『よし、きょーもおれのかちだな!』
『ちがうよ、きょうもわたしのかちだよ!』
『いいや、きょうもおれのかちだ!』
『だから、ちがうっていってるじゃん! カネちゃんのばか~!』
『うっせーなぁ、ちがくねーよ!』
『おにいちゃんはどうおもう?』
『おれだよな、あにき!?』
『いや、どっちもどっちだろ』
『『え~!?』』
『はいはい、喧嘩はそこまでにして遊ぶぞ』
『くぅ~……ぜったいかってるんだけどな~』
『そんなことないもん!』
『いいかげんにしろ!』
ペチンッ!ぐりぐり!
『い、いてえよ。あにき』
『あうう、ぐりぐりはやめて~っ』
『少しは反省しろ!』
ここでアラームの音が鳴り響いたのか、ベッドの中の女の子は目を見開いた。
若干夢見が悪くて不機嫌そうな表情を浮かべると起き上がる。
「なんで幼い頃からの背比べのことを思い出すかなぁ。
あの頃からお互いに引かないから取っ組み合いもそうめずらしくなかったけどさ~」
ぶつぶつ言いながらめざましのアラームをきると、大きく伸びをする。
ベッドから降りたその体躯は小さく、小学生の高学年程度であろう幼さがある。
長い茶髪に、大きな緑色の瞳で垂れぎみな眉の女の子。
そこまで程度なら普通に小学生で通るだろうが、彼女の場合はその領域ではない。
なぜならある部分が大きいからだ。
そのある部分とは彼女の胸元に実る女の子の象徴である果実。
メロンかスイカの中間くらいのボリュームがある。
彼女の名前は
文月学園に所属する、れっきとした”高校二年生”である。
え、そんな彼女の身長はどれくらいかって?
なんとたったの138cmでしかないのだ。
小学四年生女児の平均身長並な為に驚かれるひとは多いだろう。
「んしょ!」
気合をいれるように言うと頬を軽く叩いてパジャマを脱ぎ捨てる。
そしてそのままの足でタンスに近寄り、タオルと下着と制服を取ると部屋から出ていく。
階段を降りて、リビングを開けて小さめのホワイトボードを確認する。
「そっか、今日はおそ番なんだね。 兄さんは旅ばかりだし」
そう呟いてからいつも以上の静かすぎる光景を思い出してに寂しそうに笑う。
次に脱衣場へと向かい、そこに入ると脱衣カゴに用意した下着を起き、洗濯機にパジャマと脱いだ下着をいれる。
脱ぎ終えると風呂場に入り、一通り頭と身体を洗う。
湯船につかり、温まってから風呂場を出て、脱衣場にあるタオルで身体を拭く。
拭き終えるとブラジャーで桜色の先っちょのある柔玉をカップに納め、毛無しの部分をショーツで包む。
そして髪を鏡を見ながらドライヤーで乾かすとブラウスに袖をとおし、黒い上着を羽織り、赤色のタイを締めて、
赤色のスカートとソックスを履いてキッチンへと向かう。
それから洗濯終えて、玄関へと向かった。
長い茶髪は、水色のリボンでまとめてポニーテールにしており、お尻が隠れるほどの長さでゆらゆらと揺れている
ローファーを履いてつま先で三和土を軽くトントンと叩くと、静かに鍵を開けた。
「行ってきます」
そう呟いて家を出ていくつぐみ。
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「おじゃましまーす」
「いらっしゃい、つぐみちゃん。 兼人なら部屋で寝ているよ、いっちょ起こしてやってくんないか?」
玄関から中にはいるのは小柄な少女――つぐみだ。
わかりやすくいうなら身長138cmの少女である。
一目見て小学生と勘違いされてもおかしくはない身長だ。
つぐみを出迎えたのは兼人の父の霧人だ。
彼の激辛の血はきっと父親から引き継いでいるに違いない。
「兼人ー、起きてるー? ……いつもどおり反応なしっと」
階段をのぼって目的の人物がいる部屋をノックすると声をかけるつぐみ。
それにため息をこぼしながらドアの開閉スイッチを押して中へと入る。
そこにはちらかり放題に散乱する物がある部屋と身長が143cmしかない少年がベッドにいた。
