜ける音と共にドアが開かれたかと思うと、見知らぬ美人が部屋に入って来た。

絵画を切り取ったかのように完璧な美を備えた顔と、左手の武骨な籠手と杖がアンバランスさを増長させている。

 

「アンタは……」

 

「私かい?私はダ・ヴィンチちゃんさ。ちゃんまでが名前だから、そこの所よろしく」

 

茶目っ気たっぷりにウィンクをするダ・ヴィンチちゃん。

意外にフランクな性格らしく、これなら普通に話をしても平気そうだね。

 

「ダ・ヴィンチ……というと、あのルネサンス三大巨匠の一人か」

 

「そうだよ。お姉さんとしては、もう少しリアクションが欲しかったところだけどね」

 

いや、驚いてはいますよ?

とはいっても、アーサー王だったりギリシャの大英雄だったりと、英霊の数々を知っている身としては、言う程驚くべきところはないと言いますか。

いや、敬意は払いますよ?サーヴァントだからって使い魔的な扱いなんて魔術師でもない一般ピーポーに出来る訳ないし。

 

「身体の調子はどうだい?ここに戻って来た時、君の身体はあらゆる箇所がボロボロになっていてね。良く生きていたもんだと感心した程さ」

 

「……すまないが、記憶が混濁していてな。少し、整理させてくれないか」

 

「構わないよ」

 

ダ・ヴィンチちゃんに許可を貰い、思考の海に没頭する。

……思い出すのは、最悪なものばかり。レフの下卑た笑い、オルガマリーの慟哭。

受け入れたくない現実。しかし、逃げることは許されない現実。

思い返すだけでも、苛立ちで殺したくなる。レフも――自分自身も。

 

「その怖い顔はやめたまえ。それだけで君が何を考えているかは想像つく」

 

「…………」

 

「気にするな、と言っても無理だろうから言っておく。あれは仕方のないことだったんだ」

 

「――ッ、だが、彼女は俺の名前を呼んだ!助けてと、確かに言ったんだ!!」

 

「その時の君は、心臓を穿たれて生きているかさえ定かではない状態だったらしいじゃないか。君に責はないよ」

 

分かっている。分かってはいるが――それで割り切られるほど、簡単な問題じゃない。

 

「悩め、青年。経験こそが立派な先生だ。オルガマリー君の死を悼み、救えなかったことを後悔するのならば、尚の事今回のことは経験として糧にしなければならない。二度と同じ過ちを繰り返さない為にもね」

 

出来の悪い弟子に対して向けるような、厳しくも優しい言葉に平静を取り戻してく。

 

「……その通りだな。すまない、そしてありがとう」

 

「気にしなくていい。若者を導くのは先を生きる者の義務だ」

 

そう微笑むダ・ヴィンチちゃんに、思わず見惚れる。

身近にこういうお姉さんタイプな女性がいなかったせいか、どうにもやりにくい。

 

「さて……そろそろ私はお暇しよう。後は若い二人でよろしくするといい」

 

意味深な言葉を残し去っていくダ・ヴィンチちゃん。

それに続くように、傍で寝ていたリリィが小さく呻いておもむろに顔を上げる。

 

「んん……ま、すたー?」

 

「起きたか」

 

リリィの虚ろだった目が次第にはっきりとしていき、遂には慌てて姿勢を正して自分に向き合う。

 

「あ、えっと。ご無事で何よりです」

 

「そうだな……お互いな」

 

「はい。……だからこそオルガマリーのことは、本当に残念でなりません」

 

「リリィに責任はないさ。悪いのは全部レフだ。アイツだけは、俺がこの手で――」

 

悔しさをバネに力んだ身体に、痛みが走る。

 

「無茶しないでください。私達にも、何故貴方が生きているのか分かってないぐらいなんですから」

 

「……その言い分だと、俺はやはり死んだのか」

 

今もこびりついて離れない、心臓を穿たれる感触。一瞬で失せていく血と体温の悍ましくもどこか心地よい感覚。

アレで死んでいなければ、何だと言うのか。

何故生きているかだって?こっちが聞きたいぐらいだ。

……と考えてみたものの、士郎も心臓ズドンされたけど凛のペンダントで生き永らえてるよね。

そう考えると、割と普通なのか。魔術ってスゲー。

カルデアってなんか凄い設備でいっぱいだし、それぐらいなら普通なんだろ(適当)

 

「ええ。……未だに信じられませんが、生きていて本当に良かったです」

 

「全くだ。死ぬのだけは死んでも御免だよ」

 

「フフッ、何ですかそれは」

 

冗談交じりの会話をしていると、気分もだいぶん楽になって来た。

まだまだ吹っ切れないことはいっぱいだけど、それでもダ・ヴィンチちゃんが言った通り立ち止まってしまえば、本当に彼女の死が無意味なものになってしまう。

彼女の祈りが、この世界を救うことだと言うのなら――自分も腹をくくるしかない。

乗りかかった船だ。それに、ここまで付き合っておいて今更見捨てられる程、神経太くないしね。

 

……それに、自分の中から発現したあの『力』。

夢現な感覚の中でも、その溢れんばかりのエネルギーはしっかりと感じていた。

時々記憶がぶつ切りになる感じはしていたけど、もしかするとその力が原因なんじゃないか?

そもそも、今の自分は何だ?(・・・)

自分は一般人よりちょっと戦えるだけの能力しかない。おぼろげながらも、自分がオルタセイバーと戦えていた記憶もある。

その二つが織りなす矛盾が導く回答は未だ得られない。

もしかしたら……というものもあるが、情報が不足している。

頭を捻ろうにも、身体が休息を求めているらしく、次第に眠くなってくる。

 

「今は休息を。落ち着いたら、これからの事を話し合うことになるでしょうし、せめて今だけでも……」

 

「……そうさせてもらう」

 

「良き夢を、マスター」

 

リリィの優しい笑顔に見守られながら、意識を闇に落とした。




Q:所長がまるでヒロインのようだ。
A:だが もういなくなった

Q:キェェェェェェアァァァァァァ(主人公が)シャァベッタァァァァァァァ!!!
A:ちゃんと前も喋ってたじゃん……二言ぐらいだけど。でも、描写内だけでもっと話してるし。

Q:レフざまぁ。
A:まだだ、まだ終わらんよ!(展開的な意味で)

Q:リリィのヒロイン力がどんどん増していく。
A:スカウターがまだ壊れていないことが奇跡ですわ。

Q:みんな大好きダ・ヴィンチちゃん!
A:実装されたらキャスター筆頭のスペックになりそう。宝具は多分支援系だろうけど、アーツだろうからスキルも相まってかなりヤバそう。
 あ、あとああいったお姉さん属性を全面に押し出しているキャラはほんとすこ。元男だけど。
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