「もう! またこんなに散らかして! 片付ける人の身になってよね」
起こす為に彼の部屋に入ってつぐみの口から出たのがこの第一声。
そうともしらずにすやすやと眠っている少年。
彼の名前は平川兼人といい、つぐみのご近所の幼馴染である。
漠然とした恋愛意識はあるものの、先に進むことができないでいる。
ライバル期間というのもあったからだろう。
「ちょっと兼人、起きてよっ!」
そう声をかけながら身体を揺さぶる。
しかし、これで起きる気配もなく、揺さぶりも激しくなる。
「兼人! 起きてって言ってるでしょ! 朝なんだからうだうだしない!」
「あと5分~」
そう言いながら更に揺さぶるつぐみ。
それでも起きる気配がなく、いっそ深く眠りこけようとしているように思える。
しだいに目がすわりだすつぐみ。
「そう、そっちがその気ならこっちにも考えがあるよ! んん!『兼人、甘い物づくしでいいのかしら?』」
「やめて、おふくろっ! それは死ぬから!!」
つぐみは咳払いして口を開くとでてきたの別人の声であった。
そんなつぐみの言葉に驚いて飛び起きる兼人。
かなり甘い物が苦手なのだろう。
「『やめろ? やめてくださいだろう? 母に向かってなんて口の聞き方だい!!?』」
「お、おやめになってください。 お母様!」
つぐみはそのまま声で言うと飛び起きて床に額をこすりつけながら謝罪する兼人。
ちなみに兼人母は実は昔に大荒れしていたらしく。
突然、変貌することもあるので兼人も逆らえないでいるらしい。
「『やめてほしいならさっさと起きやがれ!』」
「は、はい!って つぐみ!?」
顔をあげると視界の端につぐみが目にとまり拍子抜けする兼人。
「『兼人がいつまでも起きようとしないからだよ』」
いまだに兼人母モード声のつぐみ。
「だからって、母さんの声すんなよ」
「『これの方が効き目あるからな』」
気がぬけた様子で言う兼人にしゃべり続けながら言うつぐみ。
「もういい、起きたからやめてくれ。 気が気でない」
「『よろしい、反省したみたいね』これにこりたらきちんと早く起きてね」
青ざめた顔の兼人につぐみはそれだけを告げて声真似をやめる。
「本人と見分けがつかない声帯模写……あるいみ反則だろ」
「そんなことより、早く歯を磨いて制服に着替えてよ。 あと部屋の片付けくらいきちんとしなよね」
悔しそうにぶつぶつ言う兼人につぐみがたしなめるように声をかける。
「うっせぇな、小姑かよお前は! ぶちぶち言いやがってよ」
たしなめるように言うつぐみに辟易した様子で言う兼人。
「小姑って、失礼ね! 兼人がきちんと掃除しないからうるさくいうしかないんでしょ!
おばさんだってきちんと掃除しろってうるさく言ってるのに聞かないって言ってたよ!」
「うっせーうっせー! 小学生並みのくせに小姑みたく言ってるんじゃねーよ」
つぐみの抗議する声に対しても彼は変わらずにそう言った。
「わたしそんなにちっちゃくないよ!? これでも高校生なんだからね! 兼人とたったの3cmしか変わらないし!」
「3cm分ほど、俺の方が高いし! 幼い頃からの決着がここでいついたなチビ!」
つぐみは怒ったように言うと兼人はふんぞりとしながらそう言った。
「ち、チビって! よりにもよってそれをあたしに言うの!? なによ、チビなのは兼人だって同じじゃない! 男子の背の並び順ではいつも先頭だし!」
「て、てめぇ! それをいうならつぐみだって女子の背の並び順はいつも先頭だろうが!」
にらみ合いながら喧嘩がヒートアップするつぐみと兼人。
幼いこから背の測り合いでの喧嘩はよくあった二人。
この二人の中では身長によるライバルという構図が広がっていた。
傍から見たら不毛なライバルに不毛な喧嘩でしかないが、これがいつもの日常ともいえるだろう。
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